エリツィンのように「ソ連とロシアは違うのだ」と五木寛之は予言した

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書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。小説『ツバサ』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

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あなたが旅に出たきっかけは? というありふれた質問

最近、五木寛之にはまっております。ブログを運営している以上、『風の王国』のことは、いつか必ず書きたいと思っていました。『風の王国』についての書評はこちらをご覧ください。

BORN TO WALK 歩くために生まれた

これほどレベルの高い作品をつくれる作者が、他にどのような作品を書くのか、興味がありました。また旅人としては「あなたが旅に出たきっかけは?」という質問に必ず出てくる『青年は荒野をめざす』にも興味がありました。

書評『青年は荒野をめざす』

五木寛之さんは『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞を受賞されています。

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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。

「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」

「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」

※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。

アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

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新約聖書・ヨハネ黙示録より『蒼ざめた馬を見よ』

『蒼ざめた馬を見よ』は新約聖書・ヨハネ黙示録がタイトルの出典です。蒼ざめた馬に乗って死がやってくる、というくだりですね。1967年の小説です。

蒼ざめた馬というのは、滅びや死の象徴ですね。

小説『蒼ざめた馬を見よ』は、こんな内容でした。

物語のあらすじを紹介することについて

新聞社につとめる主人公・鷹野が会社をやめてレニングラード(今のサンクトペテルブルグです)に行ってくれと論説主幹に言われます。秘密任務の依頼を受けたからでした。

高名なロシア文学者ミハイロフスキイの「生涯最後の大作」の原稿を秘密裏に引き取りに行くという任務でした。その小説はソビエト国内では発行したら逮捕されてしまうような反社会主義的な内容でした。

鷹野は引き受けてレニングラードに飛びますが、ミハイロフスキイは会ってもくれません。例の小説のことをほのめかしても、しらを切られてしまいます。

鷹野はユダヤ人の女・オリガと知り合って寝ます。五木寛之の小説の主人公は、女にモテてセックスに苦労しないタイプのモテ男ばかりが登場します。作者がモテるからなんでしょうね。いやあ羨ましい。

オリガはミハイロフスキイの仕事を手伝っている女でした。彼女を通して鷹野はミハイロフスキイと接触し、幻の小説を受け取ります。タイトルは『蒼ざめた馬を見よ』でした。

秘密裏に日本に持ち帰って出版した『蒼ざめた馬を見よ』は諸国に翻訳され、世界中で反響を巻き起こします。しかしミハイロフスキイは、反ソ的な作品を国外で偽名で出版し巨額のドルを不正入手した、と逮捕されて告発されてしまいました。

諸外国では「ソ連には言論の自由がない」と国際的な批判が起こります。そんな中、日本で鷹野はソ連系外人の来客を受けます。そして真相を知るのでした。

なんと鷹野が会ったミハイロフスキイは整形したニセモノでした。計画は「ソ連には自由がない」とアジ宣伝したかった西側の策略だったのです。オリガも陰謀組織に雇われた女でした。『蒼ざめた馬を見よ』はゴーストライターがミハイロフスキイの文体や思想を似せて書いたものでした。そしてすべての計画を考えたのは日本の論説主幹でした。鷹野にレニングラード行きをすすめた人物です。

ソ連のスパイは西側の陰謀をすべて暴きます。しかしなんと驚いたことに、ミハイロフスキイ自身がにせものが書いた小説を「私が書くべき作品だった。でも書かなかった故にロシアの作家である私は罰せられるべきだ」と罪を認めたのでした。

ソ連のスパイは、ミハイロフスキイの作品を「反ソ的」と批判した党のお偉方や放送、新聞の権威・メンツを守るために、西側諸国の陰謀の暴露しないように圧力をかけられました。西側の陰謀を暴きたてれば、ミハイロフスキイのゴーストライターの存在が明らかになり、ソ連の文化全体の権威(ニセモノを見抜けなかった)が失墜します。

日本でも「スタップ細胞はありまーす」の理系女子の事件に代表されるように、「論文などのオリジナリティを見抜けないこと」「剽窃、パクリに気づけないこと」は学会にとっては恥ずべきこととされていますが、それと同じことです。

だから西側諸国の「ソ連には言論の自由がない」という陰謀に気づいていたソ連スパイでしたが、ソ連文壇の権威・メンツを守るために、すべての秘密を葬り去ることにしたのでした。

主要な役を演じた鷹野にだけ秘密を教えたのは、せめてものソ連スパイの意地だったのでしょうか?

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似たような作品『さかしまに』。序破急の構成

『蒼ざめた馬を見よ』さすが直木賞を受賞している作品だけあってとても面白い作品でした。

しかし私には、同じ書物(五木寛之全集)に収められていた『さかしまに』の方が面白かったです。似たような作品です。

「謎の真相にたどり着いたと思ったら、裏にもうひとつ陰謀があって、その陰謀も予期せぬ力によって上手くいかない」という序破急の三段構成になっているという意味では、とても作品の展開がよく似ています。

「さかしまに」は、俳壇から名前を抹消されている人物の謎の真相(モスクワ・コミンテルンの手先で俳壇の裏切者だった)にたどり着いたと思ったら、裏にもうひとつの陰謀(別の人物から裏切りの罪をなすりつけられていた)があって、悪の真相を暴こうとすると、当時の関係者が社会の上層部に今も健在で、彼らの秘密を守るために、闇の悪事は抹殺されてしまう、という作品でした。

こういう書き方をすれば「蒼ざめた馬を見よ」は、反ソ的な秘密出版をするという秘密の行為を成し遂げたと思ったら、それは西側諸国の「ソ連には自由がない」と喧伝するための陰謀で、その陰謀はバレるものの「ロシアの作家として自分が書くべきだった」とミハイロフスキイが意外にも罪を認めたことで、関係者の権威を守るために真相は暴露されないという作品でした。

よく似ていますよね。

そしてどちらも「ソ連」が関係してくる作品です。『青年は荒野をめざす』にもソ連が登場しました。

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ソビエト連邦(ソ連)って何だ?

五木寛之の作品を読んでいると、ひじょうにソビエト連邦が出てきます。今の若い人が読むと「なんのこっちゃ」となるかもしれません。

私が学生時代に「ソ連」というのはあったのですが、実はあまりよく知りません。ソ連とロシアの違いがいまいちわかっていません。

『蒼ざめた馬を見よ』は、ソ連政府(社会主義)から迫害されてもロシア文学者として自分が書くべきだった、という内容です。つまりミハイロフスキイは、ソ連とロシアを明確に区別しています。

ロシアとソ連はどう違うのか? ソ連はどうして滅んでしまったのか? ついでに調べてみました。

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ソ連の起こりは? 思想、言論、集会、結社の自由を認めると、ワントップの絶対権力は成立しない

ごくごく単純にいうと「皇帝制に不満を持った労働者たちの連合が、皇帝制を打ち倒し、新たな権力者がマルクス主義を理想とする新しい社会システムをつくった」ということでいいようです。

ソ連の起こりにそれほど謎はありません。皇帝サイドも社会的な不満を抑えるために民衆の自由を次々に認めていきました。そのことでなだれを打って皇帝体制は崩壊します。思想、言論、集会、結社の自由を認めると、ワントップの絶対権力は成立しないという、これはもう法則のようなものです。

第一次世界大戦時代のような「経済の悪化」が庶民のデモ(現体制の否定)となって、皇帝制は崩壊したようです。経済の危機は現政権の危機だということですね。

もともとロシアという国がソビエト(という名の評議会)に権力を握られて、その権力が戦争などを経てもともと異国だった周辺国家へと波及して連邦化していったのです。

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ソ連の崩壊の原因と流れは? 経済の危機は現政権の危機

かつて冷戦でアメリカと世界を二分した超大国がどうして血を見ることなく崩壊してしまったのか。謎はそちらにあります。

調べてみると崩壊の原因はやはり「経済の失敗」にありました。経済の危機は現政権の危機だということですね。

現体制への不満をなんとかしようとしたゴルバチョフが、共産党支配体制の改革(ペレストロイカ)、情報公開(グラスノイチ)を断行し、民主化が進みました。ワントップを崇拝するような体制から民主化が進んだわけですね。民主化すなわち権力の委譲です。

そこにソビエト連邦大統領であるゴルバチョフを倒そうとするクーデターが起きます。旧体制から既得権益を得ていた層からの反撃でした。このクーデターにゴルバチョフはやられてしまいました。クーデターに屈しなかったのが、「独立したロシアを創ろう」というエリツィンという男。エリツィンはロシア共和国の大統領で、彼の興味は「ソビエト連邦」ではなくて「ロシア」にこそありました。ラトビアとかエストニアとかはどうでもよかったんですね。

この段階でエリツィンはソ連共産党を離党していて、やがてはロシア共産党が活動することを禁止するほどの急進的な改革派でした。民衆はクーデターを倒した勝者(エリツィン・ロシア大統領)を支持し、敗者(ゴルバチョフ・ソ連大統領)の威信は低下します。

そしてエリツィンのロシアがソビエト連邦からの独立を宣言します。ソ連の中心であるロシアが独立してはもはやソビエトは維持できません。

ゴルバチョフは共産党の書記長を辞任、ソ連大統領を辞任し、ソ連共産党の活動を停止、ソ連の解体を宣言したのでした。1991年のことでした。ソビエトは70年弱しかこの地上に存在しなかった超大国ということになります。

ソビエト連邦といっても、実質的には「ロシアと周辺諸国」です。そのロシアが「連邦やめた」といえばそれは連邦の終焉です。ソ連を壊したのはゴルバチョフだと言われますが、実質的にはエリツィンではないでしょうか。

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「私が書くべき作品だった。でも書かなかった故にロシアの作家である私は罰せられるべきだ」の意味は?

反ソ的な小説『蒼ざめた馬を見よ』はソ連で断罪されます。だから「ソ連には言論の自由がない」というわけですね。だから共産主義に傾かないようにしようぜ、という西側の陰謀が成立しました。ゴーストライターの書いたロシアっぽい小説は、共産主義に反するような内容だったということです。

ミハイロフスキイ(五木寛之)はこう述べます。

「私が書くべき作品だった。でも書かなかった故にロシアの作家である私は罰せられるべきだ」

ミハイロフスキイは架空のキャラクターですから、このセリフは五木寛之のセリフです。

ソ連とロシアは違うんだ、ということを、1967年の出版の時点で五木さんは見越していたということになります。それはロシア文学に対する教養がそう言わせたのでしょう。

ドストエフスキー『罪と罰』の低評価。小説界のモダンアートだったのではないか?

ドストエフスキーに代表されるロシアの文豪作品は「土着民の血(やむにやまれない衝動)」みたいな作品群です。「みんなで富をわけあってイコールにハッピーになりましょう」というような人間の脳髄が考え出したような理想主義とはまったく関係がありません。

「土着民の血(やむにやまれない衝動)」を小説に書くことは、個人のエゴを描くことで、富の簒奪だってそのひとつです。人の不幸を踏み台に自分が幸せになろうとするような人物がドストエフスキー文学にはたくさん登場します。

ドストエフスキー作品の読み方(『カラマーゾフの兄弟』の評価)

カラマーゾフの兄弟『大審問官』。神は存在するのか? 前提を疑え! 

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エリツィンのように「ソ連とロシアは違うのだ」と五木寛之は予言した

『蒼ざめた馬を見よ』は1967年の作品です。まさか自分が生きている間にソ連が地上から消えてなくなるとは、いくらなんでも五木さんも思ってはいなかったでしょう。彼はただロシア文学に代表されるロシア民族の血の呪怨は、共産主義とは相いれない、と感じていただけです。

まるでエリツィンのように「ソ連とロシアは違うのだ」と五木寛之は1967年に言ったのです。そしてエリツィンはロシアを選んでソ連は崩壊しました。

五木寛之はエリツィンの感じていたようなことをミハイロフスキイに言わせたのではないかと思います。1967年時点で、そういうことをわかっていた、ということです。

そういう作品を書いた五木さんも、そういう作品に直木賞をあたえた日本文壇もなかなかたいしたものだと思いませんか?

五木寛之、たいした作家だと思いませんか?

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このブログの著者が執筆した純文学小説です。

「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」

「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」

本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
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◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

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私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
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●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
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●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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