ここではマレーシアのコタキナバルの旅行代理店の店外で見た海外旅行のポスターを見て感じた、韓国旅行の不思議について語っている。
これが問題のポスターなのだが、何か違和感を感じないだろうか?
私は右下の方に、とても違和感を感じるのだ。
マレー人を韓国旅行に誘おうとするポスターの不思議さ
死ぬまでには世界を見たい、という思いで、たくさんの旅をしてきた。
このポスターに描かれている景色は、この目で見たものもあれば、見ていないものもある。
おそらくこのポスターに描かれている「観光名所」は左上から右下に、
エジプトのピラミッド
イギリスのビックベン
イタリアのピサの斜塔
スペインのラ・マンチャの風車
フランスのエッフェル塔
日本の富士山
ドバイの最高級ホテル
オーストラリアのオペラハウス
タイ(ミャンマー?)のパコダ
アメリカの自由の女神
中国の万里の長城
韓国のイ・スンシン将軍の銅像である。
え? 「来て来て韓国キャンペーン」の主役を張るのがイ・スンシン将軍の銅像っていうのはどうなのよ?
他国は世界遺産級の文物ばかり並べたててあるのに、韓国は韓国ローカルの将軍像なのである。
コタキナバルのマレー人はこれを見に行きたいと思うのだろうか?
自国民以外誰も知らない人物の銅像で観光客を呼び込むことができるのか?
コタキナバルは韓国人天国であった。たくさんの韓国人がコタキナバルを観光に来ていた。国別ランキングでは中国の次、第二位だろう。日本人よりも圧倒的な数の韓国人観光客がいた。
直行便があるからである。
とうぜんコタキナバルの旅行会社も、たくさんのマレー人観光客を韓国に送り込みたいと思っているはずだ。
その「売り」の韓国の顔が、李舜臣将軍の銅像っていうのはどうなのよ?
マレー人の誰が、イ・スンシン将軍のことを知っているのだろうか?
たとえれば、イタリアのガリバルディの像や、イギリスのネルソン提督の銅像を見るために観光に来てもらおうというのと同じことである。
その戦略で本当にいいのだろうか?
ちなみに中国は世界遺産の万里の長城、我が日本も世界遺産の富士山である。
韓国、李舜臣で大丈夫か?
ちなみに私は幼い頃を韓国ソウルで過ごしており、イ・スンシン将軍の銅像は幼い頃から日常的に見ていた。大通りのど真ん中に銅像が立っていて車を上から見下ろす格好となるため、子どもの頃は「偉大な英雄だったんだろうな」と無邪気に思っていた。
しかし大人になってよく調べてみると「講和して撤退している秀吉(日本)軍に卑怯な追撃をかけて戦死する」という残念な人物であるということがわかって拍子抜けしたものである。
そりゃあ韓国人にとっては日本と戦った英雄だろう。しかし世界的な英雄では決してない。
中国の岳飛みたいなものだ。しかし岳飛で観光客が呼べるだろうか?
愛国の英雄をよろこぶのは自国民だけで、他国の観光客を呼び込むのは無理じゃないの?
イ・スンシンの将軍の銅像でマレー人を呼ぼうという観光戦略には疑問を呈さざるをえない。
日本でいえば仙台の伊達政宗像や、甲府の武田信玄像で外国の観光客を呼ぼうというようなものである。
そりゃあ無理だろう。
いくら好きでも銅像で観光客は呼べないと思うぞ。
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旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。
【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え
韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。
「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。
帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。
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