「ひたひた忍者走法」とは、投げ石が水面を切って低く飛ぶように、超低空飛行でひたひたと走る走法です。
「ぬき足、さし足、しのび足」です。存在を隠した忍者が音を立てないように走ったように、音を立てないようにして走ります。
足音を立てないことでランニングの着地衝撃を緩和します。
それにはとにかく足を高く上げないことです。「ひたひた忍者走法」とは大きなストライドで滞空するストライド走法とは真逆のピッチ走法です。
踵からガーンとヒールストライク着地せずに、つま先からそっと着地します。
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「ハサミは両方に開かれる走法」「アトムのジェット走法」など、言葉のイメージ喚起力で速く走れるようになる新メソッドを提唱しています。
ASICS RUNNING LAB(アシックスランニングラボ)での実体験
アシックス・ランニング・ラボという施設があります。アシックスのショップでランニングシューズを売るかたわら、お願いすればそこで足形(左右の足の長さや足囲、足底アーチの高さなど)を調べたり、ランニングフォーム測定をしてくれたりします。
ランニングフォーム測定では、短い測定器の上を実際に走ってみて、足のどの部分から着地しているか、チェックしてくれました。
わたしは戦闘フォームと巡航フォームではフォームはガラッと変わると考えています。
たとえば「動的バランス走法」では静止していては維持できないような前傾姿勢で走ります。動いていてこそ維持できる動的バランスの状態で走るわけです。
スピードによってフォームは変わります。だから短いコース、ゆっくりスピードのランニングラボでは、じっさいのレースペース(戦闘フォーム)の解析がちゃんとできるとは思っていません。


しかしランニング雑誌の執筆者だったこともあり、話しのネタにもなるかと思って、物は試し、実際に測定をしてもらったことがあります。
それによるとわたしは「かかとから着地して小指から親指に力が抜ける走り」だということでした(笑)。
だーかーらー室内を超スローペースで走るからそうなるんだってば!
本気で走ったらたぶん違う結果になっただろうと思います。
ラボで測定してくれた若い人(アシックスの職員さん? もしくは店員?)は続けてこういいました。
「お客さんの足の運び方はノーマルですね。なかには重心が前足部から踵にいって、またつま先に戻ってくるなんて無茶苦茶な走り方をしている人もいますから……」
ところが私がおすすめするのは「まさにこの走り方」なのです。
アシックスの店員(アルバイトか?)はランニングのことをよく知らない人物だったに違いありません。
「ひたひた忍者走法」はハチドリがホバリングしているイメージ
むちゃくちゃな走り方、と一刀両断に切り捨てられていましたが、これが「ひたひた忍者走法」のベースとなる「しのび足」です。
陸上用語ではフォアフット着地といったりします。


前足でそっと着地するというのが「ぬき足、さし足、しのび足」でいう「さし足」にあたります。
音を立てないようにするため、足先でそっと着地します。
わたしはアパートの二階に住んでいるのですが、階下の住人に足音の振動が伝わらないように、常にこの歩き方で部屋を移動しています。

踵からガーンと着地すると振動が階下に大きく響きます。歩くときも走るときも違いはありません。
大きな音が鳴るということは大きな衝撃が戻ってくるということを意味しています。
太鼓を想像してください。大きな音を鳴らせばバチから大きな衝撃が戻ってきて手が痛くなります。小さな音なら小さな衝撃しか返ってきません。

「ひたひた忍者走法」は前にジャンプして「飛ぶ」というよりは、「豪速ピッチで上半身の浮遊を支え続ける」走法になります。ホバリングしているハチドリのイメージです。すばやい足の運びで浮遊して、重心の移動で前に進みます。
すり足走法です。忍者走法、投げ石ランニングです。膝を柔らかく使います。
お尻や背中の筋肉を使って大きなジャンプをしないので、静かに(省エネで)足を前に運ぶことができます(ぬき足)。
つま先を下にした足を地面スレスレに低く運びます。そしてつま先から着地します(さし足)。
まるでひたひたと音も立てずに敵に迫る忍者のように走るから「ひたひた忍者走法」(しのび足)とわたしは呼んでいます。
「ひたひた忍者走法」は、着地筋のダメージを最小限に抑えるために存在します。マラソン向きの走法です。
ただし豪速のピッチは疲れますから、疲れたらまた大きなストライド走法に切り替えて、自分の体調をよく観察しながら走りましょう。


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