医療ミスによって重大な後遺症を負った場合、損害賠償請求することができるか?
ひどい坐骨神経痛に悩まされています。最悪の場合には脊髄の手術が必要かもしれません。
【実体験】神経根型の脊柱管狭窄症(坐骨神経痛)は自然治癒するのか?
脊髄の手術ということで、下半身不随などの手術ミスが心配されます。万が一、医療ミスによって重大な後遺症を負った場合、医者に損害賠償を請求することはできるのでしょうか。気になったので調べてみました。
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手術同意書(インフォームド・コンセント)と手術ミス。
オペの前にまず確実に「手術同意書」を書かされると思いますが、内容を熟読しましょう。
一般的に「手術同意書」の内容は、事前に手術内容について説明を受けており理解しました、というインフォームド・コンセントについての同意書であることがほとんどです。インフォームド・コンセントというのは自己決定権の確認のことです。「あなたには手術を受けない権利があります。でも自分の意志で手術を選ぶのですね?」という自己決定権の確認をしているのです。
手術の危険性や感染症の可能性があることなどを理解した上で体にメスを入れることを了承するという内容です。
だから手術の後で感染症などが起こって後遺症が出たりした場合には「想定されている」として医者に医療過誤の損害賠償請求はできない可能性があります。もちろん程度によります。しかし「想定されていない」ほどひどい医療ミスがあった場合にはこのかぎりではありません。
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具体的な例で考える。脊髄の手術で下半身不随になった場合
ここで問いたいのは「想定されている」重大な後遺症のことではありません。「想定されていない」重大な後遺症のことです。
たとえばわたしの坐骨神経痛の場合、最悪の場合脊髄の手術が必要ですが、その手術で下半身不随になることまでは基本的には想定されていません。手術が失敗する確率は極めて低いとされている手術なのです。
それにもかかわらず、医者の明確な手術ミスにより下半身不随になった場合、損害賠償を請求できるか、ということです。
そもそも憲法・法律に違反する契約書・同意書は無効である
結論から言えば、たとえどんな内容の同意書であれ、明確な手術ミスによって下半身不随などの重大な後遺症が生じた場合、医療過誤の損害賠償請求はできます。
たとえどんな内容の同意書であれ、というのはたとえば「たとえどんな結果が生じようとも一切の責任を問いません」というような内容です。まともな病院でこんな同意書を書かされることはないでしょうが、ブラック・ジャック先生(ヤブ医者)なら書かされるかもしれません。「医療は賭けだ。リスクは承知の上だ」と叫ばれるかもしれません。
しかしそもそもどんな契約書、同意書を取り交わしていようとも、それが憲法、法律に違反する内容であった場合、取り交わした内容はそもそも無効なのです。
たとえば消費者金融でどんな高い利率の契約書を取り交わしても、利息制限法に定められた利率の上限を超えた部分は無効になります。
公序良俗に反する同意は無効です。そうでなかったら「内臓をお金で売る」同意書とか「安楽死を依頼する」同意書とか「手術ミスと見せかけて殺してもらう殺人依頼」だとか、すべてがまかり通ってしまいます。契約書や同意書が絶対ではないのです。
手術前の同意書は、儀式だと思ってサインしてしまって大丈夫です
わたしは医者でも弁護士でもないのですが、このコラムでは「~と思われます」とか「~可能性があります。専門家に相談しましょう」というような曖昧な表現を使いませんでした。「たとえどんな内容の同意書であれ、明確な手術ミスによって下半身不随などの重大な後遺症が生じた場合、医療過誤の損害賠償請求はできます」と断定する言葉づかいをしています。
それはこのコラムを書き上げるにあたって、裁判の判例や、過去の事例などを調べて書いているからです。
わたしは弁護士の資格を持っていませんが、弁護士の意見を引用して書き上げた場合、それは弁護士が書いているのと同じことです。
だから信じていただいて大丈夫です。
手術前の同意書にたとえどんな細則が書いてあろうとも、手術ミスによって後遺症が生じた場合、医療過誤の損害賠償請求はできます。
だから手術前の同意書は、手術前の儀式だと思ってサインしてしまって大丈夫です。