飛行機大好き。男の子は乗り物が大好き
わたしは旅人です。世界100都市以上を訪問しています。これまでにたくさんの飛行機に乗ってきました。
飛行機にまつわるいろいろなトラブルに遭いました。トランジットの時間がなくて空港を走ったことは一度や二度ではありません。
中国では飛行機に乗り遅れたこともありました。あれはやばかったな。
ウチの妻は、海外旅行は大好きですが、飛行機そのものにはあまり興味がありません。機内で配られるブランケットを頭からかぶってすぐに寝入ってしまいます。エジプト・カイロ直行便の13時間を眠り通して「もう着いたの」と半分寝ぼけながら言ったのには座布団一枚やろうと心から思いました。隣のダンナが、狭いし、やることないし、眠れないしで、はやく着かんかと苦しんでいたのに……それでも飛行機が好きです。妻とは違って飛行機そのものが大好きです。男の子は乗り物が大好きなのです。目的地だけがすべてじゃありません。
そんな私が、長年の飛行機のフライト中に感じていた謎について解決したので書き残してみなさんの参考に供したいと思います。
今回、読んだのはタイ人の飛行機整備士の書いた『ジャンボ旅客機99の謎』という本です。
謎の塞がっている窓? どうして外が見られないの?
ネパール。カトマンズからの帰路でのことです。機長のアナウンスがありました。
「ジス イズ キャプテン スピーキング……みなさん、ご搭乗ありがとうございます。晴天に恵まれ、順調なフライトです。左手にはきれいにエベレストが見えます」
もちろん英語でしたが、訳すとこんな感じの挨拶がありました。
機長の観光案内で、みんながいっせいに左側の窓にはりつきいて外を眺めました。世界最高峰エベレストを眼下に見下ろすなんてめったにできる体験ではありません。
ところが……私は左窓の窓側の席に座っていたのに、エベレストを見ることができませんでした。
窓の枠はちゃんとあるのに、なぜかその窓枠が塞がっているのです。どーして? どーして?
わたしはエベレスト・フライトというセスナ機ですでにエベレストを間近に見ていたのでまだ我慢できましたが、それがなかったら悔しくて発狂していたかもしれません。
窓側の席なのに、窓枠はあるのに、どうして外が見られないんだーーー!!!
窓枠だけあって外が見られない「視界のない座席」の謎
長年疑問に思っていたのですが、この本に答えが載っていました。
エベレスト8849mよりも高い高度(約1万m)を飛行機は飛んでいます。外気温はマイナス50度です。
本来であればキャビン内はマイナス50度のところ、ジェットエンジンで加熱された暖かい空気を適温にしてから客室に送り込んでいるので機内はそれほど寒くないということがこの本に書いてありました。
どうしてわざわざガラス窓(アクリル系樹脂窓)が塞がっているのか?
それはジェットエンジンのある翼の下がわから、キャビンの天井にある送風口まで、そのあたためられた空気を送るためのダクトが、その「窓枠だけあって視界がなく、外が見られない座席」のところを通っているから、だそうです。
ちなみに飛行機の窓枠があんなに小さいのも、躯体を形成するフレームの隙間に窓があるから小さいのだということでした。窓枠の上下左右には骨組みが入っているのです。それほど頑丈につくられているというわけです。だから小さな窓しかはめ込めないのです。
また機内が乾燥しているのも、このジェットエンジンがつくった温度のある空気をキャビンに送り込んでいることが原因だそうです。客室は温度25度、湿度20%が目安だそうです。ジェットエンジンがつくった高温の圧縮空気を客室に送り込む際、結露、錆びを防ぐために、水分除去装置を通してから機内に空気を送り込んでいます。
水分除去装置を通すために乾燥しているんですね。
飛行機の出発時刻はどのタイミングなのか
安チケットで旅行していると、たいていは直行便ではなく、乗継便です。トランジットで空港をダッシュしたことは数えきれません。
ところでフライトの時間というのは、どのタイミングをさしているのでしょうか?
正解は「飛行機が駐機場から離れて動き出すときの時間」。搭乗開始時間ではありません。
ボーディングタイムが搭乗開始時間じゃないことは、なんとなく感覚で知っていました。でもこんな風にはっきりと言葉で明示されて安心しました。だから30分ぐらいまえには搭乗口のあたりに待機していないとならないんですね。
飛行機はすべての扉を閉めた後、動き出します。そのあと滑走路まで移動して、テイクオフします。混んでいる時は滑走路手前で並んで待つこともあります。テイクオフの時間はボーディングタイムから10分過ぎた後であっても普通です。
フライトの時間に成田に着く、では遅すぎるのです。できれば2時間、遅くとも1時間前には着きましょう。
夜間の離着陸時に機内の照明が暗くなるのは何故?
夜間着陸するときに、キャビン内部の照明を落としますが……どうしてなのでしょうか?
宇宙戦艦ヤマトが波動砲を撃つときのように、すべての電力を離着陸に集中しているためだとわたしは思っていました。実際、飛行機の事故の多くは離着陸時に起こっているそうです。
しかし本当の答えは、万が一事故で緊急脱出しなければならなくなった際に、外の暗い世界に目を慣らしておくためだということです。
明るいところから急に暗いところに出ると、目が慣れておらず何も見えません。これでは緊急避難できません。
そのために機内を暗くして目を慣らしているんだそうです。
そんなおそろしい理由で照明を落としているとは……知りませんでした。
フライトごとに、燃料の量を調節して飛んでいる
飛行機は、クルマのようにいつも満タンで給油しているわけじゃないそうです。飛行機の総重量にしめる燃料の割合は大きいため、たとえば短距離フライトの場合は満タンで飛ぶと「燃料を飛ばすために燃料を燃やしている状態」になってしまいます。
経済飛行のために、フライトごとに燃料を調整して給油するのが業界の常識だそうです。
飛行機の巡航高度が約1万mなのはなぜ?
燃費は、会社の営業成績に直結しています。飛行機の巡航高度が約1万mなのも、薄い空気で空気抵抗が減ることによりフライト効率があがるからだそうです。
エベレスト登山者が酸素ボンベを吸いながら登山するのは空気が薄いからですが、空気が薄いと乗り物が前進するのは楽になるのです。
ロードバイク(自転車)はペダルを回すエネルギーの大半を空気抵抗との格闘に費やしていますが、もし高度1万mを走れたら、さぞや速く走れることでしょう。……その代わり酸素ボンベが要りますけどね。
ジェットエンジンを燃やすには大量の酸素を送り込まなきゃならないから、空気が薄すぎても駄目なのだそうです。
空気抵抗がなく、まさ酸素が残っている高度。……その折り合いが高度1万mなのだそうです。
へえ~~知らなかったよ。
紙ヒコーキよりも軽い。ジャンボは同じ大きさの紙飛行機よりも軽い
「重たい鋼鉄が空に浮くのかわからない」そう言って飛行機に乗ることを拒否する人もいます。
しかし『ジャンボ旅客機99の謎』によると、重たい金属の塊だと思っている飛行機って、じつは同じ大きさの紙飛行機よりも軽いそうです。デカいから重いけど、比重でいえば紙飛行機よりも軽いのか。どうりで飛べるわけだ。
最近では鋼材からカーボンを使用するようになって、飛行機はますます軽くなりました。紙ヒコーキよりもずっと軽いと思えば安心して乗れますね。
飛行機にはへそ(重心)がある
旅客機には重心位置があり、その重心(へそ)を中心に、乗客、荷物を均等に割り振っているそうです。
人、荷物はこれまでのデータから平均値を使用しているそうです。
飛行機の重心が偏ってしまうと、警報装置があって、ちゃんと重心が許容範囲に収まっていないと、離陸できないんだそうです。
へええ~~。すごく安全のことを考えてくれているんですね。
飛行機はおそろしく精密で高度な技術の結晶
普段、バス感覚で利用している飛行機が、おそろしく精密で高度な技術の結晶なのだということがわかりました。
窓を開けるだけで換気できるバスとはぜんぜん違うんですね。
現在コロナ禍でしばらく飛行機に乗れていませんが、また飛行機に乗りたいなあと思いました。
ジャンボ旅客機よりも大きな、エアバスA380の二階に乗ってみたい!