ギリシア神話にはヘルメスという神様が出てきます。ヘルメス神は羽根が生えた靴を履いていて宙に浮くことができます。
ヘルメスの靴ほどではありませんが、人間の足にも二種類の宙に浮くためのバネが備えつけられています。
足底アーチと、アキレス腱です。人間の足に備わったこの天性の装置のことを、私は「ヘルメスの靴」と呼んでいます。
神からあたえられたこの二つのバネを使って、宙に跳ね上がりましょう!
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雑誌『ランナーズ』のライターが語るマラソンの新メソッド。ランニングフォームをつくるための脳内イメージ・言葉によって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。
(本文より)
【入力ワード】写真からランニングフォームを学ぼうとする人が多いので注意喚起したいと思います。写真からフォームを学ぶのはお勧めできません。写真というのは瞬間を切り取ったものなので、間違った解釈をする可能性があるからです。「振り上げた脚」(往路)なのか「戻ってきた脚」(復路)なのか、写真ではわかりません。大地を蹴ったように見えている脚が本当に大地を蹴っているのか、大地を蹴ったように見えているだけなのか、写真からはよくわからないからです。写真で振り上げた膝の高さを見て「ふむふむ、膝はここまで上げるのか」と思い込んでマネするのもよくありません。慣性の法則で結果として脚がそこまで上がっているだけで、実際のランナーの意識としてはそこまで上げようとしていないかもしれません。「結果としてのフォーム」と「ランナー本人の走るときのフォーム意識(入力ワード)」は、必ずしも同じではないのです。
【腹圧をかける走法】そもそも息をするのは、酸素を吸うためです。吐くことよりも、吸うことに意識をおくほうが自然な発想です。肺の中に残っている空気(残気量)は、どうせゼロにはできないのです。吐き切るという努力は、動かない壁を押すような無駄な努力です。そこに力を割くべきではありません。持ち上がらないバーベルを無理やり持ち上げようと喘ぐと、余計に息が苦しくなってしまいます。楽に息するのとは真逆のことです。それよりも思いっきり吸うことです。そのための走法が腹圧をかける走法です。肺を絞って痩せた人のように走るのではなく、腹はたるんたるんと力を抜いてだらしなく腹が太った人のように走ります。そもそも重力は下向きなのだから、横隔膜を下げることは理にかなったことです。それに対して、吐き切ることを意識すると、重力に逆らって横隔膜を持ち上げながら肺を絞らなければなりません。どちらが楽にできると思いますか?
【ストライド走法】ピッチ走法には大問題があります。実は、苦しくなった時、ピッチを維持する最も効果的な方法はストライドを狭めることです。高速ピッチを刻むというのは、時としてストライドを犠牲にして成立しているのです。
【踵落としを効果的に決める走法】私はカラテ素人ですが、サブスリーランナーとして、すくなくとも「踵落とし」を無力化する方法をすぐに思いつくことができます。答えはカンタン。攻撃側が踵を振り上げて止まったポイント(これを上死点といいます)に、自ら打撃ポイント(脳天など)を近づけていくことです。上死点では運動エネルギーがゼロになっているために、破壊力もゼロです。上死点から距離をとらないことで「踵落とし」というキックを無力化できます。
ストライドを稼ぎたいあまりに、未熟ランナーほど振り出した前足が最も伸びきったところで着地してしまうのです。つまり「膝が伸びきったまま」「踵から着地」してしまうのです。これは「踵落とし」の運動エネルギーがゼロになっている上死点で着地してしまっているのと同じことです。これでは速く走ることはできません。
言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化して速く走れるようになる新理論の書。言葉による走法革命。とくに走法が未熟な市民ランナーであればあるほど効果的です。本書はあなたのランニングを進化させ、市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」「ハサミは両方に開かれる走法」「腹圧をかける走法」
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」
●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」
●【肉体宣言】生きていることのよろこびは身体をつかうことにこそある。
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足裏のバネがあってこその長距離走
チンパンジーは偏平足だそうです。足の裏がべたっとフラットになっているのです。
それにくらべて人類の足は「土踏まず」というものがあり、真っ平らにはなっていません。
足裏には「足底筋」が発達していて、足底筋がぞんぶんに働く空間を確保するように足裏アーチが形成されています。この足底筋のついたアーチこそが押すと跳ね返ってくるバネなのです。
偏平足のチンパンジーは長距離を走れないそうです。理由の一つは足裏のバネがないからです。
一歩ごとにバネで跳ね上がることができる人類と、バネのないチンパンジーでは、長距離走では雲泥の差となるのです。
人類が天性の長距離走者だというのは、汗腺が発達しているなどの他の理由もありますが、足底筋の存在も大きいのです。足裏のバネがあってこその長距離走者なのです。
だとしたら長距離走者のあなただったら、この神が与えた武器である足底のバネを利用しない手はありません。
速く走るために足裏のバネを使う
足裏にバネがあるから反発力を利用してポンポン弾むように長距離を走ることができます。速く走るためにもこのバネは有効です。
速く走るためには前足部(フォアフット)から着地して足底筋を伸ばしつつ着地の衝撃を吸収。伸びた足底筋が伸縮反射で縮もうとする力をバネに宙に浮かび上がればいいのです。

フォアフット着地した後でカカトが遅れて接地する瞬間には、もう一つのバネであるアキレス腱も引き延ばされて、やはり縮もうとするときにバネとなり足を宙に弾くパワーになります。

私がベースのフォームにフォアフット着地を推奨しているのはこのためです。

足底筋とアキレス腱の二つのバネが足にはついています。神から授かった伝説の武器のようなものです。
ギリシア神話にはヘルメスという神様が出てきます。ヘルメス神は羽根が生えた靴を履いていて宙に浮くことができます。
ヘルメスの靴ほどではありませんが、人間の足にも二種類の宙に浮くためのバネが備えつけられています。足底アーチと、アキレス腱です。
それを利用して宙に浮くためには、速く走りたかったら、フォアフット着地。これを覚えておいてください。
そのためには膝を少し曲げた状態で着地することです。「踵落としを効果的に決める走法」で振り戻ってきた足で着地すれば膝はすこし曲がっているはずです。膝が曲がっていれば、いやでもフォアフット着地になるはずです。
「市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)」まえがき、で書いたように、フォアフット着地は結果論です。フォアフット着地からランニングフォームを逆算してはいけません。
着地の衝撃を吸収するために足裏アーチを使う
足底筋のバネの使いかたはこれだけではありません。
超長距離走(ウルトラマラソン)では、着地のダメージに体が耐えきれず走れなくなってしまいます。

着地筋と呼ばれる膝の上(大腿四頭筋)が伸張性収縮(エキセントリック収縮)でズタボロになってしまい、走れなくなってしまうのです。
この着地の衝撃を吸収するためにも足底のバネは使えます。
そのやり方を解説します。
最高のスピードを出す時にはフォアフット着地でしたが、着地の衝撃を吸収するためには踵もつかってフラット着地をするのです。カカトをつかって足裏全体で体重を受け止めます。
すると足底のバネはクッションの役目を果たし、膝上の着地筋へのダメージを緩和してくれます。
フォームは使い分けるのがクレバーな走り方

ご覧いただいたように、足裏だけでも二種類の走り方があります。
その都度都度で使いやすい方を使えばいいでしょう。
どちらを使うべきかはあなたの肉体が教えてくれます。

だからフォームは決めつけない方がいいのです。それこそが私ハルトのサブスリー養成講座の核心部分です。

まだ体にダメージが蓄積されていないときにはフォアフット着地で足底筋のバネは推進力として使い、着地のダメージが蓄積されてきたら足底のアーチを衝撃緩和のために使う。
このようにフォームは使い分けるのがクレバーな走り方なのです。
足底筋は条件反射する不随意筋のようなものです。
ふくらはぎなどとくらべたら疲れを知りません。
足先にある神から授かった武器を駆使して、困難な道を走破してください。
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雑誌『ランナーズ』のライターが語るマラソンの新メソッド。ランニングフォームをつくるための脳内イメージ・言葉によって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。
(本文より)
【入力ワード】写真からランニングフォームを学ぼうとする人が多いので注意喚起したいと思います。写真からフォームを学ぶのはお勧めできません。写真というのは瞬間を切り取ったものなので、間違った解釈をする可能性があるからです。「振り上げた脚」(往路)なのか「戻ってきた脚」(復路)なのか、写真ではわかりません。大地を蹴ったように見えている脚が本当に大地を蹴っているのか、大地を蹴ったように見えているだけなのか、写真からはよくわからないからです。写真で振り上げた膝の高さを見て「ふむふむ、膝はここまで上げるのか」と思い込んでマネするのもよくありません。慣性の法則で結果として脚がそこまで上がっているだけで、実際のランナーの意識としてはそこまで上げようとしていないかもしれません。「結果としてのフォーム」と「ランナー本人の走るときのフォーム意識(入力ワード)」は、必ずしも同じではないのです。
【腹圧をかける走法】そもそも息をするのは、酸素を吸うためです。吐くことよりも、吸うことに意識をおくほうが自然な発想です。肺の中に残っている空気(残気量)は、どうせゼロにはできないのです。吐き切るという努力は、動かない壁を押すような無駄な努力です。そこに力を割くべきではありません。持ち上がらないバーベルを無理やり持ち上げようと喘ぐと、余計に息が苦しくなってしまいます。楽に息するのとは真逆のことです。それよりも思いっきり吸うことです。そのための走法が腹圧をかける走法です。肺を絞って痩せた人のように走るのではなく、腹はたるんたるんと力を抜いてだらしなく腹が太った人のように走ります。そもそも重力は下向きなのだから、横隔膜を下げることは理にかなったことです。それに対して、吐き切ることを意識すると、重力に逆らって横隔膜を持ち上げながら肺を絞らなければなりません。どちらが楽にできると思いますか?
【ストライド走法】ピッチ走法には大問題があります。実は、苦しくなった時、ピッチを維持する最も効果的な方法はストライドを狭めることです。高速ピッチを刻むというのは、時としてストライドを犠牲にして成立しているのです。
【踵落としを効果的に決める走法】私はカラテ素人ですが、サブスリーランナーとして、すくなくとも「踵落とし」を無力化する方法をすぐに思いつくことができます。答えはカンタン。攻撃側が踵を振り上げて止まったポイント(これを上死点といいます)に、自ら打撃ポイント(脳天など)を近づけていくことです。上死点では運動エネルギーがゼロになっているために、破壊力もゼロです。上死点から距離をとらないことで「踵落とし」というキックを無力化できます。
ストライドを稼ぎたいあまりに、未熟ランナーほど振り出した前足が最も伸びきったところで着地してしまうのです。つまり「膝が伸びきったまま」「踵から着地」してしまうのです。これは「踵落とし」の運動エネルギーがゼロになっている上死点で着地してしまっているのと同じことです。これでは速く走ることはできません。
言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化して速く走れるようになる新理論の書。言葉による走法革命。とくに走法が未熟な市民ランナーであればあるほど効果的です。本書はあなたのランニングを進化させ、市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」「ハサミは両方に開かれる走法」「腹圧をかける走法」
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」
●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」
●【肉体宣言】生きていることのよろこびは身体をつかうことにこそある。
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