ヒルトンホテルのタイムシェア型レジデンス。悪いのはヒルトンではなくハワイそのもの
またもやハワイに行ってきた。今年になって二度目のハワイである。最初は三月、マリオットホテルからタイムシェア型レジデンスの提案を受けて、そのお試しで三日間無料でホテルに泊まらせてくれるというので行ってきた。オアフ島のコオリナ地区というワイキキビーチ&ホテルズとは別の場所だった。郊外型のリゾートホテルである。それなりに楽しませてもらったが、タイムシェアマンションの購入は断った。ウォルマートやターゲットなどのショッピングセンターからあまりにも遠く、ただホテル暮らしをするだけになってしまうというのが理由だ。郊外でホテル暮らしをするつもりはない。
そしてこの6月。今度はヒルトンホテルからタイムシェア型レジデンスの提案を受けて、そのお試しで三日間無料でホテルに泊まらせてくれるというので行ってきた。今度はワイキキビーチ&ホテルズにある建物だった。買い物や遊ぶ場所に問題はなかったが、今回もタイムシェアマンションの購入は断った。ヒルトンホテルの問題ではない。ハワイの問題で。
高い金を払ってすばらしい経験ができるのは当たり前
日本人にとって、ハワイの物価は高すぎる。アメリカ人の平均的な手取りは日本人よりもずっと高いのだが、それでも生活に苦しむ人がいるのは、物価が高いためである。
朝から朝食に5千円ぐらい使うのは普通のことだ。日本で同じことをするのの三倍ぐらいのお金がかかる。食べ物も三倍ぐらいの値段がする。それでいて三倍おいしいかといえば、決してそんなことはない。
そもそも高い金を払ってすばらしい経験ができるのは当たり前のことだ。なんのありがたみもない。費用対効果に見合っているだけ。たいしたお金を払っていないのにすばらしい経験ができるからこそありがたいのだ。価値があるのだ。
そういう意味で、日本人にとってハワイに価値があるのかといえば、価値はないと思う。ハワイはもう夢のリゾート地ではない。すくなくとも費用対効果にあっていない。
たとえばタイやマレーシアのアジアンビーチとくらべてみよう。海は甲乙つけがたい。サーファーは別として、べつにハワイの海のほうがすぐれているわけではない。むしろ近くて安い分だけアジアンビーチのほうがいいのではないか?
食べ物もアジアンビーチのほうが安くてうまいし、マッサージもある。パラセイリングなども手ごろな値段で体験できる。ハワイに行かなきゃならない積極的な理由がなにひとつ見つからないのだ。ショッピングだって、ハワイイメージの商品のほとんどは中国製だ。トランプ大統領の関税で今後はもっと高価になるだろう。
ハワイはわざわざ立ち寄るような場所ではない。船旅なら別だけれど
私にとってこの旅が最後のハワイ旅になるのではないか、という気が強くした。たとえばシンガポールのようにどこかに行く途中でトランジットで立ち寄るような場所ならば、また行く機会があるかもしれないけれど、ハワイは絶海の孤島である。わざわざ立ち寄らなければならないような場所だ。船旅なら別だけれど、飛行機で旅する今、わざわざハワイに行くことはもうないだろうなと強く感じた。それほど惹きつけられるものが、ハワイになかったのだ。
いや。もちろん世界に日本とハワイしかなかったらまた行きたいですよ。日本のウェットな過ごしにくい夏と違って、過ごしやすいドライないい気候でした。いい場所なのは確かなのですが、また選択するかときかれたら選択しないと思う。世界にハワイしかないなら別だが、世界はひろい。訪れるべき場所は他にもたくさんある。アカプルコだって、サンタモニカだって、コパカバーナだってあるのに、またワイキキにわざわざ行くかなあ?
そう考えると、もう行かないだろうな、と思わざるをえなかった。
そして私は心の中でハワイにさよならを言ったのだ。

そもそも私がランナーになったのは、ホノルルマラソンに出ようと思ったからである。ハワイへのあこがれのおかげでランナーになれた。
ありがとう。ハワイよ。さようなら。次の世で、また会おう。

