旅の必需品だった温度計・方位磁石
むかし、わたしが海外を旅していた頃、温度計と方位磁石のキーホルダーを常に持ち歩いていました。行動用バッグにつけて、常に温度や方位を確認しながら旅をしていました。
遠い日本の日常にくらべて、異国の気温はぜんぜん違います。
この場所、この時間の気温は何度なのか?
この場所の気温は何度なのか? 気温の情報は旅に必要な情報でした。
地図があっても、北がわからないかぎり、どちらの方角に進めばいいのかわからない
また同時に方位磁石も旅に必要不可欠なものでした。
いくら地図を持参していても、北がわからないかぎり、どちらの方角に進めばいいのかわかりません。
温度計と方位磁石がセットになっているキーホルダーは長い間、旅の友でした。
スマホ・イノベーションによって不要になった方位磁石
ところが今はスマホがあります。スマホの「コンパス」アプリをつかえば、方位磁石はもういらないのです。
スマホの方位磁石の仕組みですが、iPhoneの中には磁気センサーが内臓されているそうです。スマホの中の方位磁石を読み取って、それをデジタル表示してくれているというわけです。
スマホと方位磁石を両方持ち歩くのは、靴を履いているのに靴を持ち歩くようなものです。これからはスマホがあれば、方位磁石を持ち歩く必要はないのです。
スマホに内臓温度計を設置してもらいたいが、技術的に難しい
ではもうひとつの機能、温度計のほうがどうでしょうか?
なんと……iPhoneに温度計は内蔵されていないそうです。残念でした。
いや、入れろよ! 温度情報、すごく大事だぞ。
ここからは私の想像ですが……おそらくスマホ内臓温度計はスマホ本体の電池などの温度を測ってしまうため技術的に難しいのでしょう。
スマホ技術者も内臓温度計についてはもちろん考えたのでしょう。しかしスマホという機械そのものが温度をもってしまうため、内臓温度計はそれを測ってしまうため、正確な気温を測れないために内臓されていないのだと思われます。
お天気アプリで現在地の気温がわかるが、室温は測れない
そのかわり天気ウィジェットをつかえば、現在地の気温がわかります。外気温をホーム画面上に表示してくれます。GPSの位置情報から、現在地の気象情報を検索して表示してくれるというわけです。
オンラインであることが条件なので、私のように海外で現地のSIMを入れないような旅人にはこの技は使えませんが……Wi-Fi環境で検索すれば、現在地の外気温はわかるのです。
つまり……もはや温度計も持ち歩く必要もほとんどないということです。オンラインであることが条件なので、サハラ砂漠の朝の気温などはわかりませんけれどね(圏外だから)。
そして残念ながら室内温度は測れません。室内温度も大切な情報なんだけどな……どうにか絶縁体などをつかって直接温度を測れるような内臓温度計を装備したスマホを開発できませんか?
スマホ・イノベーション。トラベル計算機(時計)も不要になった。
かつて私はトラベル計算機・トラベル時計というものを持ち歩いていました。
こちらは計算機にもなるので円換算に便利でした。ベトナム経由でヨーロッパ旅行をすると通貨の単位が違いすぎて、あたまがおかしくなります。
値段交渉の際にも、言葉が喋れなくても、数字を打ち込んで見せればいいので、海外旅行の必需品でした。
トラベル計算機(時計)はアラームも鳴るので、旅先での現地ツアーの時間に遅れないように起床する際、たいへん役に立ってくれたものです。
しかし……もはやこいつの出番もなくなりました。
御承知のとおり、スマホには計算機の機能もついていますし、アラームの機能もついているからです。すごい時代になったものです。
スマホのような機械の出現をイノベーションといいます。革新的技術と和訳されます。
スマホの出現によって、カメラ、時計、計算機、百科辞書、新聞、方位磁石などが売れなくなりました。
そして時代は、ガソリン車から「走るスマホ」になろうとしています。カメラ会社や、時計の会社、新聞社の売上が激減したように、自動車産業の売上も激減すると予想されています。
いやはや、たいへんな時代にわたしたちは立ち会っているといえそうです。