英語の方がわかるとわかっていても、英語よりも漢字に目が行く日本人
北京首都国際空港には「漢字」を体験してみよう、というコーナーがありました。表音文字であるアルファベット民族にとって、表意文字である漢字は興味をそそるものなんでしょうね。しかしわれら日本人にとっては漢字はなじみの文字です。中国を旅すると、
「旅行者情報中心」
「Tourist information center」
と併記されてある場合がよくあります。こういうとき、日本人なら確実に漢字の方に目がいきます。英語の方が意味が分かるとわかっていても、漢字に目が行きます。漢字には不思議な魔力があるのです。
そういう意味で中国旅行は、欧米人旅行者よりも、われら日本人の方が有利だといえるでしょう。
なんと発音するのかわからなくても、文字から意味が伝わってきます。何を望んでいるのか、わかりますね。
中国人相手に、筆談することも可能です。筆談なんて欧米人にはぜったいに無理です。
これがスターウォーズのポスターだとわかっていれば、星球は★スターで、最後の文字は「戦」という字なんだろうな、と予想がつきます。
中国人よ。日本人は漢字を理解できるんだぞ。
同じ漢字でも読みが違う。なぜ音読みは現代中国語と違うのか?
ところで中国、北京首都国際航空での漢字ミュージアムに話を戻しますと、わたしはひとつ疑問を感じました。
現代日本でも使っている文字が多いので、漢字はほとんどわかります。でも発音が音読みとぜんぜん違っています。平はヘイとかペイと音読みしますが、現代中国ではピンと読むようです。習近平さんはシュウキンペイではなくシーチンピンさんです。平はペイではなくピンなのですね。
平清盛の平氏は現代中国風にいえばピン氏ですね。
ところで訓読みが通じないのはわかりますが、音読みがまったく通用しないのはなぜなのでしょうか? たしか古代日本は、中国文字を輸入して、日本の読みかたを訓読み、中国の読みかたを音読みにしたと学校で習った気がします。そうだとしたらせめて音読みは中国と同じ読みであるべきじゃないないでしょうか?
同じ漢字なのに読み方が違うなんて残念すぎます。せめて音読みが中国語読みと同じであれば、ものすごく中国が身近なものになります。っていうか、ほぼほぼ喋れるといっても過言ではありません。日中両国の友好親善にとてつもなく寄与するのではないでしょうか。
調べたところ、音読みが中国の発音のままだというかつての学校の教えは間違っていませんでした。ただし、それは古代中国の一方言を取り入れたものであり、現代の北京語とは発音が違うそうです。そのせいで音読みしても現代中国人には通じないんですね。毛沢東がモウタクトウで通じれば楽なのに、マオツァートンと読むのであればいちいち勉強しなければなりません。面倒くさいね。
関羽はカンウでは通じません。クワンユーと発音してください。あるいはホイクワンクン(聖関君)などと。
星がスターと読めれば、巴はハ、克はカツと読めるので、スターハカツで、ぎりぎりスターバックスと読めるか読めないか、といったところです。やっぱり英語を読んだ方がより正確に理解できます。漢字による相互理解はその程度にすぎません。それでもCOFFEEが珈琲なのは同じです。やっぱり漢字は偉大だ。
ちなみに北京の空港でインフォメーションの人に「ケンタッキー・フライド・チキン」と何度連呼してもわかってもらえませんでした。グーグル翻訳で漢字化してやっと理解してもらえました。なぜなんでしょうか?
残念ですが……いまさら音読みを現代北京語と同じ発音にするのは難しいでしょうね。母国語を英語にするのと同じぐらいの混乱が予想されます。でも……ものすごく残念な気がします。せめて音読みが現代中国語と同じならば、ものすごく中国が身近な国になるんだけどな。