近代芸術を理解できますか?
かつて私はドストエフスキーの小説のことを「モダンアートのようなものだ。理解できる人もいれば、理解できない人がいて当然」と書いたことがあります。
みなさんは近代芸術を理解できるでしょうか? 私は基本、さっぱりです。子どもの書き散らかしたような絵の何がいいのかまるでわかりません。
かつて大パトロンがいた時代には、作品に製作時間を長く取れたため、大作が描けたのでしょう。大貴族や、教会が、彼らの大パトロンでした。
市民社会が到来し大パトロンがいなくなり、大絵画が滅び、モダンアートが誕生した
しかし市民社会が到来し、大パトロンが滅んだ後の近代芸術では、手っ取り早く「お金」を得なければいけないサイフ事情があるためでしょう、どうしても「時間をかけずにささっと」「子供が書いたような」絵ばかりとなってしまいました。モダンアートの誕生です。
かつてのように完成までに数年かかるような絵は制作されなくなったのです。
あんなものは子供のラクガキでアートじゃないぞ!
私がこれまで見てきた中でいちばん驚いた近代芸術はボストン美術館で見た「ギブソンのギター」と「ブラックボックス」です。
「ギブソンのレスポール」はまだいいとしましょう。ただの楽器で商品ですが、考えようによっては芸術だと思います。しかしそれを堂々と展示していることに驚きました。ギブソンのギターはロックミュージシャンのギタリストがつま弾いているのを見るものだとばかり思っていました。まさか美術館に展示されているなんて。
もっと驚いたのは「ブラックボックス」です。名高いボストン美術館に、直径30cmほどの正方形の真っ黒なプラスチック状の物体が飾られていました。それが「Black Box」。ただそれだけです。ただの黒い正六面体がガラスケースに入れて展示してあったのです。「なんじゃこりゃ!」という感じです。「こんなもん、おれでもつくれるわ」と思いました。たぶん展示を見た人のほどんどが私と同じ感想をもったのではないでしょうか。
近代絵画展に行くと、子供が書いたラクガキみたいな絵がよく展示されていますが、その絵よりも驚きました。
やはり近代芸術も偉人の名言と同じように「何を書いたかではなく誰が書いたか」が重要なのでしょうか。
いったいこれのどこがアートなんだか。『裸の王様』みたいに、はじめに誰かが言い出さなきゃいけなんじゃないか。だからおれがいいます。
あんなものは子供のラクガキでアートじゃないぞ!