韓国語で見るディズニー映画で大爆笑してしまった件
数年前のこと、飛行機内の小さなディスプレイで映画を見て、妻のイロハが腹をよじって大爆笑していました。笑いがこらえきれないという感じです。その様子を見ていてこっちまで楽しくなってきました。何やらおかしくてたまらないみたいです。
何がそんなにおかしいの?
隣から遠慮なくディスプレイをのぞき込みました。長距離フライトに退屈していました。そんなに面白いコンテンツがあるならば私も味わいたいです。
ところが彼女が見ていたのは普通のディズニー映画『アナと雪の女王』でした。
そんなに大爆笑するようなシーンあったっけ?
何度も見ている映画なので、隣から画面を覗き込むだけで、だいたいどんなシーンかわかります。およそギャグとは無縁のシーンで彼女は大笑いしているのです。
何でもないシーンでクククッと笑うので、気になって、彼女のヘッドフォンを外して聞いてみました。
なんで笑ってるの?
ためしに「韓国語で聞いてるの」
ディズニーヒロインを韓国のアジュンマかと思う
国際線はあらゆる国の人に対応しているため、視聴する動画の吹き替えの言語を選択することができます。そこで彼女は日本語ではなく韓国語を選択して見ているというのです。
するとアナとエルザが、
「アラヨー」
「オッパー」
「チョアヨー」
とかずっと言ってるのです。
韓国のアジュンマか!?
なるほどこれは面白いなあ、と思いました。新しい発見です。
アナとエルサの姉妹が韓国語でやりあうのがキムチ臭くてたまりません。北欧の雪の国と韓国語はミスマッチすぎるのでした。
韓国人蔑視の理由はくさい臭い。キムチのニンニク臭が原因だった
退屈な飛行機内での過ごし方
いつしか私も大爆笑してしまいました。エルサに韓国語は似合いません。
退屈な機内での過ごし方を紹介したサイトで「機内エンタテイメントを楽しむ」なんて当たり前のことを書いているサイトがありますが、そんなあたりまえのことを書いて一体どんな意味があるのでしょうか。質問した人は機内エンタテイメントに飽きちゃったらどうすればいいか、それを聞いているのです。
同じ質問を私が受けたら「映画を韓国語で聞いてみる」と提案してみたいです。もしもあなたが韓国語にすこしでも馴染みがあるのなら、きっと笑えます。なんだか笑えるのです。
日本語と韓国語。英語とフランス語。どっちが近い言語か? 似てるのはどっちか。
私にとっては嫌な笑いではありません。なんだかなつかしいような、くすぐったいような、そんな笑いがこみあげてきます。
うふふふふ。
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旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。
【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え
韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。
「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。
帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。
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