目次
どうもハルトです。みなさん、今日も元気に走っていますか?
今日は「LSDでサブスリーフォームをつくるなんて無理」というお話です。
スピードにふさわしいフォームは、スピードに乗った時にしか実現できません。
体ごと体重を前に投げ出して、普通だったら倒れるものを、足を送ることでギリギリのバランスで支える。
前に進んでいないと維持できないフォーム。これを私は「動的バランス走法」と呼んでいます。
「動的バランス走法」では前に倒れそうになるのを着地筋をつかって姿勢を維持していきます。地面からの反力を脚が脊髄に伝えます。その反力で脊髄がバネのようにピヨーンと斜め前方に弾むと同時に腰から前に脊髄を前に押し出します。前に押し出した脊髄は脚の着地筋が受け止めます。前に押し出された後、腰の筋肉はしばらく弛緩していますが、また次の脊髄のバネがピヨーンと弾むタイミングで収縮して腰から前にぐいっと押し出します。腰の筋肉が緊張と弛緩をくりかえして前に押していくのです。
【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのサンダルマン・ハルトと申します。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
初マラソンのホノルル4時間12分から防府読売2時間58分(グロス)まで、知恵と工夫で1時間15分もタイム短縮した頭脳派のランナー。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。月間走行距離MAX600km。【マラソン・グランドスラム養成講座】を展開中。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えます。幸福のために走りましょう。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。江戸川左岸の撃墜王(自称)。スピードが目的、スピードがすべて。ロードバイクって凄いぜ!!
山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。インドネシア。マレーシア。ニュージーランド。タイ。ベトナム。カンボジア。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の27ケ国。パリとニューカレドニアを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。ソウル日本人学校出身の元帰国子女。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。
千葉県在住。夢の移住先はもう決まっています!!
※この稿の内容は以下のとおりです。
動的バランス走法。おっとっと走法。サブスリーフォーム
バランスには静的バランスと動的バランスがある
動的バランスをご存知でしょうか?
バランスには静的バランスと動的バランスというものがあります。
動いていてはじめてバランスが保てる状態のことを動的バランス(が保たれている)といいます。
自転車は止まると倒れてしまいますよね? まさにあれが動的バランスが保たれている状態です。
スピードがゼロになったら倒れてしまうような角度を維持してランナーは走るものです。
動的バランス走法には、たくさんの別名がある
背筋をまっすぐに伸ばして上体から前に倒れるようにすると、転びたくないから反射的に足が前に出てしまうと思います。この力を利用して走ります。
これをこの講座では「動的バランス走法」と呼んでいます。
上体を斜め前方に傾けたときに、コケそうになるのを足を次々に送ることで「おっとっと」と維持している状態。その状態のことを客観的に人は「走っている」といいます。
いわば「おっとっと走法」ですね。
足を思わず出してしまうには、思い切って上半身を腰から前に放り出さなければなりません。
この時、へその上の丹田あたりから見えない線でピンと引っ張られているように感じることがあります。
陸上コーチが「丹田を前から引っ張られているようなイメージで走れ」というのは、動的バランス走法のことを差しているのです。
また逆にグイッと腰を突き出すことから、腰裏に鉄板のようなものがあって、そこを後ろから押されているように感じることもあるでしょう。
「腰裏の鉄板を後ろから押されるようなイメージで走れ」という陸上コーチがいたら、その人もこの動的バランス走法のことを言っています。
前から引っ張られると感じるにせよ、後ろから押されると感じるにせよ、どちらにしても「自分以外の何かの力をかりて走っている」ように感じるのが動的バランス走法の特徴です。
要するに目指す境地は同じところにあるわけですが、それをどう伝えるか? という違いにすぎません。
どのような入力ワードで表現すれば、最も肉体がパフォーマンスを発揮できるか? という表現者の工夫なのです。
それが「言葉の力で肉体を動かす」ということの意味です。
もっとも有名な入力ワードは、「一本の棒が倒れるようにして走る」ではないかと思います。
この「一本の棒が倒れるようにして走る走法」は秀逸な表現です。サルでもわかる、っていう表現ですね。
それほど素晴らしい入力ワードであるため、ランニングの教本ではいろいろなところで目にします。
はじめて言い出したのは誰かはわかりませんが、防府マラソンでご挨拶させていただいた田中宏暁先生ではないかと私は思っています。
この「一本の棒が倒れるようにして走る」というのも、動的バランス走法と同じ境地を差しています。おっとっと走法と同じです。
この動的バランス走法は、鈍足ランナーのランニング概念を劇的に変えてくれます。
ぜひ自分が走る時にもイメージして走っていただきたいと思います。
感覚的なものは、説明できない。言語化するのは才能
長嶋茂雄が自分の天才的なプレーを他者にうまく説明できないように、アスリートは他者に自分のテクニックを説明することが苦手な人が多いように思います。
本物のアスリートは非言語の世界に生きていることが多いのです。
それゆえにプロのスポーツ選手はしばしば芸術家に譬えられます。
「コツは?」と聞かれて「カンです」「感覚的なものです」と答えるアスリートがどれほど多いか。
「どうやってそんなに多くの脚を同時に動かしているの?」
ムカデに聞いたら前に進めなくなってしまったエピソードを思いだします。
感覚的なもので、総体的なものを、ひとつひとつ部分に分解して解析することは、必ずしもふさわしい説明とはなりません。だから天才的なアスリートは「部分」の説明をしないのです。
また、言語化するというのはひとつの才能です。本稿もそこに存在価値があると思っているのです。
コケそうになるのを足を次々に送ることで維持している状態。
その時のバランスはそのスピードで前に進んでこそ維持できるもので、決してスロージョギングのときと同じバランスではありません。
スピードが先、バランスは後からついてくるものです。
体ごと体重を前に投げ出して普通だったら倒れるものを、足を送ることでギリギリのバランスで支えているのです。
そのスピードにふさわしいバランス、動きながらでしか維持できないバランスというものがあり、それを支える筋力というものがあります。
前に進んでいないとフォームを維持できない動的バランス走法。
それはLSDでは養成できません。
スピード練習しなければ、スピードにふさわしいフォームや筋肉は手に入らないのです。
なお、スピードは、ピッチではなくストライドで出すものなので、普段の練習では、できるだけストライドが大きくなるように意識して行うと、練習効果が高くなります。
スピード練習しなければ、スピードにふさわしいフォームは身につかない
私は雑誌『ランナーズ』でマラソン2時間30分切りというスーパー市民ランナーを取材して記事にしていました。
このタイムは女子で言えばオリンピック・クラスの実力を持つという意味です。
しかし取材中、ときどき彼らはこういいます。「スピード練習は一切やりません」と。
しかし、この言葉を真に受けてはいけません。
それが書き手だった私が肝に銘じていたことです。
じゃあ、どのぐらいのスピードで練習しているのかと詳しく聞いてみると「キロ3分30秒で5本」とか平気で言いますから。
彼らはキロ3分切るぐらい出さないとスピードじゃないと本気で思っているのです。
市民ランナーの憧れ・サブスリーはキロ4分15秒ペースで達成できます。
彼らがどれほどスピード練習しているか、わかりますよね?
東大生が「受験勉強なんてろくにやっていません」というようなものです。
彼らは一日9時間ぐらい勉強しないと勉強したうちに入らないという世界で生きているので、一日6時間勉強したぐらいでは「勉強している」うちに入らないのです。
成功した実業家が「努力なんて一切していません」というようなものです。
相手の言葉を真に受けてはいけません。
彼らは努力を努力と思っていないだけで、一般的な基準から言えば死ぬほど努力していたりします。
スピード練習しなければ、スピードにふさわしいフォームは身につきません。
なぜならスピードを出さなければ、スピードフォームにならないからです。
静的バランスで早く走れる人は誰もいません。LSDにはLSDのバランスがあり、それはレースのフォームとは違うものです。
逆にいえば、動的バランスでゆっくり走ることも難しいのです。
だから『レースが練習』『ハーフマラソンで調整』という実戦練習法があるのです。
川内優輝選手のトレーニング法として有名になりましたが、決して彼の発明ではありません。昔から行われていたことです。
動的バランス走法で使うレース用のスピード筋肉は、スピード練習をしないと身につきません。
同様に、練習用シューズは本番と同じシューズを使用した方がいいでしょう。
ときどき練習は厚底、本番は薄底を勧めているプロコーチがいますが、私はそうは考えません。
靴底の角度で微妙なフォームは変わりますし、厚底シューズが膝の故障を軽減するという証拠はないのです。
金銭的にも厚底シューズも薄底シューズも変わりません。だったら本番用を二足買った方がいいに決まっています。
厚底シューズで、薄底シューズと同じ練習はできません。バランスが微妙に違いますからね。
「退役した本番用シューズ」でやれば、金銭の節約になるでしょう。
本番さながらの練習をすることが、本番で成功するためには重要なことなのです。



※『雑誌『ランナーズ』元執筆者が贈る市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開中。詳細はプロフィールページをご確認ください。
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