トレイルランニング哲学「おとなの障害物競争」

マラソン・ランニング
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このページでは、トレイルランニングの哲学について語っています。

山の中で、人はか弱い存在です。トレランをすれば人間の中でしか生存できない自分を知って、ありがたみを実感して町に戻っていく。都市の中では感じられない感覚を噛みしめるかもしれません。

そして大いなる自然こそが神だと感じるかもしれません。

修験道の行者のような世界が、トレイルランニングには待っています。

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トレイルランニング哲学

トレイルを楽しみながら、難所(山)をいかに攻略するかという「おとなの障害物競争」というのが私のトレイルランニング評です。トレイルの路面状況の変化は「それが楽しさをくれる源泉」として積極的に受け入れましょう。

トレイルランニングは目の良さがスピードを決める
トレイルランニングはランニングであると同時に、アウトドアアクティビティでもあります。 路面から受ける様々な刺激が脳を活性化させてくれます。 トレランは大人の障害物競争です。足で負けても、目で勝つことができます。ランニングよりも奥深いスポーツだといえるでしょう。

折れた木の枝が障害物としてトレイル転がっていることがあります。折れた木の枝は形状によっては片方を踏むともう片方が起き上がってトラップ発動です。宙に浮いた足(遊脚)が浮いた枝に引っかかって転倒してしまうことがあります。このようにトレランは侮れない障害物なのです。

トレイルには、土の道、岩場、木の根、階段、渓流、などさまざまな種類のサーフェス(山肌、路面)があります。草の道、もしかしたら雪の道だってあるかもしれません。路面の状況によって、その都度、歩幅もフォームも変化します。トレランにはマラソンのような理想のフォームはありません。

またトレイルの下り斜面では力を入れなくても勝手に下っていきますので、自分がコントロールできないぐらいのスピードが出てしまうことがあります。そのときのスピード感やスリルはアスファルトでは感じることのできないものです。ほとんど「肉体を使ったコンピューターゲーム」です。

またアウトドアアクティビティでもあります。大きな自然の中で、どれだけ人間が必死になろうとも、ほとんど何もできないことをあなたは実感するに違いありません。人間の小ささをつくづく思い知らされます。山は戦うべき相手ではありません。一体化するぐらいしかできないのです。

山の中で、人はか弱い存在です。人間の中でしか生存できない自分を知って、ありがたみを実感して町に戻っていく。都市の中では感じられない感覚を噛みしめるかもしれません。

そして大いなる自然こそが神だと感じるかもしれません

修験道の行者のような世界が、トレイルランニングには待っています。

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トレイルランをはじめるタイミングは……若いほどいい

トレイルランニングは、アスファルトで自己ベストを更新できなくなった人が始めることが多いのですが、実際のところは、むしろ若者の方が向いているとわたしは感じています。

肉体に勝る装備はない.トレイル・ランニングは目のよさがスピードを決める。
トレイルランでは、目のよさ(ルートファインディング)が、順位を決めるといわれています。目のよさもまた肉体の一部。結局、肉体に勝る装備はないのです。それはアスファルトのマラソン大会だって同じことでしょう。

トレイルランに必要な条件は、反射神経、体のバネ、目、身体が軽い、などいろいろありますが、すべては若者に有利な特性です。どっちかというとランニングよりも複雑で難易度の高い競技ですから若い人の方が向いているのは当然のことです。

「レース優勝者の年齢などが、トレイルランの方が高いことが多いではないか」

そう思うかもしれませんが、それはトレランの世界が「名誉だけが報酬」という無欲の世界だからではないかと思います。オリンピックの金メダルのような国家体育機関が介入するようなスポーツと認識されたら、優勝者の年齢はぐっと若くなるでしょう。

しかし技術者の世界に熟練工がいるように、足さばきが難しい分、熟練ランナーにも活躍できる余地はあります。ただしそれは熟練しているからであって、年寄り向きのスポーツという意味ではありません。

とくに年をとってスピードが遅くなるとトレランのレースには出場しにくくなります。一人しか通行できないシングルトラックを自分が塞いでしまい、後ろから若者たちに煽られたりします。こうなるとレースなんか楽しめません。

むしろ単調でマイペースで走れるアスファルトのマラソンの方が、趣味としてはトレイルランよりも年をとっても長く続けられるのではないかと思います。

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トレランの走るテクニック

トレイルランの場合、足元に障害物や段差があるので、歩幅が一定ではありえません。同じリズムで走れないのです。わたしが『サブスリー養成講座』で語ってきたような「走る雛形の力」で、力を発揮することが難しいのです。

わたしは『サブスリー養成講座』で「『スクワット走法』はやめて、ストライドは宙に浮遊して稼ぐ」ことを推奨してきました。

しかしトレイルのサーフェス(路面状況)によっては「(絶対にやってはいけない)スクワット走法」で走らざるをえない場面も出てくるでしょうし、大きな斜面ではストライドは壁にぶつかって小さくならざるをえません。

これらを避けるためには「腰高で小さな歩幅でのピッチ走法」を採用せざるをえないのです。トレランは「腰高のピッチ走法」で走ります。

スピード重視のマラソンでも腰高フォームを推奨されますが、この場合は空中を浮遊しているあいだにストライドを大きく稼いでいます。しかしトレイルの上り坂ではその滞空時間が稼げません。トレランでの腰高フォームは、なによりも筋肉を温存することを最重要視するために採用するのです。

腰高フォームをとることでスピードが落ちますが、スクワット走法を避けることで脚筋肉を温存できているので、結果として脚力が長もちして、はやくゴールにたどり着くことができます。

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トレイルランニングはウルトラマラソン以上の長距離であることもある

またトレイルランはウルトラマラソン以上に超長距離であることがあります。ハセツネCUPは71km、ウルトラトレイル・マウントフジUTMF)は168kmもあります。

その場合は、ウルトラマラソンのテクニックを援用できます。瞬間瞬間の速さよりも、筋肉を温存する走りをするべきだという戦略です。

ヤングシャフル走法などは、そのままトレランのレースで使えます。

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トレランではトレイルランニングシューズを履くべき(サンダルはダメ)

ランナーのバイブル『BORN TO RUN』の影響で、サンダルで山を走ろうとする人がいますが、わたしはトレランシューズで走った方がいいと思います。

こういうわたし自身、サンダルの大ファンです。夏の雨の日のランニングなどはサンダル以外のシューズは考えられません。

雨の日にも走る。シャワーランニングのすすめ
オフィスワークしている濡れない日々からすると、雨に濡れて走るだけでも非日常になります。考え方はふたつです。濡れないように雨を防御するか。はじめから濡れてもいいような格好で走るか? 真冬以外、はじめから濡れてもいいような格好で走っています。

しかしいくらララムリタラウマラ族)がサンダルでトレイルを速く駆け抜けるからって、わたしたち日本人がサンダルで山を走るのはおすすめできません。

『BORN TO RUN』でサンダル(薄底のゼロドロップシューズ)が激賞されていたのは「速く走れるから」ではありません。「膝の故障を誘発しないから」なのです。誤読なきように。

そもそもサンダルだと膝をケガしないというのは「足元が脆弱なので、全力で走ろうという気がうせる」ためではないでしょうか。全力で走ったらサンダルの紐が引きちぎれそうですし、無防備の爪をケガしそうですし、全力で走る気になれません。勝ったばかりのサンダルを試走で壊したら泣いちゃいます。

もちろん踵着地(ヒールストライク)よりも足裏全体での着地(フラット着地)の方が膝にやさしいことはあるでしょうが、後付けの理論に過ぎない気がします。

サンダル・ランニングでは、自らスピードをセーブしてそっと着地するために、結果として膝のケガを誘発しないというだけのことです。

日本のトレイルではサンダルではなく、トレイルランニングシューズを履いた方がいいでしょう。わたしもトレイルではトレランシューズを履いて走っています。レース後に、シューズのアッパーが汚れたり傷ついていることがよくありました。引き上げようとした足の甲に何かが当たったのでしょう。サンダルだったら出血していたと思います。

トレイルは頑丈なつくりのトレイルランシューズで走りましょう。

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トレランの走り方は「スキーを連想する」

トレランの走り方は「スキーを連想」するといいでしょう。

スキーで下る場合、へっぴり腰になっていると体の重心よりもスキー板が先に滑って、お尻から転んでしまいます。下りでは斜面と身体が垂直になって、スキー板にちゃんと体重を乗せてこそコントロールが可能です。腰が引けた状態になっているとスピードも出ません。

トレイルランの下りの場合にも、同じことがいえます。足が重心に先行するような走り方だと、そもそもスピードが乗りませんし、シューズのグリップをコントロールできません。結果として滑ってお尻から転んでしまいます。スクワット走法になって足が一気に疲弊します。

斜度と垂直。言うは易く行うは難しです。口でいうのは簡単でも、実際に行うのは「恐怖」のために簡単なことではありません。走るテクニックというよりは「勇気」といった心の領域である気がします。

トレランで好成績をおさめられるかどうかは「恐怖」を克服して速く下れるかどうか、この一点にかかっているといっても過言ではありません。

実際のところ、トレイルランニングではライバルと決定的な差がつくのは「下り」です。恐怖しながらへっぴり腰でソロソロ下る人と、恐れを克服してサルのように下るランナーでは圧倒的な差がつくのです。

それに対して「歩かざるをえないほどの登り」では、ほとんど差がつきません。トップ選手も中堅選手もしょせんは「登山しているような状態」なので、たいして差のつきようがないのです。

平地では、マラソンと同程度の差がつくだけです。

これほど下りで差がつくことから、レースでは「下りをすべて走れるペース」配分がベストだといわれています。

ランナーとしてのあなたがトレイルランニングに向いているかどうか。実はすぐにわかります。「下り」を見ればわかってしまうのです。恐がらずに下れる人は、トレイルランニングは向いています。恐がってしまう人は「恐怖を克服する」ことが必要になってきます。

この恐怖を克服しないと、結局、レースでは「渋滞惹起人」になってしまうでしょう。

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シングルトラックの邪魔者にならないために

山の上では、人を追い抜くことができないほど狭いシングルトラックがベースとなっています。二人並んで歩ける幅のトレイル(ダブルトラック)の方が珍しいでしょう。それは追い抜けないことを意味しますが、逆に脱落することもできないことも意味しています。

みんなのペースについていけないと、あなたは「渋滞惹起人」になってしまうのです。自分が「渋滞の原因になっている」というのはかなりのストレスになります。レースでは「先頭、道を譲れ!」と罵声が飛ぶこともあります。「スピードのフタをしている」状態にはなりたくないものです。

アスファルトのマラソンだと、いくらでも抜けるスペースがあるために、自分が邪魔ものだとは認識しなくてすんでしまいます。マラソンではよくジグザグに「カニ走り」で抜いていく人がいます。あれは「しょうがないから」あのようにジグザグに抜いていくのです。心の中では「邪魔だなー。みんなもっと速く走れよ」と思っているはずです。

ところがトレイルのシングルトラックでは「ジグザグ抜き」さえできません。おとなしく渋滞を我慢するしかないのです。そこでつい渋滞の先頭に「道を譲れ」と声を荒げてしまったりするのです。

トレランでは実力以上の位置にいるとマイペースで走れません。シングルトラックではいかに辛くても周囲の流れのスピードで行くしかないのです。たとえオーバーペース気味でも渋滞惹起人になりたくなかったら食らいつくしかありません。

すると転倒の危険が増してきます。実力以上の場所を走ることは自殺行為になるのです。

レースの距離にもよりますが、スピードよりは持久力で決着がつくレースの場合は、本来の実力よりはすこし遅い集団のところを走ったほうが、トレランの場合はいいと思います。

富士登山競争完走のためのテクニック
富士登山競争では、前半飛ばしすぎたランナーがバテて落ちてくることにより、必ず渋滞が発生します。「あなた自身」が渋滞の原因にならないように注意してください。渋滞に巻き込まれたら周囲の登山系出走者の中から「師匠」を見つけて、彼の踏み跡を追いかけることだけに集中しましょう。師匠が時間内に完走できるように導いてくれるはずです。
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トレイルの下り方

ためしに「階段」を可能な限りはやく下ってみましょう。転ばないように注意してください。どうすれば速く降りられるでしょうか?

この際、意識を向けるべきなのは「重心」です。「体の中心」をすこし下の階段側に向ければ自然と「体重」が重力にひかれるので、タッタッタッと着地筋だけを使って素早く下ることができます。

平地のように「みずから移動する」というよりは、落ちていくのを支えるだけ、というイメージです。

逆に「重心」が上のステップ側に残っていると、残った足をスクワットして下りなければなりません。たちまちヘタってしまいます。登山の後半、膝上の着地筋がヘタって下れなくなるのは、このスクワットが原因です。怖がって筋肉を緊張させないことも重要です。

宙を浮遊してストライドを稼ぐマラソンのイメージは捨てて、水が上から下に流れるように下りましょう。

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トレイルの上り方

下りとは逆にトレイルの上りでは前足の方に体重を乗せましょう。

こう書ければ簡単なのですが、なかなかそうはいきません。簡単に攻略できるサーフェス(山肌)ばかりではないからです。

ステップが大きい階段を上るときなど、足を大きく上げなければならない場面では、体重を前足にかけるのは無理です。そういう場面がかならず来ます。

そのような大きな段差はできるだけ迂回するぐらいしか対処しようがありません。

登りではふくらはぎをつかわないようにしましょう。そのために足首を固定します。足首をうごかすとふくらはぎが伸びたり縮んだりするので、そこが真っ先に疲弊して走れなくなってしまいます。

細かいステップを刻んで、着地筋をヘタらせないような動きをしましょう。脚の負担を極力へらして、勝負は下り坂でつける。上り坂はそのぐらいに思っておいてください。

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記憶が頼り。足元は見ない。脳裏のイメージを駆け抜ける

一流のトレイルランナーは、視線を3mぐらい先に置いて足元は見ません。直前の記憶で走っているわけです。脳裏のイメージのトレイルを走っているのです。スポーツというのは、こういうところがあります。

「ボールをよく見て打て」といわれる野球のバッティングでさえも、ボールとバットのインパクトの瞬間まで見ているわけではありません。直前までは見ていますが、インパクトの瞬間は見ていないのです。脳裏に描いたボールの軌跡を打っているわけです。

スポーツというのは成功イメージを思い描けるかが重要です。トレランも同じです。足元をちゃんと見て走っている人は遅い人です。足元をちゃんと見るには背中を丸めて下を向く必要がありますが、そのフォームでは速く走れません。

足元をきちんと見ているようでは速く走ることはできないのです。速い人は脳裏に描かれた記憶の路面を、正しく走り抜ける自分をイメージして、顔を上げて走るのです。

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トレイルランニングでは脳が覚醒する

トレイルランニングでは一瞬たりとも同じ路面はありません。ガレ場、林道、砂利道、土の道、木道階段……言葉にすれば数種類ですが、同じガレ場も、同じ林道もありません。二度と同じサーフェスがない中を、ずっと足元は直前の記憶に頼って走っているわけですから、トレランでは脳が覚醒するのがわかると思います。

基本的に同じアスファルトの真っ平らな路面であるがゆえに目を閉じても走れちゃう市街地のマラソンと、トレイルランとの大きな違いです。そういうところがトレランの面白さでもあるのです。

この地球の上を駆け抜けて去るのが人生です。旅するように走りつづけましょう。

トレイルランニングをつづけると、この地球の上が自分の住み家だと思うかもしれません。土地を買って庭を手入れするような小市民的な生き方とは違う世界に気づいてしまうかもしれませんね。

人生を変えたいのならば、仕事を辞めるという選択肢がある。
団体バスの行き先がろくな場所ではないとわかったら、もうバスは降りてしまっていいのではないですか? 仕事を変えれば、生き方を変えることができますよ。 今は退職代行サービスや、転職エージェントがあなたのキャリアアップを助けてくれる時代です。

このページを読んで、ひとりでも多くの方がトレイルを走ってランニングを楽しんでもらえたら、筆者にとってこれ以上のよろこびはありません。

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『結婚』: 愛とは? 結婚とは?
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
片翼の翼: なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?
Amazon.co.jp: 片翼の翼: なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? eBook : アリクラハルト: 本
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
片翼の翼: なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?
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【この記事を書いている人】

アリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。 市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。 また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。 そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。 その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。 登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。
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