『信長の野望』配下武将の能力値(ステータス)評価の基準は何か?

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『信長の野望』は『三国志』とだいたい同じゲーム

夜更かしが続いております。コーエーテクモゲームス『信長の野望』(ゲーム)にハマってしまったからでした。3DS版(武将風雲録の進化版)です。いや、面白いね。

ゲームの内容は織田信長毛利元就伊達政宗といったプレイヤーを選択して配下の武将を駆使して全国統一していこうというゲームです。これが『三国志』だと劉備曹操孫権といったプレイヤーを選択して配下の武将を駆使して全国統一していこうというゲームなので、舞台が日本の戦国時代か、中華の三国時代かという違いだけで、ほぼ同じゲームといってもいいのではないでしょうか。

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数字が減っていくだけのたいしておもしろくない戦闘シーン

こういう歴史シミュレーションゲームは、戦争シーンがいちばんの盛り上がりどころです。しかしまだコンピューターがあまり賢くないので、人間がプレイすれば、本陣をがら空きにして誘い込んで敵戦力を分散させて、その間に敵の大将を討ち取るなど、あんがい簡単に勝つことができます。

グラフィックも基本的に数字(兵の数)が減っていくだけで、とても面白いとはいえません。

それなのに、ではわたしは『信長の野望』のどこにハマってしまったのでしょうか。

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配下武将のステータスと説明文が面白い

わたしが『信長の野望』にはまってしまったのは配下武将のステータスと説明文が面白かったからです。

配下武将は政治力、戦闘力、教養力、魅力の四つのステータスが100点満点で採用されています。そしてその武将が実際には「どんな活躍をした人なのか」4行ていどの説明文が表示されています。

その説明文が面白くて、それを読んでいるうちに「配下武将をつかう」ことにハマってしまったのでした。

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三英傑でプレイ。その後、地元の戦国大名でプレイ

わたしは名古屋から東京、千葉と引っ越した人間なので、同郷の偉人でプレイするとなると『織田信長』『羽柴秀吉』でプレイすることになります。最優秀の華麗な有名部下たちばかりで最もプレイして面白いのはやはり織田信長かもしれません。

信長でプレイすると、まず美濃(岐阜)の斎藤氏に背後を襲われないようにしながら、京都方面を目指すことになります。武田信玄など強敵は近畿制圧の後で直接対決です。ゲーム攻略ロードマップも史実通りの展開をしていくことになります。歴史をたどる面白さがあります。

最初のプレイはこれで面白いのですが、次に「今、自分が住んでいる場所」の大名をつかってプレイしたくなります。わたしの場合は千葉県なので里見氏を使ってプレイすることになります。

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地元の大名、武将の細かいデータはどうやって調べたの?

みんな天下統一にいたる三英傑のストーリーはよく知っています。森蘭丸なんて本能寺で信長と一緒に戦死しただけの何も成し遂げていないような人物ですが、英雄といってもいい津軽為信(青森)とか龍造寺隆信(佐賀・長崎)とかよりもよほど有名です。地方の大名のことは、あまり知られていませんよね? ましてやその配下の武将ともなるとほとんど知らないといっても過言ではありません。

地方大名の部下が教科書に出てくることは絶望的です。大河ドラマ出演もむずかしいので、わたしたちが知る機会はほとんどありません。しかしそんな中でもゲーム制作者たちが一生懸命に武将の掘り起こしをして、なんと800名以上の武将が登場します。

この地方大名の部下というのは、いったいどうやって調べたのでしょうか? 司馬遼太郎さんの小説をいくら読んでも、南部信直とその部下(盛岡あたり)たちのことは出てきません。

わたしだったら、地方の学芸員さんに聞いて調べるかなあ。地方の学芸員というのは地方公務員で「その地方の歴史の専門家」さんです。たとえば地方の市立博物館に行くとその市の歴史を調べることが仕事という学芸員さんがいます。彼らはその地方の戦国大名と配下武将のことに限っていえば歴史小説家よりも詳しいのです。そういう「地方のことならおまかせ」という人の聞いてまわれば、総勢800名以上の戦国武将たちをリストアップすることができるかもしれません。

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隆信は董卓のイメージなのに、龍造寺四天王が後を追うように戦死している

『三国志』との違いは、日本を舞台にしているため、私たちの住んでいるこの日本の権力争い、土地の奪い合いです。登場しているのは私たちの祖先たちです。これまでまったく九州とは縁のない人生を送ってきましたが、わたしは将来、九州に住んでもいいかなと思うことがあります。そういうこともあって九州の武将、龍造寺隆信でプレイしてみることにしました。

明治維新で活躍する薩摩(島津家)長州(毛利家)に挟まれていて攻略が難しそうだというのが龍造寺を選んだ理由です。織田信長の歴史のメインストリームとは無縁の地方戦をたたかってみたかったからです。

龍造寺隆信は、粗暴で毛深い乱暴者というイメージでした。三国志でいうと董卓みたいなイメージの人物でした。島津氏との戦争に負けて戦死してしまいます。大きな領土をしめた戦国大名(本人)が戦争でじかに殺されてしまうというのはあまり例がなく、今川義元と並んで珍しいタイプの死に方をした人物です。

また龍造寺家は鍋島直茂に乗っ取られてしまうことは知っていました。『葉隠』という武士道の本を知っていました。『葉隠』は鍋島家に仕えるサムライの心得を説いた本です。

そんないい印象のない龍造寺隆信でしたが、プレイしてみると驚きました。配下の武将の説明文によると(龍造寺四天王)という四人の部下がいるのですが、その全員が、沖田畷合戦という最後の戦いで戦死しているのです。同時に打ち取られたのではなく、主君隆信の死を確認した後に、戦場に踏みとどまって戦死しているのです。

人徳のない董卓みたいな武将だと思っていたのに、これはどうしたことでしょう。四天王が全員、かたき討ちのように戦場に踏みとどまって戦死するなんて、古今の名将のようではありませんか。龍造寺隆信、なかなかどうしてたいした人物だったのではないでしょうか。

明智光秀が信長を討ったとき、仲間だと思っていた人たちは誰も味方になってくれませんでした。石田三成は仲間に裏切られて天下分け目の戦いに敗れています。そういう人たちよりも龍造寺隆信の方がずっと人間的な魅力があったのではないか? そう思えたのです。

地方の大名とその配下たちの戦国時代の生き方にがぜん興味を覚えたのでした。

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武将たちの年齢差が面白い

武将たちには年齢というステータスもあります。これも面白い発見でした。

武田信玄伊達政宗の年齢差は46歳もあります。当時は十代後半で成人でしたから、政宗から見れば信玄は「お爺ちゃん世代」です。徳川家康でもやっと「父親世代」ということになります。武田信玄と伊達政宗の直接対決というのは、本拠地が遠いからありえないだけではなく、世代が違うのであり得ないわけです。当時の寿命は「人間五十年……」という幸若舞・敦盛が有名ですが、そのとおりで五十歳ぐらいでした。上杉謙信は四十九歳で、武田信玄は五十二歳でなくなっています。

『信長の野望』には世代の要素が取り込まれています。年齢が来ると自然に死んでしまうのです。わたしが武田勝頼でプレイしたときには、上杉謙信と再び川中島で合戦する前に、謙信が老齢により自然死してしまいました。現実ならホッとしたでしょうが、ゲームですからガッカリしました。ぜひ対決してみたかったです。

女性武将というのも登場します。女性は珍しいし、魅力が高いことが多いので君主の寵愛の対象です。『のぼうの城』に登場した成田甲斐は美女だし戦闘力も高いので戦場を駆け巡りました。『おんな城主直虎』の井伊直虎も寵愛していたのですが、ある日、年齢を見て驚きました。成田甲斐は二十代だったのですが、井伊直虎は五十代後半でした。ゲッ! しかも57歳ぐらいで老齢により死亡してしまいました。ははは……。

ゲーム『信長の野望』では、自然死を無視するという設定に変えることもできます。このモードを使用した場合、武将は百歳を超えても延々と生き続けます。老いても死なないゾンビ武将が誕生します。

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領地の差、実力差が面白い。

政治力や戦闘力などの能力値を見て、プレイヤーは配下武将を使いこなしてプレイします。しかし能力値が必ずしも現実の地位にふさわしくないことも面白いと感じました。

『信長の野望』のプレイヤーは名将を使ってゲームを攻略します。凡将は使いません。でも現実の歴史では凡将の方がはるかに地位が高く、凡将が名将を部下として使っていることも珍しくありません。

戦国時代を生きた本人たちは「城持ち大名になる」ことが人生の目標だったと思いますが、たいした能力値じゃないやつがこの目的を達成して何万石もの大名になっています。逆にすごい能力を持っていても戦死するなどで「城持ち大名」とは程遠い人生を送ったりしています。

現実の戦国時代では領地をあたえるのは信長や秀吉などの人間なので「人好きのする人」「愛想のいい人」などが大名になり、能力値が高くても「追放された」り「戦死」したりしています。能力が正しく成果に反映しないんだなあ、と思いました。

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武将の能力値の評価の基準。実績主義でなく口コミ優先の文書主義

もっとも現実の人間は「能力値のステータス」をぶら下げて生きていませんので、後世のゲーム制作会社の人たちが武将たちを評価したわけです。その評価の基準は実績由来というよりは口コミ、文書由来だなあと感じました。

戦争に負けても生き残った人に「あっぱれ」と言われた人の能力値は高い

いくさに負けても、生き残った人たちから「あっぱれ」と言われた人の能力値は過剰に高い傾向にあります。真田幸村や、高橋紹運などが好例です。戦争に負けて死んだので領土を拡張するなどの具体的な実績は何もないのですが……

大物に賞賛された人の能力値は高い

大名の勢力図を塗り替えるような重要な戦争で華々しく勝ったわけもないのに、大物に褒め称えられた人の評価は過剰に高い傾向があります。立花宗成や、島左近などが好例です。

勢力範囲でいえば南部信直なんか立花宗成とは比較にならないほど大勢力を誇った大物ですが、秀吉に褒められたという一点で能力値では立花宗成は過剰に高スペックになっています。

島左近も戦死しただけの人物ですが、実績はなくても、口コミが凄いので高スペックです。

実績で考えれば、真田幸村よりも本田忠朝ら大将首を討ち取った毛利勝永の方が能力値が高くてもいいと思いますが、『信長の野望』の評価は口コミ・文書主義なので評価は圧倒的に真田幸村の方が上です。

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ゲーム攻略は序盤が苦しい。後半は楽勝。リアル戦国時代も同じ

『信長の野望』攻略は序盤が苦しいものでした。領土はせまく国土は開墾されておらず自らの力が弱いのに周囲は敵だらけです。しかし後半は楽勝でした。みずからの領土はひろく兵力を揃えるのも容易で、しかも陸奥(青森)や薩摩(鹿児島)などは周囲に敵がいないから非武装地帯にできます。そこから兵力を引き上げて戦力を集中投入することができます。

実は史実の戦国時代もこれは同じでした。

史実では織田信長が美濃の齋藤氏を攻略するまで約11年かかっています。近江の浅井長政を攻め滅ぼすまで3年かかっています。斎藤氏は浅井氏よりも3倍強かったのでしょうか?

羽柴秀吉が別所長治を攻略するのに約2年もかかっています。ところが四国の覇者長宗我部元親を攻略するまではわずか数か月でした。九州の覇者の島津義久を攻略したのも数か月です。島津や長宗我部よりも別所の方が強かったのでしょうか? 口コミ・印象・文書主義で島津や長宗我部の評価が別所よりも高かったから? いいえ。これはそういうことではないでしょう。

やはり織田信長や秀吉も、ゲーム同様に、生涯の前半の方が敵を攻略するのに苦しかったのでしょう。後年になるにしたがって動員兵力も増え、優秀な部下も増え、敵の攻略が容易になったのだと思います。

島津なんてあっという間に降伏させてしまいますが、生涯の前半で勝負していたら逆に負けていたかもしれませんね。

自分に実力がない前半戦は敵の攻略はたいへんですが、強くなった後半戦には押せ押せであっという間に全国支配できるようになります。

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「ライバルすべて墓の中」能力値はかならずしも正確ではない

戦国時代は結局、徳川家康によって幕を閉じるわけです。家康が天下人になるわけですが、彼の能力値が飛びぬけて高かったというわけではありません。若い頃は信長の舎弟みたいな地位ですし、武田信玄にはボロ負けしています。そんな彼が天下をとったことからこう言われます。「ライバルすべて墓の中」。

たしかに家康よりも能力値が高い武将は、江戸幕府を開こうという1603年ごろにはすべて死亡しています。武田信玄、上杉謙信、織田信長、羽柴秀吉、毛利元就……強力なライバルはみんな鬼籍に入っています。かろうじて家康にステータスで対抗できそうなのは、伊達政宗、島津義弘ぐらいでしょうか。

『信長の野望』でも同じことが言えます。愛妾と思っていた井伊直虎が50代後半で老衰で死んじゃった頃(笑)には、なんだかパッとしない武将ばかりが登場します。「誰それの息子」という人物ばかりです。能力値は軒並み低く魅力のない武将ばかりなのですが、地位(石高)だけはやたらと高かったりします。

やはりこれも「能力値はかならずしも正確ではない」ということの証拠だと思います。だって論理的に考えれば、世代が変わったら急にボンクラばかりになるわけがありません。一世代前がやたらと輝かしい英雄ばかりなのに、次世代は二世の「おたんちん」ばかりというのは「世の中が平和になった」「戦争がなくなった」ということでしょう。

戦争ばかりだった一世代前はやたらと能力値が高い人ばかりで、戦争がなくなった次世代は軒並み能力が低い……実際にはゲームの中で能力値が低い二世の「おたんこなす」と思われている武将の中にも、戦争さえあったら輝かしい英雄となれた人もいたのではないかと思います。後世のゲームクリエーターから真田幸村、島左近ぐらいの高評価を得られたような武将が。

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「敵に討ち取られる覚悟」さえあれば、戦国時代ならハイスペック武将になることができた。

よーく考えてみてください。

「誰もが死にたくないとビビっている戦場」で「相手をビビらせまくって戦死」することなんて意外と簡単ですよ。「敵に打ち取られる覚悟」死ぬ覚悟さえあれば。

黒田官兵衛とか藤堂高虎のように生きる(大名として成功する)のは難しいけれど、塙直之江里口信常のように生きる(死ぬ覚悟で戦う)のは「敵に殺される覚悟」さえあれば難しくないと思います。

二世のボンクラ武将と真田幸村の違いは「敵に打ち取られる覚悟」その一点だけではなかったでしょうか。

しかし戦争のない平和な時代にはその覚悟・心構えを見せる場面(戦場)がなかったために、本当は「おたんちん」ではない武将も、後世のゲームクリエーターから「おたんちん認定」されてしまう羽目になったのです。かわいそうですね。まあ本人は安穏と生きられて幸せだったかな?

蒲生氏郷のように大名として政治的に成功した人の能力値と、飯富虎昌のように侍大将として戦場で火の玉のように死ぬ覚悟で戦った武将を同じ土俵の上でステータス評価するから(宮本武蔵など剣豪と、竹中半兵衛のような軍略家の能力を一律に戦闘力として比較するから)、大名よりも侍大将の能力値の方が圧倒的に高いというおかしなことになってしまっているのです。

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帰農、出奔、浪人になる人も多い。

最終的な勝者である織田信長周辺のドラマだけしか知らないと、武将は死ぬまで主君に仕えたようにイメージしていますが、地方大名とその配下について調べると、あんがい主君のもとを出奔し、浪人になる人も多いことに気づきます。

島左近はずっと石田三成の配下武将ではなく、元々は筒井順慶の配下だったそうです。竹中半兵衛は浅井長政の客将だったこともあるそうです。もっと大事にすれば信長に勝てたかもしれないのに(笑)。まあ生きている人間は能力値で評価できないので、緊急時でもない限り、竹中重治でないとダメな仕事なんてなかったんでしょう。でも半兵衛の主君に、斎藤家と羽柴家のあいだに浅井家があったなんて意外でした。

『信長の野望』登場武将が800人もいると、いろいろな人の生き方が見えてきて面白かったです。生きている時の当時の人からの評価は高いのにゲームではあまり評価されていなかったり、実績のわりにやたらとゲームでの評価が過剰なほど高かったり、反乱したり、殉死したり、恩賞が不満で出奔したり、僧侶になったり帰農したり、いろいろな人が多くて、それぞれの人生模様が面白かったからゲームにはまってしまったのでした。

そしてゲームに詳しくなるほどに「どうしてこの武将がこの能力値の評価なのだろう?」と疑問に思う場面がたくさん出てきます。それでこのコラムを書きました。

『信長の野望』の能力値評価は、実績主義ではなく、口コミ・印象・文書主義です。だから池田恒興なんかは評価がかなり低いのです。わたしは池田恒興には『三国志』でいう曹仁みたいなイメージをしています。主君の縁戚で、主要な戦いにはほとんど顔を出していて、大将格です。実績でいえば評価が高いはずですが、曹仁も池田恒興もゲームでは凡将の扱いを受けています。

それよりも個人プレイで華々しく活躍した悪来典韋や、前田慶次などの方がずっと強いステータスになってしまうのです。しかし実際には大軍を率いた池田恒興や曹仁の方が実績も高く、当時の社会的地位もずっと格上でした。

このように実在の人物の評価は難しいものがありますね。それでも能力値が必ずしも社会的出世に結びついておらず、そういうところは現代社会も同じではないか、なんて思ったりしながらゲームを楽しんだのでした。

『信長の野望』の能力値評価は、実績主義ではなく、口コミ・印象・文書主義です。大名と侍大将を同じ土俵の上でステータス評価するから、大名よりも侍大将の能力値の方が高いというおかしなことになってしまっているのです。死ぬ覚悟への評価と、政治的な業績は、別の問題です。

※この記事を読んで武将の能力値・ステータスに興味を持った方のために、武将のステータスを網羅したファイルが発売されていました。ご覧になってみてください。武将から武将へと興味をうつしていくうちに、いつしか戦国時代のことは何でも知っている人になっちゃうかもしれません。そうすると日本各地を旅するときに、また一段と楽しみが増すことうけあいます。

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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

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アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。
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この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
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×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
https://amzn.to/43j7R0Y
×   ×   ×   ×   ×   × 
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×   ×   ×   ×   ×   × 
◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

Amazon.co.jp: 帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル (民明書房) eBook : アリクラハルト: 本
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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
https://amzn.to/47hnbeF
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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