アーサー・コナン・ドイル『ロスト・ワールド』。小説力があれば、どんなあらすじだって面白く書ける。

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書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。小説『ツバサ』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

このページではアーサー・コナン・ドイルの名作『ロスト・ワールド』について述べています。

小説はあらすじじゃない。描写にこそ面白さがあるという見本のような小説でした。

さすがシャーロックホームズの作者。ストーリーは推理小説のようにどんでん返しの連続です。

物語の面白さというのはあらすじにはないのだ、ということを見事に見せつけてくれます。

人間描写のおもしろさ、つまり小説力があれば、どんなあらすじだって面白く書けるし、それがなければ、どんなあらすじだってつまらない作品にしかならないのです。

×   ×   ×   ×   ×   × 

このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。

「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」

「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」

※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。

アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

https://amzn.to/44Marfe

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【書評】『ロスト・ワールド』について

ひとことでいうならば「南米のテーブルマウンテンに、失われた太古の世界がそっくりそのまま残っていた」という話しです。小説が発表された当時は画期的なアイディアだったのだと思います。

絶滅したはずの恐竜が生き残っていて、それを調べるため学術調査という名の冒険に行くというのがストーリーの骨子なのですが、『ロスト・ワールド』の面白さは実はそこではありません。

作者の人間洞察力が、描写の端々に現れます。

さすが推理小説の作者だなあ、と思わせるストーリーは大どんでん返しの連続です。

語り部の主人公マローンは新聞記者。グラディスに恋をしているが「英雄と結婚したい」と言われてフラれます。

そこで発奮。チャレンジャー教授の主張する「失われた世界」を実証する学術調査隊に新聞記者の特派員として参加することになったのです。

チャレンジャー教授は自分の大発見が歴史に残るものだと確信しているが、それを認めようとしない世間に牙をむく人物。この人物を作者コナン・ドイルはシャーロックホームズよりも愛したそうです。

チャレンジャー教授シリーズという一連のSF作品が他にもあるのです。

恐竜が絶滅したという学者に対して、チャレンジャー教授は黙っていられません。大ブーイングを浴びても、恐竜は今も生きていると主張します。そして次から次へと毒舌でたくさんの敵をつくっていくのです。そこのところが面白い。作者が愛したのもうなずけます。

学術調査団は恐竜滅亡説のサマリー教授(60代)と、探検家のジョン・ロクストン(40代)、そして新聞記者のマローン(20代)が主要メンバーです。

ここで読者は「あれ、肝心のチャレンジャー教授は調査団に参加しないのか?」と驚きます。

次々と敵をつくっていく強烈なチャレンジャーの個性に興味をおぼえはじめたところだったのに、学術調査団に参加しないのでは、ここでサヨナラです。

残念。別れたくありません。

ロクストンはマローンが死を恐れないか勇気を試しますが、マローンは期待に応えました。

作者は書きます。勇気なしと思われるぐらいなら断崖から飛び降りた方がマシだ。もしそんな行動に出るとすればそれは実は勇気ではなく、プライドや惧れからなのだが……。

こういう何げない描写こそがストーリーに勝る面白さの秘訣だと思っています。

ロクストン「南米アマゾンにはわくわくする冒険につきものの危険が一マイルごとに待ち受けている。冒険の危険というやつはね、生存に必要な塩なんだ。そしてふたたび人生に価値を取り戻してくれるのさ。われわれの生活はあまりにやさしく、退屈で安楽すぎる」

渋い男です。人物造形が際立っています。

こうしてマローンはロストワールドを探す旅に出発しました。恐竜を見つければ英雄になって、グラディスと結婚できるかもしれません……。

読者を退屈させないために、アマゾンまでの船旅や、都市での滞在シーンは一切カットされます。

次のシーンではいきなりアマゾンでチャレンジャー教授の手紙を開封するところから始まります。そもそもどこに向かって進めばいいのか、言いだしっぺのチャレンジャー教授でないとわからないのです。

しかし手紙は白紙でした。

やはり騙されたと怒るサマリー教授の目の前に、なんと突然チャレンジャー教授が現れます!!

こういうところが推理小説っぽくて『ロスト・ワールド』は面白いのです。

チャレンジャー教授は、ロストワールドの場所を秘密にしておくためと、主にサマリー教授との不愉快な道中を一緒にしたくないから長い船旅を別にしたのでした。

そして現れるや否や「吾輩が探検隊の指揮をとる」と宣言します。

サマリー教授は面白くありません。サマリー教授を無学だとバカにするチャレンジャー教授の挑発に、サマリー教授も黙ってはいません。

マローンは頭脳の明晰さと高潔な人格とは全く別ものなのだとチャレンジャー教授から学ぶのでした。

年下のロクストンとマローンが、学識ゆたかで怒りっぽい二人の教授をなだめながら、旅はジャングル奥地へと分け入っていきます。ストーリー以上の面白さをコナン・ドイルは提供しています。

チャレンジャーとサマリーは学術的な議論をたたかわせます。遠くに見えた巨大な生き物をコウノトリだと主張するサマリー教授の目の前に、翼竜が現れて夕食を奪い去っていた時に、感動しつつ、自分が間違っていたとサマリー教授はチャレンジャー教授に詫びをいれます。二人が仲良くなったことにくらべれば、夕食を奪われたことなどちっとも惜しくありませんでした。

人が登れないテーブルマウンテンの上に木の橋をかけてようやく一行はロストワールドに上陸します。しかしロクストンに怨みをもつポーターに裏切られて、木の橋を落とされ、ロストワールド上に孤立してしまう。

主人公たちは目の前に魅力的な新世界(旧世界?)がある反面、文明社会に帰れなくなってしまいました。

そのジレンマに引き裂かれつつ一行は学術調査を続けます。

吸血ヒルひとつとっても新種です。ヒルですら貴重な種だと無学な君たちにはわからないとチャレンジャー教授は嘆きますが、自分が吸血されそうになると悲鳴をあげてヒルを追い払います。

恐竜イグアノドンがついに目の前に現れると、チャレンジャーとサマリーは興奮し、たがいに手を握り合いました。

サマリー「これを報告したらイギリス学会では何というだろうかね」

チャレンジャー「大ウソつき、科学界のペテン師といわれるよ。君が吾輩をそう呼んだようにね」

サマリーは閉口しました。

恐竜に襲われた人類という命があやうい刹那ですら、二人の教授は「有意義な情報が得られた」と人類史上初の体験をよろこんでいます。

チャレンジャーはもっと知りたくてロスト・ワールドの奥地へ進もうとしますが、サマリーはロンドンの学会で報告しないと意味がないと主張します。

ここではじめてサマリーはチャレンジャーに議論で勝ちました。一行は帰路を探しはじめます。

マローンは首長竜プレシオサウルスの住む湖を大陸中央に発見し、その湖にグラディス湖と名付けます。

ロストワールドには、剣竜ステゴサウルスもいれば、恐鳥フォルスラコス、顔がガマガエルのような肉食恐竜もいました。

この顔がガマガエルのような肉食恐竜に捕食される恐怖をマローンたちは味わいます。しかし恐竜に襲われるパニックで終わらないところがさすがコナン・ドイル『ロスト・ワールド』。

恐竜に襲われるのだろうな、と思っていたら、なんと猿人に襲われるのです。失われた世界の上にも未開人が住んでいて、未開人は猿人と戦争をしています。

猿人の捕虜となったイギリス人たち学術調査団一行でしたが、チャレンジャー教授だけは猿人から特別扱いされています。その理由は猿人のボスがチャレンジャー教授と兄弟のようにそっくりだからでした。そのためにサマリーたちのように殺害対象とはなっていません。

サマリーとチャレンジャーの大馬鹿コンビは、死刑間際にも、猿人のルーツがピテカントロプスかどうかで議論している始末です。

猿人に処刑される寸前に、銃撃戦をして逃げ出したイギリス人たち。

吾輩の命を救ったことはヨーロッパ近代動物学史を救ったことだとチャレンジャー教授は大げさに感謝するが、その顔は猿人の王にしか見えません。チャレンジャーはちょっと傷つきます。

チャレンジャー「未開な人種というのは、威厳があり人間性ゆたかなものを尊敬するものだが、ロクストンは実にばかげたことにこじつけている。猿人の王はじつにいい顔をしていて、知性も豊かなやつだった。そのようには見えなかったかね?

チャレンジャーはマローンに自分が猿人の王とそっくりだったことは新聞に公開しないでくれと暗にたのむのでした。

イギリス人たちは、未開人と協力して、猿人と戦争をします。そして猿人を打ち倒すのです。こういうところが映画『ジュラシック・パーク』とは違います。

映画『ジュラシック・ワールド』
どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか? みなさん恐竜は好きでしょうか。 女性ですと「あんなハチュー類なんかにまったく興味ないわ」という方も多いかと思います。 しかし、少年たちは恐竜が大好きです。あ、あと...

さて、ロストワールドのテーブルマウンテンからどうやって下に降りましょうか?

大木がないから橋をかけることもできないし、ツルクサでロープをつくって下降することもできません。

そこでチャレンジャーは気球のようなものを発明します。

動物の膜からつくった袋に、間欠泉から吹き上げるガスをつめこむと、宙に浮いたのです。

パラシュートのようにゆっくりと下降するチャレンジャーの計画でしたが、試作機は強力な浮遊力でチャレンジャーどころか三人の大人が空に浮かんでしまいました。つないだ紐が切れて、ギリギリのところで助かったのです。

浮遊ガスの量を調整して、このパラシュートでゆっくりとテーブルマウンテン下に降りるんだろうな、と思っていたら、違いました。

実は未開人たちは秘密の昇降ルートを知っていて、マーロンはそれをこっそり教えてもらうのです。

けっきょく、動物の皮でつくった気球はつかいません。

描かなくてもいいシーンをわざわざ書いたということは、作者はただチャレンジャー教授を宙に浮かせてびっくりさせたかっただけのようです。

こうしてイギリスに帰った一行が「恐竜の住むロストワールド」について学会で報告することになります。

しかし、恐竜の実在を信じない者たちの舌鋒するどく、場は荒れに荒れました。

しかしチャレンジャー教授は、奥の手を用意していました。

なんと生きた翼竜を持って帰ってきていたのです。

ガーゴイルのような翼竜が飛び立つと、学会は天地がひっくり返ったかのような大騒ぎとなりました。

翼竜は窓を割り、ロンドン上空に飛び去って行きました。オチ1

通常、この手の恐竜ものではティラノサウルスが主役を張るものですが、『ロスト・ワールド』で主役を張るのは巨大な蝙蝠のような翼竜です。ディモルフォドンやプテラノドンなどの恐鳥類でした。

作者は翼竜が大好きのようです。ラストシーンも翼竜で締めくくられます。

こうして学術調査隊は、英雄となりました。

マーロンがロンドンに戻っていちばんやりたかったことは、もちろんグラディスと会うことです。

恐竜の実在を証明し、世界中の注目を集めた自分ほどの英雄は滅多にいませんから、いよいよグラディスの心をものにすることができるかと思われました。

ところがグラディスは既に結婚していました。あれほど英雄と結婚したがっていたグラディスが誰と結婚を?

作者は書きます。人生とはなんとこっけいなものだろう。

マーロン「きみはなにをしてのけたのかな? 埋もれた秘宝を見つけたとか、極地探検とか、海賊とひと暴れしたとか——なにをなしとげたの? 愛を勝ち取る魔術はどこに? どうやってそいつを手に入れたんだい?

「ちょっと立ち入りすぎでは?」グラディスの夫はいった。

なら、ひとつだけ。きみは何者だ? 職業は?

グラディスの夫は弁護士事務所の書記でした。ロンドンの小さな事務所で助手をつとめる人物でした。

これが『ロスト・ワールド』のオチ2です。

失われた世界を見つける冒険をしたマーロンは、英雄でも何でもないただの事務職に、恋というたたかいでは負けてしまったのです。わかります。それが人生だよね。

ロクストンには、もうひとつロストワールドから持ち帰ったものがありました。

ダイヤモンドです。テーブルマウンテン上にはダイヤモンド鉱床があったのです。

大金でした。しかしロクストンは生死をともにした仲間で、きっかり四等分するという。

ロクストン「もちろんこれはわれわれみんなで公平に分配すべきものです。それ以外の方法はいっさい受けつけられない。さてチャレンジャー教授、五万ポンドをどう使います?」

チャレンジャー「吾輩は、自分の博物館を立てたい」

ロクストン「サマリー教授は?」

サマリー「教職から身を引いて、白亜層化石の最終分類に生涯をおくりたいものです」

ロクストン「わたしは自分のために、装備の整った探検隊を組織して、もう一度あのなつかしい台地を訪れるつもりです。マローン君、きみはもちろん結婚の資金だな?

マローン「いや、まだしません。ぼくはですね……もしよかったら、いっしょにつれていってほしいんですが

ロクストンは何も言わなかったが。だが、テーブルの向こうから日焼けしたその手をさしのべてきた。

これが『ロスト・ワールド』の3番目の、そしてラストのオチである。(オチ3

ここでようやくマローンはチャレンジャー教授を脇役に追いやって、ほんとうの英雄になったのでした。

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仕事で成功した後に女性を口説こうという考え方は間違いだ

見てきたように『ロスト・ワールド』にはオチが三つも用意されています。

それぞれどこで終わっても結末が決まるのに、これでもか、これでもか、と三つもオチを用意してくれました。

中でも私は二番目のオチが気に入っています。

「いい男(=英雄)になって女性を口説こうとする男性」が古今東西どこの世界にもいますが、その手が通用しないことは『ロスト・ワールド』がはっきりと教えてくれます。

女性を口説きたかったら、今この瞬間に、なりふり構わず口説くことです。

仕事で成功したら、とか、冒険から帰ってきたら、とか考えていたら、その間に、他の男に取られてしまいますよ。マローンのように。

英雄になったらモテるだろうと思うのは男性側の幻想で、ほとんどの女性は自分の男に「英雄」なんて求めていないのではないでしょうか?

こういうオチは、大きなストーリーラインとは何の関係もありませんが、こういうところが小説を面白くしてくれているのです。

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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

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●◎このブログの著者の書籍『市民ランナーという走り方』◎●
書籍『市民ランナーという走り方』Amazonにて発売中
雑誌『ランナーズ』のライターだった筆者が贈る『市民ランナーという走り方』。 「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか? いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状打破、自己ベストの更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。 ●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何? ●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム? ●ピッチ走法とストライド走法、どちらで走るべきなのか? ●ストライドを伸ばすための「ハサミは両方に開かれる走法」って何? ●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは? ●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は? 本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く効率的に走ることができるようになります。 ※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。 あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
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●◎このブログ著者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』◎●
書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
https://amzn.to/3OBWtUR
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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
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◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

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私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
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●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
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●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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