きっかけは『荒野のおおかみ』だった。なんとうちの市の図書館には『荒野のおおかみ』が置いてないらしいのだ。そんなことありえる? ステッペンウルフだよ。アウトサイダー・ヒッピー文学のバイブルだよ。ヘルマン・ヘッセだよ。ノーベル文学賞だよ。それがないなんてありえない!
生涯1000冊の本に挑戦しようと決めたおれは、新書は買うが、古書は図書館に頼るしかない。その図書館に最初の一冊から絶望してしまったのである。
県立図書館の本を運んできて貸してくれるらしい
ところが図書館司書によく話を聞いてみると、現在の図書館ネットワークでは、県の本も回してくれるということだ。県立図書館の本を回覧して読ませてくれるというのである。たしかに県民税はちゃんと納めている。県立図書館の本を借りたって罰はあたらないはずである。その方法でどうにか『荒野のおおかみ』は確保することができた。
ところが調べていくうちに、もっとすばらしいことがわかった。私の場合であるが、なんと隣町(隣接市町村)の図書館カードに登録して隣町の本を借りることができるようなのだ。自分の住んでいる市町村の図書館しか登録できないと私は思い込んでいた。
窮すれば通ず、である。
図書館は所在地もしくは勤務先のある市町村の図書館しか登録できないと思っていた。どうしてそう思ったのか後から理屈をつければ、居住地には住民税を払っているし、勤務先には会社を通して法人税を払っているから、図書館の本を借りるぐらいの権利はありそうだと予想がつく。
ところが隣町には直接的には何の支払いもしていないはずだが、どうして貸してくださるのかしら?
隣町の市道には直接お支払い(納税)していなくても遠慮なく通行させてもらっているから、市民税がすべてじゃないのかもしれない。
しかし隣の県の図書館を調べたら、県をまたぐと図書館カードの登録はできないらしい。隣の県と隣接している人もいると思うが、都道府県をまたぐと図書館の本を借りることはダメである可能性が高い。隣の県の県道や市道だって無料で通行させてもらっているのに、逆にどうして図書館の本は借りられないのだろうか?
お互いの市民が登録できるように、図書館同士がどうやら相互協定を結んでいるらしい。行政区域の端っこに住んでいれば隣町の図書館の方がずっと近い場合だってあるだろうから、これも住民サービスの一環であろう。
ありがたいことだ。
この方法を知っていれば、本の可能性は大きく広がる。
所在地の図書館がいつも混んでいるとか、ろくな資料(本)がないとか不満があったら、隣町の図書館に登録できないか調べてみるとよい。
案外、隣町の図書館は在庫も充実し、静かで席も空いているかもしれない。
図書館カードを持っているのだから、きっと座席に座って読書をしても文句は言われないだろう。
もちろんあなたの住んでいる地元によって違うと思うので、そうではない場合もあると思う。自分のケースをよく調査してみてください。
しかし県単位の資料(本)を借りることができるというのであれば、読みたくても資料がないなんてことはほとんどないのではないだろうか。
もちろん、資料(本)は購入を要望することもできる。図書館というシステムは人生に欠かせないものだ。