性癖の差。生まれも育ちも違うので、配偶者の趣味が理解できない
嫁とは長いのですが、いろいろと理解できないことがあります。たいていは男脳、女脳の性差に由来するものだと思っています。つまり世のカップルのみんな感じているようなことを私たちも感じているというわけです。
会話術の革命。コミュニケーションの難しさ、言葉の無力さの前で絶望する
『伝え方が9割』言葉の無力、不能を嘆くより、伝え方にベストを尽くす。
しかし明らかに「男女の性差」というよりは「性癖の差」というような理解できない面もあります。その中のひとつが、「人が食っている動画を眺めるのが好き」というのがあります。独身女性とかブラック企業に勤める疲れ切った人とか、様々な背景をもっている人がただ晩酌をしながら食って喋っているだけの動画なのですが、うちの嫁はこの手の動画を見るのが大好きみたい……ウエッ、気持ちわるい。ヘンタイかと思ったのですが、同じ性癖を持っている人は世に多いらしく、この手の動画はものすごい回数回っているらしいのです。
妻の趣味を理解しようと何度かこの手の食べる系動画を見てみたことがあるのですが、何が面白いのかさっぱりわかりませんでした。いやそれどころかむしろ見ていると気持ち悪くて不快になります。それはその動画の中で食べ物のクチャクチャポリポリという咀嚼音が鳴り響くからです。
オエーッ。気持ちわるい! なんでこんなの見てるんだ?
この(多くの人にとってはマナー違反の)咀嚼音のことをASMR(人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地良さや脳がゾワゾワするといった反応・感覚で主に聴覚で得られる体験のこと)といって肯定的にとらえるムーブメントもあるそうです。
そりゃあ雨音や小川のせせらぎや波音、焚火の音などには癒されるでしょうが、他人の咀嚼音なんて気持ち悪いだけじゃん。オエーッ!!
帰国子女が外国かぶれにならず日本大好きになるケース
実は私はソウルで育った帰国子女です。韓国にはふつうの人とは違った言うに言われぬ複雑な感情をもっています。
これがパリとかニューヨークとかの帰国子女だったらあるいは外国かぶれになってフランス人やアメリカ人になりたいとシンプルに思ったのかもしれませんが、私の場合はソウルだったために、韓国人に憧れたというよりはむしろ日本人に憧れたのでした。韓国育ちで韓国人のようになるのではなく、むしろより日本人のようになろうと思ったのでした。私が日本語を使う職業(もの書き)をしているのもその結果です。言葉(日本語)のイメージ喚起力で速く走れるようになる方法を説いた『市民ランナーという走り方』という本は私が韓国帰りの帰国子女でなかったら生まれなかったかもしれません。
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※雑誌『ランナーズ』の元ライターである本ブログの筆者の書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。
「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか?
いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状を打破し、自己ベスト更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」
●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム?
●ピッチ走法よりもストライド走法! ハサミは両方に開かれる走法。
●スピードで遊ぶ。スピードを楽しむ。オオカミランニングのすすめ。
●腹圧をかける走法。呼吸の限界がスピードの限界。背の低い、太った人のように走る。
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」
本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く走ることができるようになります。
あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
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どんなレースに出ても自分よりも速くて強いランナーがいます。それが市民ランナーの現実です。勝てないのになお走るのはなぜでしょうか? どうせいつか死んでしまうからといって、今すぐに生きることを諦めるわけにはいきません。未完成で勝負して、未完成で引退して、未完成のまま死んでいくのが人生ではありませんか? あなたはどうして走るのですか?
星月夜を舞台に、宇宙を翔けるように、街灯に輝く夜の街を駆け抜けましょう。あなたが走れば、夜の街はイルミネーションを灯したように輝くのです。そして生きるよろこびに満ち溢れたあなたの走りを見て、自分もそんな風に生きたいと、あなたから勇気をもらって、どこかの誰かがあなたの足跡を追いかけて走り出すのです。歓喜を魔法のようにまき散らしながら、この世界を走りましょう。それが市民ランナーという走り方です。
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韓国人はクチャクチャ音を立てて食べる人が多い
日本人と韓国人の差はいろいろとあります。その中のひとつに、韓国人はクチャクチャと咀嚼音を鳴り響かせて飯を食う人が多いというのがあります。日本人はそばを豪快にすすったりしますが基本的にはクチャクチャとは食わない民族でしょう。西欧でもクチャクチャと食べるのはマナー違反とされています。とうぜん私はその路線で生きてきました。
ところが私の嫁は韓国大好き。韓国人も、韓国ドラマも、韓国コスメもみんな大好きです。私のことを好きになったのも私が韓国帰りだからかと疑ってしまうほど無邪気に韓国が大好きです。
咀嚼音系大食いモッパン動画の何がそんなに見たいのであろうか?
このクチャクチャ咀嚼音系の大食い動画のことを韓国ではモッパン動画(モクバン)というそうです。モッパン系動画はYouTube上で一大勢力をなしているのでした。嫁も元々は韓国モッパン動画から咀嚼音動画にはまってしまい今では日本の同系動画も見ているようです。
ときどき居間のテレビでYouTubeを再生して咀嚼音を盛大に鳴り響かせています。オエエーッ! 気持ちわるいのでやめてほしいのですが、嫁はこの咀嚼音が好きらしいのです。ドヘンタイなのかと心配だったのですが、世の中には同じ趣味を持っている人がたくさんいるんですね。
うちの嫁や同じ趣味を持つ人たちは、咀嚼音系大食いモッパン動画の何がそんなに見たいのでしょうか?
モッパン動画には「ひたすら無言で咀嚼音を鳴り響かせる系」「大食い系」「愚痴りながら語りながら食べるDJ系」など系列が分かれるようですが、私はどれも受けつけません。他人が食べるのを眺める趣味がないからです。とくに無理なのが「ひたすら無言で咀嚼音を鳴り響かせる系」ですね。ギボヂワルイ……オエーッ!
ASMRモクバン動画とホラー映画、バイクPOV主観動画、グラビアアイドルの薬効果
多くの人が嫌がるものを好きな人の心理というのは……ホラー映画のようなものでしょうか。私はホラー映画なんか大嫌いですが、世にはホラー映画大好きな人もいますものね。
モッパン動画が好きな人の理由も一様ではありません。
なかには自分が食べられないかわりに人の食べているのを見るという代償的な視聴をしている人もいるそうです。私は時々バイクに乗ってかっ飛ばしたくなるのですが、バイクを持っていないので、たまにバイクライダーの主観動画(POV視点)を見ることがあります。それと同じなのかもしれません。
見ているだけでお腹いっぱいになっちゃう
うちの嫁はそんなセリフをよく口にします。これも私にはよくわからない感性です。見ているだけでお腹いっぱいなんてありえます? 見てたらよけいにお腹減るじゃん!
前述のとおり私はランナーで、ダイエットとは長いつきあいです。
その私のダイエットの基本方針は「買わない」「目に入れない」こと。誘惑物ははじめから手の届かないところに隔離するというのが基本なのですが、うちの嫁はまるでモズとかリスのようになぜか食べ物を目につくところに置いておくのが好きなのでした。手に届く場所に食べ物がないと落ち着かないのか、食べる寸前でやめたお菓子などが手の届くところによく放置されています。そういうタイプですから、他人が食べている動画を見ても食欲が刺激されたりしないのでしょう。うちの嫁はダイエットなどとは無縁の瘦せ型です。単純に他人の咀嚼音が心地いいのでしょう。
逆に私がそれらを不快に思うのは食べ物を見ていると食欲が刺激されるからでしょう。モッパン動画はダイエットの敵です。こっちが我慢しているのに、画面の向こうでクチャクチャやりやがってムカつく。そういうの目に毒じゃん。食べたい誘惑と戦わなきゃならないじゃん。最初から隠しておけば誘惑されることもないのに。。。たとえて言えばこれは「グラビアアイドル」みたいなものかもしれません。私などはどうせ手の届かないカワイ子ちゃんの水着姿なんて見てわざわざ刺激を受けたくありませんが、美少女グラビアを眺めると元気が出る、仕事のやる気が出るという一定のクスリ効果が確認されているそうですよ。たしかに心拍数が上がるとかホルモンが放出されるとか刺激があるのは確かでしょう。
唾液が出ないシェーグレン症候群。咀嚼音で唾液腺が刺激されるリハビリ効果か?
うちの嫁はシェーグレン症候群と橋本病を患っており、唾液がでないという症状に悩まされています。もしかして無意識のうちに咀嚼音を聞くことで唾液線を刺激しているのかもしれません。ヨメの病状にいいのなら彼女が咀嚼音動画を見ることも我慢しようと思っています。
自分がモッパン動画の咀嚼音を気にせずに視聴しているせいでしょう、いつのまにか嫁本人も咀嚼音を響かせて食事をしています。これでは高級フランス料理店には連れていけません。うちの妻には韓国料理ぐらいがちょうどいいみたいです。
咀嚼音が耳につくのですが。。。赤の他人のユーチューバーのクチャクチャ音ならともかく、愛妻の咀嚼音ぐらいは我慢しましょう。
モッパン動画の中には億単位で再生されている動画もあるそうです。それほど人気なのですから……マナー違反だとか、気持ちが悪いとか、いちがいに他人の趣味を否定するのではなく、距離をとって生きていこうと思います。その感性を受け入れられれば一番なのですが、生理的にどうしても無理なので。。。オエエーッ!!
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旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。
【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え
韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。
「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。
帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。
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