どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?
旅先で出会った忘れられない人
上海に旅行に行った時のことです。忘れられない人に会いました。
この人です。寒い上海でずっと二胡という中国の古い伝統的な楽器を弾いて、投げ銭を稼いでいました。「二胡ジイ」と私はこの人を呼んでいます。
私には海外旅行でのんびりするような趣味はなく、寸暇を惜しんで経験の狩人となります。朝早くから夜遅くまで出歩いて「何でも見てやろう」と思っています。ホテルは寝るためだけの場所。だから安宿で十分。目を閉じれば高級ホテルと同じですから。
そのように朝早くから夜遅くまで遊びまわっている私ですが、この「二胡ジイ」は私よりも早くから歩道橋の上で二胡を弾き、遊び疲れた私がホテルに戻るよりも遅くまで二胡を弾いて投げ銭を稼いでいます。
二胡の腕は決して上手くはないのですが、通りすがりの人たちは、次々と投げ銭を放っていきます。私も二胡ジイを無視することはできなせんでした。
動いていなければとても寒い中、この風貌で、同じ場所でずっと下手くそな二胡をキコキコ弾いているのです。とても無視して通り過ぎることができません。
行きと帰り、通るたびに100円程度の投げ銭を放りました。旅の間、トータルで500円ぐらいは二胡ジイに投げ銭したはずである。それだけモデル代を払えば二胡ジイも写真の掲載も快く許してくれるであろう。
投げ銭箱の代わりにQRコードを貼る中国のストリートミュージシャン
頭が下がるほど勤勉です。寒空の下、ずっと二胡を弾いているのです。それほど弾いているのならばもうすこし腕が上達してもよさそうなものですが、二胡はすこしも上手じゃありません。聞かせるレベルで音楽を奏でてはいないのです。
しかしアジアによくいる喜捨(バクシーシ)を求める乞食(こつじき)の方々と、二胡ジイは全然違います。たとえばマレーシアのアロー通りのストリートミュージシャンと二胡ジイのやっていることは同じです。楽器の腕は全然違いますが。
しかし稼いでいる額は、二胡ジイの方がはるかに上なのではないかと思う。常に同じ場所で二胡を弾いている道祖伸のようなジイさんである。人々は通行料を払うように二胡ジイに投げ銭を放っていた。もしかしたらこの歩道橋は有料道路だったのではないだろうか(笑)。
旅の間、いつも同じ場所にいた。そこで二胡を弾いていた。それが二胡ジイである。その勤勉さには頭が下がるばかりである。家はあるのだろうか。どこかに帰るのであろうか。もしかしてそこで暮らしていたんじゃないだろうか。
しかし東南アジアと違って、夜を外で眠るには危険なレベルの寒さである。
中国ではお金のやり取りをスマホですることが普通である。
投げ銭箱を用意していない路上の歌い手もいる。彼らの前にあるのはQRコードである。スマホでQRコードを読み取ってもらい、投げ銭額を入力してもらうと口座に投げ銭がチャリンと振り込まれる仕組みだ。
こんなもので振り込む人が本当にいるのだろうか。スマホで投げ銭なんて全然やる気になれない。
ブログ・アフィリエイターと、ストリート・ミュージシャンは同業者。どちらも投げ銭稼業
考えてみればアフィリエイターというのも投げ銭稼業だと思う。当サイトもそうだが、サイトに表示される広告をクリックしてもらうことで、わずかな収入を得ている。それはまるで投げ銭稼業のようなものだ。
ブログ・アフィリエイターと、路上の歌い手は同業者である。
無料で手に入るものに、お金を支払う人なんているんだろうか……。
路上の歌い手は、音楽そのもので稼いでいるとかろうじて言えるかもしれない。
曲を聴いてしまった以上、人として投げ銭を払わざるを得ないということもある。いわば交際費のレベルで投げ銭を頂くこともできる。それが対面の強みである。
ところがブログ・アフィリエイターは対面でないために、そのような人対人の感覚による義務的な費用は発生しない。お金もブログの文章そのものではなく、広告のクリックによって発生している。正確には売文稼業ではない。民放テレビのようなものである。
しかし「投げ銭」という目線で見ると同業者と言えるかもしれない。ブログ・アフィリエイターである自分が、同業者である二胡ジイを見ると、それはもう圧倒的に二胡ジイの方が稼いでいる。
このポーズで一日中寒空の下にいるのだ。楽な稼業ではない。むしろそれだけの熱心さがあれば、他の仕事で成功できるんじゃないか?
実際、二胡ジイは本当は大金持ちなのではないかとさえ思った。
昔、赤塚不二夫の漫画にこんなシーンがあった。
お金持ちの男が、豪邸から運転手付きの黒塗りの車で出てくる。男はぼろ服に着替えて乞食を始める。夕方になるとまた黒塗りの車が迎えに来て「社長、お疲れさまでした」。男はぼろ服を豪奢な服に着替えて豪邸に帰る。。。
実際、ちょっと見ている間にも、みんなが投げ銭を放っている。このペンキ缶みたいな投げ銭箱に小銭を投げ入れるのが通行人の快感であるかのように。
二胡ジイ、めちゃくちゃ稼いでいたと思う。本当はお金持ちなんじゃないか?
二胡ジイは、旅の間、ずっと同じ場所にいた。そこでずっと二胡を弾いていた。
同業者として、すこしはあやかりたいものだ。