比叡山の千日回峰行って何だ
ハルト「イロハは比叡山の千日回峰行って知ってる?」
イロハ「知らない。何それ?」
ハルト「比叡山で行われてきた修業だよ。山道を祈りながら歩いて、霊場を礼拝して巡るんだ。凄いのはその距離だよ。半端じゃないんだ」
イロハ「どれぐらい?」
ダイ「7年間1000日に渡って『祈りの山行』が続けられるんだ。ざっと初めの3年間は100日×30km。次の2年間は200日×30km。次の1年間が100日×60km。次の1年間が100日×84km。最後の7年目は最初に100日×84km。最後に100日×30km。これで1000日。距離は38,400kmだ。地球一周が40,000kmだから、その圧倒的な距離がわかるだろう?」
イロハ「ハルトも毎日狂ったように走っていたけれど、どれぐらい走っているの?」
ハルト「あのね。単純な距離だけなら、おれの方が多いよ。走るために生まれたんだから。生涯走行距離だけなら、もう軽く地球一周を越えている」
イロハ「えっ!? ハルト以下なの?」
ハルト「あのねえ。おれのは真っ平なアスファルトを、ザムストの足底アーチ補強ソックスを履いて、ランニングシューズで走っているんだよ。阿闍梨様はわらじで山道を歩くんだ。冬の比叡山は雪も降るだろうに。まさに荒行中の荒行だよ」
イロハ「ハルトには無理?」
ハルト「無理中の無理だよ」
イロハ「でもランナーたちのあいだでも凄いと言われるような成績で100km完走してるんでしょ?」
ハルト「ウルトラマラソンのことか。あれは一年に一度の瞬間芸・火事場の馬鹿力みたいなもので、今すぐ同じことをやれと言われても、とても無理なんだ。
それに山道の距離は、平地の距離とは全然違うんだよ。平地の5kmは20分で行けるが、山道の5kmは1時間かかったっておかしくないんだ。足元が全然違うんだから」
イロハ「そうなのか…」
ハルト「阿闍梨様がどれだけ凄いか。ランナーたちほどわかる種族は他にないんじゃないかな。クリストファー・マクドゥーガル著『Born to run』にも触れられていて、マラソン行者として世界的にも有名なんだよ」
禅とは、必ずしも足を組んで座っているとは限らない
ダイ「そういえば、修業の過酷さの中で血尿が出るとか、幻覚を見るとか、ウルトラマラソンランナー、トレイルランナーと千日回峰行の修行僧とは、通じるところも多いかもしれないね」
ハルト「ゴールしたら倒れこむぐらいの覚悟で、すべての力を絞り切って前に進もうとするところも似ているよ。でもね、一日限りの瞬間の死と、七年間の覚悟とは、魂がまったく違うよ。だからこそ阿闍梨様は生ける不動明王として尊敬されているんだ」
ダイ「千日回峰行には他にも9日間の「断食、断水、不眠、不臥の行」というのがあって、ただのウルトラマラソンランナーが成し遂げられることじゃないね。何かもっと別の魂がなければ」
ハルト「巡拝しながらの膨大な時間も、人々の幸せのこと、悟りのこと、生きること、苦しみのこと、様々なことをずっとずっと考え続けているんだろうな。ランニングも禅や瞑想に似ているから、よくわかるよ。オレ、阿闍梨様になら素直に平伏し、頭をたれることができる気がする」
ダイ「へえ。感動だなあ。ハルトがこんなに素直に人を尊敬するなんて珍しいね」
ハルト「千日回峰行はひたすら動き続けているけれど、心は達磨大師の座禅と同じことなんだね。ひたすら境地(ゾーン)を求めて修業しているという意味において」
禅というのは、必ずしも足を組んで座っているとは限らないものなんだね。
なんだか比叡山を走りたくなってきたぞ。
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