球技などの複雑さとは比較にならないほど、マラソンは単純なスポーツです。
だけど、単純だからこそ研究しようという気になるのです。
脚を出しては戻す反復運動に過ぎないものに、どうしてここまでハマるのか?
単調、単純だからこそわずかな違いが大きく効いてくるからです。
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※言葉のイメージ喚起力で速く走る新メソッドを提唱しています。
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ランニングは単調。単純だからこそわずかな違いが大きく効いてくる
ランニングは単調な運動なので、世の中にはマラソンのテレビ中継をゴールまで見ていられないという人がいます。「退屈だー」と言ってテレビの前から離れてしまうのです。
確かにランニングは動きとしては単調です。テニスなどの球技の複雑さとは比較にならないほど、マラソンは単純なスポーツです。
しかし単純だからこそ研究しようという気になるのです。単純なランニングフォームの工夫ひとつで成績が劇的に変化するからです。これはまるで単純な習慣ひとつで人生が劇的に変化するようなものです。
脚を出しては戻す反復運動に過ぎないものに、どうしてここまでハマるのか?
まずはその秘密から解説します。
モチベーションの科学では、実現可能なところに目標はセットしろ、と言われています。
ハーバード大学合格とか、宇宙旅行とか、目標が遠大すぎると「やる気」は湧いてこないというのです。
ちょっと頑張れば自分にもできそうな実現可能な目的だからこそ「やる気」は出ると言われています。
これはマラソン研究にハマる理屈をまさに説明しています。
自動車ぐらい複雑になってしまうとエンジンの中はブラックボックスで、ちょっとやそっと勉強したってどうせわからないから、ハマって研究しようという気には到底なりません。
しかしロードバイクぐらいコンポーネントがむき出しで単純明快だと、ペダルを回すとどうしてタイヤが回るのか、すごくよくわかります。
極論すればペダルを回すことだけなのに、それだけでどうして私ごときがウサイン・ボルトよりも速く走れるのか? ギア比の秘密(ストライドの魔法)も目の前に剥き出しになっていて、ちょっと学べば単純な理屈です。
単純だからこそ研究し甲斐があるというわけです。
たとえばテニスだったらサーブの時の筋肉の動きはこう、走りながらレシーブする時はこう、後ろに下がりながらロビングする時はここの筋肉をこのように使う、とかいちいち考えていられません。使う筋肉はその都度違いますし、いちいち頭を切り替えなければなりません。
でもランニングは単調だから、走るときはこの筋肉がこう動くとか、システムが非常に分かりやすく、型にはめることが可能です。単調ゆえに研究しようという気になるわけですね。そして単純だからこそ、わずかな違いが大きく効いてくるのです。
同じ動作の繰り返しですから、わずか1cmのストライドの差が、4万歩以上のレース中のくりかえしのなかで、ゴール地点では大きな差となって返ってきます。同じ動きを3時間も続けるからこそ、わずかな違いが大きく効いてくるのです。
そして矛盾しているみたいですが、単純だからこそ思索的になれるのです。動きが単調だから走りながら瞑想する余裕があります。単純だからこそ、言葉の力で肉体を動かすことができます。
そして究極の走り方は、すべての言葉を忘れて、すべての走り方を意識せずに、自由に、楽に、軽く走ることです。心を無にして。あるいは走る歓びだけを感じて。
するとランニングは禅に似てきます。
無我の境地を理想とするところも同じだと思っています。
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