正規兵ではなくゲリラ兵のように英語を習得する。
沢木耕太郎の『深夜特急』という本に、英語を喋れるアフガニスタンの青年が登場します。青年は英会話がたどたどしい大学出の沢木をバカにするのですが、後でアルファベットがまったく読み書きできないことが判明します。聞き取れるけどまったく書けないという人でした。そういう境地があるのです。本から学ばない英語、耳学問だとこういう状態になります。
さて、放浪のバックパッカーとしては沢木よりはこのアフガン青年でありたいと思います。読み書きできることと、喋れること、どっちが大切かはもう痛いほど知っています。大学に合格したぐらいの私は、とにかく書いてある英語は読めました。それで大学には合格できたからです。しかし……それでは通用しません。旅の途中ではリーディングよりもヒアリングの方がずっと重要だからです。
今から英語を「遊び」「楽しみ」でやるなら、沢木になるより少年になりたいですね。大学受験の参考書を開いてもう一度勉強し直すのではなく、YouTubeの英語動画を見ながら楽しみつつヒアリング力を上げていきたいと思います。
日本の学校教育(正規軍)の過程なんかクソくらえです。ゲリラ兵(実地で学ぶ)のようにやっていこうと思います。
ゲリラ戦のように英語にふれて、いつしか理解できるようになれたら……と思っています。
他言語の習得には有利、不利がある。母国語に似ているほど習得しやすい
私が登録している「英語を習得しよう」系YouTubeチャンネルには、ネイティブスピーカーでない人が運営しているチャンネルが多々あります。自分が外国語(英語)を習得した方法を教えます、というスタンスで全部英語でチャンネルを運営しているのです。その中で流暢な英語をつかっています。
主語+動詞+目的語の英語の語順でふだんから喋っている人たちは、主語+目的語+動詞の語順で喋っている私たち日本人よりも英語の習得が簡単なのではないでしょうか?
日本人にとって英語学習の難易度はどれぐらいなのでしょうか? たとえばフランス人が英語を学ぶのと、日本人が英語を学ぶのと、どっちが簡単なのでしょうか?
他言語の習得には有利、不利があります。母国語に似ているほどターゲット・ランゲージは習得しやすいのです。
つまりフランス人が英語を習得する方が、日本人が英語を習得するよりも簡単だということです。それはフランス語の方が日本語よりも英語に似ているから、です。
わたしは韓国がえりの帰国子女です。いちばん馴染みのある外国語は、実は英語ではなく韓国語だったりします。日本語と韓国語は、語順も同じで単語も似ているものが多く、日本人にとってはとても勉強しやすい言語です。
韓国語を習得しようとしたら、イギリス人よりも日本人の方が有利です。中国語も同様です。漢字を知っているというアドバンテージは非常に大きい。フランス人よりも日本人の方が、中国語の習得は圧倒的に有利でしょう。
日本語と韓国語。英語とフランス語。はどちらが近い言語か?
母国語に似ているほどターゲット・ランゲージは習得しやすい。この程度のことは誰でもわかります。イタリア語を習得するのはフランス人の方が日本人より有利だということは。
この稿で私が知りたいのはこういうことです。
「日本語と韓国語、英語とフランス語、どちらが近い言語なのか? どっちが似通っているのか?」
これはそう簡単にはわかりません。だからGoogle検索で調べてみました。ところがいくら日本語で検索しても、ドンピシャの答えはヒットしませんでした。私の疑問に答えてくれる日本人は誰もいなかったのです。
検索にヒットしないので疑問は解決しなかったのですが、諦めきれない私はこう考えました。言語的に近いほど「習得時間」は短いのだから「日本人が韓国語を習得するまでにかかる時間」と「イギリス人がフランス語を習得するまでにかかる時間」が分かれば、どちらの原語が近いかわかるハズ。
それで別の検索ワードで調べてみることにしたのです。
「日本人が韓国語を習得するまでにかかる時間」は、日本語でググることができました。それを教えてくれる人が大勢いました。
「イギリス人がフランス語を習得するまでにかかる時間」は、日本語で検索してもヒットしなかったので、英語で検索しました。するとそれを教えてくれる英米人がたくさんいました。
こうして私は疑問を解決することができたのです。
他言語の習得までにかかる時間で難易度、近しい言語を判定する。
他言語を習得するまでの時間がわかれば、習得する難しさが分かります。習得難易度が分かれば、その言葉どうしがどれほど似通っているのか、かけ離れているのか、判定することができます。
他言語の習得時間ですが、もちろん個人の能力や、勉強法によって個々に異なります。どのレベルまでを習得と呼ぶかで時間は変わってきます。
しかし一般的にいって、
「日本人が韓国語を習得するまでにかかる時間」は、約700~1000時間ぐらいだそうです。
「イギリス人がフランス語を習得するまでにかかる時間」は、だいたい600時間ぐらいだそうです。
つまり日本人が韓国語を習得するよりもイギリス人がフランス語を習得する方が短い学習時間で済むということです。つまり英語・フランス語の方が、日本語・韓国語よりも、似ている言語だ、というのが本稿の結論です。
英語が読めれば、日本語だけでは結論をだせなかった問題を解決することができる。
このように英語が読めれば、日本語検索だけでは答えをだせなかった問題を解決することができます。
イケダハヤト氏が言っていたことは、まさにコレなんですね。英語が喋れれば世界がひろがります。その一例として、日本語・韓国語よりも英語・フランス語の方が似ている言語だということを紹介しました。この結論に関しては、現時点で私の本稿以外に(日本語で)答えを書いた人は誰もいません。そんな記事が書けるのも、英語が読めたからこそです。
でもいくら読めても、ネイティブと会話できません。相手の言うことを聞き取れないからです。そんなレベルです。
BBCニュース(イギリス英語)は聞き取れても、CNNニュース(アメリカ英語)はさっぱり聞き取れなかったりします。ハリウッド映画なんてまったく聞き取れません。その程度の英語力です。
趣味は「英語」。英語の勉強は脳への刺激になる。
日本人が英語を習得するのに必要な時間は2200時間が目安なのだそうです。
韓国語の1000時間にくらべてはるかに時間がかかります。それほど日本語と英語はかけ離れた言語だということです。フランス人に比べて圧倒的に不利だということがおわかりでしょうか?
でも絶望することはありません。2200時間は中学、高校の授業や受験勉強の時間も含んでの数字です。今から2200時間という意味ではありません。それに別に流暢な英語が習得できなくても、海外を放浪するのには何の問題もありません。放浪に必要なスキルは語学力とは別のモノだからです。習得できてもよし、習得できなくてもよし、です。
イングリッシュラーニングは確実に脳への刺激になっています。楽しいですよ。おすすめします。「趣味が英語」だといってもいいぐらいです。英語を趣味にできるのはYouTubeのおかげです。つまらない語学学習テキストしか手元になかったら、楽しんで英語を学ぶことはできないでしょう。ニュースやトピックスなど無限のコンテンツを楽しめるからこそ、お勧めすることができるのです。
先日、英語の勉強をしてそのまま寝たら普段は見ない「おかしな夢」を見ました。
弟がショウリョウバッタを飼いたいというのを両親が熱烈応援するという奇妙な夢です。私一人がバッタを飼うことに反対するのですが、家族に聞き入れてもらえず、私は憤然と家を出て、空いた私の部屋がバッタルームになるというストレンジな夢でした。
この夢が何を暗示するのかわかりませんが、多言語学習が確実に脳への刺激になっていることだけは間違いないようです。だってモノリンガルだった頃は夢なんか見ませんでしたから。英語学習が脳の眠っていた部位を刺激したためにおかしな夢を見たのだと思います。
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旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。
【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え
韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。
「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。
帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。
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