ギリシア神話にはヘルメスという神様が出てきます。ヘルメス神は羽根が生えた靴を履いていて宙に浮くことができます。
ヘルメスの靴ほどではありませんが、人間の足にも二種類の宙に浮くためのバネが備えつけられています。
足底アーチと、アキレス腱です。人間の足に備わったこの天性の装置のことを、私は「ヘルメスの靴」と呼んでいます。
神からあたえられたこの二つのバネを使って、宙に跳ね上がりましょう!
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雑誌『ランナーズ』のライターが語るマラソンの新メソッド。ランニングフォームをつくるための脳内イメージ・言葉によって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化して速く走れるようになる新理論。言葉による走法革命のやり方は、とくに走法が未熟な市民ランナーであればあるほど効果的です。あなたのランニングを進化させ、市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」「ハサミは両方に開かれる走法」
●腹圧をかける走法。呼吸の限界がスピードの限界。背の低い、太った人のように走る。
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は?
●【肉体宣言】生きていることのよろこびは身体をつかうことにこそある。
(本文より)
・マラソンクイズ「二本の脚は円を描くコンパスのようなものです。腰を落とした方が歩幅はひろがります。腰の位置を高く保つと、必然的に歩幅は狭まります。しかし従来のマラソン本では腰高のランニングフォームをすすめています。どうして陸上コーチたちは歩幅が広くなる腰低フォームではなく、歩幅が狭くなる腰高フォームを推奨するのでしょうか?」このクイズに即答できないなら、あなたのランニングフォームには大きく改善する余地があります。
・ピッチ走法には大問題があります。実は、苦しくなった時、ピッチを維持する最も効果的な方法はストライドを狭めることです。高速ピッチを刻むというのは、時としてストライドを犠牲にして成立しているのです。
・鳥が大空を舞うように、クジラが大海を泳ぐように、神からさずかった肉体でこの世界を駆けめぐることが生きがいです。神は、犬や猫にもこの世界を楽しむすべをあたえてくださいました。人間だって同じです。
・あなたはもっとも自分がインスピレーションを感じた「イメージを伝える言葉」を自分の胸に抱いて練習すればいいのです。最高の表現は「あなた」自身が見つけることです。あなたの経験に裏打ちされた、あなたの表現ほど、あなたにとってふさわしい言葉は他にありません。
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足裏のバネがあってこその長距離走
チンパンジーは偏平足だそうです。足の裏がべたっとフラットになっているのです。
それにくらべて人類の足は「土踏まず」というものがあり、真っ平らにはなっていません。
足裏には「足底筋」が発達していて、足底筋がぞんぶんに働く空間を確保するように足裏アーチが形成されています。この足底筋のついたアーチこそが押すと跳ね返ってくるバネなのです。
偏平足のチンパンジーは長距離を走れないそうです。理由の一つは足裏のバネがないからです。
一歩ごとにバネで跳ね上がることができる人類と、バネのないチンパンジーでは、長距離走では雲泥の差となるのです。
人類が天性の長距離走者だというのは、汗腺が発達しているなどの他の理由もありますが、足底筋の存在も大きいのです。足裏のバネがあってこその長距離走者なのです。
だとしたら長距離走者のあなただったら、この神が与えた武器である足底のバネを利用しない手はありません。
速く走るために足裏のバネを使う
足裏にバネがあるから反発力を利用してポンポン弾むように長距離を走ることができます。速く走るためにもこのバネは有効です。
速く走るためには前足部(フォアフット)から着地して足底筋を伸ばしつつ着地の衝撃を吸収。伸びた足底筋が伸縮反射で縮もうとする力をバネに宙に浮かび上がればいいのです。

フォアフット着地した後でカカトが遅れて接地する瞬間には、もう一つのバネであるアキレス腱も引き延ばされて、やはり縮もうとするときにバネとなり足を宙に弾くパワーになります。

私がベースのフォームにフォアフット着地を推奨しているのはこのためです。

足底筋とアキレス腱の二つのバネが足にはついています。神から授かった伝説の武器のようなものです。
ギリシア神話にはヘルメスという神様が出てきます。ヘルメス神は羽根が生えた靴を履いていて宙に浮くことができます。
ヘルメスの靴ほどではありませんが、人間の足にも二種類の宙に浮くためのバネが備えつけられています。足底アーチと、アキレス腱です。
それを利用して宙に浮くためには、速く走りたかったら、フォアフット着地。これを覚えておいてください。
そのためには膝を少し曲げた状態で着地することです。「踵落としを効果的に決める走法」で振り戻ってきた足で着地すれば膝はすこし曲がっているはずです。膝が曲がっていれば、いやでもフォアフット着地になるはずです。
「市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)」まえがき、で書いたように、フォアフット着地は結果論です。フォアフット着地からランニングフォームを逆算してはいけません。
着地の衝撃を吸収するために足裏アーチを使う
足底筋のバネの使いかたはこれだけではありません。
超長距離走(ウルトラマラソン)では、着地のダメージに体が耐えきれず走れなくなってしまいます。

着地筋と呼ばれる膝の上(大腿四頭筋)が伸張性収縮(エキセントリック収縮)でズタボロになってしまい、走れなくなってしまうのです。
この着地の衝撃を吸収するためにも足底のバネは使えます。
そのやり方を解説します。
最高のスピードを出す時にはフォアフット着地でしたが、着地の衝撃を吸収するためには踵もつかってフラット着地をするのです。カカトをつかって足裏全体で体重を受け止めます。
すると足底のバネはクッションの役目を果たし、膝上の着地筋へのダメージを緩和してくれます。
フォームは使い分けるのがクレバーな走り方

ご覧いただいたように、足裏だけでも二種類の走り方があります。
その都度都度で使いやすい方を使えばいいでしょう。
どちらを使うべきかはあなたの肉体が教えてくれます。

だからフォームは決めつけない方がいいのです。それこそが私ハルトのサブスリー養成講座の核心部分です。

まだ体にダメージが蓄積されていないときにはフォアフット着地で足底筋のバネは推進力として使い、着地のダメージが蓄積されてきたら足底のアーチを衝撃緩和のために使う。
このようにフォームは使い分けるのがクレバーな走り方なのです。
足底筋は条件反射する不随意筋のようなものです。
ふくらはぎなどとくらべたら疲れを知りません。
足先にある神から授かった武器を駆使して、困難な道を走破してください。
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雑誌『ランナーズ』のライターが語るマラソンの新メソッド。ランニングフォームをつくるための脳内イメージ・言葉によって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化して速く走れるようになる新理論。言葉による走法革命のやり方は、とくに走法が未熟な市民ランナーであればあるほど効果的です。あなたのランニングを進化させ、市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」「ハサミは両方に開かれる走法」
●腹圧をかける走法。呼吸の限界がスピードの限界。背の低い、太った人のように走る。
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は?
●【肉体宣言】生きていることのよろこびは身体をつかうことにこそある。
(本文より)
・マラソンクイズ「二本の脚は円を描くコンパスのようなものです。腰を落とした方が歩幅はひろがります。腰の位置を高く保つと、必然的に歩幅は狭まります。しかし従来のマラソン本では腰高のランニングフォームをすすめています。どうして陸上コーチたちは歩幅が広くなる腰低フォームではなく、歩幅が狭くなる腰高フォームを推奨するのでしょうか?」このクイズに即答できないなら、あなたのランニングフォームには大きく改善する余地があります。
・ピッチ走法には大問題があります。実は、苦しくなった時、ピッチを維持する最も効果的な方法はストライドを狭めることです。高速ピッチを刻むというのは、時としてストライドを犠牲にして成立しているのです。
・鳥が大空を舞うように、クジラが大海を泳ぐように、神からさずかった肉体でこの世界を駆けめぐることが生きがいです。神は、犬や猫にもこの世界を楽しむすべをあたえてくださいました。人間だって同じです。
・あなたはもっとも自分がインスピレーションを感じた「イメージを伝える言葉」を自分の胸に抱いて練習すればいいのです。最高の表現は「あなた」自身が見つけることです。あなたの経験に裏打ちされた、あなたの表現ほど、あなたにとってふさわしい言葉は他にありません。
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