君の名は。言霊思想

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どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?

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男女の体が入れ替わる設定

ハルト「見たよ。映画『君の名は』」

イロハ「遅っ! 私なんか映画館で二回も見たのに」

ハルト「岸恵子のやつのリバイバルかと思って」

イロハ「昭和か? 平成の「君の名は」はどうでしたか?(以下、ネタバレ注意)」

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ハルト「いや、美しい映像でした。ティアマト彗星が幻想的だった。大きな設定としてはよくある体が入れ替わっちゃう映画だよね。女性と身体が入れ替わったら面白いだろうなあ」

イロハ「ハルトがもし女性の体になったら何をする? 男性主人公の瀧くんのようにやっぱりオッパイを揉む」

ハルト「いや。その程度じゃすまないだろ(笑)。イロハは男性の体になったら?」

イロハ「映画では瀧くんの体になった女性主人公の三葉ちゃんが、朝、股間に何かがあるって手をやっていたよね」

ハルト「朝だちだな。トイレでおしっこするとおさまるんだよ」

イロハ「えええっ! そうなの! 全然知らなかった」

ハルト「そんなことも知らんのか。やっぱり一度、男女の体は入れ替わってみるべきだな

イロハ「へええ面白い。映画の空想の設定だけど、男女の体が入れ替わったらなかなか恥ずかしいところもあるだろうね。でも「お風呂に入るな」って禁止事項は絶対無理だよね」

ハルト「週二回ぐらいの入れ替わり設定だから、まあ一日ぐらい風呂に入らなくても何とかなるんじゃない? 朝シャワーで何とかなるだろう。でもトイレだけは避けられないぞ」

イロハ「瀧の体に入った三葉がトイレから出てきて「リアルすぎ」って言ってた」

ハルト「ウ×コだな(笑)」

イロハ「言わなくていいの。そういうのは」

ハルト「反対側を描かなかっただけ良識があるぞ」

イロハ「だから言わなくていいってば!」

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文通恋愛。メル友からはじめよう

イロハ「最初はメル友みたいな関係なんだよね、瀧と三葉は。自分の生活を守るために、入れ替わった日に起こった出来事をお互いに文章で残すっていう」

ハルト「昔で言うと交換日記みたいなものだな。入れ替わった一日に何が起こったのかよく知らないと人生の連続性が途切れちゃうから相手の書いたものを熟読しただろうね。そうしているうちに相手のキャラクターをすごくよく理解するようになったんだね。文通恋愛みたいなものだな」

イロハ「メールから恋がはじまる平成の恋愛だね。相手のことをよく知らなければ愛することはできないものね。身体が入れ替わって相手の人生をじかに生きてみることほど相手のことをよく知る方法ってないよ。これほど恋する条件がそろった相手もいないね」

ハルト「いいやつだったらね(笑)。自分が自分を愛するようなものだから、瀧と三葉が恋に落ちるのはよくわかるなあ」

イロハ「人間って自分の事が好きだもんね。体が入れ替わったらもう自分みたいなものだもの

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新海監督は年上女性好き?

ハルト「恋をはぐくむためにも、時間の経過って大きな意味をもつよね」

イロハ「死んだ人をよみがえらせるというハルトの嫌いな設定も入っているけど」

ハルト「死んだ人が生き返るのは反則技だよ。それで泣かせようとするなんてずるいじゃん。でも「君の名は」では気にならなかったなあ。よみがえりをストーリー展開のメイン設定にしていないからだろうな。最近よくある設定だけど、起きたことをすぐ忘れちゃう設定も巧みに取り入れている。でも男女入れ替わり設定のインパクトが強すぎてまったく気にならなかった」

イロハ「かたわれどきとか、口噛み酒が三葉の半分だとか、「バカにしやがって」とか、後半に生きてくる伏線すごく多いよ。かけても繋がらない電話は二人とも全く同じ歩道橋の上から電話しているしビデオで何回見ても新たな発見があって面白いよ」

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ハルト「ラストシーンの階段は、実は作品の途中に一度登場しているんだよね。サブリミナル効果のように同じイメージが何度も出てくる。それが伏線になっているんだね。時間が遡ったりする映画だから」

イロハ「どのぐらいから二人の恋心ははじまっていたんだろう」

ハルト「たぶん奥寺先輩との東京デートの時から」

イロハ「どうしてそう思うの?」

ハルト「奥寺先輩とのデート直後に、瀧は三葉のメール見て彼女に電話するんだよ。それはもう三葉の方が奥寺先輩よりも「好きだ」ってことさ」

イロハ「二人のデートの日に、三葉は東京の瀧に会いに行って、電車の中で顔を赤らめているから、やっぱり同じ日に好きだってことを自覚したのかもしれないね」

ハルト「(組紐の)赤い糸で結ばれた相手だからね。友達の自転車壊して謝っているの「私」だって言っちゃってたよ。本当は瀧なのに。『なくした1/2』だ」

イロハ「奥寺先輩も年上だけど、三葉も年上女性だよね。新海監督は年上女性が好きなのかな」

ハルト「そうとしか考えられないなあ。ずっと同級生じゃまずかったのかしら」

イロハ「入れ替わっている時は同級生だったけど、三年前の三葉と入れ替わっているから、死なない三葉は三歳年上だよね」

ハルト「ドラクエ5のヒロイン「ビアンカ」は主人公より2歳年上だけれど、呪文で主人公よりも2年長く石化しているから結局、同い年になるんだ。

どうせファンタジーなんだし、ビアンカみたいに、死なない三葉だって同い年にできたはずなのに(3年も時間をさかのぼらなくても、ほんの数日さかのぼればいい)、そうしなかったのはやっぱり監督の理想は年上女性なんじゃない?」

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彗星は死や災いの前兆

ハルト「しかし隕石湖の糸守湖もカルデラで、宮水神社のご神体(奥の院?)がある場所もカルデラで、二箇所もカルデラが並んでいるとは! なんかおかしくないこの地形? これはオッパイを暗示しているのでは?」

イロハ「してないわ!」

ハルト「どういう地形だ? 眼鏡みたいに穴ぼこが二つ並んでいるってことか」

イロハ「いいの。謎があるからおもしろいんだから。ところで下ネタ以外で私と体が入れ替わったら、何をしてみたい?」

ハルト「むむむ。下ネタならすぐに思いつくけど。そうだなあ。イロハはおれの体になったら何をする?」

イロハ「私、マラソンを走ってみたい

ハルト「マラソンなんて女の体のままでも走れるよ、って言いたいけど、ただ完走するのと、ゴールしたら死ぬ気で宙を浮く走りは全く別物だからな

イロハ「どういう意味?」

ハルト「瀧の体に三葉が入っていた時は女の子走りになっていたことに気付いた? 女の子走りとサブスリーフォームは完全に別物だから、いちおう受け入れよう」

イロハ「ハルトは?」

ハルト「うーん。おれは出産してみたいかも」

イロハ「なんとなくわかるなあ。その気持ち。ひとつの命を生み出すってなんだか神様みたい。命を生み出すって神秘的なことだよ」

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君の名は? それは言霊。コトダマ思想

イロハ「どうしてラストシーンで「君の名前は?」って名前を聞いたんだろう。そんなに名前って重要?」

ハルト「ゲド戦記でもちょっと描かれていたけど、太古の日本では本名を知ると呪術で呪い殺せると信じられていたんだ。名前というのは正体、その人そのものだっていう考え方がある。言霊。コトダマ思想だ」

イロハ「名前はその人の魂そのものだってこと?」

ハルト「そういうこと。コトダマの世界では「君は誰?」っていうのは「君が好き。君が欲しい」ってことなんだ。「名前を教えて」っていうのは自分のものになれってことなんだよ。巫女さんと同じぐらい、言霊は古い信仰だよ」

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イロハ「ふうん。名前を知るということは、自分のものにするってことなんだ。だからラストシーンで名前を聞いたんだね」

ハルト「そういうこと。虚構の作品の中では悲しい時には雨が降る。雪が降って心まで寒くなる。だけど瀧と三葉はおのれの『なくした1/2』と再び再会することができて、これからふたりはひとつになるんだよ。ハッピーエンドだって考えていいんじゃないかな」

イロハ「よかった。雨上がりの晴天は明るい未来を暗示しているんだ。サクラも咲いていたし、もう失われた半分を探し求めなくてもいいんだね

 

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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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【この記事を書いている人】

アリクラハルト。走る哲学者。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
アリクラハルト。走る哲学者。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。千葉県在住。
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