カエサル『ガリア戦記』皇帝の語源ジュリアス・シーザーとはどんな人物か

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ラスベガス「シーザーズ・パレス」の主ジュリアス・シーザー

著者はガイウス・ユリウス・カエサル。英語名ジュリアス・シーザー。紀元前100年ちょうどに誕生した人物です。56歳(BC44年)に「ブルータス、おまえもか」と叫んで暗殺されています。

私が何でカエサルの本を読んでみようと思ったかというと、ラスベガスの「シーザーズ・パレス」の影響としかいいようがありません。ラスベガスのストリップストリートには、シーザーズ・パレス(シーザーの宮殿)というメガホテルがあります。端から端まで歩くだけで疲れてしまうような超巨大ホテルです。

ホテルのテーマは「ローマ帝国」風でした。外観や柱などが「それっぽく」なっているホテルです。コロシアムという巨大なステージもあります。私が行ったときにはセリーヌ・ディオンがショーをやっていました。近くにはベネチア風のベネチアンや、フランス風のパリスなどカジノホテルが立ち並んでいます。ホテルを移動すると、ホテルのテーマがガラッと変わるので、ラスベガスの散策はひじょうに面白いのです。

私は世界中の街でラスベガスが一番好き。

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『ガリア戦記』の読書感想文

この21世紀の現代までシーザーの宮殿として称えられる男、カエサルの人物を知るために、読んでみようじゃありませんか。カエサルが書いた「ガリア戦記」を。

フィクションではありません。戦記物のノンフィクションです。本の内容は、ローマのカエサルが北伐するという軍記ものです。こういう民族と、こういう戦略で戦った、ということが書いてあります。

最終的にはフランス最初の英雄とされるウェルキンゲトリクスを降伏させるところでカエサルは筆をおいています。まあいってみれば自分の功績を喧伝するような内容になっているわけです。

自分のことを「カエサル」と呼び、できるだけ客観的な記述を心がけたことから、当時の歴史を知るための一級資料として、またラテン語で書かれた文学作品として、現代に残っています。

イエス・キリストには自著はありませんが、カエサルには自著があるのです。聖書はイエスの著作物でもなければ、天国からFAXで送信されてきたわけでもありません。

キリスト教信者でない者が聖書を精読してみた

日本でいうのならば聖徳太子の自著が残っているようなものです。これはなかなかすごいことではないかと思います。卑弥呼が西暦200年ごろ、古事記が西暦712年ということを考えると、ローマの文化の高さに驚かされますね。

内容については、ヨーロッパの歴史や風俗、軍隊の進化などに興味があれば、面白さ倍増間違いなしですが、私にとっては、違った意味で考えさせられる内容でした。

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××族、××人の意味は?

「ガリア戦記」には、××族というのがやたらとたくさん出てきます。これは××地方出身者という程度の意味。人種が違うわけではありません。

もっと時代が下ると××地方の××族は、都市国家のベネチア人、ミラノ人というふうに都市ごとに××人となりますが、この時代は××族として登場します。もっとも有名なのはパリ(Paris)の語源となったパリシイ族ガリアというのは今のフランスあたり。ヨーロッパ中西部の広大な土地を指しています。パリシイ族がすんでいたセーヌ川の島シテ島もガリア戦記に登場します。

この××族という言葉は今ではまったく意味のない区分けになってしまいました。大きな国ができると都市国家どうしの争いなんて意味をなさなくなってしまいます。大きな政府ができると地方の小競り合いに格下げされてしまうからです。川中島の戦いが地方のいざこざに見えてしまうのは日本という大きな国ができたからです。

日韓摩擦【提案】国名のついた海の名前を世界一括で別の名前に変える。未来の国境線は今とは違うはず

そんな××族がたくさん登場するので読みにくいのですが、大きくわけてラテン人種(ローマ帝国)と、ケルト人種(ガリア地方)と、ゲルマン人種(ゲルマニア)だけは、読む前によく知っておきましょう。

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ラテン人種、ケルト人種、ゲルマン人種、その違いは?

現在では、血が混じっているので一概には言えないのですが、ラテン、ケルト、ゲルマンの違いをざっと学びましょう。

カエサル自身はローマ帝国の出身ですからラテン系です。ラテン系というのは、黒髪黒目のブルネット美女を連想してください。南方系なので肌の色が黒いことが多いです。ゲルマン人種にくらべると意外と小柄な人種です。

ゲルマン人種というのは、今のドイツあたり(ジャーマンはゲルマンが語源)の民族です。金髪碧眼の鼻のとんがったブロンド美女を想像してください。北方系なので肌の色は真っ白のことが多い。

ケルト人種というのは、むかしヨーロッパ中西部(ガリア)に住んでいた人々です。カエサルのガリア北伐や、ゲルマン民族の大移動(南下)によって、ガリアのケルト人は呑み込まれる形で吸収合併(現在、ケルト人の国家と呼べる国はありません)されていきます。ケルト人の一部がイギリスに逃げて、そこでドルイド僧や、アーサー王物語、ファンタジーでおなじみのケルト音楽などを残しました。ハロウィンはケルト人起源だそうです。

当時のガリアにはケルト人が住んでいました。作中のガリー人というのはケルト人です。「ガリア戦記」というのは、ラテン人とケルト人の争いというわけです。

そのうえで××族というのが多数登場するのです。「ガリア戦記」に出てくる××族というのは、大半がケルト人の××地方の人という意味です

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ハゲの女たらし。借金王

ところでラスベガス「シーザーズパレス」の主、シーザーとはどのような人物なのでしょうか。

皇帝カイザーはカエサル、シーザーが語源だそうです。皇帝という言葉の語源になるとはなんとすごい!

実際にはローマの初代皇帝になったのはカエサルの後継者(養子)であり、自身は終身独裁官どまりでした。魏王どまりで皇帝にならなかった曹操のような人物ですね。初代皇帝ではないが実質的な始祖・創始者だという。

三国志の関羽雲長(道教の神様)

気前が良かった半面、国家予算レベルの借金王だったそうです。借金があまりに大きかったためカエサルを破産させるわけにはいかず、債権者はみなカエサルの出世に協力したそうです。属州の総督ぐらいの役得がないともはや返せないぐらいの借金だったそうで、債権回収のためにみんな必死でカエサルの出世を応援したんだとか。大きすぎる会社はつぶせない、みたいなものです。連鎖倒産して国の経済全体がダメになってしまいますから。カエサルの借金はそれほど大きかったのです。

また女性関係もハデでした。公式に、結婚は3度、愛人は8人いたそうです。元老院議員の3分の1が彼に妻を寝取られたという噂までありました。さぞやイケメンだったかと思いきや、そうでもなく、ローマに凱旋したときには「夫たちよ、妻を隠せ。ハゲの女たらしのお通りだ」と揶揄されたとか。額がひろくてキューピーちゃんみたいな髪型をしていたようです。軍の最高司令官にこんな悪口を叩くのは、凱旋式でジュピターなどの神々を嫉妬させないためだそうです。

ちなみに『ガリア戦記』には、大神ユピテルや、軍神マルスなどローマの神々がまったく登場しません。これは意外でした。イリアスなどの流れからいうと神々に戦勝祈願とかしそうなものですが。

写本による淘汰。『イリアス』と『オデュッセイア』のあいだ。テレゴノス・コンプレックス

カエサルは合理的な思考の人物だったのでしょう。いちいちデルポイの神託をもらうような古代人ではありませんでした。ガリア戦記を読むとスピードと政治力でいくさの勝敗を決するタイプだとわかります。降伏した敵国にも寛大で、羽柴秀吉っぱいところがありました。女好きなところも似ています。

それほど多くの人妻に手を出しており、最大のライバルであるポンペイウスの妻ともできちゃっています。それで離婚したポンペイウスはカエサルの娘を嫁にしたりして。……まあキリスト教以前ですから男女関係は乱脈です。

カエサル自身も寝取られていて、その妻とは離婚しています。結婚って何だ?

『限りなく透明に近いブルー』ラリった人物が読んでいる『パルムの僧院』の意味

もっとも有名な愛人はエジプトの女王クレオパトラです。全裸の自分を包装してカエサルに贈り物として献上した(エジプトがローマに降伏した意)という、女子高生がバレンタインデーにやるような有名なエピソードがあります。二人のあいだには子供もできてカエサリオン(シーザリオン)と言います。もっとも有名な子どもですが、正妻の子ではないので、正式な後継者ではありません。

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帝政ローマの礎を築いたローマ最大の英雄。

 

『ガリア戦記』は、ラテン語で書かれた名文としても有名です。翻訳文はヘミングウェイのような感情を廃した短文のハードボイルド調になっています。

有名なカエサル語録である「賽は投げられた」や「来た見た勝った」はガリア戦記には登場しません。それらの言葉はガリア戦役よりももっと後の戦争のときに発せられた言葉です。
それらの戦いにも勝ち、カエサルはローマの最高権力者となります。独裁官という既存の臨時職に終身つくという破格の地位に就きます。独裁官はあくまで役職です。神のような皇帝ではありません。
元老院の機能不全からカエサルは独裁者(皇帝)をめざしたとされています。属州を含めて国土が広くなりすぎているのに、元老院の制度ではいちいちローマにお伺いをたてなければならず、すばやい政治ができないからでした。カエサルもガリア戦役中、本国の情勢をいちいち気にしていて、とても面倒だったようです。今と違って手紙しか通信手段がないので時間がかかったのです。しかし共和主義の方がいいと思っている男たちに暗殺されて偉大な生涯を終えるのでした。
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人間中心主義(ヒューマニズム)という概念をつくりあげたストア派哲学者のキケロも登場

ナポレオンも同じですが、戦争に強くて、独裁者。ある一定数の人間は、そんな独裁者に憧れるんでしょう。

「シーザーズ・パレス」の主。ガイウス・ユリウス・カエサルを『ガリア戦記』をネタに解説しました。

『ガリア戦記』には、人間中心主義(ヒューマニズム)という概念をつくりあげたストア派哲学者のキケロも有力政治家のひとりとして登場します。

借金王だった男は、ガリア戦役で得た略奪品や役得で国家予算規模の借金を返すことができたそうです。

そしてハゲの女たらしは、政敵ポンペイウスをエジプトで破り、世界一の美女を愛人にして、皇帝カイザーの語源ともなる偉大なガイアス・ユリウス・カエサルになるのでした。

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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【この記事を書いている人】

アリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。 市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。 また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。 そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。 その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。 登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。
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