【走力の差ではなく装備の差】ウルトラマラソンは距離でなく気候に負けることがある

マラソン・ランニング
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ウルトラマラソンのコースの途中に自宅があったらどうなるのか?

このページでは『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』のコース途中にたまたま自宅があったランナー(=私)がどういう行動をとるか、その生態を客観的に観察し、レポートしています。

ウルトラマラソンの途中に自宅があったらランナーはどうなってしまうのか?

これはそのレポートです!!

(結論)

自宅に引き寄せられて完走できません(涙)。

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『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』富士五湖は、見慣れた「ホームコース」

ワンウェイで走りやすい100kmもの道を、この山国ニッポンで設定することは、意外と難しいことです。車の通行を長時間止めてしまうことにも問題があります。世の中はランナーに好意的な人ばかりではないからです。東京マラソンなんか流通業界の苦情が凄いと聞きます。

だからウルトラマラソンは、交通量の少ない田舎の風光明媚なコースを採用していることが多いのです。

100kmというと丸一日走り続けることになるために、たいていはレース前後を宿泊することになります。だからこそ非日常旅ランを経験できるのです。それが魅力なのですが、ひとつ問題があります。

たまたまコース途中に自宅があったら、どうなってしまうのでしょう。ウルトラマラソンが日常のいつものランニングになってしまいます。そしてウルトラマラソンの途中に自宅があったら、ランナーはどうなってしまうのでしょうか?

そういう人は滅多にいないと思います。だからそういうデータはほとんどないはずです。しかし実はワタクシはその貴重なサンプルの一人です。

『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』のコースの途中、山中湖畔に別荘がありまして、夏になると別荘に毎年のように出かけていました。

山中湖に行くたびに「ああ。今年も帰ってきたな」という気になります。あのあたりの道はほとんど知っています。富士五湖はロードバイクでぐるっと回ったこともあります。富士五湖あたりはいわばホーム中のホーム。

ウルトラマラソンの100kmコースも知っている道ばかりです。スタート・ゴール地点の富士北麓公園なんて『富士吉田火祭りロードレース』でお馴染み過ぎます。

火祭りなんて何回見に行ったでしょうか。山中湖なんて何周走ったか、数えきれないほどです。

ホーム&アウェイでいえば、私にとって『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』は完全にホームゲームでした。

だから『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』にエントリーしたといっても過言ではありません。

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自己ベスト更新のためには「知っている道は近く感じる」錯覚を利用する

知っていますか。人間、知っている道は近く感じて、知らない道は遠く感じるのです。だからマラソンで自己ベストを更新したかったら、慣れたホームコースの大会の方が絶対に有利です。知っている道は近く感じるわけですからね。心理的に優位に立てます。

マラソンは暑すぎても寒すぎてもタイムは出ない。メインレースに最適な気温は12℃前後(体温の三分の一)
筋肉を動かすことは、一種の化学変化ですから、寒すぎると化学変化が促進されないためパフォーマンスが落ちてしまうのです。いわゆる寒さで筋肉が萎縮した状態になります。マラソンのパフォーマンスを発揮するのに最適な活性化温度が12℃前後と言われているのです。
『サブスリーの難易度』(ランニングの技術まとめ)
サブスリーランナーというのは、『そこらへんの一般市民100人がマラソンを走ったら、トップでゴールできる人』ぐらいのイメージでいいのではないかと思います。 マラソンは練習しないでちんたら走ってもちっとも面白くないと私は思っています。ゴールしたら倒れるぐらいのつもりで必死に走ってはじめて面白いスポーツなのではないでしょうか?

『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』に挑戦する前、私は一度、ウルトラマラソンに失敗していました。足首痛、睡眠不足、そして猛暑などの影響で『サロマ湖100kmウルトラマラソン』を完走できなかったのです。

ウルトラマラソンデビューするならサロマ湖100kmがお勧めです。
ウルトラマラソンにデビューするならサロマ湖100kmウルトラマラソンをおすすめします。 その3つの理由を、①平坦なコース②風光明媚なコース③非日常の旅ラン に分けて、サロマ湖がオススメの理由を解説しました。

次こそ、今度こそ、100kmウルトラマラソンを完走したかったのです。

何としても完走するためには、すこしでも有利なコースを走ることです。私にとって『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』はホームゲームです。見知った道の方が近く感じるのですから。満を持してホームコースにエントリーして、私の二度目の100kmウルトラマラソンへの挑戦はスタートしました。

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『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』とはどんなマラソンか?

『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』は毎年4月に開催される100kmウルトラマラソンの大会です。

富士北麓公園をスタートして、山中湖→河口湖→西湖→精進湖→本栖湖をくるっと回って、また富士北麓公園に戻ってくるコースです。

コースの絶景ポイントはもちろん富士山と富士五湖。富士山は見る場所で山麓の稜線の形が違って見えます。

湖畔道路がメインなのでアップダウンも比較的少ない走りやすいコースです。

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氷雨の中、ランシャツ一枚って自殺志願者レベル!

世に市民ランナーの三冠グランドスラムといわれるフルマラソン・サブスリーと富士登山競争・山頂完走と100kmウルトラマラソン・サブテン。

当時、私はもうすでにマラソン・サブスリーと富士登山競争の山頂完走は達成していました。市民ランナーのグランドスラムまでタイトルはあとひとつ、100kmマラソンの10時間切りだけでした。

三冠と言われると、難易度はどれも同じぐらいだと思ってしまいます。

サブスリーほど難易度が高いのならば、戦闘フォームで勝負するべきだ、と私は思いました。これが大きな間違いでした。

もっともスピードが重視されるサブスリーは、もっとも軽くて走りやすい靴で走ります。

寒さなど、自分の内側から燃える熱で吹き飛ばす気持ちで、ランシャツに海パンという最軽量の格好でいつも走っていました。

(股ずれするから)ランパンなんて履けない(恥ずかしくて)
そもそも太股がこすれるということは摩擦力の分だけ推進力を損しているということです。衣料をボロボロにして穴を開けてしまうほど摩擦のエネルギーは小さくありません。放置すると痛くて走れなくなります。内股をガードしてくれる小さな布切れがあなたの勝負レースをささえてくれます

軽量速攻! それが作戦の全てです。マラソンと同じ恰好で『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』も走りとおすつもりでした。

大会側の補給が充実しているのはわかっていたので、それに頼りに軽量速攻で走りきる作戦でした。

ところが私がエントリーした年は、なんとレース前から雪が降ってきました。4月だというのに、まさかの雪です。いやいやいやいや。千葉ではありえない天候です。ふわふわの雪ならまだしもですが、ビシャビシャの氷のような雪が降っています。

私は寒くてたまりませんでした。なにせランシャツに海パンという高速スタイルでしたから。街中だったら、肩をむき出しのランシャツ一枚で雪の中をウロウロしていたら自殺志願者かと通報されるレベルです。

しかし完走するために最強のスタイルでレースに臨む作戦で来ているので、他に走るための準備がありません。

ええい。イチかバチかです。雪の中、ランシャツ一枚で私は走り始めました。

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氷の中、ランシャツ一枚では寒すぎる!!

スタートしたのはいいのですが、とにかく寒い、寒すぎます。雪が降っているというよりは、氷が降っているという感じです。富士北麓を山中湖に向かって下っていくのですが、想像していたコンディションと違いすぎます。

富士北麓公園の標高が1035m。山中湖の標高が980mです。避暑地・山中湖の4月の気温を知らなすぎました。山中湖にあるのは別荘で、しょっちゅう通っていましたが、夏ばかりです。

のんびり気持ちよく走るつもりだったウルトラレースです。しかし現実には、身を切るような冷たい雪雨の中、目を開けているのもしんどいというレースになってしまいました。

カラダが冷え切っています。小便がしたくなりました。トイレに並びます。走っているうちはまだよかったのですが、止まったらもうダメでした。低体温症です。トイレ前に並んでいるうちに、ガタガタガタガタ全身が震えだしました。顎も震えて、歯が鳴っています。自分のトイレの番がきても、指がかじかんで、ランパンの紐がほどけません。

なんとか紐をほどいて小便をすませましたが「このままここにいるのは無理だ」と思いました。「完走は無理かもしれない」ではありません。「この格好でいることが無理」という状態でした。

走る距離でキツイならリカバリーする方法をいくつも知っています。しかし寒すぎてキツイ場合のリカバリー方法なんてあるのでしょうか。

あまりにも寒すぎると人間は生命維持のためすべてのエネルギーを体温維持に回して運動エネルギーには変換しないそうです。ホームレースとか、知っているコースとか、そういうレベルではありません。

寒い、寒すぎる!!

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走れないのではなく、寒さに耐えらえない!

超長距離100kmを軽量速攻で走り切るつもりでエントリーしたウルトラマラソンでしたが、なぜか私は寒さと闘っていました。

慣れ親しんだ山中湖畔の道も、いつもとは別の道のようです。どしゃ降りの雪雨です。ただの雨の道です。見慣れた道も知らない道も寒すぎて関係ありません。まるで拷問です。山中湖畔を半周ほどすると、自宅(別荘)が近づいてきているのがわかりました。

まだ20kmほどしか走っていないのに体は冷え切っています。そこに自宅が目の前に迫ってくるのです。自宅には、お風呂があります。暖房があります。毛布があります。それを振り切って雪雨の中をランシャツ一枚であと80kmも走るのは無理です。

走れないのではなく、寒さに耐えられません。

もうこれ以上ランシャツ一枚で雪雨の中にいることは無理です。私はレースを諦めることにしました。わずか20kmで……。

夏はフェスをやっている第一関門「山中湖交流プラザきらら」でチップを返却してリタイアしました。

こうして私のホームゲーム『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』への挑戦は20kmほどで終わってしまいました。

そのまま自分の足で自宅に直行して、すぐに熱いシャワーを浴びました。そして暖房の効いた部屋で毛布にくるまり眠りました。

まさかマラソンの距離も走り切れずにリタイアになるとは思ってもみなかったです。想像もしなかったレース結果でした。

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距離に負けたのではなく、気候に負けた。走力の差ではなく装備の差

冷え切った体を毛布でくるんで、しばらく眠りました。人心地がついて目が覚めると、完走できなかった自分のレース結果に呆然としていました。まさかこんなに早くリタイアになってしまうとは。後悔がつぎからつぎへと湧いてきます。

いくら雪と雨で体が冷え切ったとはいえ、コース途上に自宅(別荘)がなければ、もうすこし走ったのではないか。戻るべき家がなければ、走らざるをえなかったはずです。

しかし逆に、ホームで「この先の道程」がわかっているからこそ、レースを続けることは無理だと早めに判断できたのかもしれません。へたをしたら低体温症で死んでいたかもしれません。

幸か不幸か最悪(最高)のタイミングで目の前に自宅が現れて、私はレースをリタイアしてしまいました。

もっと頑張ればよかった。そう思いましたが、人心地ついたからこそ、そう思えるのです。雪雨の中ランシャツ一枚の時とは判断が違って当然です。

次から次へと湧いてくる後悔をふりきるように、私は車でレースの応援に出かけました。せめて走っている人を応援しよう。もう山中湖周りにランナーはいませんでした。車を本栖湖の方に走らせます。

想像以上のランナーがいて、私は頭が下がりました。

こっちはお風呂に入ってサッパリして着替えて車に乗っているのに、マラソン走ったら1時間は差をつけられそうなオバサンが一生懸命に走っています。

リタイアしてしまった自分が恥ずかしかったです。自分の分まで頑張ってほしいと、車の中から応援の声をかけました。

走力の差ではなく、装備の差だ。私は思いました。距離に負けたのではなく、気候に負けた。

ランシャツ一枚という人はほとんどいませんでした。みんなビニールカッパのようなものを着て走っています。ちゃんとしたレインジャケットで走っている人もいました。ウインドブレーカーだったり、長袖だったり、タイツを履いていたり、手袋をしてみんなちゃんとした装備をして走っていました。

サブスリー狙いのマラソンだったら暑すぎるような格好です。しかしこの日の雪のような気候の中では、むしろ汗と体温でレインジャケットの中が蒸れてサウナになっているぐらいの方がちょうどよかったようです。

ランパン、ランシャツという軽装の人は誰もいません。みんな肌を露出しない装備です。服装の選択から、私は間違っていました。長そで、長ズボン、手袋もして、肌の出ない格好で走るべきでした。氷雨に直接肌が打たれないだけでも、だいぶ違います。

距離に負けたのではなく、気候に負けた。それが私の『チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン』でした。

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ウルトラマラソンの途中に自宅があると完走できない

ウルトラマラソンの途中に自宅があると、完走できません(笑)。

熱いお風呂、暖房、毛布、それらの誘惑を断ち切って、その先に進むのは鉄の意志が必要です。

人間は弱いものです。

成功するまで故郷にはかえらないと決意して上京する青年のように、ゴール地点まで走り切らざるを得ない状況だからこそ、実力以上の力を発揮して完走することができるのです。

ウルトラマラソンでは、長い旅のようなレース展開になるため、その日の気温にあわせて、いくつかのレース服をもっていき、当日の朝に何を着るか決めた方がいいと思います。

マラソンだったら、暑いぐらいだったら寒い方がマシですが、ウルトラマラソンでは、寒いぐらいだったら暑いほうがマシと思って服装を選択してください。

汗と体温でレインジャケットの中が蒸れてサウナ状態になっていても、空気の層が外の雪から体温を守ってくれます。低体温症になるぐらいなら、その方がまだ完走できるでしょう。氷雨に直接肌が打たれないだけでも、だいぶ違います。

こうして私はサロマ湖100kmウルトラマラソンでは暑すぎて完走できず、チャレンジ富士五湖ウルトラマラソンでは寒すぎて完走できませんでした。

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どちらも、距離に負けたのではなく、気候に負けたのです。このようにウルトラマラソンは42.195kmのマラソンとはだいぶ違います。ウルトラマラソンはアウトドアアクティビティと思って適切な服装を選択してください。私の失敗がみなさんの参考になれば、と思います。

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※市民ランナーのグランドスラム達成者・アリクラハルトの『脳ミソで脚力自慢に走り勝つ方法』については、プロフィールページをご確認ください。

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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【この記事を書いている人】

アリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。 市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。 また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。 そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。 その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。 登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。
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