マラソン・トレーニング用語の強度別の解説

マラソン・ランニング
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このページでは雑誌『ランナーズ』『マイ・トレーニング』の元ライターである筆者がマラソンのトレーニング用語について解説します。箱根駅伝に出場したようなランナーにインタビューすると、専門のトレーニング用語が会話の中でバンバン飛び交います。このような用語を知らないと、ランニングライター稼業はつとまりません。

そこで初心者の方にもわかりやすいように強度順に並べて解説してみました。参考にしてください。

厳密には、LT値の何パーセントとか、主観的強度の何パーセントとか、細かい定義があるのですが、そこは省略します。乳酸性閾値とか最大心拍数とかは人によって違うので、数字に頼って説明しようとすると、説明が難しくなってしまうからです。

大切なのは「どういう意図で、何を鍛えようとしているのか」察することです。

もともとトレーニング用は「どんなランナーにも使える言葉」なので、ランナー毎に必要なトレーニング強度は違います。ランナーごとに実力が違うのですから当然のことです。ですからトレーニング用語は、キロ何分で走る、と説明できるようなものではないのです。

トレーニング用語に縛られてトレーニングするのではなく、「どういう意図で、何を鍛えようとしているのか」察してトレーニングすることが大切です。

トレーニング用語というのは、どちらかといえば主観的なものです。ですからここではわたしの書籍『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』同様に、数字は一切使わずに説明します。

スピードの遅いほうから速い方に順番にトレーニング用語を並べています。スピードの「速い」「遅い」は自分の中のトレーニングの「辛さ」「ハードさ」を基準に考えてもらえればと思います。

オーバートレーニング(疲労回復よりもトレーニング疲労が大きく疲れが抜けない状態)にご注意ください。

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↓ジョギング。疲労回復ジョグ

いちばん強度のないトレーニングがジョギングです。ジョギングはトレーニングとはいえないようなもので、家で寝転がっているよりは外で走った方が血が循環して疲労が回復するだろうぐらいの最弱強度の走りです。「ロングジョグ」「疲労回復ジョグ」という文脈でよく使われる言葉です。

フォームとかペーストは何も気にせず、気の向くまま自由に走ります。もっともゆっくりなペースで走るのがジョギングです。

走ることそのものを自由に楽しむものです。

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↓LSD。無限に走れるペースで走る

LSD。ロング・スロー・ディスタンス。長い距離をゆっくり走るトレーニングです。ほとんど無限に走れるぐらいのペースで、ゆっくり走ります。速く走ってはいけません。高速で走る車が急に細い道に曲がれないように、血流が早くなりすぎると毛細血管に血が流れません。力を抜いてリラックスして走ることをLSDを通して覚えます。

ある程度まで距離を走りこんだ後は「あと100kg走るよりも、あと1kg体重を減らした方が速くマラソンを走れる」という境地に達します。ダイエットです。

体脂肪量を減らそうという時にLSDが役に立ってくれます。

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↓ロング走。走った距離は裏切らない

人類最速のマラソンランナーがウサイン・ボルトではないのは、ボルトはゴールまでスピードを維持できないからです。42.195キロのマラソンを速く走るためには、とにかく止まらずにゴールまで走り切ることが何よりも重要なので、せめて30kmぐらいまではトレーニングで走っておきたいというのがロング走です。LSDとの違いは、スピードです。後述のレースペース(戦闘速度)の80%ぐらいの力で、けっこう頑張って走ること。フォームも意識します。マラソン本番を見据えたトレーニングの王道になります。

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↓LT走。テンポ・ラン。持久走の醍醐味

速く走ると乳酸がたまっていきます。乳酸が一定値を超えると、人間は急激に走れなくなって足が止まってしまいます。このポイントのことを乳酸性閾値(LT)といいます。速く長く走るためにはこのLTポイントあたりで走る必要がありますが、このLTポイントはトレーニングでレベルを上げることができます。

LTポイントのギリギリ手前ぐらいのペースを「LTスピード」といいます。このペースでする練習がLT走です。

テンポ・ランとは、最大心拍の85%で50~60分走ること。狙っているのはもちろんLTポイントです。

トレーニングの狙いは「速く走ることを脳が覚える」ではなく「乳酸を除去して長く走れることを身体が覚える」です。

乳酸の発生量と除去量が「つり合いのとれた」ギリギリの状態をイメージしてください。そのギリギリの境地を追求することが面白かったりするトレーニングです。

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↓ミドルペース走

ミドルペース走は、後述のレースペース(戦闘速度)の90%ぐらいの高速で10kmほどを目安に走ります。

LT(乳酸閾値)を超えているので、体力はどんどん削られていきます。そのつらい状況でマラソン本番の四分の一ぐらいの距離を通して走ることでスピード持久力をつけるためのトレーニングです。

距離を優先して走ったロング走に対して、ミドルペース走はスピードを優先します。ロング走よりもキロ当たり15~30秒ほどスピードを上げてスピード耐性をつけていきます。ロング走のペースが上がれば、ミドルペース走のペースもあがっていきます。

距離という負荷よりも、スピードという負荷の方が、身体には大きな負担がかかります。スピードを出すことで、スピードを出すにふさわしいランニングフォームや筋力がつくのです。それを期待したトレーニングになります。そのぶん、きついトレーニングになります。

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↓快調走。ウインドスプリント。スピードプレイ。流し

「快調走」は「走るの気持ちいい~! 快調~!」と言える範囲のスプリントで短い距離を走ります。風を感じるほどの高速で走るので「ウインドスプリント」と言ったりします。長い距離だと苦しくなるぐらいのスピードを出します。そのスピードを楽しむことから「スピードプレイ」と言う人もいます。今日は調子がいいなと思えるプラスのイメージでトレーニングを終了します。走ることが気持ちいいイメージで次のトレーニングに繋げるために練習のラストに行うことが多く「流し」と言う人もいます。

膝を高く上げてスピードをあげることを覚えます。着地の衝撃に身体を慣らします。マラソン2時間台(サブスリー)を狙うなら、ここからが本格的に「狙うための練習」ということになります。

効率の悪いフォームでもゆっくりなら走れるけれど、効率のいいフォームでないと速く走ることはできません。速く走る練習をすればフォームがそれにふさわしいものに矯正されていきます。スピードを出さなければ、スピードにふさわしいフォームは身につきません。

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レースペース走。戦闘速度

マラソンは、体力のゲージが100でスタートして、ゴール地点でゼロになっているというのが、最高の走り方です。そのスピードがレースペースです。マラソンは消耗戦です。籠城みたいなものです。城内の食料(体内のエネルギー)はどんどん減っていきますが、ゴールまでもてばいいのです。

そのギリギリの速度が、あなたの戦闘速度です。このレースペースがあなたの成績を決めます。他のすべてのトレーニングはこの戦闘速度をペースアップためのものです。

もしマラソンが人に感動をあたえる芸術だとするならば、体力ゲージが100から0になる計算されたパフォーマンスの構成美、というのがひとつの側面です。

乳酸バランスがつりあうLT走が持久走の醍醐味だとすれば、42.195m先のゴール地点で体力ゲージをゼロにまでもっていくレースペースはもうひとつの持久走の醍醐味です。おもしろさといってもいいでしょう。

そのレースペースで走るのがレースペース走です。練習距離は42.195kmなくてもいいので、とにかくレースペースを維持して、5km3本とか、2km5本とか、本番さながらに走ります。

レースペース走は本番さながらに走ることを目標にしたトレーニングです。マラソン大会に出場して「今回は練習」という人は、大会をレースペース走の練習がわりにしているのです。

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↑インターバル・トレーニング。スポーツ心臓をつくる

ヘルシンキ・オリンピックで5000m、10000m、マラソンのすべてで金メダルを獲ったエミール・ザトペックが考え出した緩・急を織り交ぜるトレーニング法です。1000m5本などの練習メニューをレースペース以上のスピード(キロ10~20秒速く)で走ります。長くはもたないスピードを出すことで心肺機能が鍛えられます。走れなくなるのは、心拍数が上がりすぎるためです。心拍数が上がりすぎると、肉体に運動を停止する命令が発せられて走れなくなるのです。この運動停止命令は生命に関わるので、意志の力で跳ね返すことはできません。対策としては心拍数が上がりすぎないようにすることです。

鼻呼吸でリラックスして上手に走ることも心拍数を上げない工夫ですが、いちばんいいのは心臓そのものを鍛えてしまうことです。インターバルトレーニングをすると心臓と血液の循環系(心肺機能)が鍛えられて平常時の心拍数が下がってきます。するとちょっと運動しても心拍数が過度に上がらないようになるわけです。

心拍数とは一分間に心臓が脈を打つ回数です。平均は60~80回だと言われています。

シドニーオリンピック金メダリストの高橋尚子さんは30台だったそうです。サブスリーランナー・グランドスラム達成者のわたしハルトの全盛期の平常時心拍数は40台でした。心拍数の正常値を下回っていていわば異常値ですが、こういう心臓のことを「スポーツ心臓」と言ったりします。マラソンを走る肉体になっているということです。

インターバルトレーニングでゆっくり走るときには、次の急走にそなえて呼吸を整えなければなりません。力を抜いてリラックスすることがどれほど大事か実感できるでしょう。

地脚が強くなるので、マラソンだけでなく、10k、ハーフマラソンのタイムが激上がりします。ザトペックのように。

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↑レペティション・トレーニング

MAXスピード。力の限り全力で走ります。速く走る方歩を知りたければ、速く走ってみればいいのです。

通称「レペ」。短距離の走り方です。自分が長距離ランナーであることは忘れて、100m走を走る短距離選手がやるように全力疾走します。自分のスピードの限界を知ることができます。強くなろうとするときには現在の限界を知っておくことも大切です。MAXスピードとレースペースのスピード差はどれぐらいあるのか。何が違うのか? などたくさんの発見があるでしょう。

本当に速く走っているときには、大腿骨を大きく前に振り上げていることがわかるでしょう。そして大腿骨を大きく前に振り上げるためには骨盤が寝ていては無理だということも。

最速のフォームでは骨盤を立てて膝を高くあげて宙に浮くようにして走っているはずです。速く走るためにはストライドが大切だ、ということをレペティション・トレーニングは教えてくれるでしょう。

この最速スピードに比べたら、マラソンのレースペースなんて楽なペースのはずです。レースペースが楽なペースであると知ることも、この最速の練習のもたらす効果のひとつです。

もっとも効果的なフォームというものは、自分の肉体が知っています。最速スピードを出すことによって、あなたの天才の肉体が走るとはどういうことかをあなたに教えてくれるのです。

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
小説『結婚』: 愛とは? 結婚とは?
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小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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【この記事を書いている人】

アリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。 市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。 また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。 そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。 その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。 登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。
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