ロバート・ハリス『ワイルド・アット・ハート』の魅力・あらすじ・解説・考察

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心の放浪者アリクラハルトの人生を走り抜けるためのオピニオン系ブログ。

書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。小説『ツバサ』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

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ロバート・ハリス『ワイルド・アット・ハート』の魅力・あらすじ・解説・考察

ここではロバート・ハリス著『ワイルド・アット・ハート』の魅力・あらすじ・解説・考察について書いています。

赤字はわたしの感想、黄色は本文からです。

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このブログの著者が執筆した純文学小説です。

「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」

「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」

本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

Amazon.co.jp

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作品の詳細。ボヘミアン・ヒッピーというカウンターカルチャー

この国は何か変なふうに変わってしまったな。

作者のロバートハリスが何を基準にものをいっているかというと、1960年代後半いわゆるヒッピーの時代を基準にしています。ボヘミアン・ヒッピーというカウンターカルチャーの目線で、文化論を述べる人なのです。

どんよりした表情の人。あいかわらず夜遅くまで働かされている。

満員電車に乗らなかった人には、乗った人がこのように見えました。

オルタナティブな理想をかかげるカウンターカルチャーという知性

格差社会、DV、幼児虐待、親殺し、猟奇殺人、オレオレ詐欺、いじめ、自殺、談合、環境破壊、政治不信、地球温暖化、ネットカフェ難民

お金イコール幸福というクレイジーな方程式。

ヒッピーというのはお金はないけど頭がフラワーな人たちのことです(笑)。ダイダイのシャツにジーンズ、サンダル。散髪いらずの長髪にヘッドバンド。……ベジタリアンや自給自足に走る人も多い。とにかくお金のかからない人たちです。お金イコール幸福とは考えない人たちのことです。

ぼくなりの今の社会の流れに対するオルタナティブ・サジェスチョン。昔いっしょに遊んだ悪ガキに向けて書いたぼくなりの遺言。

お金よりは自由になる時間。モノより教養、情報より文化を大切にしよう。

人間が人間としてゆとりをもって、精神的にも豊かに暮らしていけるのか。

現実を変えられないのだから、現実を見る眼を変えよう。

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『いちご白書をもう一度』フラワームーブメントは敗れ、ほとんどの人はサラリーマンとなった

団塊の世代と呼ばれたヒッピー世代は、若者たちの力で世の中を変えられると信じた人たちでした。しかしフラワームーブメントは破れ、ほとんどの人はサラリーマンとなったのです。この間のことは『いちご白書をもう一度』という歌がよく表現しています。

あれほど力があった団塊世代が、どうして社会のお荷物のようにいわれてあまんじているのか。本書はロバートハリスの同世代に向けてのアジであり、若者へのサジェスチョンなのでした。

生活のダウンサイジング。時間を自由に使うことで。生活は驚くほど質素だが、王様のように優雅に生きている。

真の贅沢とはお金じゃなく、自由になる時間だ。自分の自由になる時間がいちばん貴重だ。質素な暮らしにすれば、働いている分の時間を、自分の好きなことにあてられる。

お金持ちよりも時間持ちの方がリッチな生活が送れる

贅沢品はなかったけれど、優雅に流れる時間はふんだんにあった。

「通勤電車に乗ったやつ」「乗らなかった奴」で二分すると、刹那的な享楽に溺れ、おいてけぼりをくらった人種にしか見えなかった。その人物がいまずっと勝ち組を自負してきた奴らにうらやましがられている。自由気ままにやりたいことをやりつづけてきたからだ。自分のスタイルを変えずにやっていく。いかに今を楽しんでいるかが最大のテーマ。

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『ティファニーで朝食を』の名刺。「ホリー・ゴライトリー。旅行中(トラベリング)」

自分の中が整ってさえいれば、どんな人生が待っていても大丈夫。

トレーラーハウスを買って国内を旅してまわる。ほとんどが年金生活者だ。パーペチュアル・トラベラー=永遠の旅人。

映画『ティファニーで朝食を』で主演したオードリー・ヘップバーンのホリー・ゴライトリーを思い出しました。彼女の名刺にはただ一言「旅行中(traveling)」と書いてありました。かっこいい!!

幸福の度合いというものは、個人個人の認識に過ぎない。

持ち物の九割は必要じゃなかった。なくたって生きていける。手ばなさないのは本ぐらいだと思う。

無数の選択肢や生き方があるだけじゃなく、いくつもの側面を持った自分も実感した。

自分の中から何も声がわきあがってこないときは、いったんそこから逸脱してみるといい。

ビジョン・クエスト。ウォーク・アバウト。通過儀礼、自分の一生の志を探し求めるもの。

ビジョンクエスト、ウォークアバウトというのは成人式の儀式みたいなものです。「試練の山」をクリアして大人になる、という通過儀礼です。

本当の幸せというのは愛する人々と一緒に時間を共有することなんだな、と身にしみてわかる。肝心なのは今を楽しむことだ。今について話す。

国によって異なる幸せの原理。

モノよりも感動に比重をおいてシフトしていこう。

旅先では裸の自分、素の自分で人々と付き合っていくと面白い。

リゾートのプールサイドで分厚い文芸書を読み、暑くなると泳ぐスタイル。一番優雅で贅沢な休暇の過ごし方だ。

やっぱりドロップアウトする人生の方がいいな。

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読書もまたひとつの旅である。

自分がどこにいようと、頭の中でちょっと想像力を働かせれば、誰もが好きな場所、時代、空間を自由に旅することができる。自分の頭の中で旅ができる本がいっぱいある。

読書もまたひとつの旅であるってことですね。このブログは旅系ですが、書評もしています。ロバートハリスと同じように読書をひとつの旅だと考えているからです。書評の中でおすすめなのはこちらです。興味があればご覧ください。

『サド侯爵夫人』三島由紀夫の最高傑作

『月と六ペンス』サマセット・モーム

自分の好きなことから始めればいい。何かを残せるかもしれないし、自分が貪欲であれば周囲にもその熱意や生きる力は伝わるものだ。自分が楽しんでできない、誇りをもって取り組めない活動は、何もいいものは生み出さないからだ。

特別な目的も、理由もなく過ごしてみる。

眠ってしまった冒険者たちへ。定住志向、守ることを選択した人生がダメにした。

旅人の孤独感、さびしさと開放感が入り混じった複雑な気持ちになる。

守りの姿勢を捨てて、自分の欲望に忠実に生きる選択をすることで、これからの人生が余生ではなくなる。

ある人にあう靴も他の人には窮屈である。あらゆるケースに適用する人生の秘訣などない。(ユング)

好きなことをやったらいいじゃないか。やってみたらいい。一度でも働いてみれば、どんなに金儲けがたいへんかがわかるだろう。

ジェラスになり、ついには愛想をつかされてしまった。

おれもいまだに女の子のことはよくわかんないよ。

大きい魚をつりあげるときは、ゆっくりゆっくりやらなきゃダメだよ。

失敗を自分の汚点や心の傷にすることはなかった。

ひとつひとつの恋愛は道の国への旅と同じで、次に何が起こるかもわからない。だから恋ってすばらしいのだ。

弱い自分と対峙することを恐れてはいけない。向き合わなきゃだめだ。

荷物をたくさん抱えすぎてしまうと、やがては重荷になり、足かせになる。

親の物語、親の生き方、家族から受け継いだ物語がある。共有した時間の大切さをわかってもらえればいい。愛情はためるものじゃない。次の世代へバトンタッチしていくものだ。こういったものは、たくさんあればあるほど人生が豊かになる。感動した記憶や楽しい思い出を色褪せることなく持ち続けることができたら。一緒に過ごした楽しい時間。愛の連鎖があるから、人間って無償の愛をあたえられるのだと思う。

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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。

「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」

「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」

※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。

アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

https://amzn.to/44Marfe

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自分の生きた証を伝えたい気持ちは、人間の根源的な欲求のひとつだ。どんな人でもどこかに非凡な波乱に満ちた部分はあるはずだ。幼年時代の思い出、失恋の傷みとか、人生で出会ってきた忘れ得ぬ仲間たち……。

自分の考えた通りに生きなければならない。そうでないと、自分が生きた通りに考えてしまう。

そろそろ会社勤めも潮時かもしれないぜ。おまえが本当にやりたいことは何なんだ?

美大生、アーティスト、ボヘミアン、ジャンキー、ドラッグディーラー、ニューハーフ、ファッションモデル、ギャングの大物、最高裁の判事、ヌードダンサー、パフォーマンスアーティスト。パンク。料理評論家、社会学者、弁護士、娼婦、ゲイの活動家、チリの知識人。トップレスバーのウェイターにバーテンダー。あらゆる種類の客。

ブックショップをたたむまでの五年間。カタログ販売。読み漁ってはオーダーする毎日。人々に憩いの場を提供した。あわただしい、熱気とカオスに満ちた日々を送った。一番の宝物はなんといっても人間との出会いである。たくさんの人々を愛し、たくさんの人々から愛された。

ゲイ小説を山ほど買っていった。ディスカウントで売りさばいた。

展覧会の落選展。自分で売る力を身につけてほしかった。

楽しみに金のかからない人がもっとも幸福である。ヘンリー・デビット・ソロー

後につきあうことになるのだが、真相をベッドの中で聞いた。

本物のプロってやつはとにかくケタ外れに強い。レベルが違いすぎる。

ハッタリをかますなら、周囲の記憶に残るくらい大風呂敷を広げないと。

もう日本人のシーンは全部おまえが演出しろ。おまえが日本人の台詞も書いてみろ。

勢いがあるときは迷ってちゃだめだ。

仕事の上での人間関係の調整。

自分だけが社会からまったく必要とされず、つまはじきにされている気分だ。

自分が楽しむのが一番。

よく出入りするカフェバーの常連客のマドンナ的存在。

欲しいものを買うな。必要なものを買え。必要でないものには何の価値もない。

旅に出たら素の自分しかなくなる。人間、意外な素顔が見えた方がおもしろいし、親しみもわく。

素顔をさらして守るものがないほうが人間は強くなれる。

自分のスタイルを裏切るような仕事はしちゃいけない。一生我慢料をもらい続けるような生き方はごめんだ。自分が考える一線を超えた指示に対しては迷わずノーというようにしている。自己嫌悪に陥りたくないからだ。

なるべくたくさん旅をして本を読んで映画を見て人と話して恋をして情熱的に生きることだ。

社会やオーソリティーに反発。

いかに自分の引き出しを多く持っているか。

人をエンターテインすることが根本的な仕事だが、できることなら、深みと味をもって遂行していきたい。

最初の高揚感や興奮がおさまれば、人は元の自分に戻る。嫌な奴は嫌な奴に、暗い奴は暗い奴に戻る。

世の中をあまく見るな。ロマンをもつな。理想を持つな。そんなことばかり言い続けて人のやる気をそぐ。

一般のサラリーマン社会ではほとんど通用しないキャリアしかなかった。おれは人生に失敗したんだろうか? おれは社会に必要とされていないのだ。

悪夢を見て、自殺を考えた夜(ダイヤモンドヘッド232mに登れなかった女のキナバル山4095m登山挑戦記)

一生懸命がんばっても、うまくいかないときはいくらでもある。

おれは今まで普通の人間の何倍もの人生を歩んできた。おれの中には語るべきものがたくさんある。だからこのまま埋もれるはずがない。

なぜできるようになったかというと、ひとえにトライし続けたからだ。場数をこなしてきた成果だと思う。苦手意識なんてのは持たない方がいい。いくつになっても克服できる。

傷つくのを恐れ、自分の殻に閉じこもる。人間は日ごろから感情の流れをよくしておくべきなのだろう。気持ちを抑圧したり、ため込んだりしてはいけないのだ。悲しいときはちゃんと悲しみ、悔しいときには悔しがる。怒りたい時も適度に怒った方がいい。泣いたり、わめいたりしながら、マイナスのエネルギーをプラスのエネルギーに変えて、何とかはい出していくのだ。

プライマル・スクリーム(原初からの叫び)

人生をより楽しく生きたいのなら、五感を全開にして心も全開にすることだ。ボロボロに泣きわめき、鼻水たらして本音をぶちまける。ハートブレイクな状態は、胸が張り裂けるようなといった比喩ではなく、文字通り本当に心臓が痛いことだった。

いい交友関係を築くには、他人に対してどれだけ自分がオープンになっていけるかだ。

人との出会いの向こうには、必ず別れが待ち受けている。でもだからこそ、ぼくはこの一生を、一人で、自分の殻に閉じこもって終わらせたくない。この世には、人と一緒に感動したり、驚いたり、手を叩いたり、涙を流したりしたくなるような素晴らしいことが山ほどある。彼らと人生におけるいろいろな瞬間を分かち合い、それを楽しんでいくつもりだ。

無能が私の根源だ。

崖っぷちを歩きながら、にやにや微笑む僕。危機感や不安感を抱きながらそれを楽しんでいる僕がいる。人生に頭から突っ込んでいくような生き方。危機感、不安感が心のどこかで渦巻いていても、人間なるようにしかならない。運命の波にさからわないことだ。

特定の枠内に属さないと不安になる。ムラ社会的な国民性。おまえら、本当にバカじゃないか?

自分の本当のポテンシャルや、心の奥底に秘めた願望を、いつの間にか忘れてしまい、社会的なペルソナを演じているだけに過ぎない。

どこかでロックしてないとね。

大好きなジャンルの執筆だって、産みの苦しみはある。楽に片付く仕事などありえない。

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このブログの作者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』のご紹介
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードをガチンコで競うようになるところまでを描いた自転車エッセイ集です。

※書籍の内容

●スピードこそロードバイクのレーゾンデートル

●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。体重ライディング理論。体重ペダリングのやり方

●アマチュアのロードバイク乗りの最高速度ってどれくらい?

●ロードバイクは屋外で保管できるのか?

●ロードバイクに名前をつける。

●アパートでローラー台トレーニングすることは可能か?

●ロードバイククラブの入り方。嫌われない新入部員の作法

●ロードバイク乗りが、クロストレーニングとしてマラソンを取り入れることのメリット・デメリット

●ロードバイクとマラソンの両立は可能か? サブスリーランナーはロードバイクに乗っても速いのか?

●スピードスケートの選手がロードバイクをトレーニングに取り入れる理由

初心者から上級者まで広く対象とした内容になっています。

Amazon.co.jp

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守りに入らない。焦らない。欲をかかない。運を呪わない。神を冒涜しない。嫌な奴にならない。一番いいのはゲームを楽しむこと。ギャンブルの場では、ほくそ笑む奴が一番嫌われる。

負けが込んできたときは、誰も見ていないところで思い切り歯ぎしりしてくるといい。

この際、封印したまま捨ててしまおう。本当に残すべきなのはモノではなく物語だ。残すのは思い出だけでいい。

毎日があつかった六〇年代の自分と再会できるかもしれない。もう一度、ハートに火をつけてみようじゃないか。

ロバート・ハリス『人生の100のリスト』

ロバート・ハリス『地図のない国から』放浪の魂を読む。

ロバート・ハリス『ワイルドサイドを歩け』walk on the wild side.

ロバート・ハリス『エグザイルス』

『ぼくは日本兵だった』J・B・ハリス。とにかく「音」で必死に日本語を覚える。

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★★

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。
●◎このブログの著者の書籍『市民ランナーという走り方』◎●
書籍『市民ランナーという走り方』Amazonにて発売中
雑誌『ランナーズ』のライターだった筆者が贈る『市民ランナーという走り方』。 「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか? いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状打破、自己ベストの更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。 ●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何? ●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム? ●ピッチ走法とストライド走法、どちらで走るべきなのか? ●ストライドを伸ばすための「ハサミは両方に開かれる走法」って何? ●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは? ●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は? 本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く効率的に走ることができるようになります。 ※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。 あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
https://amzn.to/3CaR81P
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●◎このブログ著者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』◎●
書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
https://amzn.to/3OBWtUR
書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
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◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

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私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
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●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
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●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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