会話術の革命。コミュニケーションの難しさ、言葉の無力さの前で絶望する

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こんなに通じないのなら、いっそ黙っていよう。

会話で他人と意思疎通することなんてありえない幻想かもしれない。

私は言葉というものの不完全性、人間対人間という関係性に絶望したのだった。

誰が相手でも同じだ。人間対人間として、コミュニケーションの難しさに絶望したのだった。言葉の能力の限界に絶望したのだった。

言葉そのものに限界があり、どんな人でも、この言葉の無力さの前では絶望するのではないか。

会話はゲームだ。

通じるときもあれば、通じない時もある。ゲームをクリアできることも、できないこともある。

一喜一憂することはない。

これがわたしの会話革命である。

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噛み合わないある日の会話(サンプル)

「暑くなってきたから、羽毛をしまおうか」と妻が言った。

「しまう前に洗濯する?」と私。

「カバーを洗うよ」妻が言う。

私は羽毛布団のカバーを外して洗濯機に入れた。

「じゃあ洗うよ」

「羽毛は洗わないからね」隣の部屋から妻の声がする

「え? さっき洗うっていったじゃん」

「毛布は干すだけにしてね」

「はあ? 洗うっていうからカバー外したのに」

「まだ使うんじゃない? 今日は干すだけでいいよ」

「もう何いってるのか全然わからない。なんでこう会話が通じないんだろう。もう嫌になっちゃうよ」

文字にすると全然伝わらないと思うが、この会話で私はひどく妻の機嫌を損ねてしまった。

「もう嫌になっちゃうよ」という言葉は、文字にするとそうでもないが、音声で叫ぶと人を傷つける。

これが文字は音声とは違うという意味である。情報量が全然違うのだ。声(音声)というのは、圧倒的な情報量である。喜ぶ声。泣き叫ぶ声。声には感情という情報がこもっている。音声情報はそれだけで人を感動させることができる。しかし文字情報にそれはできない。周辺状況を説明しないと無理だ。

しばらく妻の機嫌は直らなかった。

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会話が噛み合わないのはいつものこと

その程度のことで「もう嫌になっちゃうよ」と叫ぶなんて、と人はいぶかるだろう。それは文字だから伝わらないだけなんですよ。これだけではない。もう朝からずっと会話が通じないのだ。

ずっと会話が噛み合っていない。何を喋っても伝わらない。嫌になってしまうほど。

妻の言っていることと、夫が言っていることと、ぴったりと気持ちよく合致することが全然ない。イラつく会話が朝からずっと続いていた。

それ自体はいつものことだった。いつも会話は噛み合わない。2割ぐらいは常に会話が噛み合っていないと感じている。それぐらいなら気にならない。もう慣れた。いつものように聞き流すだけだ。

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言葉というものの不完全性、人間対人間という関係性に絶望する

ところがこれが朝からずっと会話が噛み合わないと、さすがに絶望してしまう。もう何を言っても通じないのではないか。そう思ってしまう。

どうしてこう会話が通じないのか? 言葉というのは不完全すぎる。私は物書きとして文字(文章)の力には常に絶望しているが、音声情報まで伝わらないとすると、人間はもうニュータイプが出現するまで待つしかないのかもしれない。

会話で他人と意思疎通することなんてありえない幻想かもしれない。不可能な挑戦をしているだけなんだろうか。こんなに通じないのなら、いっそ黙っていよう。

私は言葉というものの不完全性、人間対人間という関係性に絶望したのだった。

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悪い会話術「先読みクイズ」コミュニケーションの難しさ

噛み合わない会話は、ちょっとだけイライラする。その会話の噛み合わなさが朝からずっと続くので、さすがの私もキレてしまった。

妻を責めているつもりはない。個人攻撃ではないのだ。誰が相手でも同じだ。人間対人間として、コミュニケーションの難しさに絶望したのだ。言葉の能力の限界に絶望したのだった。

私の言語能力が不足していると言っているのではない。

言葉そのものに限界があり、どんな人でも、この言葉の無力さの前で絶望するのではないか。

そう思っている。

会話が噛み合わないときは、主語が違っていることが多い。

違う対象について話していたら、会話は噛み合わなくてあたりまえだ。

妻には、会話を先読みして、とってしまうというくせがある。

私はオチを考えながら話す癖があるので、プロの物書きの割にはあまり流暢に話せないのだが、そのせいで妻に会話を先取りされてしまうことがよくあった。

私が言葉に詰まっている(会話のオチを考えている)と「✖✖って話しだよね」と話しの先を読んで、先に言おうとしてしまうのだ。

先読みクイズはやめてくれ」と私は言った。

「あなたが考えていることは〇〇だよね?」と妻は言葉を先に継いでしまう。

私の詰まった会話を助けてくれているつもりなのだろうが、全然、助けになっていなかった。

問題は、その会話の先取り内容が完全に外れていることなのだ。すると私は「いや、そうじゃなくて。。。」と否定語を挟まなければならなくなる。否定語から会話をはじめなければならなくなる。

それはそうだろう。世の中は幾千万の事象から成り立っているのに、そのうちのひとつを先読みしたところで当たるわけがないのだ。確率論からいっても、会話の先読みは100%外れる。当たるわけがない。幾千万分の一の確率なんてゼロと同じだ。

だったら黙って相手の話しを聞いている方がいいではないか。「先読みクイズ」会話術はやらないほうがいいのだ。そういって妻に注文をつけたことがある。

それ以来、妻はこちらの話しをできるだけ聞いてくれるようになった。しかし今でも会話は噛み合わないことが多い。

なぜだろうか。どうして人と人とはこうまで会話が噛み合わないのだろう。

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男と女の会話の違い。個人差というよりは性差

男と女の違いかもしれない。そう思うことがよくある。個人差というよりは性差ではないか。

男側(私)はなるべく話題を狭めていこうとする。そうしないと話しの結論が出ないからだ。話のオチがつけられない、といってもいい。話題は幾千万とある。世の中のありとあらゆることは関係がある。関係のあることを何でも喋っていいとしたら、会話には終わりがない。そんなことをしていては、何の結論も出ないではないか。話すべき内容(主語)を狭めるからこそ、何らかのオチがつけられるのである。

でも女側(妻)はきっとそうではないのだろう。会話なんて終わらない方がいいのだから、何を話したって構わない。きっと女性側はそう思っている。今の会話内容とすこしでも関係があれば、ちょっとぐらい会話が飛躍したって構わない。むしろ飛躍した方がおもしろい。そう思っているはずだ。ありとあらゆることは関係があるのだから、会話が尽きることはない。会話が尽きないことが何よりも重要なのだから、頭に浮かんだら何でもいいから離さないと損だ。

そんな風に女サイド(妻)は喋るのだろう。そう思う。そうとしか思えない。そう思わないと納得できない。

だから女同士は延々と喋っていることが可能なのだろう。コーヒー一杯で一日中喋っていますよね、女どうしって(汗)

しかし男は、それじゃあ会話が終わらず、結論がでないと思う。「何が言いたいのかわからない」と思う。男側がずっとAの話題をしているのに、女側はいつのまにかBやCの話題をしている。男サイドはAの話しがまだ終わっていないと思っているのに、BやCの話しを次から次へとされても、脳ミソがついていかない。

しかし女サイドから見るとBやCの話しも同じことなのだ。大切なのは喋っていることそのもの、コミュニケーションがとれていることそのものであって、話しの結論なんてどうでもいいのである。

男はその主語の変化についていけないのだ。やはり個人個人違う背景、感受性をもっている。個人の嗜好による会話の主語の変化に、他人であるこちらは付いていけないのだ。主語の飛躍についていけず、主語が違えば、会話はいっさい噛み合わない。違う主語の話しをしているのだから、話しが噛み合うわけがない。

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会話が噛み合わないときは、聞き流すしかない

全体について茫洋と話すタイプか、部分についてオチをつけるタイプか、の違いと分析してもいいかもしれない。

どちらも必要で、正しいことだ。どちらもいいのだ。どちらが悪いとか、いいとか、そういう話しではない。

しかし私は妻と会話が噛み合わなくて、ほとほと困っている。話している対象(主語)が彼女のセンスで飛躍してしまうので、会話を見失ってしまうのだ。頭がついていかない。こんなことを書いていても会話上手なのは妻のほうであり、私ではない。だからこれは妻の批判ではない。

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会話が噛み合わないときは、相手を批判せず、ただ聞き流すしかない

会話の不可能性に悩むのは人間の宿命なのだろうか。みんなどこかで折り合いをつけてやっているに違いない。

あなたが悩んでいるように、わたしも悩んでいる。そのことをわかってもらうためにこの文章を書いている。

話しが食い違っている時は、たいてい主語が違っている時だ。「ある日の会話」でいうと、夫は終始羽毛布団のカバーの話しだけをしているのだが、妻は「冬の寝具」という括りで会話をしているため、不毛布団のカバーの話しをしたり、羽毛布団の中身の話しをしたり、毛布の話しをしたりしている。これでは会話が噛み合うわけがない。

夫は妻の主語の千変万化についていけない。こういうことがずっとずっと際限なく続くと、まともに会話するのは無理なんじゃないかと思ってしまう。

妻の会話の飛躍に一生懸命ついていこうとしたこともあったが、無理だった。まともに聞いたら気が狂ってしまう。

言葉が通じないことに慣れろ。それしか生きる道はない。

会話が噛み合わないときは、相手を批判せず、ただ聞き流すしかない。

それがわたしの結論だ。

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会話革命とは? 会話はゲーム。クリアできないこともある。

会話することで夫婦仲が悪くなるぐらいなら何も喋らない方がいい。イヌやネコだって会話なしでコミュニケーションしているんだから、おれたち人間だって何とかなるはずだ。

私はもう会話(言葉)の力を見限っている。できるのは会話の主体(主語)を際立たせる話術を駆使すること。それぐらいだ。

もう言葉や会話に期待していない。それでも妻には遠慮なく話してほしいと思っている。明るくおしゃべりなところを好きになったのだから。黙り込まれるよりは、明るく喋っていてほしい。

おれが何を言っているのかわからなくても、それでもどんどん喋ってほしい。ただしおれが無言だったときにはそれは無視しているのではなく、自由自在な主語の飛躍に脳みそがついていけず、ちょっと何を言っているのかよくわからない状態だからだ。無言のおれのことなんて無視して喋り続けてほしい。

二人の会話に「会話革命」を起こさなければならない。そうしなければ、いつまでも小さなイライラがつづく。会話が通じないことにイライラするのではなく、会話は通じなことが前提だと思え。

通じない前提の中で手探りでちょっと探ってみる。相手の意図を探り当てられたらラッキー、わからなかったら深入りしない。会話が噛み合わないことに、困ることはないのだ。何も喋らなくたって別にいいのだから。命にかかわる重要な会話なんてほとんどない。

私は夫婦の会話が噛み合わないときに、いつも戦国大名の領地をイメージしている。本拠地は離れており互いに和睦を望んでいるが、領地が接している部分でちいさく領土争いをしている。それが私の噛み合わない会話のイメージである。

小さな触手の先端でお互いの意向を探り合って、なんとか相手の気持ちを理解しようとしている。伸ばした小さな触手が相手の意向を探り当てることもあるが、できないこともある。そのときは聞き流すしかない。

会話、これはゲームだ。クリアできることもあれば、できないこともある。深刻にとらえることはない。

言葉の不全に悩むこともない。会話が噛み合っていないのではない。ただ相手の嗜好を探り当てられなかっただけだ。

これが私の会話革命である。

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【この記事を書いている人】

瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。

ランニング雑誌『ランナーズ』の元執筆者。初マラソンのホノルル4時間12分から防府読売2時間58分(グロス)まで、知恵と工夫で1時間15分もタイム短縮した頭脳派のランナー。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。

また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。

そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。江戸川左岸の撃墜王(自称)。スピードが目的、スピードがすべてのスピード狂。ロードバイクって凄いぜ!!

山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。

その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。ソウル日本人学校出身の元帰国子女。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。

登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。

千葉県在住。夢の移住先はもう決まっています!!

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
片翼の翼: なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?
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【この記事を書いている人】

アリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。 市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。 また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。 そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。 その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。 登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。
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