デフ陸上、デフリンピック。デフとは耳が聞こえないこと
英会話の勉強をしています。その中で「音痴」という言葉が必要になりました。私は単語を知らず、英語で音痴と言えなかったのですが、英語で音痴はtone deafといいます。
ああ、そういうのか。と思いました。
デフ陸上、デフリンピックというのがあります。聴覚障がい者の陸上大会のことです。つまりデフとは「聴覚障害」という意味ですね。
デフリンピックはもちろんデフ+オリンピックの造語です。デフリンピック競技としては、陸上、水泳、バドミントン、バレーボール、自転車、テニス、サッカーなど本家オリンピックに遜色ない内容になっています。
私はマラソンの著書もある市民ランナーですが、マラソンにおいてデフであることは、まったくハンデキャップにならないと思います。沿道の応援が聞こえないからって急に走れなくなるとは思えません。三半規管の異常で頭がクラクラするなら話しは別ですが。
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※雑誌『ランナーズ』の元ライターである本ブログの筆者の書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。
「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか?
いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状を打破し、自己ベスト更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」
●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム?
●ピッチ走法よりもストライド走法! ハサミは両方に開かれる走法。
●スピードで遊ぶ。スピードを楽しむ。オオカミランニングのすすめ。
●腹圧をかける走法。呼吸の限界がスピードの限界。背の低い、太った人のように走る。
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
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本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く走ることができるようになります。
あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
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どんなレースに出ても自分よりも速くて強いランナーがいます。それが市民ランナーの現実です。勝てないのになお走るのはなぜでしょうか? どうせいつか死んでしまうからといって、今すぐに生きることを諦めるわけにはいきません。未完成で勝負して、未完成で引退して、未完成のまま死んでいくのが人生ではありませんか? あなたはどうして走るのですか?
星月夜を舞台に、宇宙を翔けるように、街灯に輝く夜の街を駆け抜けましょう。あなたが走れば、夜の街はイルミネーションを灯したように輝くのです。そして生きるよろこびに満ち溢れたあなたの走りを見て、自分もそんな風に生きたいと、あなたから勇気をもらって、どこかの誰かがあなたの足跡を追いかけて走り出すのです。歓喜を魔法のようにまき散らしながら、この世界を走りましょう。それが市民ランナーという走り方です。
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個人競技の場合、デフはハンデにならない
おなじ陸上競技でも、たとえば100m走なんてむしろ耳なんかまったくオフにして走るのではないでしょうか? スタジアムの歓声を聞きながら走っているとは思えません。そんな余裕はないはずです。聴覚なんて必要ありません。ほかの競技でも、たとえばテニスなど個人競技はまったくデフはハンデにならないのではないでしょうか? 水泳なんかは健常者でも水の中だとどうせ水の音しか聞こえませんので、競技力にまったく影響がないでしょう。
団体競技の場合は、声をかけてコミュニケーションをとる場合もあるので、デフはハンデになると思います。
なぜデフリンピックはパラリンピックと統合しないのか?
しかし視覚障がい者にくらべたら、聴覚障がい者は、健常者にくらべてそれほどハンデキャップにはならないのではないでしょうか?
その点、目が見えないと天と地ほどのハンデキャップがあるでしょう。かつて私はマラソン大会で、左目のコンタクトレンズが上のほうにずれて元に戻らなくなってしまったことがあります。涙があふれてきて、しかたがないので目を閉じて走りました。目を閉じて走ったといっても、十秒に一回ぐらいは右目をちらっと開けて周囲を確認したので、それほどハンデを感じませんでした。しかしずっと盲目となると話はぜんぜん別でしょう。
視覚障がい者にはパラリンピックという身体・視覚・知的など全般的に障害のある人のための大会があります。一緒にやれば一回で済むのに……と思いますが、デフリンピックがパラリンピックに統合されないのは、ハンデキャップの差が違いすぎるためでしょう。目の見えないブラインドの人と、耳の聞こえないデフの人でサッカーをやったら、そりゃあデフの人たちがぜったいに勝ちますよ。
マラソンならば勝負になるかもしれませんが、たとえば健常者が耳を塞いで走ったケースと、目を塞いで走ったケースで、同じタイムが出るとは思えません。何かにぶつかるかもしれない恐怖が、無意識にストライドを縮めるはずでしょう。
最速のストライド走法フォームの作り方。後ろに蹴るのではなく、前に突き出してストライドを稼ぐ
っていうか、そもそも私は普段いつもヘッドフォンで音楽を聞きながら走っています。はじめから周囲の物音は聞いていないのです。レース本番でもヘッドフォンをかけて走ったこともあります。それと同じことではないでしょうか? デフはまったくハンデになりません。
これほど差があると、たぶん一緒にパラリンピックをやったら、誰もデフの人を応援してくれないでしょう。手足の欠損者や、視覚障害者を応援したくなるに決まっています。それゆえに統合しないのでしょう。文化の土壌が違いすぎます。
音痴。日本語と英語の言葉のセンス、発想は同じ
音痴は、日本語で言うと音に対して痴呆というニュアンスで「音痴」ですが、英語のつくりも同じ発想ですね。
英語で音痴はtone deafというわけですが、tone は音とか音階という意味ですし、deafは聞き取れないという意味ですから、なるほどtonedeafは音痴だな、ということがわかります。
私の場合は、デフ陸上を知っていたので、tonedeaf 音痴という英単語をすぐにおぼえることができました。
英単語というのは、こういうふうにおぼえると、労力が少なくて済みます。