書籍『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』まえがき
みなさん、はじめまして。アリクラハルトと申します。
私は長年、市民ランナーとして走りつづけてきた者です。またランニング雑誌のプロライターとして活躍もしてきました。
その集大成として『市民ランナーという走り方(マラソンサブスリー・グランドスラム養成講座)』という書籍を出版もしています。
※雑誌『ランナーズ』のライターにして、市民ランナーの三冠王グランドスラムの達成者の筆者が走魂を込めた書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。
言葉の力で速く走れるようになる、というのが本書の特徴です。走っている時の入力ワードを変えるだけで速く走れるようになります。言葉のイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く効率的に走ることができるようになります。踵着地とフォアフット着地、ピッチ走法とストライド走法、どちらが正解か? 本書では明確に答えています。あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
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そんな私が職場の人事異動で往復30kmの辺鄙な田舎へと飛ばされてしまいました。
私は途方にくれました。どうやって通勤したらいいだろうか? と。
新たな通勤場所は、電車も通っておらず、バスも不便な場所でした。同僚はみんなクルマ通勤していました。しかし私は車を持っていませんでした。通勤するだけのためにわざわざ車を買うなんて……さんざん迷った末に選んだのが、自転車通勤でした。私はロードバイクを買うことにしたのです。
この本では、自分の二本の脚で走ることしか知らなかった長距離ランナーが、ロードバイクに乗って通勤バイク生活をはじめるところから始まります。そしてやがては強豪ロードバイククラブに所属してレースに出場するところまでを描いています。また、自転車キャンプツーリングをして旅する自転車を楽しむなど、すっかり生活の中に自転車が欠かせなくなるまでを描いています。
その過程でロードバイクについて私が疑問に感じたことは読者のみなさんも疑問に感じるだろうし、私がぶち当たった壁は読者のみなさんもぶち当たるだろうと思います。それを正直に描いているのが本書です。読者のかたと同じ立場、目線からロードバイク生活を描いているのが本書の特徴のひとつです。
また私はオピニオン系の雑記ブログを運営しています。その中でロードバイク生活についてもいろいろと書いているのですが、たくさんの方からページビュー(閲覧数)をいただくことができました。それだけ内容に興味を持ってくださっている人がいるということです。
それらのロードバイク系の記事をまとめたものが本書です。内容の重複を省き、リライトして、編集したものです。
ブログの中でたくさんの閲覧をいただいた人気記事はもれなく網羅してあります。それほど読まれていない記事でも、筆者としては読んでもらいたい記事も含まれています。というのも、閲覧数というのは検索エンジン次第ですので、記事のよさとは無関係だからです。
ロードバイクの特徴をわかりやすく説明するうえで、マラソンと比較するとわかりやすいと考えた場合には、ランニングを引き合いに出して説明しています。同じ有酸素系の単純ピストン運動であるロードバイクとマラソンですが、両者には決定的な違いがあります。ランニングは宙に浮いて飛距離(スピード)を稼ぐ競技です。体重処理が大きな問題となってきます。しかしロードバイクの体重処理は疲れ知らずのタイヤやフレームが受け持ってくれるため、筋力は推進力にのみに使うことができます。それがわかっていればどうやれば効率的なライディングになるか、論理的に考えることができるようになります。
本書がランニングとの比較記事が多いのは、筆者がランニングのプロライターであることに加えて、比較対象を持ってきた方が自転車の特徴をわかりやすく表現することができると考えているからです。たとえばマラソン本の時には「肉体ダメージなんか度外視で、ゴールしたら倒れるぐらいの気持ちで走れ!」と書けましたが、ロードバイク本だとそんな風には書けません。後続のバイクを巻き込んで再起不能の大惨事になりかねません。そう簡単に倒れるわけにはいかないのです。
執筆に際しては、プロのロードバイクレーサーには書けない内容を意識しました。
プロライダーの書いた書籍がたくさんある市場に、私のようなホビーレーサーが書籍を並べる場合、「どうすれば速くなれるか」ハウツースピード系の内容では、説得力の面で太刀打ちできません。
けっして私は遅いロードバイク乗りではありませんが、どうしてもスピードに特化したテクニック系の記事ではプロライダーに説得力の点で劣ってしまいます。私なりにロードバイクでどうすれば速く走れるようになるノウハウを持っていますし、本書ではそれを紹介していますが、それが内容のすべてならば書籍化する意味はまったくないと思っています。
しかし『通勤バイクからはじめるロードバイク生活』という本ならば、レベルが違いますから、こういう内容は逆にプロライダーには書けないのです。
たとえば「ロードバイクに名前をつける」というような記事は、プロのライダーにはなかなか書けません。なぜならプロのレーサーの機材は所属チームからの提供です。吟味の上で選択した機材ではありませんし、そもそも自腹購入ではありません。いい機材があれば次々と乗り換えていくので「愛着」なんて湧いてる暇もないからです。
しかし私たち市民ロードバイク乗り(ホビーレーサー)は違います。吟味に吟味を重ねて自腹で愛車ロードバイクを購入しています。そして滅多なことでは乗り換えません。だからこそ「ロードバイクに名前をつける」ことが、あなたのロードバイク生活を豊かにするのです。
そのような市民ロードバイク乗りならではの悩みや愛情を、本書から感じていただけたらさいわいです。きっと共感していただけるのではないでしょうか。
著者 アリクラハルト
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このブログの作者の書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』のご紹介
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。
その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。
●自転車通勤における四重苦について。
●ロードバイクは屋外で保管できるのか?
●ロードバイクに名前をつける。
●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。
●ロードバイク・クラブの入り方
など、初心者から上級者までを対象とした内容になっています。書籍のお求めはアマゾンキンドル図書からお願いいたします。
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