代表相続人の条件は、現金持ちで信頼できる人
相続問題に取り組んでいます。その実体験からいろいろ考えたことを情報発信しています。
相続に関しては、代表相続人は「お金にしっかりしている人」「信頼できる人」を選ぶべきです。なぜなら相続では、代表相続人はいくらでもお金をごまかすことができるからです。たとえばパスワードを知っている口座から現金をこっそり引き出して自分の財布に入れて、遺産分割協議書では「そんな口座はなかったことにする」ことも難しいことではありません。もっともこういう行為は「遺産の使い込み」といいまして、ありがちのトラブルです。トラブルというのはやさしい表現で、実際には一種の犯罪です。親族の金だから刑事事件ではないものの、窃盗罪、横領罪に相当する罪なのです。だから代表相続人は「信頼できる人」「お金にしっかりしている人」を選ぶようにしてください。
なお、現金がなくて不動産のみが相続遺産だった場合、不動産を現金化して換価分割する必要があります。人口減少社会では不動産は売れない可能性が高いので、お金を持っているAが自分の貯金から不動産評価額の半額をBに渡して清算しなければならないケースも発生します。代表相続人には「現金を持っている人」を選ぶべきでしょう。不動産はあるが現金を持っていない相続人はあてになりません。不動産はただちに分割することができないからです。
また、遺族はお金を管理するチェックを、被相続人が亡くなった後ではなく、存命中から行ってください。なぜなら遺産の使い込みとは死後ではなく、存命中から行われるものだからです。サ高住のようなところに親が入ったら、一度、将来の遺族で話し合い、お金の管理をよくチェックしておくべきでしょう。
「死ぬ時が一番お金持ち」だというのが多くの日本人です。お金を見て悪い気を起こすのはお金持ちですか、それとも貧乏人でしょうか? お金に困っている人を代表相続人にすべきではありません。
遺産相続が発生したら、行政書士とファイナンシャルプランナー、どちらにまかせるべきか?
代表相続人には「信頼できる人」「お金に厳しい人」「現金もち」を選ぶべきだと述べました。その他にも代表相続人に相応しい職業というものがあって、それは弁護士、司法書士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどです。
弁護士は遺族がトラブったときには専門家ですし、司法書士は土地の相続登記の専門家です。
では遺族に行政書士とファイナンシャルプランナーがいたら、どちらに遺産の管理をまかせるべきでしょうか? この場合、迷いますよね。うちの場合はこのケースだったので、このケースで解説します。
ファイナンシャルプランナーというのは、人生の資金計画に関する知識を有する人のことをいいます。人生の資金計画のなかには年金や相続なども含まれます。
これに対して行政書士というのは「手続き屋」です。市役所など官公庁に対する書類手続きを得意とする人のことです。
これだけ聞くと守備範囲に「年金」や「相続」を含むファイナンシャルプランナーにまかせた方がいいように思う人がいるかもしれませんが、そうではありません。実体験から、ここは絶対に行政書士にまかせたほうがいいと思います。
相続手続きは「公文書」での官公庁とのやりとりがすべて。ファイナンシャルプランナーよりも行政書士
未経験者が思っている以上に、相続はほとんどが官公庁との書類のやり取りになります。除住民票とか改正原とか言われて何のことだかわかりますか? そういうお役所用語の専門家が行政書士です。年金や後期高齢者医療保険などの手続きもお役所関係の手続きです。法務局への法定相続人情報の依頼も対お役所です。土地の相続登記も対お役所です(司法書士の専門分野ですが、行政書士でも相続登記することができます)。
まだ存命のうちに、どんな生命保険に入るべきかとか、どんな健康保険に入るべきかとか、そういう相談をするのならば行政書士よりもファイナンシャルプランナーに相談した方がいいと思いますが、死後の相続手続きではファイナンシャルプランナーよりも行政書士に代表相続人をまかせた方がずっと事務処理がスムーズに進むことでしょう。
参考≪相続の実体験の記録≫
※有価証券の相続
「手数料!」ネット証券と実店舗型証券会社の購入、運用、売却、手数料の差
※不動産譲渡税の節約
不動産譲渡税を払わずに済ませる方法。脱税スレスレの裏ワザを伝授
※遺産分割協議書
遺品整理で車を売る。100万円未満なら遺産分割協議書はいりません
※遺品整理補償
総合家財保険。まさかの遺品整理補償あり。請求する際、写真が必要なので撮っておくようにしてください
※独居老人の死亡。相続税の基準日はどうするか?
【相続】独居老人の死亡。死亡日が不明(推定幅がある)場合、いつを相続税の基準日にするのか
※法定相続情報一覧図
【相続・実体験】法務局「法定相続情報一覧図」作成サンプル(叔父叔母の遺産を甥、姪が代襲相続する場合)
※代表相続人の条件