目次
ひとり暮らしだったこれまでは、玄関の靴箱の前に立てかけていた。
出入りに邪魔だったが、誰も文句を言う人はいなかった。
しかしとてもじゃないか妻との新居に、玄関にロードバイクは無理だ。
ど、どうしよう~~。
そ、外に出すか~?
果たして室内犬のロードバイクを外飼いできるのか?
「ロードバイクを外で保管するぐらいなら、テレビを捨ててくれ」
結論を言えば、ロードバイクは屋内で保管できます。
室内保管をしやすくする製品がたくさん発売されています。
ロードバイクを屋内で保管するための最大の障壁は、家族の説得に他なりません。
ロードバイクは室内犬。家の中で保管するのが基本
それぞれ快適に暮らしていた独身男女が結婚すると、何もかもがワンセットあまります。
テレビも、冷蔵庫も、洗濯機も、食卓も、1台あれば十分です。
ところがすべて2セットあるのです。
あるとあらゆるものを大量に捨てまくりました。
片っ端から捨てないととても収納できません。
市の焼却場に何度も往復して捨てまくり、ようやく収納できましたが、それでも「狭い」という感覚は消えません。独身時代から占有面積が半分になったのだから当然です。
「狭い」という不快と向き合うことになります。
わずかな居間に食卓とソファを両方置くスペースはありません。
ソファは捨てることにしました。代わりに折りたためるアウトドアチェアを買ったのです。こうして自宅アウトドア生活はスタートしました。
逆にどれだけ狭くなろうともベッドは捨てないことにしました。長年のランナー生活で腰痛持ちの私にはベッドは必需品です。ベッドのスプリングがうまい具合に体の凸凹に合ってくれないと安眠できません。
人生の三分の一をともに過ごす相棒だけは捨てられませんでした。
さて、ロードバイクです。
ロードバイクは軽くて高価なため常に盗難の危機にさらされており、室内保管するのが基本です。
ギアやチェーンが剥き出しで錆びたり傷ついたりしやすいという面においてもやはり室内保管向きです。
ロードバイクは丈夫な室外犬ではなく、かよわい室内犬なのです。
しかしソファさえも捨てるほど狭い新居アパートで、ロードバイクの室内保管が許されるでしょうか。
「玄関の置かせてくれ」妻に提案したが、ひとことで却下されました。

ただでさえ狭いアパートなのに、自転車を室内保管するなんて信じられない。邪魔だよ。ジャマ。じゃま。
そ、そんな。。。( ノД`)シクシク…
ローディーがどれほどロードバイクを大切にしているか、そんなことは妻のイロハには一切理解できません。
理解できないというか、私には関係ない、というスタンスです。自分は乗らないために、一方的に邪魔なだけなのです。
まあ気持ちはわからないわけじゃありません。玄関に妻が巨大なピアノを弾いたりしたら、私はピアノを邪魔だと思うでしょう。
しかし無理解から間違った判断をしていると気づかせることならできるかもしれません。
そもそも妻は自転車は外で保管するものだと頭から思い込んでいます。ロードバイクのことをママチャリのような乗り捨ての消耗品ぐらいにしか思っていないのです。
部屋が広ければ、妻も文句を言わないと思います。
しかしそのスペースがないのです。
玄関以外の場所にロードバイクを置くとして、じゃあどこに置けばいいのか?
実際、その場所にも困っていました。自転車が占める面積はけっこう大きなものがあります。
どこに置いても確かに生活空間を大きく浸食してしまいます。
一番置きたいのは玄関でしたが、出かけるときにいちいち邪魔です。
だいいち自転車が邪魔で靴箱を開けられません。自分だけなら我慢しますが、妻には気の毒です。
第二候補は廊下ですが、何もない廊下の半分が自転車で塞がってしまいます。狭い廊下をカニのヨコバイのようにして歩かなければならなくなります。
「自分の部屋に置いて」にべもなく彼女は言った。
しかしそれは無理でした。ベッドとパソコンと本棚で既に部屋の中はいっぱいです。
だからといって居間に置くわけにもいきません。
ソファもオイルヒーターも食器棚も捨ててやっと確保したリビングスペースです。
そこにロードバイクは邪魔すぎます。
輪行袋に収納して室内保管することにした

室内。室内。ぜったい室内!

ダメったらダメったらダメ。スペースないじゃん。
「ロードバイクを外置きするなんて、室内犬を外飼いするのと同じだ。虐待だ! 動物愛護団体に訴えるぞ」
支離滅裂なことをわめき散らしてみましたが、効果はありませんでした。
メルカリで売ってしまって、いっそロードバイクに乗るのはやめようか?
真剣に検討しました。
維持できないのなら、手放すしかありません。
しかし、維持できないようなシロモノではありません。
どうせまた乗りたくなるに決まっています。
いっそアパートの共用駐輪場に止めようか。。。そんなことまで頭によぎりました。
いや、ない。ない。ありえない!
そんなところに停めてあるのは「捨てる前提」のロードバイクばかりです。
どうぞ盗んでください。傷つけてください。と言っているようなものです。
どうしても室内保管にこだわった私は、タイヤを外し、ロードバイクを解体して、輪行袋に詰めた状態を妻に見せてみました。

ほら。これでどう? ロードバイクは輪行袋に詰めればこんなに小さくなるんだよ。知らなかっただろう?
そのままだと大きな自転車も、ホイールを外してフレームの横に括り付けたら小さなスーツケースぐらい大きさになります。

むむむ。そのサイズなら何とかOK。隅っこの方に置いて
ヒャッホー!
室内保管のお許しが出ました。
輪行袋さん。ありがとう。
これで問題解決です。
ようやく室内保管の許可を得て、なんとか愛車ロードバイクの保管にめどがたったと思い込んでいました。
ところが………
輪行袋から、いちいち組み立てるなんて、面倒くさい
結果として、全然ロードバイクに乗らなくなりました。
なぜって乗るためにはいちいち輪行袋から取り出してロードバイクを組み立てないといけないからです。
扇風機を使いたい時に、毎回、段ボールから取り出して組み立ててから使わないといけないのと同じです。
夏のあいだ、そんな扇風機の使い方をする人は誰もいません。面倒くさい。現実的じゃない。
輪行袋から取り出してバイクを組み立てるなんて、毎回やるにはとてつもなく面倒くさいことです。
これまでは一人暮らしだったために、ロードバイクは玄関に乗り入れる形で保管していました。
そのために乗ろうと思えばすぐに乗れたのです。
それが今では輪行袋から取り出して、紐を外して、ホイールをはめて、チェーンを噛ませて、ブレーキの位置からシフトワイヤーのテンションまで乗るまでにいちいち調整・点検しなければなりません。
メンドくさっ!
ただでさえロードバイクはサイクルパンツをはいたり、ビンディングシューズを履いたり、タイヤに空気を入れたり、ヘルメットをかぶったり、乗るのが面倒な乗り物なのです。
サンダルで乗れるママチャリとはまったく違います。
乗るだけでも面倒くさいのに、戻ってからもまた面倒です。
汗だくの体をシャワーで洗った後で、また輪行袋にしまわなければならないのです。手が汚れます。
私ハルトはランニングもやっているので、それだけ自転車に乗るのが面倒くさいと、走る方を選んでしまいます。
ランニングに比べたら、お手ごろさがあまりにも違いすぎます。
ランニングシューズを履けばすぐにはじめられるランニングに対して、輪行袋から取り出して調整しなければならないのでは時間がかかりすぎます。
輪行袋で室内保管はいい案だと思っていたのですが、いちいち面倒くさすぎるという大欠点がありました。
せっかくの高級自転車も乗らなければ邪魔な置き物にすぎません。
ロードバイクは乗ってナンボのシロモノです。
お手軽に乗るためには、そのままのかたちで保管することが絶対に必要でした。
やはり外に保管するしかないようです。
果たして室内犬は外で飼えるのか?
もといロードバイクは室外で保管できるのか?
室内犬を外で飼えるか? ロードバイクを外で保管できるか?
輪行袋から取り出すのが面倒で乗らないというのでは話しになりません。ロードバイクは飾りの置き物ではないのです。私は何とかロードバイクを外置きできないか、考えるようになりました。
外置きならば面倒な準備なしにすぐに走り出すことができます。
しかしロードバイクを外で保管できるものでしょうか?
ロードバイク外保管の敵は「雨」と「盗難」です。
我が家のアパートの踊り場を眺めてみると、非常に条件がいいことに気づきました。
私のアパートは二階建てアパートの二階です。奥のどん詰まりなので、玄関前のスペースは厳密には私たちの空間ではありませんが、そこを使う人は私たちしかいないため、占用しても誰も文句を言う人はいません。
共有スペースですが、実質、自分たちの専用スペースのようなものです。
ここにロードバイクを地球ロックしても文句を言う人はいないはずです。誰の邪魔にもなりません。
ここならば、なんとかロードバイクを外置きできるのではないか?
さらにその場所は、ちゃんと屋根があります。濡れる心配がないのです。
室外保管できないこともないかな、と私は思いはじめました。
かすかですが、希望の光が見えてきました。
不本意でしたが、試してみることにしました。
さすがにロードバイクをむき出しに置くことはできません。
ホームセンターで買ってきたブルーシートでロードバイクをすっぽり覆います。
風が運んでくる埃からバイクをガードすることができます。
チェーンのオイルにゴミが付着してしまうかもしれませんから覆いなしでは保管できません。
屋根があるので雨が入り込む可能性は低いのですが、ブルーシートを被せれば雨避けにもなります。
これでブルーシートと地球ロックを外せば、いつでも乗り出せます。
久しぶりに乗ったロードバイクの気持ちよかったこと。よかったこと。
久しぶりに飛んでいるスーパーマンの気持ちを味わいました。ヒャッホー!!
ロードバイクも屋外でなんとか保管できるものなんだなあ、と思っていました。
妻からの苦情もなく、私も不満なく、快適なロードバイク生活がしばらく続きました。
台風の直撃でロードバイクがボロボロに
ところがある夏の夜、アパートを台風が直撃しました。2019年の台風15号です。
夜中、雨戸がガタガタ鳴って「すごい風だなあ」と思っていましたが、そのまま寝てしまいました。
翌日、玄関前にロードバイクが倒れていました。台風の強風でバイクは倒れ、倒れたときにフレームにすり傷が入っていました。
ぐっしょりと雨にも濡れていました。本来、雨には濡れないはずの場所ですが、横殴りの強風が雨粒を運んできたのです。
私は愛車ロードバイクが不憫でなりませんでした。
どうして愛車に名前があるのか? どうして磨き上げるのか?
別に高級品だからってわけじゃありません。
サムライが戦場におもむく前に、武具を磨き、肌着をきれいなものに着替えるのと同じです。
すぐに焼却炉で燃やしてしまう棺桶が美しいのは何のためなのか。
もしかしたらローディーはロードバイクの上で死ぬかもしれません。
集団走行の中で、いつ落車するかわからない瞬間のことが妻にはわかりません。
死はともかく、骨折ぐらいは覚悟していないロードバイク乗りがいるでしょうか?
もしかしたらロードバイクは死ぬ瞬間の相棒かもしれないのです。
その愛車が風雨にさらされてボロボロだなんて……。
これまで愛されて室内でぬくぬくと過ごしてきたのに、部屋が狭くなったばっかりに外に出されて雨風にさらされて、ピカピカだったからだに傷がついてしまった。
このままでは錆が浮いてくるのも時間の問題でしょう。
古びて、顧みられず、やがて捨てられるのです。
愛車スピットファイアを悲惨な運命から救い出せるのは飼い主である私しかいません。
かといって、再び、狭い室内ゲージ(輪行袋のことです)の中で飼うこともありえません。
「ロードバイクを外置きするぐらいなら、テレビを捨てろ」
即座に私はロードバイクをアパート内に持ち込みました。廊下にブルーシートを敷いて、バイクスタンドにロードバイクを立てかけました。もちろん妻の許可なしで。
妻は「狭い、邪魔だ」と文句を言いました。
しかし今回は私の覚悟が違います。
「アパートが狭いからって、ロードバイクを外置きするぐらいなら、テレビを捨ててくれ」
キッパリと私は言いました。本心です。私にとってはテレビよりもロードバイクの方が大事でした。
フレームについた傷を見せながら、絶対に室内保管する決心を告げると、妻も納得してくれたようでした。
ひろびろとしていた廊下は狭くなりましたが、そこにスピットファイアは王者のように鎮座しています。
ロードバイクは芸術作品、オブジェでもあります。
妻にそれがわかるといいのですが………。
ロードバイクを室内保管するにあたっての最大の壁は家族の説得
紆余曲折を経て、どうにかロードバイクを室内保管することができました。
狭いアパートで暮らすロードバイク乗りの方は、私のように室内保管を躊躇している人もいると思います。
たしかにロードバイクを室内に入れると「急に狭く感じます」。でもベッドや食器棚ほどではありません。
ロードバイクを室内保管するにあたって最大の障害は家族の説得です。
「自転車は外!」という先入観をもっている家族に「ロードバイクは室内保管が常識」と意識を変えてもらうことが必要です。
私の場合は、テレビを捨てて、その場所にロードバイクを保管しようとしました。
その言葉で、妻にとってテレビが必要なのと同じように、私にとってロードバイクが必要なのだとわかってもらえました。
ちなみに私はテレビをほとんど見ません(笑)。
家族さえ説得できれば、ロードバイクは屋内で保管できます。
ロードバイク室内保管用スタンド3選
ロードバイクの室内保管の難易度を下げるサイクルスタンドがたくさん売られています。
いろいろなタイプがあるのですが、厳選して3種類をご紹介いたします。
愛車の室内保管の参考にしてください。
メンテナンススタンド
もっともベーシックで安価なロードバイク用メンテナンススタンド。後輪を浮かせて固定します。
室内保管目線でのデメリットは前輪が浮いていないこと。
床置きなので、タイヤの下に何かを敷かないと部屋が汚れます。
ローラー台
どうせ床置きならばいっそローラー台に乗せてしまうという手があります。私も独身時代はこの手をつかっていました。
ZWIFTというバーチャルサイクリングでゲーム感覚でトレーニングしながら保管できます。
前輪も「前輪置き」の上に載せるので床は汚れません。
ローラー台を使用する場合、アパートだと近隣からの苦情に注意が必要です。
「防振・防音マット」の上でペダルを回しますが、ある程度の音と振動は避けられません。
なによりも家族の理解を得ることが最大の難関になってきます。
縦置き用スタンド
ロードバイクを横に置くから「狭っ!」と感じてしまうのです。バイクを立てて置けば意外なほど端っこの方に収納できます。ときどき人混みの中を後輪だけでロードバイクを立てて押している人を見かけますがあの感覚です。
床置きだと通路を塞いでしまうような場合、縦に置けば通路が確保できることがあります。非常に重宝します。
まとめ
ロードバイクは屋外保管できるのか?
その質問に対する答えは「できる。でもやらないほうがいい」です。
ママチャリは室外犬、ロードバイクは室内犬。
家族さえ説得できれば、縦置きするなどして、なんとか愛車を雨風から守ってあげてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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