地球の歩き方シリーズ『世界の祝祭』
世界を放浪している中でお世話になった『地球の歩き方』シリーズの中に『世界の祝祭』という本がありました。
ここではこの本を眺めて、思ったことを書いています。
人はどんなときにお祭りするのか? なぜお祭りするのか?
この人たちはどんな名目でお祭りしているのでしょうか?
それを探っていきましょう。
旅が一巡すると、旅先が固定されてしまう問題
旅も一巡すると、行き先を決めるのが難しくなってきます。
たとえば私はウィーンやベルリンに行ったことがありませんが、ウィーンに行くよりもどうせならパリに行きたい。パリは何回も行ったことがありますが、それでもまたパリを選んでしまうのです。だからいつまでたってもウィーンやベルリンに行けません。
バンコクなんかも「これ系」の都市です。私はヤンゴンに行ったことがありませんが、ヤンゴン行くならまたバンコクを選んでしまいます。だからいつまでたってもミャンマーに行けないのです。
マニラにも行ったことがないのですが、同じ理由からです。マニラに行くぐらいなら、同じぐらい(それ以下)のフライト時間と料金で、バンコクやソウルやクアラルンプールやホンコンやマカオやホーチミンに行けるので、いざ選ぶ段になると「マニラを選ばない」選択をすることになるのです。
こうなると、訪問先が新規開拓されない、ということになってしまいます。どうせ海外旅行するならハワイがいい、どうせ登山するなら穂高がいい、という「はずれを引かない選択」「絶対楽しいの確実な選択」をしてしまうわけです。
世界のお祭りの種類。収穫祭起源、宗教起源のお祭り
さて『世界の祝祭』ですが、世の中にはたくさんのお祭りがあることがわかります。
日本の祭りはほとんど(お米の)「収穫祭」が起源のものが多いように思います。私が日本で一番好きな「竿灯祭り」は「稲穂祭り」そのものです。
それでは世界のお祭りはどうなのでしょうか。諸外国の祭りはもちろん「収穫祭」系もありますが、やっぱり多いのが「宗教」を起源としたお祭りでした。
「ニューオーリンズのマルティグラ」「リオのカーニバル」などはカトリック起源のお祭りです。
いわゆる「お祭り」ではありませんが、イスラム教の断食月ラマダーンなんかも、宗教起源の一種のお祭りみたいなものです。日中の断食による飢餓状態を、日没後に大宴会して解消します。マッチポンプですね。人生は「振れ幅」なのです。
歴史的イベント起源のお祭り
ほかにも歴史的イベント由来のお祭りというのもあります。たとえば「ヴェネチアのカルナバル」などは、戦争・抗争の勝利を祝ったことがきっかけの歴史的イベント由来のお祭りです。
イギリスの「ガイ・フォークス・ナイト」なども歴史的イベント由来ですね。
四季のイベント由来のお祭り
その他に「四季のイベント由来のお祭り」があります。「七夕祭り」なんかはこれです。
たとえば中華圏の「春節」。いわゆる旧正月をお祝いするお祭りですね。昔は「数え年」で年齢をカウントしていましたから、正月がくるとみんな一斉に一歳年をとりました。いわばすべての人の誕生日・節目の日だったのです。現在は太陽暦なので、太陰暦の春節に遭遇する機会は減ってしまいましたが、私などは年末年始に旅行することが多いために「ハッピー・ニューイヤー・パーティー」にはいつも遭遇しています。これも一種のお祭りみたいなものです。
南米の太陽の祭り「インティライミ」などは半分は宗教由来ですが、もともとは「四季のイベント由来のお祭り」だということができるでしょう。
「なんでこうなっちゃったのかわからない祭り」「ワルノリからはじまった祭り」かつて戦争も国家的お祭りのひとつだった。
その他にも、世界にはたくさんのお祭りがあります。その中には由緒正しい「収穫祭由来」「宗教由来」「歴史的イベント由来」「四季のイベント由来」の他にも「なんでこうなっちゃったのかわからない祭り」「ワルノリからはじまった祭り」があります。スペインの「トマト祭り」なんかはいちおう起源が不明とされますが、たぶんワルノリが起源だとされています。「泥祭り」系も「なんでこうなっちゃったのかわからない祭り」だと思います。楽しければいいのです。
私は思うのですが、現在ウクライナで行われているのも含めて、かつて戦争というのは国家的な棒倒し運動会というか……はっきりいうと「お祭り」だったのではないかと思います。
人間はときどき「お祭り」がしたくなります。その究極的なものが「戦争」ではないか、と思うのです。だから有史以来、戦争はなくならないのです。
「毎年やらない祭り」万国博覧会、皆既日食といった特別なお祭り
「お祭り」の中には「毎年やらない祭り」という特殊分野もあります。
万国博覧会や皆既日食といったイベント系のお祭りです。
とくに皆既日食はオススメします。ありとあらゆる天体ショーのなかで皆既日食ほどスペクタクルなものはありません。
万国博覧会も新しい物産のショーウィンドウという歴史的役割はもうすでに終えていますが、お祭りとしてならばじゅうぶんに楽しいイベントです。
ばんぱくばんざい。ばんぱくばんざい。じんるいのしんぽとちょうわ(ミラノ万博)
万博に行けば、何かしら人生初体験をすることができる(上海万博体験記)
日常生活を送っている場所で、非日常を演出するのが「お祭り」
「人生」が「振れ幅」であるように「お祭り」もまた「振れ幅」です。日常生活を送っている場所で、非日常を演出するのが「お祭り」です。
ベルリンに行くならパリに、ヤンゴンに行くならバンコクに行きたい。しかしもう何度もパリにもバンコクにも行ったし……そうすると、次は「カーニバル」だとか「皆既日食」だとか「万博」だとか、特別なお祭りにからめて行きたくなるものです。同じ場所でも「お祭り」をやっていると、まったく違った場所に見えます。いつもよりもはるかに面白い体験をすることができます。
お祭りの時期にはホテルを予約しておいた方がよい。
ところで私は、いつも宿の予約なしの放浪スタイルで旅をしています。こういう人は「お祭り」には注意してください。
スペインのバルセロナを旅していたときのことです。たまたまそのときに「メルセ祭り」というのをやっていて「ちょうどいいや。ついで見物してやろう」ぐらいのスタンスだったのですが、安宿の確保に苦労しました。飛び込む予定の安宿がすべて満室でした。
ミラノ万博のときもそうでした。「お祭り」をやっていると、国内から観光客が押し寄せてくるので、周辺の宿が満室のことがあります。お祭りのときだけは、宿の予約をしておいた方が無難ですよ。
世界のお祭りをめぐってみたいものですね!!