地球一周ランニング。間寛平アースマラソン(kanpei Earth marathon)

マラソン・ランニング
スポンサーリンク
『ドラクエ的な人生』とは?

心の放浪者アリクラハルトの人生を走り抜けるためのオピニオン系ブログ。

書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。小説『ツバサ』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

YouTube動画

vehicle-night-in-japan

このページでは、間寛平さんのアースマラソンについての記事を書いています。

その挑戦の難易度とは?

私も現在「バーチャルランニング地球一周走り旅」というものに挑戦しています。似たような挑戦をしているからこそ、気づく点がいくつかあります。

同じランナーだからこそわかること。旅人だからこそわかること。一般の人が想像しにくいそれらの点について書いています。

※※※YouTube動画はじめました※※※

書籍『市民ランナーという走り方(マラソンサブスリー・グランドスラム養成講座)』の内容をYouTubeにて公開しています。言葉のイメージ喚起力でランニングフォームを最適化して、同じ練習量でも速く走れるようになるランニング新メソッドについて解説しています。気に入っていただけましたら、チャンネル登録をお願いします。

ドラクエ的な人生YouTube
エッセイ系、オピニオン系ブログ『ドラクエ的な人生』のYouTube出張局です。 ●ブログ「ドラクエ的な人生」→人生の母艦として日々更新中。 ※当チャンネルは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amaz...

×   ×   ×   ×   ×   × 

※雑誌『ランナーズ』の元ライターである本ブログの筆者の書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。

「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか?
いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状を打破し、自己ベスト更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何?
●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム?
●ピッチ走法よりもストライド走法! ハサミは両方に開かれる走法。
●スピードで遊ぶ。スピードを楽しむ。オオカミランニングのすすめ。
マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」
本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く走ることができるようになります。
※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。

Amazon.co.jp

星月夜を舞台に、宇宙を翔けるように、街灯に輝く夜の街を駆け抜けましょう。あなたが走れば、夜の街はイルミネーションを灯したように輝くのです。そして生きるよろこびに満ち溢れたあなたの走りを見て、自分もそんな風に生きたいと、あなたから勇気をもらって、どこかの誰かがあなたの足跡を追いかけて走り出すのです。歓喜を魔法のようにまき散らしながら、この世界を走りましょう。それが市民ランナーという走り方です。

×   ×   ×   ×   ×   × 

ところで寛平さん、ランナーは普通キャップで走るのですが、なんでハットにしたんでしょうね?(笑) 

それだけは最後まで謎でした。ただのオシャレかな?

スポンサーリンク

走った距離が足りない理由。極点に近づくほど地球一周は簡単になる

ランニング20,000km、ヨット16,000km=36,000kmとアースマラソンは総括しています。

あれ? 地球一周は約40,000kmなのですが、距離が足りなくありませんか?

理由はすぐに思い当たりました。これは赤道付近を通過していないからでしょう。

間寛平さんは主に北半球を走ったのですが、当然ながら緯度が高くなるほど地球一周の距離は短くなります。

地球は丸いので、極点に近づくほど距離はゼロに近くなります。

世界の果てまでイッテQ!』というテレビ番組で、イモトアヤコさんが、南極点を中心に「地球一周~」とギャグを飛ばしていました。彼女も地球一周のフィニッシャーですね(笑)。

そういう意味では「人類初の徒歩による地球一周」をしたのは間寛平さんではなくアムンゼンではないかと思います。人類ではじめて南極に立ったアムンゼン探検隊が、南極点にポールを立てた後、ポールの周りをぐるっと一周しなかったとは考えられないからです。

まあ冗談はさておき、寛平さんがぐるっと地球を走って一周してきたことは確かです。海は、風の力を利用したヨットをつかって渡りました。

これまで誰もやらなかった難易度マックスの挑戦でした。

その挑戦がどのようなものだったのか、以下にまとめてみました。

スポンサーリンク

間寛平アースマラソンとは?

2008年

12月17日 大阪スタート。間寛平59歳。

2009年

1月1日 鴨川からヨットでアメリカに向けて出航

3月11日 ロサンゼルスに到着(太平洋ヨット横断航海70日12,710km)

アメリカ横断(カリフォルニア州→ネバダ州→アリゾナ→ニューメキシコ→コロラド→カンザス→ミズーリ→アイオワ→イリノイ→インディアナ→オハイオ→ペンシルバニア→ニュージャージー→ニューヨーク州)

7月9日 ニューヨーク到着(アメリカ横断118日4,830km)

7月15日 フランスに向けてヨットで出港・大西洋横断

7月20日 寛平さん、大西洋上で60歳の誕生日

8月17日 仏ル・アーヴルに到着(大西洋ヨット横断航海35日6,519km)

ヨーロッパ横断(フランス→ベルギー→オランダ→ドイツ)

10月2日 デンマーク・コペンハーゲンに寄り道(2016年夏季オリンピック開催地を決めるIOC総会があった。東京はリオデジャネイロに敗れる)

ヨーロッパ横断(ドイツ→チェコ→スロバキア→ハンガリー→セルビア→ブルガリア→トルコ)

12月14日 イスタンブール・ボスポラス海峡(ヨーロッパ走破。アジアに入る)

2010年

1月14日 前立腺がんを公表(ホルモン治療しつつRUN継続)

アジア横断(トルコ→イラン→トルクメニスタン)

4月20日 飛行機でサンフランシスコに飛び、前立腺がんの放射線治療(~6月17日)

6月19日 トルクメニスタンに戻り、中断地点からアースマラソン再開

アジア横断(トルクメニスタン→ウズベキスタン→カザフスタン→中国)

12月27日 中国・青島チンタオに到着。ヨットで福岡へ渡る。

2011年

1月4日 福岡上陸

1月21日 大阪ゴール。間寛平61歳。

2年がかりの大挑戦でした。

ランニング20,000km、ヨット16,000km=36,000km

だということです。

スポンサーリンク

ランニングの難易度(単純な距離)を検証する

「地球一周なんてすごすぎる」と先入観で決めつけずに、まずはどれぐらいの難易度だったのか検証してみましょう。

非ランナーの方には、ランニング中毒患者がどれだけ走るか、わかり難いところもあると思います。

ロードバイク乗りほどではありませんが、ランナーも距離感がぶっ壊れた人が多いです。そのような人たちのことを知らないと、一般の人は自分のモノサシだけで難易度を測ってしまうことでしょう。

ここでは市民ランナーのグランドスラムの達成者である私ハルトが、自分の走力を参考値として、アースマラソンの難易度について検証してみます。

まずは単純な距離についてですが……

ランニング20,000kmといっても、それがどれぐらいの距離なのか、まったくイメージがつかめません。

そこで一日単位で考えると、平均すると寛平さんは一日40kmほどの距離を走っていたそうです。

一日40km!! とランナーでない人はびっくりするかもしれません。

確かにフルタイム勤務のサラリーマンには不可能に思えるような距離です。

しかし一日40kmは、実はそれほどの難易度ではありません。

他に仕事も何の用事もなく、前に進むことだけが一日の行事だったらば、ですが。

寛平さんはアースマラソンのあいだ、走ることが仕事でした。すべての時間を走ることに費やすことができました。

心のバイアスを取りのぞくために、たとえば、こういう事実を知ればどうでしょうか?

江戸時代の参勤交代で武士は一日30kmほど歩いています。歩きにくい正装で。大名を駕籠で担いで歩いた人も含めて。もちろんランニングシューズなんて履いていません。わらじ履きでしょう。

世に名高い羽柴秀吉の「中国大返し」は、10日で230km駆け戻っています。明智光秀を討つ山崎の合戦の前に、兵士の士気をあげようと姫路城の金銀財宝をばらまいたりしていますので、10日間は行軍ばかりではありませんでした。一日に50kmぐらい歩いているのではないかと思います。軍事行動なので重たい武器や鎧、兵糧を身につけた上でのことです。その上でゴール地点で明智光秀と力の限り戦争しているのです。以逸待労といって兵法ではやっちゃいけない戦術なのですが、勢いに乗って秀吉は勝ってしまいました。

鎧・兜で長槍持ってわらじ履きで一日50km行けるのですから、ランニングシューズの軽装で40km走ることは実はさほど難しいことではありません。なんとなくイメージがつきましたでしょうか。

単純な距離だけならば、心拍数が上がらないようなペース(呼吸が乱れないほどゆっくりペース)で一日かけてゆっくりと走ればいいのです。

そんな距離走るのは無理だ、という先入観、心の壁さえ取り壊せれば、単純な距離だけだったら寛平さんのような超人じゃなくても普通の人でも走れます。

地球一周走り旅。イントロダクション。仮想地球一周プロジェクトを開始します
比叡山に千日回峰行という荒行がある。修行僧が草鞋履きで山中をひたすら歩く巡拝である。1日84kmを歩く「京都大回り」を100日行うなど、7年かけて4万キロを歩く超荒行である。とても常人になしえることではない。途中で行を続けられなくなったら自...
スポンサーリンク

サブスリーランナーがアースマラソンに挑戦したら?

走る習慣がない人は、ランニング20,000kmなんて超人的な距離だと思うのでしょうね。

偉そうにいうならお前の場合はどうなんだ、と言われそうなので、私の場合を参考値として書いておきます。

書籍『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』まえがき
ヘルメスの靴のように、神さまからもらった宙に浮くための装置が、あなたの足には備わっているのです。これからその使い方を教えます……といわれたら、本当に宙に浮くのか、走り出して試してみたいとは思いませんか? これらの表現は、入力ワードです。脳ミソから筋肉への指令が、生き生きとした表現によって活性化して伝わり、速く走ることができるようになります。
市民ランナーの三冠王・グランドスラムの難易度
市民ランナーのグランドスラムは脚力だけでは達成できません。グランドスラムが難攻不落なのは「金」「時間」「幸運(エントリー通過)」という鉄壁に守られているからです。今の生き方を変えることが最も難しいポイントかもしれません。

私は走歴18年ぐらいのフルタイム勤務の市民ランナーです。月間走行距離は最高で600km/月でした。

月600km走った月でも、仕事で疲れていたり、大雨の日には走りませんでした。休養日もありました。実働20日として平均一日30km走ったことになります。正確には土日に40km強ぐらい走って、平日は仕事後に20km強走って達成した数字です。

これは雑誌『ランナーズ』オクトーバーランという企画のために無理して走った距離で特殊な例です。

オクトーバーランとは何か?
オクトーバーランとはレースシーズンが始まる10月にどれだけ月間走行距離を稼げるか、という雑誌『ランナーズ』がはじめたイベントです。「個人の順位」と「団体の順位」があり、月間走行距離がインターネット上のバーチャル空間で集計されて、ランキング付けされるのです。本番のレースは「スピード勝負」です。それはわかっています。でもこの走行距離レースはランナーの射幸心を掻き立てます。

普段の走行距離はすくなく見積もって半分の月間300kmぐらいでしょうか。

300km×12ヶ月×走歴18年=64,800km。

地球一周は約40,000kmだといわれていますので、単純な距離だけだったら、私の生涯走行距離は軽く地球一周していることになります。

比叡山千日回峰行者はウルトラマラソンランナーに似ている
巡拝しながらの膨大な時間も、みほとけのことや、衆生救済のこと、悟りについて、ずっとずっと考え続けているんだろうな。ランニングも禅や瞑想に似ているから、よくわかるよ。面壁九年と同じことなんだ。千日回峰行は

シリアスランナーだったので、スマホなんかを持ち歩いて走るはずもなく、ログをとっていないので証明できませんけどね。

実際のところマラソンを本当に強くなりたかったら、走行距離が短くてもスピードを上げて走った方が心肺機能が鍛えられて強くなるので、あまり距離にはこだわっていませんでした。

このように実際に距離だけならば地球一周分の4万キロを走破するのは、ランニング中毒患者にとってはさほど難しいことではありません。

脳内モルヒネ。快楽のランニング中毒。世界が美しく見える魔法
ランナーはみんなドラッグ・ジャンキーかもしれません。天然由来の、肉体に害のない、ヤク中になっても何ら問題のない、内因性ドラッグですけどね。快楽のランニング、それは世界が美しく見える魔法です。それが市民ランナーという生き方なのです。
禅ランニング・瞑想ランニングのやり方
瞑想ランニングのやり方を書いていたら、はからずも「幸福とは何か?」を追求することになってしまいました。幸福を追求しなければ生まれた甲斐がありません。瞑想ランニングは幸福追求のためにするものです。

市街地のアスファルトの上なら、ね。

アースマラソンの難しさは、むしろ別のところにあります。

スポンサーリンク

案ずるより産むが難し。自然環境環境、走路こそが最大の敵

まず、実際に地球一周するためには太平洋、大西洋を渡らなければなりません。

海の上は走れませんので、寛平さんは風力によるヨットを選択しました。

ここでエンジンを使った動力を使わなかったのは、機械化文明の力を使えば簡単に地球一周なんかできてしまうからでしょう。

達成難易度が高ければ高いほど、達成した寛平さんの行為の価値はあがります。

帆船の上では大波、大風。ヨットは揺れて揺れてたいへんでした。それを70日間も……

私だったら船酔いでゲロゲロです。一日二日でリタイアしていると思います。

昔、咸臨丸で勝海舟がアメリカに渡った時も、船酔いでほとんど病人のように寝ていたそうです。

ヨットの段階でほとんどの人はリタイアしてしまうことでしょう。

走力とは別の能力になりますが、これだけでも寛平さんは超人です。

寛平さんが走るのはフラットアスファルト道路ばかりではありません。

坂道もあります。雪の大地もあります。砂漠・土漠もありました。雨の日も、風の日も、吹雪の日もあったのです。道なき道もありました。マイナス19度の極寒の地を走ったこともあるそうです。

ランニングウェアだけでも何種類も必要でした。着替えも必要です。

もうひとつ。ルートの問題もあります。

どこを走ればいいのか。ルートがわからなかったら、砂漠のど真ん中で立ち往生してしまいます。

ルートを間違ってヒマラヤ山脈を越える旅になったら、マラソンというよりも登山装備が必要です。

紛争地帯を走るわけにはいきませんから『深夜特急』的な旅人の感受性も必要になってきます。

沢木耕太郎『深夜特急』大沢たかおと有吉弘行。ペナン風チャークイティオ。美味の隠し味は、魔法のゾウキン
どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか? 沢木耕太郎『深夜特急』大沢たかおと有吉弘行 沢木耕太郎『深夜特急』で「ペナン・イズ・ベスト」という印象的な言葉で語られているのがマレーシアのペナン島です。 テレビ...

もちろん道を間違えないようにするブレインが必要でしょう。

放浪の画家・山下清は目的地にたどり着くために線路を利用したそうです。線路上なら道に迷いません。道路だとどちらに進めばいいのかわからなくなります。知らない外国の道を目的地に向かってまっすぐに走れるものではありません。

放浪の大先輩。山下清のルンペン旅。天才画家の乞食行脚
山下清画伯の放浪旅について このページでは放浪の大先輩山下清のとくに放浪の部分について語っています。 私は放浪の旅人です。放浪した国や箇所だけなら山下清以上です。歩いた距離(走った距離ですが)も山下清をはるかに上回っています。しかし...

ましてやオフロード(非舗装道路)を通ってどうして目的地にたどり着けるでしょうか。

「案ずるより産むが難し」「想像するよりも、行うが難し」です。

もっとも問題なのはアジアの交通事情ではなかったかと思います。

昔から馬車文化があり、車社会に近代化するのが早かったヨーロッパでは歩車道分離がちゃんとしていて、ランナーが安全に走れる道が多いのですが、アジアは違います。

アジアの道路は車のことしか考えていない、歩行者のことなんかまるで考えていないという道路がたくさんあります。

実際、寛平さんも、歩道のない道路をよく走っていました。

車がすれすれのところを走っています。これがどれほどランナーにとって恐ろしいことか!!

自分の生命は他人まかせです。運転手がミスしたら轢死体です。

むしろ一番危険だったのは、吹雪でも砂漠でもなく、交通事故だったかもしれなません。

危機を危機と認識する前に、死ぬときは一瞬という最も危ない場所が、実は歩道のない車道だったりするのです。

スポンサーリンク

たったひとりでできる挑戦ではない。

わたしもリアル地球一周ランニングを考えたこともありますが、ちょっと考えて無理ゲーすぎて諦めました。

(飛行機を使って旅人としてほぼ地球一周しています)

地球一周ランニングは単独で挑戦できるものではありません。

寛平さんが走ることだけに集中できるように、コーディネーターがつきっきりでお世話をしたのだろうと思います。

見てきたように、走ることに集中するためには、食事や着替え、ルート選定などは別の人にまかせたいところです。

アースマラソンにはトヨタなど大企業の提供で車(プリウス)が並走しています。スタッフがルート確認をしていただろうと思います。

走ることでつかった莫大なカロリーを補給しなければなりません。寛平さんが走るのは、都市が無秩序にひろがった日本の市街地ではありません。日本と違い外国の街は、昔の城塞都市の名残でしょうか、街と自然とがはっきりとわかれていることが多いのです。

市街地を外れると自然しかないという場所がたくさんあります。ちょっと走ればコンビニで何でも買える日本とは根本的に違うところを寛平さんは走ったのです。

飲み水も死ぬほど重要です。サポートカーに大量の水分が用意されていたのでしょう。

トイレも重要です。まあそこらへんでしちゃったんでしょうけれど、ないと思って走った方がいいでしょう。映像には残っていません。

ずっと走り続けるためには着替えも重要です。毎日汗びたの同じ服ばかり着れませんが、毎日洗濯するわけにもいきません。着替えのストックも大量に用意されていました。

夏のランニングウェアだけでは地球一周は無理です。エスキモーのような真冬の格好をして走っていることもありました。

運搬スタッフがいないとできないことです。

毎回ホテルというわけにもいかないでしょうから、車中泊もやっただろうと思います。

車中泊の持ち物リスト
車中泊の旅でいちばん大切なのは現金とキャッシュカード・クレジットカードです。 あたりまえですが、金さえあれば何とかなります。 創意工夫で何とかするのが車中泊アウトドアの醍醐味ですが、やはり必要最低限のグッズはもって行った方が快適です。

その他に撮影スタッフもいました。演出家と呼ばれる人物もスタッフの中にいたようです。

企業のサポートだけでなく、寛平さんが名前の知られた芸人だからこそ、その挑戦を映像化して売ることがはじめから企画の中に入っていました。経済大国の成功したタレントなのでランニングがショー化できる(収益化できる)ことが、人類最初のアースマラソンを可能にしたのです。

旅の途中で盗難にも遭っています。外国で領事館まで走ってなんて行けませんよ。サポートカーあっての緊急対応です。

パスポートの不携帯で警察に止められたこともあったそうです。

在留資格の緩和
どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか? ビザ。査証免除 特に特徴のない地方都市で暮らしているのだが、最近、ものすごく近所にも外国人が増えてきた。散々海外放浪旅をやってきたので、諸国で歓迎してもらった恩返しのつもりで、...

このようなトラブルは旅行者の知恵で解決すべき問題で、走力とは別の能力です。

ニューバランスが靴やウェアを提供しています。こうして挑戦から10年以上たった今も振り返る人がいるのですから、提供した甲斐のあるアスリートだったといえるのではないでしょうか。

足へのダメージを減らす「すり足走法」で走り続けたため、靴底が何足もボロボロになりました。ニューバランスのシューズの提供で助かったそうです。

そもそも挑戦の途中で癌が判明したというのも、健康診断を受診したからであって、サポート体制が万全であったことを証明しています。

やはり一人で挑戦できるようなことではありません。

スポンサーリンク

実は間寛平は超人

手厚いサポート体制があったことは確かですが、代わりに走ってくれるわけではありません。自分の脚で地球一周した寛平さんの脚力はホンモノです。

実は間寛平さんは超人です。知る人ぞ知る長距離ランナーなのです。

24時間テレビのチャリティーランナーとしては、1993年に200kmを走り、1995年には600kmを7日間で走破されています。

フルマラソンこそ3時間8分台のベストタイムなので私のタイムの方がまさっていますが、距離が100km以上になると、もうまったくかなわなくなります。距離が長くなるほどに、寛平さんに全くついていけなくなります。

×   ×   ×   ×   ×   × 

※雑誌『ランナーズ』の元ライターである本ブログの筆者の書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。

「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか?
いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状を打破し、自己ベスト更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何?
●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム?
●ピッチ走法よりもストライド走法! ハサミは両方に開かれる走法。
●スピードで遊ぶ。スピードを楽しむ。オオカミランニングのすすめ。
マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」
本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く走ることができるようになります。
※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。

Amazon.co.jp

星月夜を舞台に、宇宙を翔けるように、街灯に輝く夜の街を駆け抜けましょう。あなたが走れば、夜の街はイルミネーションを灯したように輝くのです。そして生きるよろこびに満ち溢れたあなたの走りを見て、自分もそんな風に生きたいと、あなたから勇気をもらって、どこかの誰かがあなたの足跡を追いかけて走り出すのです。歓喜を魔法のようにまき散らしながら、この世界を走りましょう。それが市民ランナーという走り方です。

×   ×   ×   ×   ×   × 

寛平さんはスタルタスロン246kmを3回も完走しています。ひええ。おっそろしい~。どうやれば246kmなんて完走できるんだか。私にはとても無理です。

ウルトラマラソンの走り方『ばあちゃん走法』(内股高速ピッチ走法)
ウルトラマラソン完走走法『必殺・ばあちゃん走法』とは、女性ランナーのように内股で、おジイちゃんのように細かくピッチを刻むの内股ピッチ走法ことです。筋肉にダメージをあたえないことを最優先に、足を高く上げないように注意して走ります。

必殺ばあちゃん走法だけではなく、もっと他の工夫が必要だったようです。

そもそもチャレンジ富士五湖ウルトラマラソンのコースは、コースディレクターが間寛平さんの練習のために設定したコースが基になっているそうです。

【走力の差ではなく装備の差】ウルトラマラソンは距離でなく気候に負けることがある
ウルトラマラソンの途中に自宅があると、完走できません(笑)。熱いお風呂、暖房、毛布、それらの誘惑を断ち切って、その先に進むのは鉄の意志が必要です。 成功するまで故郷にはかえらないと決意して上京する青年のように、ゴール地点まで走り切らざるを得ない状況だからこそ、実力以上の力を発揮して完走することができるのです。

距離が伸びるほど、強さが際立ってくるのが長距離ランナー間寛平なのです。

スポンサーリンク

ガンを乗り越えて地球一周ランニング達成

アメリカ横断が終わるとまたヨット。今度は大西洋横断です。船に酔わない方なんでしょうね。私はホエールウォッチング船で船酔いし、それから二度と船に乗らないと誓っています。

階段も登れないほど、脚がボロボロになったときもあったようです。

私は100kmウルトラマラソンを完走していますが、チャレンジした当日よりも、一晩寝た翌日の方がはるかにダメージが体に来たことを覚えています。

【四万十川ウルトラマラソン】超長距離の走り方と心の持ち方(グランドスラム達成)
マラソンはよく人生に例えられますが、スピードがすべてのマラソンにくらべると、ウルトラマラソンはより人生に近いと思います。ゆっくりでもいい。バテなければ。自分に負けなければいつかきっとゴールにたどり着ける。 ウルトラマラソンはそう教えてくれます。

もちろんアースマラソンの寛平さんは「もっとゆっくり」「足を上げないスリ足」で走ったのですが、それにしても、すごい挑戦だったと思います。

前立腺がんの発見でアースマラソンは一時中断しました。14時間の手術をしたそうです。2か月の中断がありました。

アメリカで治療して、また戻ってきて、走るのを中断したその場所から再び走り始めたのです。お遍路さんを分けて行うようなものですね。

走れないほどの吹雪の日もありました。

日射を避けて夜間走をしたこともありました。砂漠や赤道付近の暑い地域では、昼間寝て夜になると活動するライフスタイルを選択している人たちが少なからずいます。

途中で何度もやめたくなったでしょうが、これ(地球一周ランニング)をできるのは自分だけだ、という気持ちで寛平さんは走ったのだと思います。

ゴールした時「おれは幸せ者だ」と寛平さんは叫びました。心からの叫びだったと思います。

とてもひとりでできる挑戦ではありませんでした。

経済大国の有名人というポジションをとれたからこそできた挑戦でした。

前立腺ガンという危機を乗り越えて人類初の地球一周を達成した間寛平さんは現代の英雄です。

多くの人たちがサポートしてくれたからこそ、成し遂げられた。

だから彼は心から叫んだのでしょう。おれは幸せ者だ、と。

×   ×   ×   ×   ×   × 

※雑誌『ランナーズ』の元ライターである本ブログの筆者の書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。

「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか?
いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状を打破し、自己ベスト更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何?
●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム?
●ピッチ走法よりもストライド走法! ハサミは両方に開かれる走法。
●スピードで遊ぶ。スピードを楽しむ。オオカミランニングのすすめ。
マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」
本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く走ることができるようになります。
※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。

Amazon.co.jp

星月夜を舞台に、宇宙を翔けるように、街灯に輝く夜の街を駆け抜けましょう。あなたが走れば、夜の街はイルミネーションを灯したように輝くのです。そして生きるよろこびに満ち溢れたあなたの走りを見て、自分もそんな風に生きたいと、あなたから勇気をもらって、どこかの誰かがあなたの足跡を追いかけて走り出すのです。歓喜を魔法のようにまき散らしながら、この世界を走りましょう。それが市民ランナーという走り方です。

×   ×   ×   ×   ×   × 

記事がよかったらポチっと応援お願いします。
いい記事のシェア・拡散にご協力ください。
ドラクエ的な人生 - にほんブログ村
記事がよかったらポチっと応援お願いします。
いい記事のシェア・拡散にご協力ください。
ドラクエ的な人生 - にほんブログ村
お買い忘れはありませんか?
ワンクリックでお買いものは終了。人生を楽しもう。
★ブログ・アフィリエイトという副業★

ブログを運営して副業をはじめませんか? 「あなた」だけが知っているお宝グッズ、使えるアイテムがあるはずです。それを紹介するだけで報酬をゲットできます。おすすめのアフィリエイト・サービス・プロバイダーは「もしもアフィリエイト」です。こちらから無料会員登録できますよ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

★ブログ・アフィリエイトという副業★

ブログを運営して副業をはじめませんか? 「あなた」だけが知っているお宝グッズ、使えるアイテムがあるはずです。それを紹介するだけで報酬をゲットできます。おすすめのアフィリエイト・サービス・プロバイダーは「もしもアフィリエイト」です。こちらから無料会員登録できますよ。

★★

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。
●◎このブログの著者の書籍『市民ランナーという走り方』◎●
書籍『市民ランナーという走り方』Amazonにて発売中
雑誌『ランナーズ』のライターだった筆者が贈る『市民ランナーという走り方』。 「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか? いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状打破、自己ベストの更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。 ●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何? ●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム? ●ピッチ走法とストライド走法、どちらで走るべきなのか? ●ストライドを伸ばすための「ハサミは両方に開かれる走法」って何? ●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは? ●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は? 本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く効率的に走ることができるようになります。 ※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。 あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
Bitly
書籍『市民ランナーという走り方』Amazonにて発売中
雑誌『ランナーズ』のライターだった筆者が贈る『市民ランナーという走り方』 「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか? いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状打破、自己ベストの更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。 ●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何? ●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム? ●ピッチ走法とストライド走法、どちらで走るべきなのか? ●ストライドを伸ばすための「ハサミは両方に開かれる走法」って何? ●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは? ●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は? 本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く効率的に走ることができるようになります。 ※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。 あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
Bitly
●◎このブログ著者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』◎●
書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
https://amzn.to/3OBWtUR
書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
https://amzn.to/3OBWtUR
●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
Bitly
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
Bitly
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
Bitly
×   ×   ×   ×   ×   × 
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
Bitly
×   ×   ×   ×   ×   × 
◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

Bitly
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

Bitly
●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
Bitly
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
Bitly
マラソン・ランニング
スポンサーリンク
アリクラハルトをフォローする
ドラクエ的な人生
タイトルとURLをコピーしました