どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?
日本映画界の巨匠高畑勲監督がお亡くなりになりました。アニメファンの一人として、心からご冥福をお祈りいたします。
お亡くなりになると追悼で作品がテレビ放映されます。
つい先日も『かぐや姫の物語』が放映されまして、高畑監督スゲエみたいなツイートが日本中を席巻しておりました。
しかし『かぐや姫の物語』を見れば高畑監督の偉大さがわかるみたいな言い方をする人には、私はどうも違和感を感じます。
「これって『竹取物語』だよな。スゲエのは高畑監督じゃなくて日本文学じゃないの?」
と。なぜって映画に原作『竹取物語』から逸脱したようなところはほとんどないからです。
竹取物語。日本最古の物語ともいわれています。日本最古のSF作品なんて言われたりもしますが、日本最古の物語なんだからそりゃ当然でしょうが。
日本最古というととてつもなく古い作品のように聞こえますが、そんなに古い話でもありません。脱稿した年は不明ですが、平安時代初期なのは確実なのでどんなに古くても西暦794年です。ホメロスのイリアスが紀元前8世紀の物語であることを思えば、両者の間には1500年もの隔たりがあります。
しかし『竹取物語』は、本邦最古というにしてはものすごくよくできた物語です。
たいてい日本最古の××というものは、現代の視点からみると、出来が悪かったり、素材が悪かったり、構造が悪かったり、デザインが悪かったりするものなのです。
日本最古の建築物は、今の建築から見ると未熟なところばかりです。日本最古の服も、武器も、道具も、素材も、デザインも、現代の視点からすると及第点ではありません。
しかし日本最古の『竹取物語』は合格です。むしろ現代の物語の水準を軽々と超えているのではないでしょうか。日本最古の物語なんだから、まだまだ未熟だったり、どこかストーリー的に破綻していたりすればかわいいものを、起承転結もばっちりですし、親子の情や別れが描かれ、SF的(竹の小人や宇宙人)な要素すらあり、非常によくできた物語の骨格をもっていると思います。
『かぐや姫の物語』では描かれていませんでしたが、月へと去る前に帝に不死の薬を置いて行ったのに「かぐや姫のいない世界で不死になったところで何の意味があろう」と帝は天に最も近い山の上で不死の薬を燃やしてしまった、というオチまで原作にはあります。その山が不死の山から富士山と呼ばれるようになった、とか。
そこまで描いてしまったら、今でさえ殺到している富士登山に外国人旅行者がさらに押し寄せて大変なことになっていたことでしょう。
月の満ち欠けは人生が満ち欠けることの象徴。月の光は死の光。
そういう考えがあることは知っていました。
しかし高畑監督の『かぐや姫の物語』に描かれた月からの使者はまるっきりお釈迦様じゃありませんか。
高畑監督の演出によって『竹取物語』がSFとかではなく、『年老いてから生まれた娘が死んじゃった(月にとられた)夫婦の物語』のように私には見えました。「ああ。かぐや姫。死んじゃったんだな」と。
器量の良い娘で生きていれば帝と婚姻してもおかしくなかったのに嫁ぐ前に死んじゃった悲しみを癒すために空想の物語を紡ぎ出したのだな、と。
『竹取物語』は輪廻からの解脱とか、月は涅槃の世界とか、仏教的な解釈も可能です。古来、歴史に残る名作というのは様々な解釈が可能でした。見る人がそれぞれの気持ちを投影して、さまざまに解釈できる物語。そういうものを名作と呼ぶのでしょう。
高畑監督は最後に『平家物語』を描きたかったのだそうです。
『祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久しからず ただ春の夜の夢の如し
猛き者もつひにはほろびぬ ひとへに風の前の塵に同じ』
『火垂るの墓』もそうですが、死が裏テーマだったんじゃないでしょうか。
ぜひ『平家物語』見てみたかったです。ご冥福をお祈りいたします。
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