マラソンの呼吸法。「腹圧をかける走法」

マラソン・ランニング
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球技などの複雑さとは比較にならないほど、マラソンは単純なスポーツです。脚を出しては戻す反復運動に過ぎないものを、どうしてここまで研究しようとするのか?

単調、単純だからこそわずかな違いが大きく効いてくるからです。

その具体例としてランニングの呼吸法について語っています。

横隔膜を下げて腹圧をかける「トランポリン呼吸法」についてここでは解説します。

私たちが意図的にできることは、酸素(空気)と赤血球(血)ができるだけ触れるようにしてあげることだけです。

横隔膜の上にはたくさんの血が行きやすいので、そこまで深く酸素を吸い込めば、肩式呼吸や胸式呼吸で肺の上部にたよった呼吸法よりも、たくさんの酸素が赤血球に触れるのです。

このときの肺の動きがトランポリンに似ているので「トランポリン呼吸法」と呼んでいます。

ここでは息を吐くことよりも、吸うことに集中する「腹圧をかける走法」について解説します。そもそも息をするのは、酸素を吸い込むためです。吐くためでなく、吸うために呼吸はあるのです。

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『マラソンの走り方・サブスリー養成講座』

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肺の限界が走力の限界という人は腹圧をかける走法をおすすめします

ランニングは単純な運動です。単純だからこそ研究し甲斐があります。単純だからこそわずかな違いが効いてくるのです。

たとえばテニスだったらサーブの時の筋肉の動きはこう、走りながらレシーブする時はこう、後ろに下がりながらロビングする時はここの筋肉をこのように使う、とかいちいち考えていられません。使う筋肉はその都度違いますし、いちいち頭を切り替えなければなりません。

でもランニングは単調だから、走るときはこの筋肉がこう動くとか、システムが非常に分かりやすく、型にはめることが可能です。単調ゆえに研究しようという気になるわけですね。そして単純だからこそ、わずかな違いが大きく効いてくるのです。単純な動作だからこそ、わずかな差が大きな差になるのがマラソンです。

ここではその例として、マラソンの呼吸法「トランポリン呼吸法」についてご紹介します。

皆さんが走るスピードが限界になった時、体のどこが限界となりますか? すべてが同時に限界を迎えることはまずないと思います。どこか最も弱い箇所が、あなたの限界を決めているはずです。

私の場合は「肺」です。脚が動かなくなるよりも先に、呼吸が続かなくなりました。

徐々にスピードを上げていけばわかりますが、速く走るとやがて酸素負債に陥って走れなくなります。肺の限界がスピードの限界でした。

マレーシアのキナバル山では酸欠で苦しくなり自殺を考えましたし、メキシコシティではただ生きているだけで息苦しい思いをしました。もともとあまり肺が強くないのかもしれません。

私は一秒でも速く走るために、呼吸術について真剣に考えました。わずかな違いが大きな違いとなる以上、一回の呼吸でわずかでもいいから効率的に酸素呼吸をしたいと私は考えました。

それではトランポリン呼吸法について、理論と実際の両方を解説します。

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効率的に酸素を取り込むためには、肺は潰さない

肺は「ふいご」のようなものです。

肺は「袋」です。肺はそれ自体が収縮できるわけではありません。

「袋」を取り囲む胸や腹の筋肉を動かすことで、肺の中の空気を押し出したり吸い込んだりしてアコーディオンのように換気しています。

 

「袋」を取り囲む胸を動かせば胸式呼吸、腹の筋肉を動かせば腹式呼吸と呼ばれるわけです。

「ふくろ」を折り曲げて使っては、たくさん酸素を取り入れることはできません。効率的に酸素を取り込むためには、肺は潰して使わないことが大切です。「肺」を折り曲げて使わないように注意しましょう。

たとえば腰高フォームにするあまり、腰椎と同じS字カーブを肺が描くと「ふくろ」を歪めて小さく使っていることになります。歪めて使っては、せっかくの「ふくろ」の最大酸素摂取力が発揮できません。

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横隔膜はトランポリンのような構造

ではどのようにして「寸胴」の「ふくろ」である肺をつかったらいいのでしょうか?

使うのは横隔膜です。横隔膜の解説は以下の専門ページをご覧ください。

横隔膜 | 看護師の用語辞典 | 看護roo![カンゴルー]
横隔膜(おうかくまく、thoracic diaphragm)は、胸腔と腹腔との境界にある膜状筋のことで、呼吸において重要な役割を担う。起始部は腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。それぞれの部から出る筋束は、全体として…

肺を下から支える膜のような横隔膜は、トランポリンのような構造になっています。

横隔膜が上がると肺の空気は押し出され、下がると肺に空気が入ってきます。

瞑想では腹式呼吸を使いますが、トランポリン呼吸法でも腹式呼吸を使います。

このようにイメージしてみてください。

呼吸というのは酸素を取り込んだ赤血球が全身に巡ることを意味します。私たちが意図的にできることは、酸素(空気)と赤血球(血)ができるだけ触れるようにしてあげることだけです。

血は液体です。水と同じように重力の影響を受けますので、基本的に血は下に溜まる性質を持っています。肺の血も同じです。肺の上部よりも、肺の下部に血はたくさん溜まりやすくなっています。

ところで肺の下には横隔膜というトランポリンのようなものがあって、そこで仕切られています。要するに、血はその一帯(肺の最深部)にいちばん行きやすいのです。

横隔膜の上にはたくさんの血が行きやすいので、そこまで深く酸素を吸い込めば、肩式呼吸や胸式呼吸で肺の上部にたよった呼吸法よりも、たくさんの酸素が赤血球に触れるのです。

このときの肺の動きがトランポリンに似ているので「トランポリン呼吸法」と呼んでいます。

ふいご呼吸法」「アコーディオン呼吸法」と命名してもよかったのですが、横隔膜をより強く意識するためにトランポリン呼吸法と命名しました。

肺での換気は、あくまでも横隔膜付近の腹の底の方が換気効率が高いということを示すためです。そのためには腹圧をかけて横隔膜を下に下げます。そこで呼吸するのです。

「ふいご」を意識した方がいいのは「吸う」よりも「吐く」ほうを意識するところです。大きな運動をしているとき人間は「吸う」よりも「吐く」ようにできています。運動中は吸うよりも吐く方が簡単です。吐いてしまえば勝ってに吸います。このやり方の方が効率的です。

トランポリン呼吸法では、トランポリンの骨組みである「輪っか」が腹の底にあるイメージを持ってください。この輪っかが歪まないように大きくお腹をつかってください。

そのトランポリンの外枠を腹の底に意識しながら、大きく横隔膜を上下に動かします。

トランポリンで遊ぶ子供が膜の中央で深く沈みこまないと高くジャンプできないように、トランポリン呼吸法でもたくさんの空気を膜の中央が深く沈み込むまで吸い込まないと全身に酸素が行きわたらず大きくジャンプすることはできません。

横隔膜を下げてトランポリンを深く沈み込ませた状態のことを「腹圧をかける」といいます。

走りとは何か? ジャンプしない走りなんて、走りじゃない。足はしかたなく着いているだけ
走ることの究極は、飛ぶことです。陸上動物最速のチーターも、ライバルのガゼルも、宙を浮いている合間にちょこっと足を着いているいるだけ、という走り方をしています。ジャンプしない走りなんて、走りじゃない。本当は宙に浮きたいのです。足はしかたなく着いているだけなのです。
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「腹圧をかける走法」吐く息よりも吸う息に意識を集中する

マラソンの呼吸に関して、市販の多くの本には「吸う息よりも吐く息を意識する」と書いてあります。ヨガも同様で、吸う息よりも、吐く息を重視しています。

しかし本書『市民ランナーという走り方』では、吐く息よりも吸う息に意識を集中します。

吐く息を頑張るという人の理屈はこうです。「肺の中の空気を吐き切ってしまえば、しぼんだ肺が戻るときに勝手に空気を吸い込むから、呼気を意識した方がいい」

いっけんもっともらしく聞こえますが、それは逆だって同じです。

「肺の中の空気をパンパンにして腹圧をかければ、膨らみきった肺が戻るときに勝手に空気を吐きだすから、吸気を意識した方がいい」

ここで吸う息に集中するのはそういう理屈のことではありません。

ヨガのように体をねじる運動の場合は、肺を空にした方が、体をねじりやすくなる道理があります。しかしマラソンの場合はどうでしょうか。本当に呼気を意識した方がいいのでしょうか。

私は吸気を意識した方がいいと思っています。

呼吸を止めれば生物は動きを止めます。呼吸が苦しくなったらプロだって足が止まります。ランニングにおいて呼吸は最重要課題です。走り続けるためには呼吸こそが根本の力だといえるでしょう。

そのためには大きく息を吸い込んで、横隔膜を下げられるだけ下に下げます。肺が最大化したその状態のことを「腹圧をかける」といいます。

腹圧をかけるということは、横隔膜を下に押し下げることです。つまり吸う息を意識することです。酸素は腹の底の底、横隔膜のところで換気します。そこから力が湧いてくるのです。

そもそも重力は下向きなのだから、横隔膜を押し下げることは理にかなったことです。それに対して、吐く息を意識するとなると、腹筋をつかって絞り上げないと肺の中の空気を吐ききることはできません。

もしもあなたがランニングで吐く息を意識して苦しかったら、吸う息を意識して横隔膜を下に押し下げて「腹圧をかける走法」を意識してみてください。

腹圧をかけると、力が腹の底から力が湧いてくるのを感じるでしょう。腹の底とは横隔膜のことです。そこで酸素を取り込んで、そこからパワーを振り絞るのです。

腹圧をかける走法とは、吐くことよりも吸うことを重視した呼吸法です。横隔膜を下げて肺を最大化させます。酸素は最下層の横隔膜のところで取り込んで、腹の底から走るパワーを生み出す走法のことです。

速く走れば走るほど「腹圧をかける走法」の利点に気づけるでしょう。ぜひお試しください。

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全集中の呼吸術。呼吸は自由に。リズム呼吸法は不正解

呼吸は自由に、鷹揚に行ってください。足のピッチのリズムと呼吸を合わせる必要はありません。

スッスッ、ハッハッと繰り返す二歩一呼吸リズム呼吸は間違った教えです。そういうことにこだわっていると、却って呼吸を荒くします。ランニングの『呼吸はしたいときにする』のが正解です。

名著『BORN TO RUN』には、このような記述があります。

(チーターやウサギなどは)前足が接地するたび、胃腸が前方の肺に食い込み、空気を吐き出させる。つぎのストライドのために身体を伸ばすと、内臓は後方にスライドし、空気を吸いだすのだ。ただし肺活量を増大させるこの動きには代償がともなう。チーターは一度のストライドで一呼吸しかできない。すべての走る哺乳類が一歩進み一歩呼吸するという同じサイクルにしばられていたのだ。例外は全世界にひとつだけだった。あなただ。

この記述は「長距離ランナーとしての人間の優位さは、一ストライド一呼吸に縛られないことにある」といっているのと同じことです。大きな呼吸ができることが長距離ランナーとしての人間の最大のメリットなのです。二ピッチ一呼吸はおろか、三歩一呼吸だっていいのです。二ピッチ一呼吸以上の速さで呼吸する走りは、長くもちません。

力を込めて走ると肺が緊張して酸素換気がうまくいかなくなります。肺はゆったりとさせましょう。肺に力が入ってはダメです。最大換気が最大走力です。リラックス走法が重要になります。

リラックスランニング。脱力とピーキングが謎のベストタイムの理由

足のリズムと呼吸のリズムは別ものと考えて、横隔膜はゆっくりと大きく呼吸するのが正解です。横隔膜を速く動かすのは獲物をしとめるときにスパートをかける時だけです。マラソンの場合はふつうはゴール前以外は使いません。

自由に、吸いたい時に吸い、吐きたい時に吐けばいいのです。ただし大きくゆったりとした呼吸を心がけて呼吸に集中します(全集中の呼吸術)。

決まったリズムに呼吸を無理に合わせようとすると、却って深い呼吸ができなくなります。

自分のリズムで呼吸するのが正解なのです。

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本番レース中に「にわか痩せた人」のように走るのは間違い。むしろ「腹の出ている人」のように走るのが正解

マラソンは痩せた人の方が速い。これは真実です。なぜならランニングは宙に浮いて距離を稼ぐ競技なので、重力に逆らって体重が軽い方が宙に浮くときに有利だからです。

だからできるだけ痩せている人になろうとして腹をひっこめて走ろうとする人がいますが、これは間違っています。横隔膜を大きく動かしてお腹が出ている人のように走るのが正解です。

肩をあげて走る人も間違っています。肩をあげてはしると腹の皮膚が吊り上げられてしまいます。横隔膜を大きく動かして腹式呼吸するためには、腹の皮膚はゆったりとしていたほうがいいのです。そのためには肩をさげて走ります。

たしかにマラソンは痩せた人の方が速いのですが、本番レース中に「にわか痩せた人」のように走るのは間違いです。痩せるのはレース前までにすませて本番レースではむしろ「腹の出ている人」のように走るのが正解なのです。

マラソンの呼吸。腹圧をかける走法(決定稿)

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※雑誌『ランナーズ』の元ライターである本ブログの筆者の書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。

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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

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●◎このブログ著者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』◎●
書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
Bitly
×   ×   ×   ×   ×   × 
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
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×   ×   ×   ×   ×   × 
◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

Bitly
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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マラソン・ランニング
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