中日戦争ランニング編。裸足ランニングで足裏に血豆。トレッドミル特訓でサブスリーは可能か? 選手ではなく選足

マラソン・ランニング
『ドラクエ的な人生』とは?

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書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。『バックパッカー・スタイル』『海の向こうから吹いてくる風』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』Amazonキンドル書籍にて発売中です。

トレッドミル(ランニングマシーン)でサブスリーは可能か?

世の中にはランニングマシーンでランニングをする人がいます。かつては私もそうでした。月会費を払ってスポーツクラブに所属していたので、あるのに使わないともったいないという気になってランニングマシン(トレッドミル)上で走っていました。

しかしトレッドミルでいくら快調に走れても、それは実走とは似て非なるものです。オリンピックや世界陸上に出場するような選手で、ランニングマシーン上でしか走らないという人は皆無ではないでしょうか。速い人はみんな路上を走っています。

私もマラソン二時間台(サブスリー)で走っていた頃には、すべて路上練習でした。むしろサブスリーを達成するためにスポーツクラブをやめたというのが本当のところです。

速く走るようになるためにはコツがあります。そのコツはトレッドミルの上ではつかめません。知りたい方は私の著書『市民ランナーという走り方』を参考にしてください。ランニングの実力は風に吹かれて路上で鍛えてください。

西欧人セレブは、スポーツクラブのあるセレブを選ぶ

そんなランニングマシン歴の私ですが、先日、ひさしぶりにベルトコンベアー上を走る機会がありました。旅行先のホテルにランニングマシーンがあったためです。日本人はあまり気にしないようですが、西欧のビジネスマンは太っていると自己管理できない人というふうに見られて、仕事ができない人と判断されるそうです。そのため「ジムを併設していないホテルなんてホテルじゃない」とばかりに、旅先でもジムで筋肉を鍛え、汗を流している人がいます。

私は安宿専用でホテルの併設ジムなんて気にしたことありませんが、たまたま宿泊客は無料で使えたので走ってみることにしました。ベルトコンベアの上を走るのは久しぶりです。

ところがいざ走ってみると、非常に走りにくいのでした。あれ? すぐにその理由がわかりました。ベルトコンベアに慣れていないから? いいえ、そうではありません。靴のせいです。

旅先なので、私は靴底がフラットなシューズを履いていました。いわゆるスニーカーです。走って走れないことはありませんが、専用のランニングシューズに比べてソールが反り返っていないために、そのぶん走りにくいのでした。

ランニングシューズとスニーカーの違い。ソールの反り、ロッカー形状

ランニングシューズのソールが反り返っているのは、着地時に足裏を踵から母指球に向けて転がすようにして「走る前提」で設計されているからです。これをロッカー形状といいます。

マンガの表現に学ぶ実走。下半身をクルクル回転させるイメージで走ってみよう

ところがこのロッカー形状のシューズは必ずしも普段使いに向いているとは言えません。

かつて私はディズニーランドのアトラクションの列に何時間も並んで待っているあいだ、どうして自分だけがこんなに疲れるんだろう。なんで彼女の方が疲れないんだろう、と不思議でなりませんでした。彼女は一般人、私はランナーです。彼女が先にへばるのがあたりまえではありませんか?

そのとき私はランニングシューズを履いていました。その頃はどこへ行くにもランニングシューズで出かけていたのです。私の方が彼女よりも疲れるのは反り返っているランニングシューズのせいではないか? 直感的に私はそう感じました。

サンダルがフラットソールであるように、旅靴はフラットソールがいい

ランナーは前に足を出し続けていないと倒れてしまうような、絶妙な動的バランスを保って走っています。これを「動的バランス走法」といいます。

スピード練習しなければ、スピードにふさわしいフォームは身につかない。動的バランス走法

ランニングシューズは動的バランス走法で走るのにふさわしい形状をしているために、逆にいえば一か所に立ち尽くしているのには向いていません。ネズミーランドや万博の列に何時間も並んでいるのにふさわしい形状ではないのです。

サンダルがフラットソールであるように、旅靴はフラットソールがいいのです。

旅行におすすめの靴はサンダル。サンダルは自由の象徴。

ベアフットでオオカミランニング

ひとりきりだったらそのままゆっくりジョギングでよかったのですが、隣の中国人が挑みかかるように走り出したものだから困りました。やるしかないのか?

えっ? どうして挑戦されたのがわかったかって? だってすぐ隣のランニングマシンに乗るんだもの。空いてるんだから離れて走ればいいじゃん。隣で走るってことは挑戦でしょ?

私は自分の著作『市民ランナーという走り方』で、オオカミランニングというトレーニング方法をおすすめしています。オオカミランニングというのは、練習中に誰かに抜かれたら、いい練習パートナーができたと思って追いすがり、最後には必ず抜き返せ、という掟のことです。オオカミが獲物を追って追って持久狩猟で仕留めることから、抜いた相手を抜き返すこのトレーニング方法をオオカミランニングと命名しました。

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雑誌『ランナーズ』のライターが語るマラソンの新メソッド。ランニングフォームをつくるための脳内イメージ・言葉によって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化して速く走れるようになる新理論。言葉による走法革命のやり方は、とくに走法が未熟な市民ランナーであればあるほど効果的です。あなたのランニングを進化させ、市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」「ハサミは両方に開かれる走法
腹圧をかける走法。呼吸の限界がスピードの限界。背の低い、太った人のように走る。
マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は?
●【肉体宣言】生きていることのよろこびは身体をつかうことにこそある。
(本文より)
マラソンクイズ「二本の脚は円を描くコンパスのようなものです。腰を落とした方が歩幅はひろがります。腰の位置を高く保つと、必然的に歩幅は狭まります。しかし従来のマラソン本では腰高のランニングフォームをすすめています。どうして陸上コーチたちは歩幅が広くなる腰低フォームではなく、歩幅が狭くなる腰高フォームを推奨するのでしょうか?」このクイズに即答できないなら、あなたのランニングフォームには大きく改善する余地があります。
ピッチ走法には大問題があります。実は、苦しくなった時、ピッチを維持する最も効果的な方法はストライドを狭めることです。高速ピッチを刻むというのは、時としてストライドを犠牲にして成立しているのです。
・鳥が大空を舞うように、クジラが大海を泳ぐように、神からさずかった肉体でこの世界を駆けめぐることが生きがいです。神は、犬や猫にもこの世界を楽しむすべをあたえてくださいました。人間だって同じです。
・あなたはもっとも自分がインスピレーションを感じた「イメージを伝える言葉」を自分の胸に抱いて練習すればいいのです。最高の表現は「あなた」自身が見つけることです。あなたの経験に裏打ちされた、あなたの表現ほど、あなたにとってふさわしい言葉は他にありません。

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しかしいくらオオカミの血が騒いでも、このフラットソールの旅靴では速く走れません。ニセコで筋肉を鍛えるような意識高い系の中国人に、日本人はちょろいと思われたまま終わりたくはありません。

私はいったんマシンを降りて、靴を脱いで、裸足でベルトコンベアに乗りました。

日中ランニング戦争。ちょっとぐらい痛いからって走るのをやめられない

もともと私は夏のあいだはサンダルで走っているので、裸足ランニングには慣れています。足の甲がサンダルのかたちに日焼けしていますし、指先で小石を踏んで皮が剥けることもあります。

ランニングシューズで走るときも、夏場はノーソックスなので、足裏の皮膚は人よりも厚いはずだという自負がありました。

ところが走り始めてしばらくして足の裏が痛くなりました。どうしましょう。隣の中国人と走りあいの真っ最中です。ちょっとぐらい足裏が痛いからってやめるわけにはいきません。オオカミの名が泣きます。

【本番練習法】通りすがりのランナーに勝手に練習パートナーになってもらうオオカミランニングのすすめ

足裏の痛みに耐えながら、リズムを刻んで走りました。隣の中国人はやがて私にはかなわないと悟ったのでしょう。スピードを落として日中ランニング戦争から脱落しました。

それでいいのよ。だってあんた、オレより力はあるでしょ? ダンベル、おれより重いの持ち上げられるでしょ? せめて走るのぐらいはオレが勝たなきゃね!

オオカミは獲物をしとめました。満足してトレッドミルを降りて足裏を確認すると……なんと……足の裏に血豆ができていました。水ぶくれもあります。どうりで痛いと思った。

トレッドミルのベルトの上をよく確認したら、靴がすべらないように硬い網状の素材が貼り付けてありました。あれはただの黒いゴムのベルトではないのです。その網状のすべり止めのせいで足裏がボロボロになってしまったのでした。

裸足で走るのなんて無理。路上も無理。ランニングマシンも無理

裸足トレッドミルランニングで足裏がボロボロになってしまったため、次の日の観光に支障がでました。歩くと痛いのです。とほほだぜ。

普段から足裏は鍛えているつもりだったので、いきなりの裸足ランニングでも大丈夫だと思ったのですが、ダメでした。

これがアスファルトなどの路上だったらまず無理だろうと予想がつきますけど、まさか黒いゴムのトレッドミル上でも無理だとは思いませんでした。

一時期、ベアフットランニングが流行った時期がありましたけど、裸足でレースペースで走るのなんてぜったいに無理です。市街地も無理、ランニングマシンでも無理、トレイルなんてありえません。破傷風になりますよ。せめてサンダルを履きましょう。

自分がこうなってみると、裸足のアベベは本当に奇跡だなあ、と思います。アスファルトなんてよく見るとけっこう凸凹しています。あそこを速く走ったらランニングシューズのソールが削れるみたいに足裏はずる剥けるはずです。ありえないことです。

私はこの夏、できるだけ日焼けに慣れるように下焼きしていたのに、いざプールに行ったら背中の皮膚が剥けてしまいました。新しい経験はいつもぶっつけ本番なのです。類似の軽い体験で、本番のハードモードに耐えられるかというと、難しいみたいです。

夏の海岸、真夏のプール。下焼きしたのに背中の皮がベロっと剥けたのだ

旅先のランニングは難しい。軽量化に矛盾する

旅先のランニングは難しいですね。走ると汗をかいて、その分、洗濯物も増えるし。ランニングシューズで旅するのも難ありです。フラットソールのほうが疲れませんからね。

一週間ぐらいの旅だったら「走らない」選択でOKですけど、長期旅行になったらやはり靴は一足では足りないかもしれませんね。

荷物が重くなるなあ。軽量化と旅先の快楽は矛盾しますね。

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陸上選手は、選手ではなく選足と言いたい

ところでこの稿を書いていて思ったのですが、オリンピック選手というような「選手」という言い方は、私のようなマラソン系の人間にとってはちょっと違和感がありますね。

だって手で選ばれた人じゃないもの。足で選ばれた人でしょ?

オリンピック選手じゃなくて、オリンピック選足と言いたいですね(笑)。

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