ドラクエ的な人生

24時間テレビチャリティーマラソン(トライアスロン)の難易度

どうもハルトです。みなさん今日も元気に走っていますか?

2018年8月26日、日本テレビ系「24時間テレビ41」(25、26日放送)でチャリティーランナーを務めたお笑いコンビ、ANZEN漫才の「みやぞん」が、史上初のトライアスロン形式で、無事ゴールされたそうです。おめでとうございます! がんばりました。視聴者から大絶賛されていますね。

※このブログの「難易度」系記事

『サブスリーの難易度』(ランニングの技術まとめ)

市民ランナーの三冠王・グランドスラムの難易度

24時間テレビチャリティーマラソン(トライアスロン)の難易度

日本百名山、全山登頂の難易度(百名山ハンターになる難しさ)

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やったことがあるかどうかで感想が変わる

ところで、こういう企画は「やったことない人」と「やったことある人」で感想が変わるのが常です。

トライアスロンを「やったことない人」は「スゲー」「ハンパない」とかの感想になるのですが、「やったことある人」は「そうでもないなあ」と率直な感想をつい漏らしてしまいます。

トライアスリートとしても有名なホリエモンこと堀江貴文さんが、Twitterで「意外と短い。これ普通に12時間もかからんぞ」と呟いたとか。やったことがあるからこそ、このようなつぶやきができるのです。

たとえばわたしは市民ランナーのグランドスラム(「マラソン・サブスリー」「100km・サブテン」「富士登山競争・制限時間内登頂成功」)を達成していますが、自分がグランドスラム・ランナーになるまでは、達成者のことを「この世の超人」かと思っていました。しかし自分が達成した今、達成者を「この世の超人」と思っているかというととんでもない。「ただの人」です。

しかしおかげさまで「みやぞんのトライアスロン」については、「やったことない人」側よりは「やったことある人」側で意見を言うことができます。

それではわたくしハルト流に、みやぞんトライアスロンの難易度について、語りたいと思います。

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みやぞんトライアスロンの内容は

みやぞんトライアスロンの内容ですが、スイム1.55キロ、バイク60キロ、ラン100キロの合計161.55キロメートルだそうです。

この数字を見て、どう思いますか?

「あれっ?」と私は思いました。「バイク60km? 少なっ!! 自転車の距離をもっと伸ばせば、もっともっと賞賛を受けることができるのに。作戦ミスか?」

わたしはロードバイクレースで160km(100マイル)走ったことがありますが、走り終わってもケロッとしていました。100kmウルトラマラソンしたときには「車椅子をご用意しましょうか?」とキャビンアテンダントに心配されたのに……。

自転車というのは体重処理をフレームが行い、着地の衝撃をペダルの回転が吸収してくれるので、筋肉がダメージを受けないので、走るよりもずっと長い距離を走ることができます。

大きな数字を見せてシロウトから賞賛を浴びるのならば、ランの距離をもうすこし短くして、バイクの距離を長くすればいいのです。たとえばランを50kmにしてバイクを300kmにするとか。こうすれば合計350kmです。みやぞんの記録がもっとずっと凄いものに見えませんか?

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歴代のチャリティーランナーを振り返る

「24時間テレビ・愛は地球を救う」ですが、これまでに多くのチャリティーランナーが必死の走りを見せてくれています。そして、意外と過去100km走っている人が多いことに気づきます。

林家たい平さんも、DAIGOさんも、城島 茂さんも、イモトアヤコさんも、エド・はるみさんも、アンガールズも、丸山和也さんも、杉田かおるさんも、山田花子さんも、赤井英和さんも、山口達也さんも、森田剛さんも、にしきのあきらさんも、トミーズ雅さんも、西村知美さんも、みんな100km以上の距離を走り切っています。

世界有数の女子登山家イモトアヤコさんは126km走っていますので、そういう人たちと比べると、みやぞんのトライアスロンのディスタンスには、もうすこし工夫ができなかったのかなと思ってしまうのです。

これまでの人たちより、スイム1.55キロ、バイク60キロが多いだけです。過去の人たちに上乗せする部分が、若干小さい気がします。もうすこし数字を大きくしてインパクトを大きくすることはできないのでしょうか。

たとえば「バイク300km、ラン50km」にすれば、合計351.55キロになります。161.55とくらべてだいぶインパクトが違うのではないでしょうか。

そうすれば「みやぞんスゲー」「ハンパない」と「やったことない人」から今よりもっと賞賛を浴びて、もっとセンセーショナルなチャリティーランになったのではないでしょうか。

「161.55kmと351.55kmじゃあ、難易度が全然違うもん。インパクトが違って当然だよ!」

やったことのない人はそう見えるかもしれません。ところがそうではないのです。

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主催者サイドの作戦ミスか?

これまでに私が走った最長距離はバイク161km(100マイル)、ラン100kmです。

両者が同じぐらいのダメージだったかって? とんでもありません。

バイクの161kmは4時間ちょっとでゴールしました。ゴール後もピンピンしており、まだまだ幾らでも自転車に乗れました。翌日もノーダメージで観光を楽しむことができました。前日に生涯最長のレースがあったなんて嘘のようでした。

ところがランニングの100kmは9時間ちょっと掛かりましたが、脚の筋肉がズタボロで、人生最高のダメージでした。特にひどかったのが翌日です。寝たことでわずかでもダメージが回復しているどころか、休んだことでランナーズハイの脳内モルヒネが切れて前日よりも痛みがひどくなりました。レース直後は歩くことは苦にならなかったのに、翌日は歩くだけで大腿四頭筋(着地筋)に激痛が走ります。レース後の観光どころではなく、バックパックを背負って帰ることをあきらめました。荷物は宅急便で自宅に送り、ほとんど手ぶらだったのに飛行機のタラップが登れず、スチュワーデスに「車いすをご利用になりますか?」と真顔で言われました。昨日、グランドスラムを達成し「この世の超人(だと思っていた)」になったばかりだというのに「車椅子なんか」と意地でも乗りませんでした。

このようにランニングと自転車とでは全然ダメージが違います。

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自転車はコンセントリック収縮。ランニングはエキセントリック収縮

腕の力こぶを見てもらえばわかると思いますが、普通、筋肉は縮みながら力を発揮します。

ところがランニングでは、とりわけ着地筋と呼ばれる太腿前面の大腿四頭筋が、外からの負荷に抵抗して伸ばされながら力を発揮するエキセントリック収縮をするために、簡単に言うと筋繊維が切れてズタボロになってしまうのです。

べダルが力を変換してくれるためにコンセントリック収縮のみですむ自転車にはこの「ズタボロ効果」はありません。

だからこそ私は言うのです。161.55kmと351.55kmの肉体へのダメージは、むしろ161.55kmの方がダメージは大きい、と。だったらバイク60キロ、ラン100キロよりも、バイク300km、ラン50kmにすれば、インパクトも大きく、世間へのインパクトも大きかったんじゃないの? と。

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トライアスロンはバイクの距離が長いのが普通

そもそも普通、トライアスロンというのは、バイクの距離が長いのが普通です。オリンピックディスタンスと呼ばれる距離で、スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmで合計51.5kmです。

ホリエモンこと堀江貴文さんが挑戦した最長の鉄人レースは、スイム3.8km約2時間、バイク180km約7時間、ラン42.195km約5時間。合計226kmで14時間20分かかったそうです。堀江さんが完走したトライアスロンに比べたら、みやぞんトライアスロンのスイム1.55km、バイク60km、ラン100kmの合計161.55kmは一見「たいしたことない」ように見えます。堀江さんからすると、226kmが14時間だったのだから、161.55kmなんて「意外と短い。これ普通に12時間もかからんぞ」と呟きたくなる気持ちもわからなくはありません。

堀江さんのことは尊敬していますが、しかし今回はちょっと口が滑っちゃったかな。

問題はやはりランの100kmです。おそらく堀江さんはバイクの60kmと180kmがたいして違わないように、ランの42.195kmと100kmはたいして違わないと判断したのでしょう。

しかし実際はランの42.195kmと100kmは全然違います。

みやぞんは学生時代にテニスや野球で鳴らした人物で運動神経抜群だそうですが、100kmラン10時間、60kmバイク1.5時間(常人よりもかなり速いペース)としても、残ったスイムの時間は30分しかありません。「普通に12時間を切るのは、無理」ということになるのです。みやぞんのスイム1.55キロですが、実際には55分かかったそうです。

ホリエモンだったら、おそらくランの100kmを走破するだけで12時間かかるでしょう。

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スイムは表情が映らない。ロードバイクは危険。いちばんテレビ向きなのはランニング。

このようなランニング、バイクへの認識をもっているから「大会主催者側の作戦ミスか」と思ったのです。もっと長い距離を走ることもできただろうに、と。

たぶんそうしなかったのは、ブルベのようにバイクを路上で走らせるのが危険なので「競技場」でやったため「見た目に派手さがなく視聴者に飽きられる」ためだと思います。ランならば観客の声援に応えてハイタッチしながら走ることもできます。テレビ向きなのがランニングだったということでしょう。

また、みやぞんトライアスロンがチャリティーランナーだったことも忘れてはなりません。頑張っているみやぞんを見て「私も頑張ろう」「チャリティーしよう」そういう気持ちになってもらうことが番組上必要だからです。チャリティーランナーは寄付金を集めるための「客寄せパンダ」的な役目を果たさなければならないのです。

そういう意味では自転車はあまり向いていないという判断があったのかもしれません。みやぞんが乗ったのはメリダの100万円ぐらいするロードバイクです。スイーッと飛ぶように前に進むロードバイクでは「必死に耐えて頑張っている姿」はランニングよりは画面に出にくいと思います。

スイムはもともと苦悶の表情が映りません……。

「多くの人に走っている姿を見てもらう」という意味ではロードバイクも公道を走った方がよかったと思いますが、ファンが駆け寄ってきたりして危険だという判断があったのでしょう。自転車は下手をすると死人がでます。事故になったらチャリティーランはそこで終了してしまいます。番組としても企画の責任をとらなければならないでしょう。しかたなく競技場で走ったものと思います。

またバイクは止まれないために時間調整が難しいというテレビ演出上の問題もあったかもしれません。できれば演出家としては、番組終了間際「サライ」を歌っている時にゴールして欲しいわけですから。自転車は止まれませんので、そう都合のいいタイミングでゴールできません。実際にテレビ中継とバイクパート終了の瞬間の中継はうまくいきませんでした。

そう考えると、やっぱりチャリティーに向いているのはランニングということになります。疲れた顔して、歩いたりストレッチしたりすれば、いくらでもゴールの時間を調節できます。

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本当にハンパないのは間寛平さん

24時間テレビのチャリティーランでは、過去、間寛平さんが200km走っています。この人こそ真の超人です。本当にハンパないのは間寛平さんです。

間寛平さんのすごいところは距離が長くなればなるほど偏差値(相対的な順位)があがるところです。

わたしとくらべた場合、マラソンのベストタイムこそわたしの方がまさっていますが、100kmを超すようなウルトラディスタンスでは、寛平さんには全くかないません。

ランの42.195kmと100kmが全然違うように、100kmと200kmとは全然違います。勝負するポイントが違ってきます。着地筋がエキセントリック収縮で切れないような走りをしなければならないはずです。

サブスリー走法で走って通用するディスタンスではありません。

その果てにアースマラソンがあったのでしょう。アースマラソンのことはいつか書きたいと思っていますが、ここでは間寛平がいたからこそ24時間テレビのチャリティーランがあって、みやぞんのトライアスロンがあったのだということを、書いておきます。

※書きました。間寛平アースマラソン

地球一周ランニング。間寛平アースマラソン(kanpei Earth marathon)

みやぞんのトライアスロンは、ランを短く、バイクの距離を伸ばして「やったことのない人」を驚かすようなロングディスタンスにすることも可能だったはずですが、チャリティーでお金を集めるという番組の本質を考えた時に、妥当な選択だったのかもしれませんね。

※関連記事(ロードバイク×ランニング)です。こちらもお読みください。

・ロードバイクとランニングの両立は可能か?

・鳥人間コンテストはチャリダーの祭典

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※雑誌『ランナーズ』の元ライターである本ブログの筆者の書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。

「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか?
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●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム?
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Bitly

星月夜を舞台に、宇宙を翔けるように、街灯に輝く夜の街を駆け抜けましょう。あなたが走れば、夜の街はイルミネーションを灯したように輝くのです。そして生きるよろこびに満ち溢れたあなたの走りを見て、自分もそんな風に生きたいと、あなたから勇気をもらって、どこかの誰かがあなたの足跡を追いかけて走り出すのです。歓喜を魔法のようにまき散らしながら、この世界を走りましょう。それが市民ランナーという走り方です。

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