わたしは往復30kmのロードバイク通勤をしている者です。
そんな私が通勤バイクの三重苦について語ります。
通勤バイク三重苦とは
冬(寒いよ)
夜(暗いよ)
雨(冷たいよ)
のことです。
そして三重苦を超える史上最悪の苦である虫害のことも忘れてはいけません。
最悪の虫地獄(虫害)に遭うともはや走り続けることさえできません。
これから通勤バイクをはじめようという人でこの記事にたどり着いた人はぜひ参考にしていただきたいと思っています。
× × × × × ×
このブログの作者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』のご紹介
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードをガチンコで競うようになるところまでを描いた自転車エッセイ集です。
※書籍の内容
●スピードこそロードバイクのレーゾンデートル
●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。体重ライディング理論。体重ペダリングのやり方
●アマチュアのロードバイク乗りの最高速度ってどれくらい?
●ロードバイクは屋外で保管できるのか?
●ロードバイクに名前をつける。
●アパートでローラー台トレーニングすることは可能か?
●ロードバイククラブの入り方。嫌われない新入部員の作法
●ロードバイク乗りが、クロストレーニングとしてマラソンを取り入れることのメリット・デメリット
●ロードバイクとマラソンの両立は可能か? サブスリーランナーはロードバイクに乗っても速いのか?
●スピードスケートの選手がロードバイクをトレーニングに取り入れる理由
初心者から上級者まで広く対象とした内容になっています。
× × × × × ×
往復30kmロードバイク通勤を実践して得た感想
往復30kmのロードバイク通勤を決意した私の実体験に基づくレポートです。通勤バイクを始める前の不安と現実。やってみなければわからなかったこと。注意点をいくつか箇条書きに書いてみます。
日焼け。地面からの照り返しでロードバイク乗りの顔は真っ黒
通勤というのは毎日の往復ですから確実に日焼けします。
ロードバイクは風の抵抗を避けるため、スーパーマンが空を飛ぶような格好で下を向いて走ります。地面からの照り返しでロードバイク乗りの顔は真っ黒です。
「ロードバイクは光よりも速いから日焼けしない」という説がありますが、あくまでも都市伝説の域を出ないもようです。
ホノルルマラソンからランニングのキャリアをスタートさせた私は「夜ラン」が「昼ラン」よりも好きなので、月間600km走っていた頃もほとんど日焼けしませんでしたが、通勤バイクをはじめてからは顔が日焼けで真っ黒です。おかげで顔にシミができました。
このような目だし帽で完全に顔を覆っているロードバイク乗りがいるのは、日焼けが強烈だからです。
しかし……日焼けぐらいはまだ三重苦の中に入りません。
季節。冬の寒い、暗い、冷たいの三重苦に耐えられるか?
通勤というのは春夏秋冬一年中ですから、季節が非常に気になります。
夏はまだいいですよ。ロードバイクは空冷効果で夏でも涼しいです。基本的にバイクというのは夏の乗り物ではありませんか? 雨に打たれても冷たくないし、どうせ雨に打たれたぐらい汗をかきます。
問題は冬です。冬は寒いです。冬の夜ははやめに暗くなります。冬の雨は体の芯まで冷やすほど冷たいです。
この三重苦に、君は、耐えられるか? ロードバイク通勤をやめたくなるのは、このような三重苦に遭ったときです。
私の場合の対策を書いておきます。参考にしてください。
冬の寒さ対策ですが、手袋と靴下は「二枚重ね」で対処しました。
ビンディングシューズの空冷用の穴はガムテープで塞いでしまいました。
あとはとにかく着込むだけです。「寒いよりは暑い方がまし」と思ってダルマのように着込みました。そうでないと家から外に出る気力がそがれてしまいます。
冬の夜の暗さには、自転車用の「外付けライト」と登山用の「ヘッドライト」を併用することで対処しました。
川の土手がメインの通勤コースだったので、ライトがないとリアルに真っ暗です。自前のライトがないと完全真っ暗な宇宙を走っているようでした。どこを走っていいのか走路がまるでわかりません。電池が切れたら、完全アウトです。ツールボックスには常に予備の電池を入れていました。
自転車に固定された外付けライトだけでなく、ヘッドライトは目線の方向を照らしてくれるので非常に便利です。
※ヘッドライトは生活必需品※
わたしはヘッドライトを通勤バイクだけでなく、読書などさまざまな場所で活用しています。ヘッドライトさえあればどこにいても何とかなります。ヘッドライトは生活必需品だと思っています。
帰宅の河川敷バイク通勤では、狸か何かよくわからない動物を轢きそうになったこともありました。実際に乗り上げたらこちらが転倒していたでしょうが……夜のロードバイクは飛ばすと危険ですよ。
冬の雨対策は、結局、雨具を着るしかありません。いろいろ手段を考えましたが……結論的には雨具を着るしかないのです。
クルマの何よりも素晴らしいところは雨に濡れなくてもすむというところです。バイクの最大の欠点は雨が降ると人間が濡れてしまうということです。
通勤バイクの雨具の考え方は二通りあって「どうせ濡れちゃう前提」で安物の使い捨ての雨具をつかうか、「できるだけ濡れないで前提で快適さを追求する」ゴアテックスのような高価な素材をつかうか、どちらかを選ばなければなりません。
私は夏の通勤バイクでは「どうせ濡れちゃう前提」で安物の使い捨ての雨具をつかい、冬は「できるだけ濡れない前提」で登山用のゴアテックスの雨具を使っていました。
しかし雨の日はスリックタイヤが滑ります。ブレーキもリムが濡れて効きが悪くなります。
風に飛ばされて路肩にたまっていたガラス片などが雨水に運ばれてきてパンクの危険が高まります。
ロードバイクは雨の日に走行することなど設計に入っていないのです。
私の場合は雨の日はパンクしない自転車、晴れの日はロードバイクと、自転車を使い分ける戦略で、なんとか通勤バイク生活を乗り切っていました。
自転車通勤になると、最大の関心ニュースは「明日の天気」になる
このように自転車通勤をはじめると明日の天気が非常に気にかかります。
ロードバイク通勤時代は、毎日が登山をしているようでした。私は登山もやるのですが、山小屋でもっとも大切な情報は明日の天気予報です。
往復30kmの自転車通勤をはじめると、やはり最大の関心事は「あしたの天気」になるでしょう。
出勤前に雨合羽を着込んで外に出る準備するさまは、まるで山小屋の朝のようです。
明日の天気予報を見ずに眠ることはなかったほどです。私の場合は雨か晴れかで出勤時間(家を出る時間)が変わっていたほどでした。
このように鉄壁の準備で備えた三重苦(冬、雨、暗)ですが、実際に耐えられなかったのは、予想もしなかった敵でした。
世の中にはやってみなければわからないことがあるのです。
通勤ロードバイク無理!! 最悪の虫地獄(虫害)
それは虫でした。
わたしは河川敷のサイクリングロードが主たる通勤経路だったのですが、川の土手にはある時期、小さな虫がトルネードのような蚊柱をつくって舞っていました。
実際には蚊ではないのですが、蚊のような形状の虫です。ユスリカとかそういう虫だと思うのですが、ここで重要なのは虫の種類や名前ではありません。そういう虫がロードバイクの走路に立ちふさがっているということです。
ものすごい数の蚊柱です。進めど進めど虫が飛んでいます。
そこにロードバイクで突っ込むのは、まるで砂嵐の中に突っ込んでいくようなものです。
虫でできた砂嵐に高速でロードバイクで突っ込んでいくと、全身に虫がくっつきます。
ヘルメットのくぼみなどは黒い虫でひどいことになります。
虫の砂嵐の中では前を向いて息もできません。
あまりの虫の嵐に、とうとうバイクを止めて押して歩くことになりました。
通勤バイク生活で、虫害が一番耐えられませんでした。冬の三重苦よりも無理でした。想像もしなかったことでした。
市街地ロードバイク通勤の人は信号など別の不快要件があると思いますが、川の土手などを通勤ルートにしている人は虫地獄がありうることを強く警鐘しておきます。
それでも今後も通勤自転車を始めようという人は後を絶たないでしょう。
楽しかったことももちろんありますが、それはまた別の稿に書きます。