- 真夏に冷房のきいた部屋でかき氷を食べながらパンツ一枚で見るコンテンツって何かありますか?
- 『氷点下で生きるということ』は、現代の「ウォールデン 森の生活」(ヘンリー・デビッド・ソロー)か?
- 『氷点下で生きるということ』は、リアルな「Dr.STONE」か?
- 北極圏の『ALONE~孤独のサバイバー~』か?
- 『ザ・山男』との違い。お金にがめついか、生き甲斐か。
- 世界一豊かなアメリカだからこそ、アメリカ人だからこその番組。
- 『氷点下で生きるということ』(LIFE BELOW ZERO°)の用語の基礎知識
- ワイズマンのエリック・サリタン氏
- キャビクのスー・エイキンズ女史
- ノールビクのチップ(アグネス)・ヘイルストーン一家
- チャンダラーのグレン・ビルヌーブ氏
- イーグルのアンディ(ケイト)・バシッチ一家
- アラスカ版『ポツンと一軒家』=『氷点下で生きるということ』(LIFE BELOW ZERO°)の内容、評価、感想、ツッコミ、総評
真夏に冷房のきいた部屋でかき氷を食べながらパンツ一枚で見るコンテンツって何かありますか?
真夏に冷房のきいた部屋で、かき氷を食べながらパンツ一枚で見るコンテンツ。あなたにはそういうものがありますか?
「夏が来れば思いだす~♪」という歌がありますが、私にとってはAmazonプライムビデオのオリジナルコンテンツ『氷点下で生きるということ』(LIFE BELOW ZERO°)がそれにあたります。
アメリカのアリゾナで暮らす人々を追ったドキュメンタリータッチの映像作品です。マイナス30度のライフラインから隔絶した場所で、狩猟や漁業や物々交換などをして生きていく人たちを追った作品です。
自給自足生活なんて無理。スーパーマーケットのない場所で、人はどうやって生きていけるのであろうか?
このホワイトアウトの極寒の世界を、真冬に見る気にはなれません。だって日本だってじゅうぶんに寒いんだもの。しかし真夏になるとこの『氷点下』を見たくなります。自分の世界と真反対の世界のことを。
私は、真夏に冷房の効いた部屋で、かき氷を食べながらパンツ一枚で『氷点下で生きるということ』見るのが大好きです。目から冷えるっていうんでしょうか??
『氷点下で生きるということ』は、現代の「ウォールデン 森の生活」(ヘンリー・デビッド・ソロー)か?
最初、『氷点下で生きるということ』は、現代のヘンリー・デビッド・ソロー『ウォールデン森の生活』なのかと思いました。しかしあらためて『森の生活』を読み直した結果、全く違うということがわかりました。
ソローの自給自足生活は、雇われ労働者であることをやめて自給自足すれば余暇がうまれるというものでした。現代のFIREムーブメントに近いものがあります。
その余暇で読書や思索や執筆や散歩や瞑想に時間が使えるようになることが作品では強調されています。
しかし「氷点下で生きるということ」の登場人物たちは、生きていくために労働また労働の暮らしをしています。ありあまった余暇で読書や思索や執筆をしているようには見えません。人里離れた自給自足生活は似ていますが、ソローのものとは精神がまったく違います。「氷点下で生きるということ」のような人たちをソローはむしろ軽蔑していたのです。
この男の最高の任務は馬にまぐさをやり、水を飲ませることなのだ。運送で得られる利益にくらべれば自分の運命などどうなろうと構わないのである。この男のどこが神々しくて不滅だというのか? 人間の神性のことなどよくも口に出せたものだ。
『森の生活』でソローはこう言って「氷点下で生きるということ」のような生活を明快に否定しています。彼は思索家、哲学者だからです。
『氷点下で生きるということ』は、リアルな「Dr.STONE」か?
また「氷点下で生きるということ」は、リアルなアラスカ版『Dr.STONE』かとも思いました。『Dr.STONE』というのは現代の高校生が文明が滅んだ石器時代テクノロジー場所へと放り込まれてしまうというSFアニメです。ストーリーの冒頭で、主人公センクウが石器時代の自給自足生活を送ります。
しかし主人公センクウはあくまでも科学者であり、サバイバーではありません。物語の後半になると、多くの仲間と協力して、人間の文明を復活させようとします。人々は一致協力して石器時代生活から脱却しようとします。
それに対して『氷点下』の登場人物たちは、他人と協力して何かを成し遂げようという気がありません。協力し合うとしてもせいぜい家族レベルです。村単位ではありません。そしてそもそも古代の暮らしから脱却しようという気がありません。むしろできるだけローテクで、できるだけ自分一人で、大自然の中で何とかサバイブしてみたい。それでこそやりがいがある、というサバイバルゲームのような心意気を感じます。
現代人が、石器時代にタイムスリップしたら、生き残れるだろうか?
北極圏の『ALONE~孤独のサバイバー~』か?
同じくAmazonプライムビデオに『ALONE~孤独のサバイバー~』というサバイバルコンテンツがあります。こちらも視聴したのですが、私には『氷点下で生きるということ』のほうがずっとおもしろく見られました。『ALONE~孤独のサバイバー~』はアウトドアの達人が森の中に置き去りにされて何とかサバイブするというコンテンツです。『氷点下で生きるということ』と似たコンセプトなのですが、「楽しんでいるか」どうかがぜんぜん違います。
『ALONE~孤独のサバイバー~』の森の世界の人たちは、賞金をゲットするため、自分を証明するために、苦しいことを何とか成し遂げようとしています。それに対して『氷点下で生きるということ』の登場人物たちは、スノーマシンに乗ったり、小舟に乗ったり、犬ぞりに乗ったりして銀世界や山や川を移動しています。それがとても楽しそうに見えるのです。雪の世界がきれいで見ていてわくわくします。そして労働はハンティングやフィッシングです。自分でストーブや野菜ハウスなどをクラフトしたりします。それがとても楽しそうに見えるのです。
※こちらは真夏に視聴しているので、氷の世界がうらやましく見えるのです。
『ザ・山男』との違い。お金にがめついか、生き甲斐か。
同様のコンテンツに『ザ・山男』というのがあります。この作品もアメリカ各地(アラスカとは限らない)の山で狩猟などして自給自足の生活を送っている人たちの姿を追いかけているドキュメンタリーコンテンツです。類似コンテンツですね。
この『ザ・山男』と『氷点下で生きるということ』の登場人物たちの暮らしぶりは非常に似ています。『ウォールデン森の生活』の優雅な時間、知的生活とは真逆の忙しい暮らしです。やること山積みの生活そのものが冒険といった暮らしです。
しかし両者の違いはその精神性にあるのではないでしょうか。両作品を観ていて思うのですが『ザ・山男』の登場人物たちは金にがめつい(笑)。「これで金が稼げる」「金を稼がなきゃならない」とカネカネ言います。
それに対して『氷点下で生きるということ』の登場人物たちは「ここでは金がなくても暮らせる。金がなくても充実している」などとは言いますが、カネが欲しい、カネをかせがなきゃとは言いません。だれにも頼らない暮らしを誇りとし、昔からの生活を次世代に継承しながら生きていく命に価値を見出しています。精神性が違うのです。
カネカネいう山男も面白いのですが、私は「わかり切った生活なんてごめんだわ」「ここでは食料を得るだけでも複雑で知恵と体力が試される」なんて精神的なことを言う『氷点下で生きるということ』の人たちの方が面白いなあ。
たぶん州法の違いなんでしょうが、山男よりも、アラスカの氷点下の人たちの方が鉄砲を容赦なくぶっ放します。それが爽快だったりもします。
世界一豊かなアメリカだからこそ、アメリカ人だからこその番組。
もしもこの番組の登場人物がアメリカ人じゃなかったとしたらどうだったでしょうか?
たとえばスーや、チップやアンディがアイスランド人だったら、わたしたちは「ああ。昔ながらのこういう生き方しかできないんだな。貧しいアイスランドに生まれてかわいそうに」という感想をもったに違いありません。
ところが『氷点下に生きるということ』の主人公たちはみんなアメリカ人です。アメリカは世界一豊かな国です。世界の貿易はドルを基調に取引されており、日本人が貿易するためには円でドルを買う必要がありますが、アメリカはそのドルを印刷するだけでいいのです。そのような豊かな国の豊かな国民が、サンフランシスコでもユーヨークでもどこでも住めるのにあえてアラスカに住んで自給自足の生活を送っているからこそ、この番組は説得力を持っているのです。
アメリカ人が猟銃で野生動物を狩猟する。アメリカ人が寒さに凍えながら木を燃やして生きていく。だからこそ心に刺さるのです。シベリアでロシア人が同じことをやっていたとしても、私たちは「面白い」と共感できなかったに違いありません。
「そうせざるを得ない」と「自ら選んだ」ではこれほどまでに違いがあるのです。
『氷点下で生きるということ』(LIFE BELOW ZERO°)の用語の基礎知識
ここでは『氷点下で生きるということ』のシーズン1にスポットを当てて内容、感想、ツッコミをしようと思います。ちなみに狩猟が作品の大きな柱となっているのですが、獲物はこちら。参考にしてください。
カリブー=トナカイです。一匹で三週間分の食事になるという。舌、心臓、がうまいらしい。スープがおすすめ。
エルク=ヘラジカです。最大の鹿で、巨大です。
グリズリー=アラスカ最強。ヒグマの仲間です。
カナダオオヤマネコ=別名リンクス。罠でつかまえて毛皮を剥ぐ。
クズリ=イタチ科の獰猛なプレデターです。
マスクラット=ビーバーと同じ水棲のネズミ類です。踏み殺したりします。
ちなみにタイトルは摂氏のゼロ表示だし、登場人物たちもときどき「below zero」という表現を使っているのですが、気温は全米の視聴者向けに華氏表示で表記されています。
【身体尺は滅びない】華氏と摂氏。マイルとキロメートル。日本と違うアメリカの単位
ワイズマンのエリック・サリタン氏
ワイズマン(人口16人ほど)というアラスカの北極線の北約100キロのところに住むハンター、罠猟師。地域ガイド、狩猟ガイドとしても収入を得ている男。移住して10年になる若者、たぶんまだ20代後半。一年で500キロも肉を狩猟する。
「欲求は主観的なもの。これがぜいたくさ」。「静かに散歩する。ここは教会さ」「疲れたら眠る。仕事があればやる」「自立しないとここでは生きられない」「夕方の四時に起きても朝六時に起きたような成果を得られる。時間は自分の自由」「狩りは運の要素が大きい」
(シーズン1)銃の撃鉄が凍って故障する。カリブー狩り。毎日肉を食っている男。キツネ狩り、毛皮は40ドル。キツネ二匹、ライチョウ二羽を一日で仕留める。クズリ、カリブーの皮剥ぎ。一匹で三週間分の食事になる。舌、心臓、がうまい。玉ねぎと一緒にフライパンで焼くだけの食事。玉ねぎとライチョウの肉。フライパンとアブラ。プラスチックの皿とマグカップ。山岳水が流れる川、ポリタンク5個ほどに汲んでつかう。その水で珈琲。タバコ喫煙者。夜型人間。AM1時30分から2、3時間働く。ヘッドライト必須。スマホを見ている。石炭をつかうストーブ。ストーブを自前で修理、整備する。時計なんかいらない。極寒の日には一日に3、4回薪(トウヒ、カバノキ)をくべる。冬の日照時間はゼロ。ドラム缶に薪でサウナ。必要なのは①燃料②肉③薪④弾丸。クズリをピストルで仕留める。毛皮と骨を売る。アンカレッジ、フェアバンクスに車で行く。剝製師に毛皮の仕上げを頼む。ヘラジカを解体して、ひき肉製造機を熱湯消毒して、ひき肉に。ビニール保存袋に小分けにして保存。ポテト、ライチョウ、チーズ、相変わらずフライパンで焼くだけの料理。
(シーズン2)アラスカに12年住んでいる。イリアムナで熊狩りのガイド。コディアック島でオグロジカを一撃。解体して獲物袋のバックパックに収納。スマホを見ている。テント。コット。マット。ペツルのヘッドライト。双眼鏡。単眼望遠鏡。シロイワヤギの一撃。夜間、ヘッドライト作業。スノーマシンを防水シートで覆い発電機でヒーターをつけて温めて起動。「機械に弱い」ホッキョクギツネを罠でゲット。「狩りが楽しみ」死にそうなウサギの鳴き声をテープで流す。ハイイロオオカミが寄ってくる。狼皮は1500ドルの価値がある。失敗もある。この難しさゆえに成功したときうれしい。アカギツネの黒変種をゲット。一人の時間を過ごす。「必要なことは進んで自分がやるしかないんだ」重機フォークリフト。ガイドした女性と結婚(マーサ)。熊狩り。飛行機で降りたその日には撃てない。舟が座礁、降りて引っ張る。銃弾でつくった鴨笛。
(シーズン3)エピソード7で再登場。2軒の山小屋を運営。ガイドと毛皮の販売。マーサはアラスカ・イリアムナ出身の原住民系モンゴロイド。マーサがオープンサイトの猟銃でアカギツネを仕留める。スノーモービルの転倒。車の所有が二台になる。さらに軽飛行機を所有している! どこが金がないんだ! もしかしてこの番組の出演料で買ったのだろうか? 罠猟のシーズン。リンクスかウルバリン、ウィーゼル=イタチ、groose=ライチョウ一年で200匹。回転カッターで冷くん法の設備づくり。いつもと違うことを娯楽としてやる。
エリック・サリタン氏の高価な所有物
AR15ライフル。ライフル10万円スコープ10万円ほどで合計20万円
スノーモービル(スノーマシン)100万円ほどを2台所有。雪の移動手段。木材をひきずって移動など大活躍。
スノーバギー。100万円ほど。
発電機。6万円ぐらい。
後部が観音開きになる黒い高そうな車。300万円ぐらい。
チェーンソー。2万円ぐらい。
三枚のソーラーパネル(10万円ぐらい×3)と十二台のバッテリー(2万円×12台)。ジェネレーターを回し続けるよりも安い。
パソコン。スマホ。
軽飛行機!! まじか!!
携帯用ソーラーバッテリーを日常的に使う場合。注意点と費用対効果
エリック・サリタン氏に対する感想
『氷点下』の登場人物の中でもっとも銃がうまいのがこの人。まだ若く、クールな生活。サーモン釣りなどもっとも釣りに食料を頼らない人。現金はガイド料や毛皮、剥製で稼いでいる。
電線の届かない場所で夜型生活を送る。なんでわざわざライトが必要な夜型生活を送っているのかとずっと謎だったが、おそらく冬は日照時間がゼロなので、朝も夜も同じことなのだろうと思う。
「数百年前に生まれてたらもっと幸せだったかも」今より獲物は多かったかもしれないがスノーマシンにのってライフルを撃ちながら言うセリフじゃないと思うけど(笑)。
キャビクのスー・エイキンズ女史
(シーズン1)キャビク(人口1人ほど)というアラスカの北極線の北約317キロのところに住むキャビク・リバー・キャンプの管理人(後にオーナー)。滑走路(ランウェイ)を持ち、キャンプは測候所、救難基地であり、夏にはキャンプ場としての収入がある。燃料販売ビジネスも行っている。孫もいるおばあちゃん。リック・ラビュースという元軍人をキャンプ場の使用人として使う。いちばん近い家は南に560キロ。一年のうち10カ月は一人きり。16棟のキャビン(トレーラーハウス)。5棟の大型テントがあって、テントで独り暮らし。夜中の二時にグリズリーに襲われ噛まれた経験をもつ。
「挑戦こそ私の人生」「人間同士の汚いゲームは得意じゃないの」「人生は冒険しなきゃ」「毎日が人生最後の日だと覚悟してるわ」「キャビクに来るといいわ。いいダイエットになる」というが結構太っているおばさん。「変化と挑戦。毎日が冒険。すべてが挑戦。」
足の骨折をフェアバンクスで治療。配電工事中に怪我をした。喫煙者。治療中にキャンプ場がライフル、スコープ、燃料1900リットル6000ドル相当の盗難にあう。マイナス30度のホワイトアウト。ノートパソコンで気象サイトを調べる。強風、寒さ、熊、クズリ、医者もいない。毎日がサバイバル。雪かき仕事。手縫い仕事は基本。オオカミに餌と思われている。双眼鏡で監視。燃料がないと何もできない。発電機も、暖房も、機械作動も。電気が止まる。ライトよりも熱が重要だから。マグカップで珈琲を飲む。ライチョウを撃って手で解体する。大型ガスボンベが室内にある。ガスコンロでバター、林檎、クランベリーをフライパンで焼く。巨大冷蔵庫に狩った獲物の冷凍肉が保存されている。キャンプ場周辺のキツネが友だち。スノーマシンにそりを引いてムース狩りに出る。フェアバンクスで契約し、キャンプ場を買い取ってオーナーになる。夏が稼ぎ時。キャンプ場にツンドラを見に来る人、科学者、パイロット、旅行者に食料、燃料、水をろ過して提供する。九カ月ぶりのシャワーと洗濯。飛行機でガスボンベ、客用の食料を運ぶ。石炭を拾う。その場で素人解体で持ち帰る。衛星電話。カナダに向かう唯一の給油所。飛行機の燃料。テントの屋根の修理をつぎはぎに行う。ヘラジカには狩猟期間がある。カリブーの年間狩猟数は五頭と決まっている。その数のために膨大な猟銃を所有しているのか……。
(シーズン2)北極圏の東半分で唯一の給油所。15トレーラー、6テント。熊狩りの射撃訓練。360メートル先のグリズリーに命中。肉、皮、脂肪をとる。「あなたは暖かさと栄養をくれる」トレーラーハウスにはシングルベッドがふたつ。寝るだけのキャビン。カリブー二頭射止める。300日間ひとり。16本のドラム缶に航空燃料。拳銃もって川で一日4リットル汲んで飲み水、風呂、料理、掃除。引退したソリ犬アーミンと暮らす。雪原。発電機のオイル交換。焼却場がある。「この地で待ち受ける試練はアラスカでないと味わえない」ホッキョクグマまで近くにいる。椎間板ヘルニア。転んで背中を痛める。スマホで通話して1000ドルの鎮痛剤を空から落としてもらう。アルゴを2日かけてデッドホースから130km運転していく。「私には自分の世界があって、私こそが世界の中心という幻想に浸っていられる。でも町に来ると蟻の一匹になった気分」9カ月流れる水がない。1150リットル近くを備蓄している。「マイナス三十度の中で寝れば永遠の眠りにつくわ」自分でストーブを交換する。20,000ドルの建物、8,000ドルの備品。5メートルの積雪。建物4~5万ドルの損失。冷凍庫2~3千ドル。穴掘り機。いきなり実践投入。120センチ掘るがレイクトラウト釣れず代わりにライチョウを撃つ「ヒレを逃してハネを得た」「自分のことを冒険家だと思っている」ウルヴァリン=クズリ。「刺激は必要よ。毎日同じことの繰り返しなんて嫌。わかりきった生活はゴメンだわ」フライパンに油、玉ねぎ、にんにく、ライチョウの肉。シングルモルトとハマキ。「肉体には限界があるわ。もちろん怖いけど死ぬ日は選べないからね。迎えが来る日まで私なりに全力で走り抜く」「社会を離れたかったのではなく、自分の人生を生きたかった」野菜プラントづくり。野菜を育てて冷凍保存する計画。水耕栽培。野外全裸で体を洗い葉巻を吸う。ホッキョクイワナを狙う。サーマレストのマット。魚を普段の食事に加える。双眼鏡。ストーブ。マット。飛行客に燃料、寝床、食事を提供。6~9月に一年分の収入。燃料はここの経済の生命線。川の水をくみ上げて濾過して客に提供。「自然の気まぐれで命が左右される。逆らえない」「物資がないと収入が得られない」年間収入の九割がこの先ひと月半にかかっている。ジェット燃料A50。航空燃料を売らなければここは無人になる。ヘリ3日で5,500リットルぐらいつかう。無線で風況を伝える。発電機の修理、電気で冷凍庫、暖房、無線、照明、ホットシャワーを動かす、ジェネレーターは生命線。解体して清掃が基本。冷却部分の汚れを取り除く。孫のネイサン。「今しかできないことだから精いっぱい経験したい」夏の客は途切れなかった。
(シーズン3)雪と寒さに耐えるための準備をする。室内の洗濯機と洗濯もの。キャタピラを外したアルゴ。ライチョウを撃つ。ドーム型テント。サーマレストのリッジレスト(キャンプマット)。4丁のショットガン、1丁のピストル。12年住んでいて9~10カ月は一人生活。古傷が痛む。7m弱から落ちた三カ所脚が折れて周囲の組織が傷ついた。フェアバンクスで治療、タクシーでホテル投宿。この足がうまく動かないなら治療するか負けを認めるしかない。フェアバンクスの友人の小屋を買って所有している。そのログハウスに不法侵入され荒らされる。社会生活はコントロールできない世界を知ること。車で800km移動、暴風雪、強風吹雪、地吹雪。テントの中は調味料、ガス台、紙コップ、紅茶。ライチョウを撃つがキツネにとられる。ライチョウを手で引きちぎる。「時間の使い方も自分次第よ」。川から真水を汲んでためておく。年間310日水道水は出ない(そもそも水道水があることが疑問?)水は一日4リットル必要。機会は冷却始動できないので温めて起動する。ジステンバーの流行。トレイラー内にトイレと洗濯場。ブリーダーボルトは空輸で一個1,000ドル。それで自力で発電機を修理する。通信ケーブル。衛生アンテナ。「人生は川みたいなもの。きたなくてもきれいでも泳ぐのよ」ヤナギの枝でスノーシューをつくる。完璧を求めたらここでは長く続かない。44、22、410口径の銃。
スー・エイキンズ氏の高価な所有物(およその値段)
44口径ルガー。狙撃用ライフル。五丁の猟銃。一丁あたり30~50万円。弾は410鳥用。30-6。45-70。AR-10。
ノートパソコン。まさかのワイヤレスマウス。
デスクトップパソコンも両方所有している。
キャビクリバーキャンプのホームページ。ウェブサイト。
DVD。スマートフォン。
ボブキャット=雪上ブルドーザー。小型建設機械。
スノーマシン。
衛星電話。
オフロードバギー
電子レンジ。
三台の洗濯機。
穴掘り機。
燃料を販売するビジネスをやっているので、(商品だけど)たくさんの化石燃料をもっている人。無鉛燃料ドラム缶180キロ。冬を越すのに15,000リットル必要。255万円。
プラダーという燃料タンク。
アルゴという命名。8輪のキャタピラ付き全天候型キャビンがあるトラック。
ノッドウェルという米軍払い下げのキャタピラ車。
フェアバンクスの山小屋(自宅用)。
スー・エイキンズ氏に対する感想
スー女史は『氷点下』の登場人物たちの中でもっとも裕福な生活を送っている人です。もっともキャンプ場を経営しているため、個人の持ち物というよりは、お客さまを招き入れるキャンプ場という性質から、必要装備だと言えるでしょう。とくにキャンプ場の管理人(従業員)だった頃には給料も出ていたと思うので、四人の中ではもっとも楽な立場だろうなと思っていました。キャンプ場を物資ごと買い取り経営者になってからはまた違った目で見ています。
ノールビクのチップ(アグネス)・ヘイルストーン一家
ノールビク(人口700人ほど)というアラスカの北極線の北約30キロのところに住む一家。夫のチップは白人だが、妻のアグネスはイヌピアットという原住民・東洋系エスキモー。コバック川の流域に、小さな赤いコンテナみたいなワンルームで五人の子供がいる夫婦。この地に25年住んでいる。
「死は人生の一部」「金が必要ない富の形」「働けば金はなくても豊かになれる」「働いて貢献すれば評価される。供給こそが大事だから」「失敗ばかりの毎日だ」「貢献したい」「供給者でありたい」
(シーズン1)チェーンソーで氷結した川を削る。穴と穴に網を通すコクチマス漁。アグネスは母と兄を氷の事故で亡くしている。スノーマシンでソリをけん引する。雪上バギー。ウルという扇形の女性用ナイフ。獲物の肉は弾丸、ガソリン、機械の部品などと物々交換。肉と魚、パン、マクタックというクジラの皮と脂(コロ)と交換する。マクラクというエスキモーブーツを縫う。川が凍るまでは町で過ごす。キツネの罠猟。狂犬病対策で補助金が40ドル出る。キツネは町のゴミをあさるので罠は失敗する。カリブー射殺。カリブーの肉とスノーモービルの駆動ベルトとを物々交換する。「金より肉がいい」牽引トラックもガスステーションもない場所。「自分で整備できなきゃ歩け」アザラシの脂。ベルーガの肉も食う。「狩りも漁も結局は食うための手段」網の罠でウサギ狩りを試みる。しかし獲物がとれない。「徒労に終わることもある。熟練者も同じ。それが狩りだ」ティピーテント設営、中ではローソクの照明とお茶。ジャコウウシのスリーピングベッド。ディーリング燃料補給所で得たガソリン4リットルで8ドルでスノーマシンを動かす。拾ったドラム缶でガソリンを運搬しつつ遠征狩猟をする。オオカミ狩り。パイクという魚を網漁、鱗を取り、内臓を取り、洗って、干して乾燥させる。狩猟小屋。べニア張りのワンルーム。アゴヒゲアザラシを狙うのはイヌピアット族のみ許可されている。代わりにワモンアザラシを射殺。マンモスの牙で工芸品づくり。一万ドルにもなる。絶滅種ダイアオオカミの工芸品。鮭を干して、冷凍庫へ。手が血だらけ。そこら中血だらけ。
(シーズン2)1988年からずっと自給自足は自分次第。充ちの終わりから480キロ手前のコバック川。夏は半遊牧民。携帯用薪ストーブをドラム缶から自作。ホワイトフィッシュ=コクチマス。林檎をフライパンに。「何かをもらったら必ずお返ししないとね。供給者でありたい」ヘラジカを射殺してステーキにする「貢献したい」川を渡るカリブーを狩る。水上カリブー狩り。学校があるが狩り優先。一日5頭、舟から娘も射撃。6頭ゲット。「地元民じゃないからアザラシ猟はできない」氷を割って舟で進む。舟用のモーターを友人に借りている。「借りを返さなければ地域社会の信頼を失う」アザラシのベストでお返し。なめす。塗る、カッティング、骨のボタン、腱の糸、ハンノキで毛皮を赤く染める。電熱コイルで沸かす。「楽しくなければやらないよ。楽しくなければ意味がない」4リットルで6ドルのアブラ。1991年に運転免許は切れている。斧が割れて額に刺さる。「やることも、やらないことも学ぶんだ」娘のキャロル。「供給者になる」息子のジョン(ジョナサン・カーター)。孫のエイブリー。7人の子供。スノーマシンのオーバーヒートで捜索。テント、食料、ガスコンロ、ライト、衣服。海を渡り遠征。ベースキャンプをつくって半遊牧民生活3~9月。支柱。寝袋。ガスボンベ。スタックして前に進めない。柳の枝でベッドをつくる。テントのまわりを雪で覆う。「ここまで来るだけで楽しい冒険よね」キワリク川、ノールビルから南に135km移動。無理に追わない、警戒されると今後に響く。5人の娘に自活を教える。飛んでいるガンをゲット。犬連れ。ティンマック(ティン)223口径ライフル。カモメの卵を採集。自作の魚網。ナイフで自作、ナイフで怪我。ガンは換毛期は飛べない。走って叩いて殺すムリゲー実行。首を折って殺す。14羽のガン。「毎朝思う。今日は何があるかな?」キワリクの遊牧民生活で釣り、ハンティング、卵集め、鳥狩り。魚網のメンテナンス。破れたところを縫う。新しい糸でかたちをつくっていく。「蓄えれば冬をしのげるし、交換や贈ることもできる」サーモンスモーク。カラフトマス、シロザケ、ギンザケ、漁の技術があれば損することはない。「読み聞かせよりも体験で覚えさせたい」数千ドルかけてキワリクに来た。9~2月はノールビクにいる。高床式倉庫を木でつくる。木と紐で倉庫づくり。ひろったべニアを床材に、階段は釘打ち。荷物は置いていく。カリブーの敷布、寝袋、本、水筒、マグカップ。
(シーズン3)本名エドワード通称チップ。5人の娘がいる。貯蔵小屋。床梁と天井梁。川を8km離れて木を集める。「自分で薪を割れば二度温まる」木は川に浮かべてロープでつないで舟で運ぶ。「好きにやるためにここに住んでいる。誰にも指図されない」重労働でも楽しいわ。どうこうしろという人はいない。4枚のべニア板とガソリン40リットルとを交換。ここなら毎日が冒険。たくさんの舟が川岸に並んでいる。川を渡るトナカイを舟上からピストルで撃つ。六頭射殺。カリブーは発情期にメスと群れ始めると脂肪が燃焼し肉がまずくなる。一日五頭その肉で厳しい冬を越す。「妻の民族的習慣に従ってすべてを渡している。金銭や食材の管理も含め妻が全ての資産を握っている。女性上位社会さ」「正解を尋ねてもいいが、自分で導き出すこともできる。そのほうが人生は面白い」角で釣り針をつくる。いつ、どこで釣れるかという知識が必要。氷に穴をあけて釣り。ハムとトマトとレタス。コクチマスは大量に来て一気に去る。ここを通過してすぐにいなくなるんだ。魚は1~2ドルで売れる。80匹の猟。ツナ缶以外は買っていない。無線で取引相手をつのる。魚を林檎、オレンジ、ガソリン、ジャガイモ、食用油、玉ねぎと交換する。ご近所の好意のおかげでほぼ何とでも交換できる。魚は一ドル札相当。ノールビク滑走路。死罪は貨物機カーゴプレインで注文する。回転ノコギリ。チェーンソーがかからない。協力こそ共通の目的だ。娘が母にミシンを教える。「失敗したら方法を変える。試行錯誤すればいい」緊急用の備蓄、ガソリン、水、食料、可燃物。ガソリン38リットルを買う。「俺が大金持ちでもキャンプする。冒険心の平穏は金じゃ買えないよ」学校じゃ学べない。実践あるのみ。ドラム缶200リットルサイズにガソリンを入れる。320キロ先に5時間もあればつく。スノーマシンで時速60km? キワリク200km先に貯蔵小屋の設置。テントがないと死ぬぞ。外では夜をこせない。常に熱の供給が必要。火がないと生活が成り立たない。天井キャップとストーブ穴のあるティピーテント。
ヘイルストーン一家の高価な所有物(およその値段)
スノーマシン2台。
漁獲、漁労用のモーターボート2台。20万円ぐらい×2。
すくなくとも七丁の猟銃。
デスクトップパソコン。
バギー車。
ミシン。
無線トランシーバー。
チェーンソー350ドル。約5万円。
ヘイルストーン一家に対する感想
わざわざ白人男が辺境アラスカの氷点下の地で暮らしている。イヌピアット族のアグネスと恋したせいか。このようなワイルドな暮らしではハンティングこそ醍醐味だと思うが夫のチップはふしぎと銃を撃たない。妻のアグネスの方が命中率がいいので猟銃を担当して射撃している。
マンモスの化石の採取など原住民イヌピアット族にしか許されていない。スー女史はカリブーは年間5頭しか狩猟できないと言っていたのに、ヘイルストーン一家はじゃんじゃん撃ち殺している。もしかしたらアラスカに移住した白人には狩猟数の制限があるが、もとからアラスカに住んで狩猟していた原住民にはそうした制限がないのかもしれない。
チャンダラーのグレン・ビルヌーブ氏
(シーズン1)チャンダラー(人口1人ほど)というアラスカの北極線の北約104キロのところ(ブルックス山脈)に住む山男。『氷点下』の中でもっとも文明社会から隔絶した生活を送っている男。冬の四カ月を一人で過ごす。ベルリンやニューヨークでも暮らしたことがあるが、都市はハムスターゲージのようだと感じている男。離婚して子供が二人いる。運動するなら生活に役立つ運動がいいと肉体を使う。電気もない。文明の利器に頼らない暮らしぶり。アラスカ暮らしのノウハウは実体験から身につける。スノーマシンを使わない。かんじきを履いて歩く男。湖の氷を割って、その下から水を汲む。水道の代わりに2杯のバケツに水を貯めておく。オオカミのフン寄生虫で水が飲めなくなると茶色い湧水を煮沸して飲む。「植物の成分。お茶みたいなもの」カリブーの目の裏側の生の脂肪をそのまま食う。キタリスを食う。パイクという魚を釣る。芝土で食料保管庫を補修する。夏から秋までフェアバンクスで家族、友人と過ごす。60マイルを歩いてヒッチハイクして街に戻る。バックパックにスリーピングバッグ、テント、ライフル、ナイフ、非常食。釣り竿。途中、空腹で葉っぱや花を食う。
(シーズン2)7カ月ぶりに戻る。ブルックス山脈。斧、糸鋸。薪ストーブ料理。マイナス25°じゃ眠れない。火吹き棒。煙突と薪。シェルター、熱源、水が必要だ。雪は三分の一の水になる。湖に水汲み用の穴をあける。入浴は野外でお湯をかけるだけ。
トウヒの枝を下向きに敷いてマットをつくる。ストーブと石炭、火吹き棒。マッチは320km先にある。摩擦で火をおこす。カリブーの皮から紐をつくる。「何でも簡単には手に入らない」ムースの脂肪を溶かしてコケに染み込ませ、火をつけてランプにする。ヘラジカは秋、カリブーは冬。スノーシューで歩く。ハリモミライチョウ。「毎日が楽しく充実してるから休暇の必要性を感じない。楽しむこととい来ることは同じ」自然の中で一日中歩き回るのが僕の仕事だ。移動するのにマシンは使わない。ヘラジカの大腿骨の骨髄を生で食う。「孤独は好きじゃないが自然が好きだから仕方がない」木を倒して橋にする。「自然を求めてきた。孤独を求めてくる人なんて誰もいないと思うよ」銛で魚を狩る試み。パイクをゆでて手で食う。「食料を得るだけで複雑で知恵と体力が試される。ただ買うのとは違う」自作のスウェットロッジでサウナ。トウヒの表面を削る。煙突用の穴の開いた覆いに使う防水シートで木の骨組みを覆う。ドラム缶で自作した薪ストーブで全裸サウナ。ソッドハウスという芝で覆うハウスが貯蔵庫が熊の食害にあう。夏は三十度に迫ることがある。野性のキノコ、ブルーベリーを採取。10月末から約100日太陽が昇らない。薪は一カ月で四平方メートル消費する。枯木がいい。「よく体を動かすから健康だし気分がいい。ジムに行く必要もない。作業がエクササイズになる」くさびで丸太を割る。毎週煙突を掃除する。掃除しないとクレオソートがたまる。火がついたら煙突が過熱して家が火事になる。鉄のたわしを上から突っ込んで掃除する。
(シーズン3)湖をカヌーで渡る。狩ったヘラジカを舟で小屋に運ぶ。ユニットハウス家の傾きをテコで持ち上げ石を敷いて直す。「人生に意味なんてない。ただ存在するだけ」ほとんどの時間が穏やかで静か。興奮が穏やかな空気を破る。対照的な感じがいい。ヘラジカとカリブーが主な食料。いろいろな部位を食べれば栄養も大丈夫。ヘラジカの爪からゼラチンをとる。目の後ろの脂肪を生で食べる。ここで暮らすには忍耐が必要。太陽のない極寒の冬。巨大ノコギリで伐採。「食われるために存在する生き物はない。生き延びようとして何かに食われる」この体験を楽しんでいる。
(エピソード9までチェック済)
グレン・ビルヌーブの高価な所有物(およその値段)
猟銃二丁。
カヌー。
伐採用ノコギリ。
飛行機!! マジか!!
グレン・ビルヌーブに対する感想
いちばん古風な人力の暮らしをしているのがグレン。機械や化石燃料は極力排して昔ながらの生活をしています。
春から夏。雪が溶けだした頃。めちゃくちゃ蚊に囲まれている。とにかく最低。何百か所も刺される。ひと叩きで15匹ぐらいの蚊が死んでいる。画面を見て気持ち悪くなった。
あれほどの蚊がいては、他の条件がどれほどよくても、俺は暮らすのは無理。
マイナス30度の極寒世界の方が、蚊地獄よりはマシなんだとつくづく思った。
マジで蚊だけは耐えられません。
アラスカは冬に住むところなんだなあ、とグレン氏を見て思いました(笑)。
この人も基本的には狩猟が好きなんだろうなあ、と思います。狩猟採取がなかったら(薪づくりだけだったら)自然暮らししていないんだろうなあ。
イーグルのアンディ(ケイト)・バシッチ一家
イーグル(人口90人ほど)キャリコ・ブラフというアラスカの北極線の南約196キロのところに住む夫婦。夫のアンディは30年アラスカ暮らし。ワシントンDCから22歳のときに移住。建設の仕事をしていたらしい。どうりでDIYの達人。妻のケイトは十年前に旅行者として来てドーソンシティでアンディと知り合う。木造7棟ぐらいの棟を自分で建ててキャリコ・ブラフはちょっとした町のようになっている。
「自由とは自分の人生を生きること」「自分が行きたい人生を過ごす自由がある」「常に先を考え頭を働かすんだ」「犬ぞりに乗っていると瞑想の効果がある」「駐車料金、住宅保険、自動車保険、健康保険、外ではすべてに金がかかる」「生活の質は自由な時の量と楽しみ方」「自家製ビール。買うより半額で済む」「やってみれば何とかなる」「家族が生きていられるかは自分次第」
ユーコン川沿いの生活。もっとも近い街まで約22キロ離れている。舟かスノーモービル、犬ぞりで移動する。道路の代わりに川を使う。川が高速道路。川の上の氷をならして町への道を開通させようとする。25匹の犬を飼う。8頭立て犬ぞり。10頭立て犬ぞり。犬は一日4000kcal必要。ドッグフードを6千ドル。ドッグフードをヘリで空輸してもらう。町で必需品を買うために現金が必要。冬の間は犬ぞりツアーでお金を稼ぐ。犬に関する知識や扱い方を学んでもらう。犬は道具であり、警報装置でもある。べニアで犬小屋づくり。古いバスを倉庫にしている。ドッグフードはフェアバンクスからイーグルに運ばれる。チェーンソーと斧で氷を割ってつくったビーバー罠猟は失敗する。ビールの材料(モルト)を郵便局で受け取る。郵送に三週間かかる。そりをつくる材料のプラスチックを受け取る。サウナから眺めるオーロラ。ソーラーバッテリーが風に飛ばされそうになる。スノーマシンの故障。自分で分解、清掃、組み立てて治す。暖房は薪。灯油は使わない。丸太を製材して温室をつくり野菜をつくる計画。「温室が人に頼めば千ドルかかるが、自分でつくったから150ドルぐらいで完成した」と言う。そのために一万ドルぐらいの製材機を購入、運搬していることを忘れている。カリブー、コーン、ニンジンの煮物と小麦パン。ユーコン川の解氷。2009年の洪水で家財一切を失った。巨大いかだに家財を乗せるフローティング計画。春先冬眠あけのブラックベアを射殺して食う。ユーコン川に飲料水1130リットル(上流の沢の水)を積んだ舟が流されて下流に探しに行く。舟で砂利を運ぶが浸水する。
(シーズン2)アンディは56歳。ワシントンDCから22歳の時に移住した。建設の仕事をしていた。六枚のソーラーパネルで発電。回転鮭捕獲マシーン、川の水量だけで動くバスケット水車。一日で600匹のシャケを捕る。すべて独学、習ったこともないし、師匠もいない。「自分が思うとおりに人生を充実させたいだけ」。血と内臓の汚れ仕事。「体を使うのが好きじゃないならここじゃやっていけない」毎日試練と向き合い挫折と勝利を繰り返す。銃弾の自作、火薬をつめる。一箱60ドルが1.5ドルで済む。水辺でムースをしとめる。チェーンソーウィンチで自ら引っ張り上げる。「テクノロジーは大いに活用する」トボガン(小型そり)を車輪付きにしてアンディボガン。ヘラジカを解体して犬に運ばせる。燻製室に吊るす。ビーバー22口径(5.56ミリ)で。クマは325マグナムで。ビーバーを撃って釣り竿で釣り上げる。ユーコン川が凍らないと物資を入手できない。クロトウヒ(松)とカバノキ(樺)の森。チェーンソーで木を切って道をつくる。チェーンソーが凍る。油も凍る。コーディー・アレン26歳が弟子入り、森での暮らし、スキルの習得には時間が必要。「ミスもためになる。怪我しなきゃいい」カバノキにマッチで点火。犬ぞりのタンデムタイプ(縦引き)。ラインタイプではない。一列目のリードドッグ。二列目のスイングドック。そりに近いホイールドック。「ここでは毎日試練に立ち向かっていく」。木挽き台をつくる。夜通し薪を燃やす。テンの罠猟。一匹150ドル。「ここでの生活に向いているのは一人でも楽しめるタイプだ。一人でいるのは幸せなことだ」犬と犬ぞりはおれたちの生活の中心だ。犬が自分の直感よりも主人の命令を優先させるかチェックする。「九時から五時までボスに見はられながら仕事をするのは嫌だ」「相手が罠にかかるのを避けられるほど賢いならフェアな勝負だ」コーディーの言葉。鋼鉄、燃料、犬の餌をイーグルで仕入れる。町工場みたいなことをやっている。適応力がなければここでは暮らせない。自分で道(トレンチ・溝)をつくる。ガスボンベ小、燃料、金属をスノーモービルにソリ2台を繋いで引っ張る。「これからもずっと学び続けたい。魂が川で眠りにつくその日までずっと」終末の筏、洪水にそなえたフローティング木造を作業小屋にする。ポスト&ビーム工法。「食料の八割は菜園で育てる」焚き火とピニャ・コラーダ(カクテル)。溶接して自家製450キロまで上げるクレーン制作。切断、溶接、穴あけ。犬たちをとにかく多くの環境にさらす。できる限り多くの経験をさせたい。いろんな状況を経験させる。小さなカヌーに乗せて、どこでも平静でいることを覚える。死水域での袋網漁の失敗。物資の補給がないと命にかかわる。サンダーで研磨してステインを塗って家の防寒補修。「俺が若返ることはない」「サウナが楽しみ」ブロッコリー。洪水でひろった廃品の窓ガラスを軽トラックで運んでボートに積む。「ここでは仕事がなければすぐに退屈する。毎朝起きてやりたいことをしてる」汲み上げポンプで森に水を撒いてゴミを燃やす。6000ワットの発電機で乾燥機と冷凍庫をつかう。冬の間は何もできない。冬が来るのは避けられない。
(シーズン3)フロンティアライフ、こういう森でこそ理想は実現できる。ここに来てここに住めという声がした。できる限り何でも自分でやる。自分の面倒は自分で見る。サケを塩漬け、いぶして燻製。開拓精神と自給自足の生活。サケ水車の浮きのドラム缶に穴が開くトラブル発生。成功させるには時間を書けないと駄目だ。めぼしい場所でおれの運を試すとしよう。いい時も悪い時もある。ときにはとんでもなく苦労することもある。暖炉つきの作業場。「犬は仕事好きだ。労働は罰などではない。俺がそりを運び出した途端、庭は大騒ぎになる。どの犬も働きたがるからね」5日に一度水を汲む。「よりよく楽に生きようと思っている。俺たちも場所が違うだけで同じだ」約11棟の小屋で一人集落を形成している。一日30kmソリ訓練。魚のラックの下に子熊発見。「毎日何かしら作っている。日々アイディアを駆使して挑戦できるのが楽しい」アラスカ州漁業狩猟局に通報。子熊を保護して引き渡す。(エピソード7)「自然の中での方向性の違い」約10年連れ添いだったケイトと別れた。ええっ! そんな兆候なかったじゃん。ある意味で一番驚いた。将来、調子悪くなった体を愚痴りながらおまえとのんびりすごしたいとか言ってたのに。あくまでも「氷点下で生きるということ」に焦点があっているため登場人物の人間ドラマには触れない硬派な編集となっている。犬が譲ったり売ったりして12頭になる。雪を踏み固め、400m毎に支柱を立てる。犬たちとすごす時間が増えた。マイナス21℃素手。どんな日であろうと作業するから関係ないがね。アラスカに来て最初の15年はほぼ一人で暮らした。もうすぐ57歳、引き際を考える。いずれ限界を迎える。日々の仕事を減らしてく。作業小屋、石の暖炉。郵送されたバッテリー。「いつも何かに挑戦しているけど失敗が多い」マスクラット狩り、失敗と成功。新しい仕掛けをつくる。いろいろ学べた。マスクラットの解体。マスクラット料理、ニンジン、じゃがいも、きゃべつ、ソーセージ、トマト、青唐辛子。アラスカの人たちの料理は基本フライパンで炒めるだけ。マイナス45℃。犬の世話、木と水の調達。発電機小屋。犬ぞりの方がスノーモービルよりも労力も時間もかかる。チェーンソーが二台とも凍る。カバノキ着火剤とマッチ。200~300年前のことを考えると申しわけなくなる。その頃は便利な機械もなく、軽くて暖かい服もなかった。当時の人たちにくらべたら、俺たちは甘やかされてる。スターターロープ=リコイルスターター。北国では火が大きな味方だ。ドリルで氷川に穴を開けるauger。エクステンション継ぎ足し。水をバケツに汲む。一週間はもたせたい。
アンディ(ケイト)・バシッチ夫婦の高価な所有物(およその値段)
黄色いブルドーザー500万円ぐらい。
ホイールローダーのフォークリフト。赤いフォークリフト。
ボンビというキャタピラの雪上運搬車180万円ぐらい
製材機。100万円ぐらい。
木のチップ化マシーン(砕石機)200万円ぐらい。
釣り舟(130万円ぐらい)三艘。リベット艇。
自家用車。
ノートパソコンで気候情報の収集。
VHF無線機。ノーマルアンテナ。パラボラアンテナ。
ソーラーパネル。2万円ぐらい×8=16万円。
二階建て木造の部屋にソファーで暮らす。
道具小屋、野菜用温室を持っている。
猟銃。
チェーンソー、溶接機、サンダー研磨機器、固定式輪ノコギリ、汲み上げポンプなど工具類。
25匹のソリ犬。
回転シャケ捕獲マシーン
アンディ(ケイト)・バシッチ夫婦に対する感想
町では「駐車料金、住宅保険、自動車保険、健康保険、外ではすべてに金がかかる」という白髪の初老男性。そんな風にお金を否定しながら、驚くほどお金持ちなのだ。なんとブルドーザーまで所有している。アンディの初期投資額は軽く一千万円は超えるはず。ここでは金がかからない、金は重要ではないといいつつ、その初期投資の大きさにはビックリしてしまうのだ。
アラスカ版『ポツンと一軒家』=『氷点下で生きるということ』(LIFE BELOW ZERO°)の内容、評価、感想、ツッコミ、総評
私がもっともツッコミたいのはアンディ・バシッチ氏です。なんという投資、なんというお金持ちでしょうか。「ここでは何でも自分でやる。お金はあまり重要ではない」といいつつブルドーザーや製材機まで所有しています。スノーモービルだけでなくソリ犬25匹を飼っています。その犬への餌として700匹のシャケを乾燥させて吊るしています。回転鮭捕獲マシンとでも言うような自作のシャケ捕獲機を回して大量に魚を得ているのです。
それだけの資産があれば都市部でもそうとうリッチな生活が送れます。まあ、彼にとってはそんな生活はつまらないものなんでしょうけれど。
人生を「買う」という行為だけで終わらせないために。『ロビンソン・クルーソー』
丸太を製材して温室をつくり野菜をつくる計画があって「温室が人に頼めば千ドルかかるが、自分でつくったから150ドルぐらいで完成した」と満足げに言います。そのために一万ドルぐらいの製材機を購入、運搬していることを忘れているのです。そりゃあおかしいでしょう(笑)。
私も似たようなことを言っていましたから、気持ちはすごくわかります。私もタイに行くと二時間千円ぐらいで極楽マッサージをしてもらうのですが、ものすごく費用対効果がよかったような気がしますもの。でもそのときタイへの飛行機代やホテル代のことを計算に入れていないんですよ。アンディさんと同じ計算方法ですね。タイに向かう飛行機代やホテル代を使えば日本で最高級のエステ・マッサージが受けられたはずです。初期投資額を計上しなければ本当の費用対効果ははかれません。「自家製ビールをつくって、買うより半額で済んだ」なんて言いますが、モルトをアラスカまで運んでもらったお金を計算していないんですよ。その計算方法じゃあね、そりゃあ安く作れるでしょうよ(笑)。
ブルドーザーを買い、製材機を買い、高い燃料を買ってわざわざ運び込むのでは、本当は町に住むよりも高くついていると思います。でも楽しいからそれをやっているんでしょうね。
荒野の自然の中で自分だけの力で生きていくのは、本当に楽しそうです。ハンティングも釣りも楽しそう。雪上バギーも、スノーモービルも楽しそう。ユーコン川のリバークルーズ(釣り船だけど)など見ていて旅人心をくすぐるのです。
楽しいからわざわざ不便な生活をしている。これはアラスカ版『ポツンと一軒家』なのかもしれません。
これほど人間社会に息苦しさを感じながらも、『氷点下で生きるということ』の登場人物たちは、多弁です。彼らの能弁には、出演料という現金収入ほしさだけではない表現欲、承認欲を感じます。自分の生活を紹介し、生き方を語る。いくら人里離れた氷点下に暮らそうとも表現者であることはやめられず、映像コンテンツに出演するということは承認欲求もまだくすぶっているということでしょう。
そこにまた人間の業を感じます。