逆説のランニング。ストライド走法の極意「ハサミは両方に開かれる走法」

マラソン・ランニング
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マラソンの走り方でストライド走法がいいか、ピッチ走法がいいか、その永遠の議論にきっぱりと決着をつけた当ブログです。

マラソン『ピッチ走法よりもストライド走法』ダメージなんか度外視して走れ
オリンピッククラスの指導者の考え方の本質的ベースにあるのは『オリンピックで、凄いストライドの黒人選手に、短脚の日本人が勝つため』に編み出されているということを見落としてはなりません。 市民ランナーがサブスリーを達成するために考え出された指導方法ではないのです。

結論は「ピッチ走法よりもストライド走法! だけどケチケチ言ってないで両方使え!」でした。

このページでは、ストライドを稼ぐためにはどうすればいいのかについて、語っています。

ストライド走法では、地面を蹴るのではなく、宙に振り出した方の脚に意識を向けます。
片方の脚を意識するだけで、結果として両方の脚を動かすことができます。
なぜならハサミは両方に開かれるからです。片方だけに開かれるということはありません。

『ハサミは両方に開かれる走法』とは、支脚を意識しても、遊脚を意識しても、どっちを意識してもハサミは両方に開かれるのだから、ストライドを伸ばすためには、支脚で地面を蹴るのではなく、遊脚を空中で膝から前に突き出して進んだ方がずっと効率がいいという走法です。

支脚で地面を押す走りではなく、遊脚を前に突き出す走りが、「ハサミは両方に開かれる走法」の極意です。

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ランニングは大腿骨を動かすことが重要

鳥が羽ばたいて飛ぶように、ランナーは大腿骨を動かして走ります。鳥は羽根を動かすとき、付け根の筋肉を使って飛んでいます。羽根そのものについている筋肉で羽を動かしているわけではないのです。
羽根を動かすのに羽の筋肉を使っていたら羽は筋肉で重たくなってしまいます。羽根は軽い方がもちろん動かすのに有利です。

鳥は身体を軽くするために、文字通り骨身を削っている生き物です。ランナーも鳥と同じです。鳥が飛ぶときに羽根を動かすように、ランニングでは大腿骨を動かすことが重要です。

そして大腿骨を動かすときには、鳥が羽の付け根の筋肉を使っているように、大腿骨の付け根の体幹の筋肉を使います。

腹の底の筋肉(腸腰筋)とお尻の筋肉(大臀筋)を主に使って大腿骨を動かすのです。

大腿骨を大きく動かすということは、ストライド走法に他なりません。

超有名コーチがピッチ走法を勧めているのに、私がストライド走法を推奨している理由の一つでもありますが、ストライド走法こそ走りの王道だと思ってください。

「骨格走法」筋肉ではなく骨で走る。疲労しない走り方
骨格走法とは、骨以外は「ないもの」と意識から追い出してしまう走法です。骨が骨として走れば筋肉のサポートは最小限で済みます。自然といいフォームになって速く走れるようになります。筋肉は疲れても、骨は疲れません。
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ピッチを刻む簡単な方法はストライドを狭めること

逆の場合を考えてみましょう。もっとも小刻みにピッチを刻めるのはどういう場合になるでしょうか。

それは「その場ステップ」です。前に進みながらステップを刻むよりも、その場を動かすにステップした方が細かくピッチを刻むことができます。サッカーの三浦知良選手のカズ・ダンスみたいにその場ステップを刻めばいいのです。

でもカズがボールを追ってゴール前に走り込むときにはカズダンスほどのピッチは刻んでいません。刻んでいないというより刻めないのです。大きな筋肉を使って力の限り速く走っていますから、そんなにピッチは刻めません。

わかりますか? ピッチを刻むための最も簡単な方法は、ストライドを狭めることなのです。

ピッチ走法とは文字通りピッチを重視した走法のことです。ピッチ走者はとにかくリズム感重視でピッチを刻むことを最優先にするあまり、ストライドのことを忘れるきらいがあります。

必要以上にムチャクチャにはやくピッチを刻むことは、ストライドを捨てることと同義です。それは速く進むことを捨てることと同義です。

それに対して、大腿骨を大きく使ったダイナミックな走法で走れば、おのずとピッチは落ちてきます。大きな骨を大きく動かすのですから、振り戻すまでにある程度の時間がかかって当然です。

長い振り子はゆっくりで、短い振り子は素早く動くのと同じことです。

『スピードはストライドでしかカバーできない』コラムで解説しましたが、アスリートが引退するのはストライドが維持できなくなるからです。

ピッチは命のリズム感ですから、そう簡単には衰えません。衰えるのはストライドなのです。

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ハサミは両方に開かれる。脚も両方に開かれるから心配いらない

それでは大腿骨を大きく動かすためにはどうしたらいいのでしょうか。

大腿骨は前方にはカカト落としができるほど可動域が広いのに、後ろにはほどんど可動域がありません。

サッカー選手のキックは脚を後ろにしていると思うかもしれませんが、あれは骨盤ごと後ろに引いて角度をつけているのです。大腿骨だけ後ろに可動しているわけではありません。残念ながら人間の骨格はそのような構造になっています。

前に進もうとするあまり地面を後ろにプッシュしよう(蹴ろう)とする人がいますが、それよりは大腿骨を股関節から前に放り投げるように開いた方がいいでしょう。

するとハサミが両方に開かれるように、勝手に股関節が開き、後ろ足は自動的に地面をプッシュしたようなフォームになります。

実際には勢いよく前に振った方の大腿骨に骨盤から引っ張られるように進むため、ほとんど地面をプッシュさえしていません。そう見えるだけです。

大地を蹴っても少ししか前に進みませんが、膝から大腿骨を前に放り投げるように股関節を開くとぐいぐい前に進むことができます。

地面を押すということは、ものすごい抵抗を受けなければなりません。敵は固いアスファルトで覆われた無敵の大地ですからね。

しかし空中で大腿骨を振りだすのは難しいことではありません。相手は空気です。
絶対に勝てない大地を相手に蹴るよりは、絶対に勝てる空気を相手に大腿骨を前に降り出した方がよいのです。

大腿骨を前に降り出す勢いで骨盤は自然と前に進みます。

このときのコツは、骨盤の股関節の穴を斜め下から前に向けて起こすことです。この股関節の穴は「動的バランス走法」では斜め下方を剥いていますが「ヤジロベエ走法」ではすこし前方に向けて起こします。そうすることで振り出す足が開かれて、ハサミは両方に開かれるのです。

おまえが提唱する第一の走法『アトムのジェット走法』は、アキレス腱のバネを使ってカズ・ダンスのように細かいステップを刻むピッチ走法じゃないか、と思うかもしれませんが、それだけではありません。

脚を折りたたむことで、大腿骨を大きく動かす行為が軽くなるのです。

ピッチにも有利ですが、ストライドにも有利な万能の走法だと思ってください。

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入力意識を変えても、同じフォームになる

「お尻やハムストリングの筋肉を使って走れ」と指導されるとお尻を落として支脚をいじめて走ってしまう市民ランナーがいます。負荷をかけるほど筋肉は意識しやすくなりますから気持ちはわかります。

『楽に、軽く』が究極の正解。なにも本番レースで筋トレすることはない。筋肉でなく骨格を意識する
筋肉ではなく骨で「楽に」「軽く」を実現させましょう。筋肉を使っている意識をなくします。それが究極の「楽に」「軽く」です。 最後には骨さえも意識するのをやめます。肉体を駆使している意識をしない状態が理想です。

たしかにお尻やハムストリングの筋肉を使って走ることは大事なのですが、「ハサミは両方に開かれる走法」では全く別のアプローチをします。

むしろ宙に浮いた遊脚の大腿骨を遠くまで放り投げるように伸ばしてストライドを稼ぎます。お尻やハムストリングはあえて意識しません。

すると勝手に股関節が開いて、お尻やハムストリングをつかったストライド走法が成立します。

要するに入力ワードの問題なのです。

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逆説のランニング。大地を押す力は無視する

本屋や雑誌で見かけるランニングのノウハウ本では大地を踏みしめる力を重視しています。しかし私ハルトの「ハサミは両方に開かれる走法」では大地を踏みしめる力は無視します。ここが逆説のランニングの本領発揮の部分です。

振り下ろす力を加えようとストライドが小さくなる弊害をとるよりも、むしろ大腿骨を遠くに放り投げるようにしてストライドをぐっと広げることに全意識を注ぎます。

力を込めなくても足自体の重さで足は自然と振り下ろされます。着地した足の上にスッと乗るイメージを持ってください。

そうすれば大地をプッシュする意識をもたなくても自然と速く走れます。

大腿骨を前に放り投げることで、ハサミが両方に開かれるように股関節が開き、腰高の腰椎が支点になってバランスをとっているからです。

心配しないでください。このように入力意識は違っても、フォームはそんなに変わりません。なぜなら「ハサミは両方に開かれる」からです。

ハサミはどちらか一方の刃だけを動かすことはできません。片方の刃を動かしても、もう一方の刃も同じように開き、同じように閉じます。

走っている時の二本の脚はまるでハサミのようなものです。どちから一方だけ動かすことはできません。

振り上げる足を意識しても、後ろに蹴る脚を意識しても、どちらかだけを動かすことはできません。ハサミは両方に開かれます。

両方の脚を意識することはないのです。片方の脚を意識するだけで、結果として両方の脚を動かすことができます。なぜならハサミは両方に開かれるからです。

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腸腰筋の伸縮反射を利用した「逆くの字」走法

筋肉はバネのように伸びたら縮むという性質があります。大腿骨を前に持ち上げる腸腰筋も同じです。

腸腰筋は伸びたらバネのように縮みます。腸腰筋はお腹の深部の前側についていますので、その筋肉を伸ばすためには逆「くの字」に腹を張ることです。

具体的にいいます。

どうせ宙に浮くのですから、はじめから腰を高く持ち上げます。そして前から綱で引っ張られているかのようにお腹をぐいっと前に突き出します。すると脚にひっぱられて尻がぐいっと後ろに突き出されます。これで「逆くの字」の完成です。

「逆くの字」で引き延ばされた腸腰筋は伸縮反射で縮もうとします。すなわち大腿骨が上に持ち上がるのです。

この伸縮反射を利用すれば、楽に股関節を前にひらくことができます。大きなストライドが確保できるというわけです。

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背中をゆるめると腰が使える

大きなストライドを確保するためには腰を使う必要があります。

腰を使って走るためには、胸を開いて肩の力を抜くことです。

具体的には、背中の肩甲骨を寄せて肩を落とします。すると背中がゆるみます。

背中がゆるめば腰を動かしてダイナミックに走ることができます。

おまけに背中がゆるんで胸が開けば呼吸が楽になります。

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ストライド走法こそ『フォームA』である。

「ストライド×ピッチ」でランニングのスピードは決まります。その両方に秀でている人がエリートランナーです。

私たち市民ランナーはそのどちらも一流選手から見たら劣っているのです。

オリンピック選手を指導する一流コーチがピッチ走法を推奨しているからと言って、それを鵜呑みにしてはいけません。一流コーチが教える選手はもともと凄いストライドをもつ素質のある選手ばかりなのです。

私たち市民ランナーの『サブスリー養成講座』は、まずは大きなストライドでダイナミックに走れるフォームを身につけましょう

そのダイナミックなフォームのまま、すこしづつピッチを速めるようにトレーニングしましょう。

しかしやがて限界が来ます。大腿骨を大きく動かしながらでは、これ以上のピッチは刻めないというポイントが。その臨界点を見極めましょう。それがあなたの巡航速度のベースだと考えてください。それが『フォームA』です。

ストライドを狭めてピッチを上げればもっと楽に走れると思う瞬間もあるでしょう。けれどもそれは『フォームB』です。決して『フォームA』ではありません。

今日があなたの人生でもっとも若い日」という言葉があります。明日は今日よりも一日老いています。

ランニング初心者ほど、ピッチ走法よりもストライド走法を意識した方がよいでしょう。あなたの人生において、今がもっとも若いのですから、若い時ほどストライド走法で走るべきです。

ピッチを意識するのは、その後でじゅうぶんです。

※最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんのランニングの参考になりましたでしょうか。このブログでは他にもランニングの技術を紹介しています。よろしかったらこちらをご覧ください。

厚さは速さだ。厚底ランニング・シューズ「ヴェイパーフライ」のメリット・デメリット
このページでは裸足感覚の着地を推奨するランニングのバイブルクリストファー・マクドゥーガル著『BORN TO RUN』ですっかり悪役にされてしまったナイキが、厚底シューズで薄底シューズに逆襲していく企業の大逆襲劇を描いています。
靴下は片方にだけ穴が開く。ザムストのランニングソックス『ZAMST HA-1』を片方だけ売ってくれと会社に掛け合ってみた結果
快速ランナーのランニングソックスはいつも左右決まった方だけ穴が開きます。しかし優秀なランニングソックスは、完全に左右の指定があります。すると困ったことになります。左右に使い回しできないということは、穴の開いた左足ソックスを捨てると、右足のソックスばかりが手元に残ってしまうのです。
雨の日にも走る。シャワーランニングのすすめ
オフィスワークしている濡れない日々からすると、雨に濡れて走るだけでも非日常になります。考え方はふたつです。濡れないように雨を防御するか。はじめから濡れてもいいような格好で走るか? 真冬以外、はじめから濡れてもいいような格好で走っています。

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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
片翼の翼: なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?
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【この記事を書いている人】

アリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。 市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。 また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。 そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。 その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。 登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。
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