時代が後ろから追いかけてくる男
時代が自分の後から追いかけてくるなあ、と思うことが私にはよくあります。
自分のブームが、世間で遅れてブームになる、というようなことがこれまでに何度もありました。
ムーブメントの先駆者が語るファイアのやり方
オピニオン系ブログ『ドラクエ的な人生』で、私はいろいろな意見を開陳してきましたが、なかでも白眉な哲学は以下のふたつだと思っています。
唐辛子実存主義。
今この場所この瞬間を旅先のように生きる。集団よりも個を優先する生き方【トウガラシ実存主義】
遊民主義も、トウガラシ実存主義も、放浪のバックパッカーとして旅先の路上をさまよい歩く中でたどり着いた境地ですが、この境地は最近ブームになってきつつあるファイアの概念にそっくりです。
まさに時代が私の後ろから追いかけてきたという感じです。
ファイアというのは、FIRE (Financial Independence, Retire Early)経済的に独立して、はやめにリタイアするというアメリカ発のムーブメント。
FIREの行動パターンはユーミン主義であり、考え方の基本にあるのはトウガラシ実存主義です。真似すんな、と私は言いたい(笑)。
現在のFIREムーブメントは、リタイアの先の生活をミニマムな生活においています。「ぼくたちはもうモノはいらない」ってわけですね。
ミニマリズムは経済的にペイするために必要な選択肢であるだけでなく、お金よりも時間を大切にするという哲学的な生き方です。
買わない選択をすることでモノをなくせば、お金に余裕ができます。お金に余裕ができれば仕事をやめることができて、時間に余裕ができます。その時間で自分の夢を追いかけるのです。
一回きりの人生を、本当にやりたかったことをやって過ごそうというのがミニマリズムの本質です。そしてFIREの本質でもあります。
ブラックな労働環境で仕事を辞めたいという熱望からこの境地に至るミニマリストが多いようですが、私は海外放浪の貧乏旅行の中でこの境地にいたりました。
アジアのバックパッカーは社会復帰できない。東南アジアでは、ちゃんと定職ついている人が貧しく、ちゃんと働いてない人が豊かに見える
いわば私はFIREムーブメントの先駆者だといってもいいのではないでしょうか。
ファイアの先駆者として、ここではFIREのやり方、大切なことについて語ろうと思います。
「誰にも邪魔されることなく一人で自由気ままって、すてきなことと見えるかもしれないけれど、何の反響もないって、やがては虚無、孤独、実りのなさ、さみしさ、何かが実っても意外に満足感がないことを知ってる? 自分の存在を自分しか認識しないなら、存在しても存在していないようなものでしょ。一緒に歓びをわかちあってくれる人がいないなら、歓びも空しい」
FIREに最も必要なのは「自分はどこでも、何をやっても生きていける」という心もち
FIRE (Financial Independence, Retire Early)という言葉・概念を私自身が聞いたこともない時代から、私はFIREムーブメントの実践者でした。だから私の言葉は人から学んだり真似たりしたものではありません。自分の体験・哲学に従って生きた結果、たまたまFIREムーブメントの先駆者になってしまったのです。
私の考え方のベースにあるのは「海外放浪の経験」に他なりません。
多くの人はFIREに必要なのは「金」「貯蓄」だと思っていますが、実践編ではそうではありません。
もっとも必要なのは「自分はどこでも、何をやっても生きていける」という感覚です。その感覚がFIREを後押ししてくれます。それがなければいくら貯金があっても仕事を辞めることなんてできません。
私はこの心構えを放浪の貧乏旅行の中で身に付けました。暮らすように旅をして、旅するように生きることを、ずっと繰り返してきたのです。そしてやがて日常生活までも旅の延長だと考えるようになりました。
自分よりもはるかに貧しい国の、はるかに貧しい人たちをたくさん見てきました。そんな彼らが生き抜いているこの世界です。自分がきっと大丈夫だという旅人としての感覚が私にはあります。
安定した狭い世界の中で生きているサラリーマン生活しか知らないと、給与にたよるしか自分が生きていくすべはないと思い込んでしまいます。しかし目を外に向ければ、サラリーマンじゃない人なんてこの世界にはいくらでもいます。日本にだってそういう人はたくさんいます。
まずその事実を知ることです。
そして、フルタイム勤務のサラリーマンから、いっきにご隠居さんになろうとしないことです。
生活費を季節労働で稼ぎながら旅を続ける旅人のように、まずはフルタイム勤務をやめて、パートタイム労働者にシフトすることからはじめてはいかがでしょうか。
ブコウスキー「作家ごっこをしながら餓死するか。わたしは餓死することに決めた」
無頼の詩人チャールズ・ブコウスキーは、長年勤めた郵便局をやめる際にこういいました。
「わたしには二つの選択肢があった。郵便局に居続けて気が狂うか、作家ごっこをしながら餓死するか。わたしは餓死することに決めた」
無頼の詩人ですら最初の一歩を踏み出す時には勇気が必要でした。そして「夢」です。
ブコウスキーの夢は「作家になること」で「立派な郵便局員になること」ではありませんでした。その夢が彼の背中を押したのです。
「金銭の不安のない、早期リタイア」は、仕事をしたくないとか、ツライ、止めたい……といったネガティブな動機から行っても、うまくいかないのではないかと思います。
旅するように生きていきたいからとか、夢を追いかける時間が欲しいから……といったポジティブな動機でないと、リタイアした後の生活がうまくいかないだろうと思います。
「自由の刑」に耐えられるか? やりたいこと、ポジティブな動機はあるか?
「自由の刑」という言葉がある通り、すべて自由になった時間は、あなたの責任で充実したものにしなければなりません。心が負けた者、サラリーマン生活からの逃亡者には、この責任を果たせないのではないでしょうか。
「小人閑居して不善を為す」という言葉もあります。人間は暇になるとえてしてよくないことをしてしまうものだ、という意味です。
実際に私の周囲にも早期退職したのはいいが、やることなくて暇すぎて、職場にアルバイトの身分で戻ってきた係長がいました。一年間で正職員からパートさんに格下げです。自分の意志で止めたのに、自由の刑に耐えられなかったんですね。
早期退職して何をするのか? 若隠居してやることがあるのか? 大切なのはそこです
あなたはどうですか? だいじょうぶ? 実はFIREして一番大切なのはここです。
ネットサーフィンやサブスクリプション動画視聴ならまだマシですが、パチンコとか、無駄な買い物とか、アル中とか、そうなりがちなのが、やりたいことのない人間です。
FIREに憧れるのはけっこうですが、あなたは大丈夫ですか?
早期退職して何をするのか? 若隠居してやることがあるのか? 大切なのはそこです。
ブラックな労働環境から逃げ出したいというだけのネガティブな動機ではFIREは失敗すると思います。
「おれにはやりたいことがある」
燃えるような心でそう思える人でないと、FIRE生活は失敗に終わるでしょう。
もしもやりたいことがあるのなら、さあハートに火をつけよう。FIRE!!!!!
FIREに失敗したら? ダメなら転職サイトもある。まずはトライ
とにもかくにもFIREしてみたいと思ったら、安定した生活を捨ててトライしてみることです。新しい場所には、新しい場所の生き甲斐が待っていることでしょう。
運命に導かれる生き方をしよう。失意の場所で、今まで以上の幸せを探すことが運命を生きること
最悪、失敗だったとしても、また就職すればいいのです。終身雇用制はもはや過去のものです。現在は転職エージェントが充実しているので、会社をやめても大丈夫です。
転職サイトに登録しておけば、いつでもサラリーマン生活に戻ることができます。
人生はいつでもやり直すことができるのです。
投資のイロハについて。
投資信託とETFの違い。eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とVOOを例に説明します。
後輩諸君の健闘を祈ります。