ロバート・ハリス『エグザイルス・ギャング』の書評・魅力・あらすじ・解説・考察

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書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。小説『ツバサ』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

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『エグザイルス・ギャング』の書評・魅力・あらすじ・解説・考察

前作『エグザイルス』で自伝を語り終えたロバート・ハリスが、放浪の旅の途中で出会ったおもしろい仲間たちについて書いているのが本作『エグザイルス・ギャング』です。

ロバート・ハリス『エグザイルス』

いくら仲間のことを描いているといっても当然ロバート・ハリス本人が等分に登場します。そもそも本人だけのエピソードなんておもしろいはずもなく、常に誰かと一緒に物語は展開されるわけで、その誰かを描くことは、とりもなおさず本人を描くことと同じです。

黄色は本書から。赤字はわたしの感想です。

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エグザイルとは?

エグザイルとは、我が道を行くもの。一人ひとりが反骨精神に支えられた独自のスタイルを持っている。楽しく生きることが彼らの存在のスタンスだ。貧乏かもしれないが、自分の王国の領主のように生きている。彼らこそ僕に一番の快楽と喜びをあたえてくれる。地球が暗い宇宙の中の孤独な球体なら、そんな仲間たちがいる場所が光り輝いて見える。

社会の枠のぎりぎりのところで自分のスタイルをもって生きている連中。自分のスタイルや遊び心だけは失わないでいよう。いつもオープンで好奇心旺盛でいよう。

日本でエグザイルといえば男性ダンス歌手集団が有名ですが、ロバート・ハリスの方がはるか昔からこの言葉を使っています。ワンダラーとかボイジャーとかエクスプローラーとか似たような言葉がたくさんある中で、エグザイルを選んだのはロバート・ハリスの嗅覚、言葉に対するセンスに他ならないと思います。

ロバート・ハリス『人生の100のリスト』

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セクシャル・アウトロー

欲情するどころか、焦りしか感じていない。全然立たないのだ。

セックスに変態も正常もないわよ。あるのはセクシャリティーだけ。

奴隷になっていたなんて言えるはずがなかった。

ロバート・ハリスは本書で自分がドМであることを公表しています。オープンなハートでいようという信念からのことだと思います。ふつうは隠しておきたいことですが、これまで多くの心の葛藤を向き合うことさらけ出すことで乗り越えてきたので、ここでも同じスタンスをとったのでしょう。

ロバート・ハリス『ワイルド・アット・ハート』の魅力・あらすじ・解説・考察

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バックストリートのならず者たち

スーツ姿のその男(自分)も、疲れた顔をしていた。そろそろ潮時だな、と思った。

世界を放浪して、自由気ままに、好きなことをやって生きる、そんな夢を持ったドロップアウトにとって、この生活はミドルクラス過ぎた。

遊び人、パンク、チンピラ、ジャンキー、アル中、娼婦、ドラッグディーラー。ライフスタイル、人間関係、セックス、ドラッグ、ファッションの実験室のようなところだった。

「あんた、この音楽わかるの?」「いやあ、さっぱり」

ヒサオは悟りを開く寸前にやってくる闇に迷う坊さんのような男だった。

おもしろい仲間をたくさん作って存分に遊ぶ。

オープン・リレーションシップ。ヘンリー・ミラーの話しは五分で切り上げ彼女と寝てしまった。

ヘンリー・ミラー『南回帰線』

満ち足りた時間をひとりひとりと過ごした。ぼくにできなかったことはただひとつ、一対一の関係を持つということだった。彼女は二人きりの生活を望んだが、僕はどうしてもその気になれなかった。独りでいる時間、友だちと過ごす時間を堅持した。彼女は僕が彼女といない時間を嫉妬した。最後には病的に近い状態になった。重たい空気の中で、息ができない状態になった。

半年ほど働いて飽きると旅に出る。その繰り返しの人生。人生はわからないところで始まりわからないところで終わる。その中でどれだけ暴れまわれるか、それが勝負なんだ。

人間なんてみんなどこかいかれてるんだもの。毎日が楽しくて充実していれば、それでいいのよ。

あまりにも住んでいる世界が違いすぎるのだ。話しに興味がもてない。まるで南極のペンギンの話しを聞いているような感覚なのだ。これじゃアリとキリギリスが現状報告しあっているようなものだ。話しが盛り上がるはずがない。

昔のクラスメートと話しをするシーンです。同窓生との再会は昔の級友や先生の話しで盛り上がり懐かしくなるのが通例ですが、ロバートは「南極のペンギンの話しを聞いているようだ」と隔世の感をいだきます。おもしろいと思いませんか?

型にはめられて、飼い殺しになんかなるものか。制度に向かって舌を出す遊び心が昔はあった。昔の友だちを期待していたのに、彼はそこにはいなかった。いたのは日本のサラリーマンの親父だった。

人生は頑張りじゃないの。遊びなの。風のような人だった。

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ジャパニーズ・アウトサイダー

せっかく生まれたんだから思いきり暴れて楽しんじゃえ。という生きることに対する姿勢。

レールから脱線する絶好のチャンスだと思った。ファーストネームで呼び合う対等な友人だった。年功序列も上下関係もドロップアウトには無用だ。

新しいものの見かたや選択肢に目覚めた。俺たちを結び付けているのは遊び心以外の何ものでもない。

失恋のかなしさと旅人の精悍さを秘めた大人の顔に変わっていた。

金がなくてもリッチな生活を楽しむことができるんだ。

孤独との闘い。世界が灰色に見えて、何もやる気がしないんだ。

遊びこそ、僕たちにとって一番重要な課題なのだ。

どうしてレールから脱線したかったのか。それは「働かされたくなかったから」だろうと思います。けっして「働きたくなかったから」ではなく。

こういう人たちは自分の好きなことなら働けるのです。なぜならそれはもう労働ではなく夢をかなえるためであり人生の要素のようなものになるからです。

そして「遊び」。「働きたくないだけ」では逃避でしかありません。人間には自ら向かっていくものが必要です。それは「遊び」でした。「労働」とは正反対のものです。

だからドロップアウトしたかったのです。

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ダイスをころがせ!

伝説的な遊び人。金をかけてやる博打。技術だけじゃなく運の要素がからんでくる。だから、たまに勝てる。いつかは勝てる、という気持ちになってしまうのだ。

仕事をとるか、目の前の快楽をとるか。仕事をするぐらいなら餓死したほうがいいというやつはいくらでもいた。

浮き輪レンタルのサイドビジネスは可愛い子に会うため、金はバックギャモンで稼いでいる。マリワナのディーラーをやっていた。

ヨガを毎日欠かさずやったり、野菜しか食べなかったりと、変なところで健康管理に神経質だった。

勝負の真髄。感情で勝負するな。

ギャンブルが始まると、海岸でベロンとしていたトドが水の中に飛び込んで急にエレガントに泳ぎ出したみたいに顔つきが変わった。

ネコに捕まったネズミのように弄ばれた。

はじめてダンスパーティーへ行った時のようにワクワクした。

ドラッグをやるのと同じくらいのエネルギーでスポーツに入れ込んでいた。

この頭の良い子どもがそのまま大人になってしまったような男を、なぜか女性たちは愛した。女性に対して甘えん坊の子供のような態度をとっていた。はじめからオープンになれば女性は意外な早さでそれに応えてくれる。

そこにいたのは自分の複雑な性格を持て余している一人の孤独な男だった。

この章ではロバート・ハリスの人生に欠かせないギャンブルの要素についての師匠や仲間たちとの交流が描かれています。

今のようにコンピューターゲームなどない時代ですから、ゲームといえばボードゲームでした。そしてゲームの勝負を盛り上げる最大のコツは金を賭けることだったのです。

カジノは必ず勝てる。丁半博打の必勝法を教えます!

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野性の嵐

強烈なエロティシズム。野性的で、荒々しく、秩序を乱すような存在。

雨の中を子どものような奇声をあげて走り出した。野生児のようなナチュラルさ。はちきれるようなエネルギー。

食べることも惜しんでいろいろなものにトライする。

言葉に飢えた人間のように話し、笑うことを忘れていた人間のように笑い、初恋のティーンエイジャーのようにキスをした。

↑わたしはロバート・ハリスのこういう表現のひとつひとつが大好きです。

砂浜の上に大の字になって大声で歌を歌ったり、服を着たままレストランのプールに飛び込んだり、星空の美しさに涙を流したり。

二人はぶつかり合いが多すぎたのだ。それに疲れてお互いの世界の中に引っ込んでしまった。だからこんなに孤独を感じるのだ。我々の笑い声は独自の世界の中で勝手に響いているだけだった。

雨の中の公園を叫び声を上げて走り回り、ずぶ濡れになって地面に倒れ、飢えたように舌を吸いあう、そんな我を忘れるようなセックスができなかったのだ。

相手はいじけた子供のような女だ。こうして真剣に怒っていること自体がバカらしい。そんな女と結婚した自分が悪いのだ。やばいと思ったときに身を引いておくべきだった。

運命の逆襲に遭ったのだ。この孤独は一人で乗り越えるしかない。一人になったときが勝負なのだ。別れると、孤独は何ごともなかったかのように目の前に立っている。黒い帽子に手をやり、ニヤッと微笑んでいる。死ぬまでこいつと一緒なのだろうか。この気持ちがどこへ通じているのか、見極めたいと思った。

神は何年やっても打ち負かすこともプレイスタイルを読むこともできない厄介なポーカープレイヤーのような存在だと思う。

理性とか責任とか自制心という言葉は嫌いだが、感情以外に道標になってくれる何かが自分の中にあるはずだ。問題はそれがいまだに見つかっていないということだ。

この世で一番弱い動物は人間のオスだ。

フルチンでニーチェを論じるのははじめてだった。

これでいいのだろうか。僕にはわからないことがまだまだたくさんある。そう思い、あまり深く考えないことにした。

僕の眼鏡は吹っ飛んだ。これでしばらくはバリ島の美しい夕陽を拝めない。拝めたとしてもピンぼけだろう。

モテモテのロバート・ハリス。ちょっとしたカサノヴァのようです。しかしこの人の文章を読めば読むほどどうしてモテるのか、その理由がわかる気がします。おれが女なら惚れてまうかもしれません。いや、間違いないでしょう。

このまま快楽の中で狂い死にしてもいいと思った。

彼女がワイルドで特別なんだっていつも言ってるじゃない。わたしにはぜんぜんそうは見えなかったわ。

コークとホットドッグを頬張りながらバイオレントな怪獣映画を心おきなく見たい。ゴロゴロしていられる日常が恋しくて仕方がなかった。

わたしたち、別れたほうがいいね。

わたし自身もこのような悲しい別れを経験しています。その経験をモデルにした小説を書き上げています。「結婚」というタイトルですが、最後まで結婚しません。なぜ結婚というタイトルにしたのかというと、女性が求めているのは結婚だったのに、男の側はそうではなかった、というすれちがいを描いているためです。

×   ×   ×   ×   ×   × 

このブログの著者が執筆した純文学小説です。

「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」

「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」

本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

Amazon.co.jp

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そしてゲームは続く

外国人が次々と放火にあっている。

ヒッピーたちの冒険談や旅の話しがシロッコのように吹き荒れ、イマジネーションをかき立てた。

オーバーランド・トリップ。地続きの道でヨーロッパから、トルコ、イランを通って、カブール、デリー、カルカッタへ。

放浪をライフスタイルとするものには、どうやって食っていくのかという問題が常に頭にある。一番手っ取り早いのは旅の行商人になることだ。

中禅寺湖のコンビニ。立木観音。男体山登山。温泉。那須どうぶつ王国。アジアンオールドバザール

→本書ではこう書かれていますが、旅の行商人は今の時代にはもう無理だと思います。それを変えたのはどうやら「コンテナ」のようです。コンテナの大量輸送が輸入価格を下げ、個人レベルの行商のハードルをいちじるしく上げました。

荒々しいアラビアンナイトの世界。

インドのゴア。海岸では毎晩のようにパーティーが開かれた。

住んでいるのはすべて長期滞在者たち。人々はほとんど裸で毎日過ごし、満月の夜には庭で大パーティーが開かれ、木の上に取り付けられた数個のスピーカーからはいつも音楽が流れていた。

フルムーン・パーティー。夜は一向に涼しくならない。

師匠からカモのステータスに下がりつつあった旦那。

トロツキー風に丸い眼鏡をかけた、南の島へ遊びに行って遊び人になってしまった、少し気のふれた元大学教授。

イイモンがワルモンに負けるときもあるのだ。

あいつは根っからのアスホールなんだ。

蚊帳のかかったベッドの中には若くて美しい女性が横になって本を読んでいた。

僕は自分のことを放浪者としてとらえているが、実績からいってもライフスタイルからいっても放浪者としてはセミプロぐらいのレベルにしか到達していないこともわかっている。

ヘルマン・ヘッセ『クヌルプ』放浪の魂の真髄

ゼウス相手に女の取り合いをしたり、トリックスター相手に騙し合いをしているようなものだ。

誰かと過酷な旅をともにしたり、エベレスト級の山を登ったり、戦火をくぐりぬけたり、独房をシェアしたり、とにかく人間としての真価を問われるような経験をしたうえではじめて結ばれる特別な絆である。

あまりウダウダ話しをしたくなくても、一緒に楽しく時間を共有できることがいい付き合いの条件なのかもしれない。

エッツォは自分の王国の中で小間使いのような存在だった。

「いやだね、オレは」「だろ? オレもいやだ」

おまえがそれを一足先にやってのけたことがオレには嬉しいんだ。

ヨハン。次に出す本に、おまえのことを書きたいんだけど、いいかな?

過去のことを書いていると、その時の自分まで生き返っている。過去の夢に浸された現実。毎日がまるで時間軸の歪んだ不思議なスークの中を旅しているような感じだった。

友情や愛情から意味や教訓を学び取る必要などない。瞬間こそが最大の遺産。

もし人生に目的というものがあるとしたら、それはそういった特別な瞬間をつかみ取ることそのものだ。

本が出たら絶対に送ってちょうだい。早く見たいわ。

ロバート・ハリス『地図のない国から』放浪の魂を読む。

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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。
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雑誌『ランナーズ』のライターだった筆者が贈る『市民ランナーという走り方』。 「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか? いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状打破、自己ベストの更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。 ●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何? ●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム? ●ピッチ走法とストライド走法、どちらで走るべきなのか? ●ストライドを伸ばすための「ハサミは両方に開かれる走法」って何? ●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは? ●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は? 本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く効率的に走ることができるようになります。 ※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。 あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
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書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
https://amzn.to/3OBWtUR
書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
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◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

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私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
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●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
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●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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