シャチの方が断然強いのだということを、筋肉と骨格から証明します。
ホオジロザメが海の王者と勘違いされるのは、カオがギャングのようにコワいからに他なりません。
体重、筋力、スピード、肋骨の防御力、頭脳すべてにおいてシャチの方がホオジロザメよりも強いのです。
少年は大きいから、強いから恐竜に憧れるのである
少年は恐竜が大好きです。
どうして恐竜が好きかって?
大きいからですよ。巨大だからです。それに尽きます。
私はもう大人ですが、今だに子ども心を持ち続けています。
だから大きな動物が大好きです。それゆえに恐竜が大好きなのですが、現生生物でも巨大な生き物は大好物です。
クジラとか、本当に大好きです。
大きな動物にはロマンがあります。
聡明なネズミも愚鈍なクジラにロマンで負ける。
時々カラスぐらいの大きさの始祖鳥をつかまえて「これだって恐竜だよ」とか小学生相手に真面目に説いている学者がいますが「おまえ、バカか?」と思います。
少年がなにゆえ恐竜に憧れるのか、まるでわかっちゃいないんですね。
デカいから憧れているのです。デカいことが魅力のすべてです。
骨格がどうのとか、分類上恐竜だと違うとかで、少年が恐竜に憧れるわけがありません。
大きいから、強いから憧れるのです。
ちいさい恐竜なんて興味ないです。だって恐くないもん。
ホオジロザメ対シャチ。顔面の凄みが違いすぎる
さてこの広い海で最強の動物は何でしょうか。
『天下一武道会』(ドラゴンボール)の勝者が誰になるのか知りたいのと同じように、少年はそれを知りたがります。
この世界の最強のモンスターって誰だ?
誰でもまず最初に思い浮かぶのは、映画『ジョーズ』でおなじみのホホジロザメ(ホオジロザメ)ではないでしょうか。
『白い死神』の異名をもつ巨大鮫。英語では『GREAT WHITE SHARK』と言います。偉大なる白鮫。
何を考えているのかわからない落ちくぼんだ真っ黒な眼窩。
血塗られた剥き出しの歯茎と大顎。
何重にもなった鋭い乱杭歯。
食うためだけに生存しているような太古の生命体。
こ、怖~(泣)。
「最強はホオジロザメに決まりだよな。間違いない!」と少年は確信します。
私だってそう思います。
こんなおっかない顔をしている動物は他にいません。
鷲とオウムの顔を見ると思いますが、やはりハンターの厳しい生きざまが鷲の鋭い目つきには隠せずに出てしまっています。クリクリっとしたオウムちゃんの顔とは全然違いますよね、猛禽類の顔は。
ホオジロザメも同じです。恐ろしさが顔に出ちゃっています。
海のギャングvs白黒パンダ。ヒールvsベビーフェイス
ところが、最強の海の生物は文句なしでホオジロザメというわけではありません。
シャチの方が強いという声がいろんなところから聞こえてきます。
「ウソだ~」と少年は思います。
シャチといえばどうしても『鴨川シーワールド』の白黒パンダちゃんを思いだしてしまう人も多いのではないでしょうか。
水族館では調教師の言うことをちゃんと聞くお利口さんで、背中に人を乗せて、チュっとお客さんにキスしてくれます。
尻尾を振って愛嬌をふりまくその姿はまるで「海のパンダちゃん」です。
同じことをホオジロザメでやったら、絶対に殺されると思う。
プールには人間の腕や胴体がバラバラに浮かび、血で赤くなる。
((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
「シャチの方がホオジロザメよりも強いよ」と言われても、少年には信じられません。
「いや絶対にホオジロザメの方が強いはずだ」と思います。
その理由はやっぱり顔の怖さではないでしょうか。存在そのものがホオジロザメのほうがおそろしいからです。悪役としての格が違います。顔にドスが効いていますもの。
ホオジロザメがマフィアだとするならば、シャチはパンダちゃんみたいです。どう考えてもマフィアの方が強そうです。言うこと聞かないアウトロー感が半端ないのがホオジロザメです。
どうしてもシャチの方がホオジロザメよりも強いと主張するのであれば、ここは少年でもわかるように解説してあげる必要があるのではないでしょうか。
それではここからそれを解説してみましょう。
自然界の容赦ないルール。大きい=強い
自然界には身も蓋もない容赦ないルールがあります。それは大きい=強い、ということです。
体重のあるやつにはかなわない、という原則が存在します。
トラやライオンが強いのは、彼らが瞬発力や持久力といったスペックが優れているからではありません。スピードならチーター、持続力ならオオカミの方が上です。体がデカいから、彼らは強いのです。
体重差でいうとライオンで最大250kgぐらいですが、チーターは65kg程度。オオカミは80kg程度です。ここまで体重が違うと、牙や爪の大きさや鋭さなんてもう比較する必要はありません。もはや勝負になりません。勝負以前の問題です。
人間界の格闘技の世界でも、実は同じことが言えます。
圧倒的な体重差だとほとんど勝負になりません。だから多くの格闘技は「階級制」なのです。
大きくて重いことは、それだけで強いことなのです。
さてホオジロザメとシャチの体重差です。
ホオジロザメの体重がだいたい680-1100kgなのに対し、シャチの体重はだいたい1300-5500kgだと言われています。体重差2~5倍です。これではまったく勝負になりません。
ホオジロザメとシャチの勝負は、人間に譬えれば体重150キロに体重40kgがケンカを売るようなものです。勝てるわけがないというのがおわかりでしょうか。
いくらホオジロザメの方がカオが怖くても、やっぱりシャチの方が圧倒的に強いのです。
哺乳類vs魚類のたたかい、ということを忘れてはいけない
ひとつ忘れてはいけないのは、シャチvsホオジロザメの戦いは、哺乳類vs魚類の戦いだということです。
ホホジロザメは軟骨魚類という進化の過程で生まれた古いタイプのサカナです。
軟骨魚類というのは全身の骨格が軟骨で構成されているのです。
私たちから見ると不思議な生き物ですよね。骨が全部軟骨でできているなんて。
それほど古いタイプの生き物なのです。
ちなみにムカシホオジロザメ(メガロドン)の化石がいつも歯しか残っていないのはこれが原因です。
軟骨だから骨格が残らないのです。
さて、ここで質問です。
もしあなたの骨格がぜんぶ軟骨で出来ていたらどうでしょうか。強くなりますか? それとも弱くなりますか?
答えはもちろん弱くなります。
全身が軟骨になったらフニャフニャ人間です。
「あいつは骨のあるやつだ」と褒められることは一生ないでしょう。
体当たりされただけで、軟骨の全身が歪んでしまいます。
もちろん頭蓋骨も軟骨です。
友達とケンカして、かかと落としを脳天に叩き落とされたら、脳ミソが直接ダメージを食らうことでしょう。即死してしまうかもしれません。
筋肉はゴム。骨格以上の力は出せない
筋肉というのは両端が骨に付着したゴムのようなものです。
ゴムの力が発揮できるかは、付着した支柱があってこそです。
骨折していてはどれほど強い筋肉でもその力を発揮することはできません。
支柱がへし折れていては、筋肉の強さは無意味になります。
どれほど筋肉を鍛えても、動物は骨格以上のパワーを発揮することはできないのです。
骨の強さがその動物が発揮できるパワーの限界なのです。
その支柱が硬骨のホオジロザメと軟骨のシャチでは、おのずと発揮できるパワーが違ってきます。
最大筋力を発揮するスピードで比較すると、ホホジロザメは平均速度25~35km。それに対してシャチは平均速度65kmで泳ぎます。
スピードが全然違います。この差を生み出している理由の一つは骨の固さであることは間違いありません。
内臓を守る肋骨がない
これも信じがたいかもしれませんが、古いタイプの生き物であるホホジロザメには肋骨がありません。肋骨は肺や心臓などを守る役割があるのですが、それがないのです。
もし、あなたの肋骨がなくなったら、強くなりますか? それとも弱くなるでしょうか?
もちろん弱くなります。
もし肋骨がなくなったら、もう金輪際友達とケンカする気を失くしてしまうでしょう。だってパンチやキックをまともに胸に食らったら、肺や心臓が破裂してしまうかもしれませんよ。
実際、シャチが全力でホオジロザメに体当たりしたら内臓が破裂してしまうといわれています。噛み殺すまでもなくシャチの方が強いのです。
ホオジロザメというのはギャングのようなおそろしい顔をしていますが、残念ながらそのような生き物なのです。
映画『ジョーズ』などの影響で最悪の海のギャングというイメージがついてしまいました。
カオがコワい、というのがすべての原因です。
それに比べてシャチはどうでしょうか?
彼らは私たち人間と同じ哺乳類です。進化の果ての生まれた哺乳類は、この地球上で最強の種族です。固い骨を全身に配していて、もちろん肋骨もあります。イルカと同じ種族で頭もいいのです。
ところがギャング顔のホオジロザメの方は殺戮本能だけの「サカナくん」です。
生存競争の世界では頭のいい方が勝つというのが鉄則です。
進化の果てに生まれた頭のいい哺乳類と、太古の魚類では、勝負になりません。
シャチは英語で『KILLER WHALE』です。殺し屋クジラ。
「シャチは海の虎」と『北斗の拳』の中でも言われていましたが、シャチは漢字で「鯱」と書きます。「シャチは魚の虎」が正解です。武論尊先生!
シャチは「冥界の魔物」という異名を持ちます。
海洋での実際の姿は水族館で見る白黒パンダちゃんではないのです。正真正銘の海の王者なのです。
ホオジロザメが海の王者と勘違いされるのは、顔がギャングのように怖いから
体重、筋力、スピード、肋骨の防御力、頭脳すべてにおいてシャチの方がホオジロザメよりも強いことがわかりました。
ホオジロザメが海の王者と勘違いされるのは、カオがギャングのようにコワいから、というのが理由です。
少年もまたホオジロザメのカオのコワさに最強動物を誤解してしまいますが、体重、筋力、スピード、肋骨の防御力、頭脳すべてにおいてシャチの方が強いのだということを教えてあげてください。
今回はシャチとホオジロザメのどちらが強いのかを、子ども心のままに説明しましたが、世の中には私と同じように「猛獣もし戦わば?」ということを解説した本が出版されています。
動物の最強をさぐる本です。私はアフリカゾウだと思うなあ。
ティラノサウルス登場! 奴に勝てるのはモササウルスだけ(笑)?
いやもうたまりません。
生き物たちの時空を越えたさまざまな戦いが展開されています。
少年のころに、こんな本が読みたかった!!
もしお子さんが興味を持っていたら、買い与えると「読書家」になりますよ!
※関連記事