新しいものを買わないのは、ケチだからではなく、愛情深いから
私はミニマリストです。基本的に新しいものは買いません。ちなみにこちらが私のランニングシューズです。捨てる前の写真だろうって? いや、まだ現役で履いています。
買い替えればいいのに。
ランニングキャップも日焼けしすぎて色が褪せちゃってるよ
ときどき妻に新しいのに買い替えればと言われますが、どうしてもその気になれません。なんで買い替えたくないかというと、ケチだからではなく、愛情深いからです。
いや、ケチだからだろう!?
妻の指摘通りケチかもしれませんが……私にも言い分があります。
たとえばパソコンが壊れたら「かなり高価な、性能のいいパソコン」をただちに買うだろうと思います。ケチだから、というのは、私の心理をどうもちゃんと説明しているとは思えません。
別に新しいものが嫌いなわけじゃないんです。ただ新しいものを買うと、どうしたって古いものの出番がなくなるじゃないですか。
たとえばもはや黒い繊維が白っぽく退色してしまっているランニング用の帽子ですが、私はこの帽子を毎日かぶってランニングをしています。まさにヘビロテです。それだけ愛着ももっています。でも新しい帽子を買ったら、けっきょく古い帽子は出番がなくなるじゃないですか。毎日交互に使うとなると置き場所も二倍必要になりますし、管理に二倍神経を使います。
私はロードバイクに乗るのですが、ときどき数台のロードバイクを持っている自転車乗りがいます。でも二台あると置き場所も二倍になるし、たとえばブレーキシューの減り具合なども二台分管理しなければなりません。ポジションの微調整なども毎日同じバイクに乗っているからこそわかることで、ときどき別のバイクに乗っていたら微妙なポジションなどわからなくなってしまいます。一台を乗りこんでこそ追求できる境地だからです。
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このブログの作者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』のご紹介
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードをガチンコで競うようになるところまでを描いた自転車エッセイ集です。
※書籍の内容
●スピードこそロードバイクのレーゾンデートル
●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。体重ライディング理論。体重ペダリングのやり方
●アマチュアのロードバイク乗りの最高速度ってどれくらい?
●ロードバイクは屋外で保管できるのか?
●ロードバイクに名前をつける。
●アパートでローラー台トレーニングすることは可能か?
●ロードバイククラブの入り方。嫌われない新入部員の作法
●ロードバイク乗りが、クロストレーニングとしてマラソンを取り入れることのメリット・デメリット
●ロードバイクとマラソンの両立は可能か? サブスリーランナーはロードバイクに乗っても速いのか?
●スピードスケートの選手がロードバイクをトレーニングに取り入れる理由
初心者から上級者まで広く対象とした内容になっています。
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このようにローテーションから外れた古いアイテムは、じょじょに使う機会が減ります。使わなくなるとモノは急に古びるのです。
新しいものを買うということは、古いものを現役から退役させるということです。一軍選手を交代させるということです。「新しいものを買う」ことは、結局は「今使っているものを捨てる」と同義です。まだ使えるのに結局は捨てることになるのです。
それが嫌なんですよ。今使っている愛着のあるアイテムを手放すことが。だから新しいものを買おうという気にならないのです。
独身女性のパートナー選び。ミニマリストと結婚した方が幸せになる可能性が高い
これをわかりやすくたとえるために、新しい恋人ができたと仮定しよう。
すでに恋人(古女房)がいるのだけれど、新しい恋人ができたというシチュエーションを想像してみたらどうでしょうか? 器用に気持ちを切り替えられる不倫タイプではありません。両方と器用に付き合えないとしたら、新しい恋人ができたら……けっきょくは古い恋人(古女房)とは別れることになるのではありませんか?
別れないにしても気持ちが半分になることは否めません。
たとえば犬を飼っているとして、飼い犬が老犬になった頃、新しい子犬を買ったら、どうでしょうか? 老犬を今までどおりに全身全霊で愛することは難しくなります。今まで100%だった老犬との時間の半分は子犬と費やすことになります。時間を割くのは愛情を割くのと同じです。
だから……私はもし独身女性がパートナーを選ぶときには、じゃんじゃん新しいものに買い替えるタイプの人よりは、手持ちの古いものを大切にするミニマリストと結婚した方がしあわせになる可能性が高いだろうと思います。じゃんじゃん新しいものに買い替える人は、女(つまりあなた)も新しいものに替えるのではないでしょうか?
新しいものを買わないのは、ケチだからではありません。今使っているものとお別れしたくないからです。古いものへの愛情が新しいものを買うことにセーブをかけているのです。
ちなみに私は貧乏ではありません。新しいものを買わないことで貯まったお金を投資に回して、配当だけで生活できています。どっちかといえば「お金持ち」の部類だと思います。
食料品のような消耗品は、ケチらずに買っています。そこには買うことで古いものとサヨナラするようなジレンマがないからです。
だけどまだ使える古いものがある場合、新しいものは買いません。だって新しいものを買ったら、古いものとお別れしなければならないから。ひとつの出会いは、ひとつの別れです。