宮沢崇史『理論でカラダを速くするロードバイクトレーニング』
ここでは宮沢崇史さんの『理論でカラダを速くするロードバイクトレーニング』の書評をしています。
この書をネタに、ロードバイクのエンジンは肉体だ、ということを心に刻み付けようという試みです。
この本に書いてあることは、わたしの主張と完全に一致します。それは「ロードバイクのエンジンは肉体」だということです。
わたしがはじめて強豪ロードバイククラブに入会したときも、機材(自転車)を見て実力を測られました。しかし実際にはどんな高級ロードバイクであっても、それを走らせるのは乗り手の肉体です。
総額10万円ほどの機材で、総額50~100万円ぐらいの機材のロードバイクをいくらでも追い抜くことができます。
なまじっかロードバイクに金をかけられると、お金でスピードを買う発想になりがちです。つまり機材の良さが乗り手の実力のように勘違いされて、ロードバイククラブがセレブリティ・サークルみたいになってしまうのです。サイクルラックが高級車陳列会になってしまうのです。
わたしは市民ランナーだったのでマラソンのやり方でロードバイクに強くなろうと思いました。それは体重を軽量化することであり、脚の筋肉を鍛えることであり、効率的なフォームを追求することであり、風の抵抗を避けるべく前傾姿勢を保つことでした。ロードバイクのエンジンは肉体なのです。忘れてはいけません。
オートバイとは違います。排気量(肺の換気能力)はお金では買えません。
ところが自転車の雑誌を見ていると、まるでクルマの雑誌のようです。これではすべては機材で決まるかのように錯覚してしまっても責められません。
自転車雑誌の経営は自転車メーカーの広告収入を頼りとしており、機材を買わせようとする商業主義の協力者でもあるのです。自転車の価格、定価なんてあってないようなものです。わたしは「ボッタクリ価格」「ボッタクリ業界」と呼んでいました(笑)。
価格というのは需給バランスで決まります。ロードバイクに信じられないほど高価な値段が付くのは、その値段でも買いたいと思う人がいるからです。たかが市民ホビーレーサーのあなたがわずか数ミリ、コンマ一秒のことに価値を置くから機材が高騰するのです。
それよりも体を鍛えましょう。ロードバイクはスポーツなのです。
書籍『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』まえがき
ビンボー主義者として、私は機材に頼ったロードバイクライフは送るまいと決めたのです。
宮沢さんも同じ考えでした。そもそもプロは機材を選べないのだから、あたえられた機材で勝つのがプロなんだと彼はいいます。
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このブログの作者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』のご紹介
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードをガチンコで競うようになるところまでを描いた自転車エッセイ集です。
※書籍の内容
●スピードこそロードバイクのレーゾンデートル
●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。体重ライディング理論。体重ペダリングのやり方
●アマチュアのロードバイク乗りの最高速度ってどれくらい?
●ロードバイクは屋外で保管できるのか?
●ロードバイクに名前をつける。
●アパートでローラー台トレーニングすることは可能か?
●ロードバイククラブの入り方。嫌われない新入部員の作法
●ロードバイク乗りが、クロストレーニングとしてマラソンを取り入れることのメリット・デメリット
●ロードバイクとマラソンの両立は可能か? サブスリーランナーはロードバイクに乗っても速いのか?
●スピードスケートの選手がロードバイクをトレーニングに取り入れる理由
初心者から上級者まで広く対象とした内容になっています。
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『理論でカラダを速くするロードバイクトレーニング』
この本は名著だと思いました。ロードバイクを速くなりたい人には一読をおすすめします。
以下、赤字は宮沢崇史さんの著書からの引用です。わたしの感想は青字です。またわたしの著書『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』または当ブログの関連記事をリンクしています。
筋力を使ってパワーを出すのではなく、体重をつかってペダルを回す。
腹直筋、腹斜筋、腸腰筋、大腿四頭筋(大腿直筋)、ヒラメ筋、大殿筋、広背筋、ハムストリング、脊柱起立筋、たくさんの筋肉が関わって運動している。一カ所の筋肉に依存せず、各部の筋肉で負担を分担する。多くの筋肉ですこしづつパワーを出しあう。
マラソンの極意。複数のフォームを使い回す。フォームは決めつけない。臨機応変に変える
あまり仕事をしていない筋肉を探し出し、きちんと負担を分担させる。使われずに眠っている筋肉がないかどうかをチェックする。
左右均等ランニングは無理ゲー。不可能なことはきっぱりと諦める
筋肉が固い選手ほどマッサージの必要性は大きい。毎日2時間のセルフマッサージをしていた。体が固かったわたしが結果を残せたのはマッサージのおかげ。
筋肉が固い選手は、筋肉を柔らかい状態に保たなければならない。
『マッサージ』足裏のプチプチ。ゴリゴリ。クリスタル・デポジット
踏み脚(支脚)引き脚(遊脚)
逆説のランニング。ストライド走法の極意「ハサミは両方に開かれる走法」
引き足を上げない限りブレーキを踏んだままアクセルを踏む状態になる。
リラックスランニング。脱力とピーキングが謎のベストタイムの理由
人間の体重のおよそ三分の一は脚の重量。
体重はサドル、ペダル、ハンドルの三点にかかっている。サドル、ハンドルにかかる重さを減らせばペダルに係る体重が増える。
体幹を鍛えればハンドルに寄りかからずペダルに体重を回せる。
マラソンランナーにくらべるとロードバイク乗りは体重の重い人が多いのです。それは体重をペダルの回転(すなわち推進力)に変えることができるからです。それにたいしてランニングは宙に浮いて前に進む種目なので体重は軽いほど有利です。
ロードバイク乗りは太っている? ローディーはうんち(運動音痴)?
自転車(ロードバイク)とランニングの両立は可能か? サブスリーランナーはロードレーサーに乗っても速いのか?
骨で体重を持ち上げる。
脚を上げるのは、大腿直筋か、腸腰筋。大腿直筋はパワーは大きいが長持ちしない。腸腰筋はパワーは小さいが長持ちする。
ケイデンス=自転車において1分間のクランク回転数のこと。
1時から5時までペダルを踏む。
レースはパワーでは決まらない。
得意分野を伸ばすよりも、苦手分野を補うほうが簡単。
市民ランナーの場合、もっとも弱い部分で成績が決まってしまいます。脚が強くても肺が弱ければ、肺の限界が成績の限界です。
全集中の呼吸「トランポリン呼吸法」腹圧をかけるマラソンの呼吸術
しかしハードル選手の為末大さんは、世界一を競うレベルでは、徹底した長所と長所のぶつかり合いだといっています。参考までにご覧ください。
速くなる、とは一種の変化であり、変化には必ず原因があります。そこまでを探らなければなりません。変化を確認するために味見をする。
【究極の走り方】あなたが一番速く走れる方法はあなたの肉体が一番知っている。
ルーラー(ペースメーカー)、TTスペシャリスト。
オールラウンダー、パンチャー、スプリンター、クライマー
チェック! ハンドルに体重が乗ってしまっていないか。サドルにどっかりと座っていないか。
最初に身体の準備を行う。効率のいい身体の使い方を思い出すための準備が必要。結局のところ、身体で学ぶしかないが、身体の使い方はすぐに忘れてしまう。
『速く走るコツ』マラソンフォームは100m走に学べ。走っている時の入力ワードを変えるだけで、速く走れるようになる
パーフェクトポジションは存在しまい。身体の使い方が先、ポジションは後。ポジションで大切なことは、自分が体をどう使いたいか。
体の変化にあわせてポジションも変わる。体は変化し続けます。強くなるにせよ、弱くなるにせよ、変化します。したがってポジションが変化しない方が変なのです。
理想のポジションは存在しません。
理想の機材はない。性能の差はあまりない。
カタにこだわりすぎるのが、日本文化のよくないところ。カタを追求するあまり、ダイナミズムを失うことがある。強さを失うことがある。面白さを失うことがある
そもそもプロ選手は機材を選べない。与えられた機材で勝つのがプロ。壊れないのはいいパーツ。あとはさほど重要な問題ではありません。
サドルとハンドルの落差をつけすぎると、ハンドルに体重がかかりすぎて不安定になってしまう。
40km程度の短距離走TTでは高く前に出したサドルポジションが多い。短時間だけパワーを出すには向いたポジションだ。
綱引きのときに、手元の綱よりも、遠くの綱を握った方がパワーを出しやすいように、握る場所が遠い方が広背筋を使いやすい。
アジア人は体温が低く、寒さに弱い。
感覚を重視する
「速く、効率よく走る」ための手段に過ぎない。レースはパワー選手権ではない。
パワーは出すものではない。なるべく使用を控え、消費を必要最小限に抑えるもの。
フォームを変えて疲労をごまかすことができる。
マンガの表現に学ぶ実走。下半身をクルクル回転させるイメージで走ってみよう
①ディスタンスペースLSDに相当。毛細血管よりもフォームをつくる。参加レース時間が上限。
「よいメニュー」は存在しない。目的のないトレーニングなどありえません。常に考え続けてください。そして常に体に気を払ってください。何も考えず、感じないトレーニングに意味はありません。
ランニングは単調な運動。単純だからこそ、わずかな違いが大きく効いてくる
ファストペダル=短時間を高ケイデンスでもがき切るトレーニング
6秒インターバル。
空気抵抗を減らすことによってフォームが乱れてしまっては元も子もありません。
もっとも重要なのは胸を開く&肩の力を抜くこと。背中がゆるめば呼吸が楽になるし、腰を動かしてダイナミックに走ることができる。
走りの技術。ヤジロベエ走法。腰椎の一点で上半身のバランスをとる走法
肩甲骨をよせることで胸が張る。呼吸が不十分だと速く走ることはできません。
世界トップチームで走ることは、あくまで表面的なことだった。
一見華やかですが、それは本質ではありません。
お金をかけなくてもできることなどいくらでもあります。
今までのように変化を積み重ねていただけです。
引退はひとつの変化にすぎません。選手としての私は変化を積み重ねてきましたが、そのうちのひとつが引退だったというだけなのです。
レースはパワー勝負ではなく、最初にゴールラインを割った選手が勝者なのです。ゴールまでにライバルを消耗させ、自分が優位に立てていれば勝機が見えてくる。自分は脚を使わずパワーを節約し、ライバルを疲労させる必要がある。
集団の前に出ないレース戦略『マラソン・プロトン戦法』について
速くなることは変化であり、変化に終わりはありません。
本書を読み続けてください。本書を読み、身体を変化させることにはかなりの時間がかかる。だから本書を長く読み続けてもらえれば幸いです。
書籍『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』あとがき
本書が今後も変化し続ける、つまり速くなりつづけるあなたと共にあることを願っています。
本は電子書籍がおすすめです
※本稿で紹介した内容をまとめた本です。一読をおすすめします。
本を読んで何かを考えた「あなた」。人生には『仕事を辞める』という選択肢があります。
これからもたくさんの良質な本に出会いたいという「あなた」。本は場所をとらない電子書籍がおすすめです。
kindle unlimitedは、電子書籍kindleキンドルを利用した和書12万冊、洋書120万冊以上の読み放題サービスです。
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アマゾンプライムの使い方・入会方法
オーディブルの使い方
私はオーディオブックは究極の文章上達術だと思っています。