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わたしはマレーシア・マラッカに行く飛行機の中でずっと本を読んでいました。サマセット・モームの『月と六ペンス』。超名作です。かつては世界中で読まれた大ベストセラーだったとか。。。どうして急に読もうと思ったのか? それは……マラッカといえば夕日です。夕日といえばサンセット。サマセットでしょ!
というダジャレでもう一度読み返すことにしたのですが……本を読む動機なんてこの程度でいいのです。
読むのはもちろんはじめてじゃありませんでした。わたしにとっては忘れられない名作のひとつです。
熱帯雨林地方の気候が舞台ということも、マラッカの旅のともに「月と6ペンス」を選んだ理由のひとつです。
筆者自身によるYouTube読み聞かせ【お話し】はこちらをご覧ください。
傑作が燃えて灰になっても、すばらしい世界は今も目の前にある
オリジナルの自然が残っているから、絵の方は燃やしてもよかったんじゃないのかな、というのがわたしの感想です。絵は世界を鏡に映しただけに過ぎません。
作品は自然の偉大さを映し出したに過ぎず、作品が燃えてなくなっても、オリジナルの世界がある限り、何ら損なわれるものはない、ってことではないでしょうか。
だから『画家にあるのは描き上げた解放感だけ。自分の楽しみのために絵を描くのであって、ほかの目的をもって絵を描こうとする者がいれば、それが大ばか者だ』って話になるんじゃないかと思います。
ストリックランドの絵は、いつかどこかでまた再現されのです。他の誰かの手によって。
だってすばらしい世界は今も目の前にあるのだから。
【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのサンダルマン・ハルトと申します。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
初マラソンのホノルル4時間12分から防府読売2時間58分(グロス)まで、知恵と工夫で1時間15分もタイム短縮した頭脳派のランナー。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。月間走行距離MAX600km。ランニング雑誌『ランナーズ』の元ライター。『言葉の力で肉体を動かす(市民ランナーという生き方)』(グランドスラム養成講座)を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。江戸川左岸の撃墜王(自称)。スピードが目的、スピードがすべてのスピード狂。ロードバイクって凄いぜ!!
山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。ソウル日本人学校出身の元帰国子女。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。
人生には『仕事を辞める』という選択肢があります。

物語のあらすじを述べることについて
物語のあらすじを述べることについての私の考えはこちら。

私は反あらすじ派です。
作品のあらすじ、主題はあんがい単純なものです。
要約すればたった数行で作者の言いたかった趣旨は尽きてしまいます。
たとえば「作者は、死すべき人間だったとしても、運命を受けいれて、短い命を燃焼させて、その中で人間らしく充実して生きることを訴えたかったのです」とか。
世の中にはたくさんの物語がありますが、主役のキャラクター、ストーリーは違っても、要約した趣旨は同じようなものだったりします。
たいていの物語は、主人公が何かを追いかけるか、何かから逃げる話しですよね?
生まれ、よろこび、苦しみ、死んでいく話のはずです。
あらすじは短くすればするほど、どの物語も同じものになってしまいます。
だったら何のためにたくさんの物語があるのでしょうか。
あらすじや要約した主題からは何も生まれません。
観念的な言葉で語らず、血の通った物語にしたことで、作品は生命を得て、主題以上のものになるのです。
作品のあらすじを知って、それで読んだ気にならないでください。
作品の命はそこにはないのです。
人間描写のおもしろさ、つまり小説力があれば、どんなあらすじだって面白く書けるし、それがなければ、どんなあらすじだってつまらない作品にしかならないのです。
しかしあらすじ(全体地図)を知った上で、自分がどのあたりにいるのか(現在位置)を確認しつつ読書することを私はオススメしています。
作品のあらすじや主題の紹介は、そのように活用してください。
この記事がみなさんの読書ライフの良質な旅の地図になることを願っています。
作家にあるのは書き上げた解放感だけ
まず主人公ストリックランドのモデルは画家のポール・ゴーギャンだということを前提として頭に入れておいてください。
サラリーマンだった画家の主人公ストリックランドは、突如、画家になります。いろいろあって最後はタヒチに行くのですが、不治の病で失明してしまいます。
視力を失いながらもストリックランドは、木の家の壁一面に『秘められた自然の深みにわけ入り、美しくも恐ろしい、知ってはならない秘密を探し当てたような』生涯の大傑作を描きあげるのです。
『雄大で冷淡、美しく残酷な大自然への賛歌のような、黒魔術を思わせるような原始的で、恐ろしい絵』を死の直前まで描き続けて、描きあげて、ストリックランドは死にました。
問題はその後です。
ストリックランドは、傑作だと自分でもわかっている、自分の人生のすべてといってもいい生涯最後の大壁画を、ほかの誰にも見せることなく、自分の意思で焼いて無にかえしてしまうのです。
生涯の苦痛も、すべてはこの絵のためにあったというのに。
実在の画家ポール・ゴーギャンにインスパイアされて『月と6ペンス』は描かれているのですが、この壁画に相当するのはゴーギャンの『我々はどこから来たのか。我々は何者か。我々はどこへ行くのか』という絵に違いありません。わたしがボストンマラソンを走った前日に、わざわざこの絵を見るためにボストン美術館に行ったのも『月と六ペンス』を読んでいたからに他なりません。
日本では徳島の大塚美術館で見ることができます。あそこは世界で二番目にすばらしい美術館だとわたしは思っています。関東から遠くて頻繁に行けないのが本当に残念です。もちろん1番はルーブル美術館です。
さて、どうしてストリックランドは生涯最大の大傑作を灰にしちゃったのでしょうか。
もったいないと思わずにいられれませんが……
作者サマセット・モームらしき語り手が、小説の中でこういっています。
『作家にあるのは書き上げた解放感だけ。自分の楽しみのために物語を書くのであって、ほかの目的をもって小説を書こうとする者がいれば、それが大ばか者だ』と。
ストリックランドも書き上げた解放感だけを感じて、人生の目的を果たして満足して死んでいったという解釈が一般的です。
しかしわたしはすこし違った感想をもっています。
ストリックランドは大自然とか世界にインスパイアされて傑作を書き上げたけれど、彼の傑作がなくなっても、傑作を生みだした母体である自然や人間世界はまだ残っています。
オリジナルがある限り、他の誰かの手で、傑作はまた再現されることでしょう。
他の人がその人の人生の中で、悩み苦しむ中から、自然や世界から何かを得て、彼なりの傑作をまた描き上げるだろうと思います。
ストリックランドは「すばらしいものは自分の絵ではなく、オリジナルである世界そのものだ」と考えていたのではないでしょうか。
傑作が燃えて灰になっても、すばらしい世界は今も目の前にある
オリジナルが残っているから、絵の方は燃やしてもよかったんじゃないのかな、というのがわたしの感想です。
絵は世界を鏡に映しただけに過ぎません。
作品は自然の偉大さを映し出したに過ぎず、作品が燃えてなくなっても、オリジナルの世界がある限り、何ら損なわれるものはない、ってことではないでしょうか。
だから『画家にあるのは描き上げた解放感だけ。自分の楽しみのために絵を描くのであって、ほかの目的をもって絵を描こうとする者がいれば、それが大ばか者だ』って話になるんじゃないかと思います。
ストリックランドの絵は、いつかどこかでまた再現されのです。他の誰かの手によって。
だってすばらしい世界は今も目の前にあるのだから
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私はオーディオブックは究極の文章上達術だと思っています。
手塚治虫先生の『ブラック・ジャック』にも似たようなキャラクターが出てきます。※「絵が死んでいる」
※※他のサマセット・モーム作品についての書評も書いています。よかったらこちらもご覧ください。








