二大師匠(カレル・チャペックとサン=テクジュペリ)をもつ園芸界の超エリートの自己紹介
園芸家のアリクラハルトと申します。現在、いちご、にんにく、ニラ、そして枝豆を育てています。
私の園芸家としての師匠はロボットという言葉の生みの親であり、「ほんとうの園芸家は花をつくっているのではなくって、土をつくっているのだ」と喝破したカレル・チャペックです。
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技術的な師匠はカレル・チャペックですが、園芸の魂の師匠は「ぼくの星のバラはバラ園のバラ全部をあわせたよりももっと大事だ。なぜってあれが僕が世話した、僕の花だから」と喝破したサン=テクジュペリです。
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カレル・チャペックとサン=テクジュペリを師匠にもつ私は園芸界のエリートだといっても過言ではありません。

口だけ番長、口だけオバケでした。反省……
かつてロードバイクをはじめた当初から上級者を名乗って成績を残した実績から(なにせサブスリーランナーだったので、脚に自身があったのです)、園芸の世界でもいきなり中級者を名乗った私です。
ところが……どうやらド素人の初心者だったようです。

やっと地に足がついてきたわね。それが正当な自己評価よ。これまでは口だけオバケみたいでした。
初心者が植物をうまく育てられないのは土が原因
師匠のカレル・チャペックの受け売りですが、初心者が植物をうまく育てられないのは土が原因だと思っていました。だから私は土にはお金をかけて専用のものを用意したのです。いちごには苺の土を、花には花専用土を、葉物野菜には野菜用の用土を準備しました。これで完璧……と思っていました。
ところが……いちごはまったく収穫できません。ほぼ全滅です。枝豆は徒長してるし、にんにくは倒伏してしまいました。ニラはかろうじて生きていますが元気がありません。
なんとか元気に生きているのはテーブルヤシ、胡蝶蘭、マーガレットぐらいです。
チューリップに花が咲かないのはなぜだ?
ビオラは花のつきが悪いし、チューリップにいたってはなぜか葉っぱだけでてきて花が咲かないという事態です。

む、無念じゃ……
おれ、自信喪失……
なぜ咲かないのか、なぜ枯れるのか、理由がわかれば対処のしようもあるのですが、理由がわからないのです。
どうしてチューリップの球根から、片や咲き、片や花がつかないのか、理由がわからないのです。同じ土に、同じ日に植えて、同じ環境で育ててきたのに……なぜ?
同じ環境でも、生き物だけに結果が違うってことでしょうか。
それなら園芸はとてつもなく奥深いものだ。
※国営ひたち海浜公園のチューリップ園にも花をつけないチューリップがありました。プロが育てても、葉っぱだけつけて花をつけない症候群になる場合もあるようです。
県庁はシンクタンク? アグリカルチャーの方がずっと高度な技術だ
静岡県の知事が、「県庁というのは別のことばで言うとシンクタンクです。毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたりするのとは違って、基本的に皆さんは知性が高い方たちです」と発言し、辞任することになったのだという。
はあ? なんにもわかってないなオマエ。
職業差別とか、そういうことではない。なんにもわかっていないのだ。牛の世話とか、園芸がどれほど一筋縄ではいかないか。いちごひとつ育てられなかった私にはよくわかる。いちご専用土で育てているのに、腐ったような小さな果実しか取れないのです。
それだけではない彼らは経営もやっているのだ。先輩のやってきたことを踏襲すればいい公務員の仕事とは違うのだ。仕事にオリジナリティを発揮しなくても、法律や条例の範囲内で前例踏襲すれば済む仕事とは違うのだ。
たとえば私だったら県庁の仕事なら十分にやれる自信があるが、野菜や牛の世話をして生きていける自信はまったくない。
職業差別っていうかさあ……やってみろよ。農業。どうせおまえにはできないから。むずかしくて。
おれだって研修を受けて満を持して園芸にとりくんだのに、うまくいかないんだぞ。
農家経営の錬金術。農業ボランティア養成講座。研修という名の労働力動員方法
農業や畜産業は公務員なんかよりもずっと困難で、ずっと頭脳労働だ。
有権者に失礼だからではなく、バカだから辞任したのだと思う。
世の中のことがよくわかっていないのだ。