出版業界の未来を暗い。返本率はどんどん上がっていくに決まっている。
作者の橘玲さんは、もともと出版社の編集などをしていた人だそうですが、出版業界の未来を暗いものと考えて、お金の面で独立することを考えたそうです。
さすがに慧眼でしたね。本書で触れられていますが、悪貨が良貨を駆逐する出版業界の構造的な問題を見抜き、業界に「未来はない」と思っていたそうです。
出版業界の構造的な問題というのは、本は定価販売で価格の自由競争がないということでした。定価販売で値下げで在庫処分できないかわりに、返本の自由が認められています。返本されたことによって取次に支払うべき過払い金は、もう一冊本を販売することで返済の必要がなくなります。返本率がおさまれば経営は安定しますが、返本率が上がると次々に出版点数を増やさなければなりません。悪書が良書を駆逐する状態になります。
さて返本率ですが、今はインターネットで情報がいくらでもとれる時代になりました。雑誌の情報をお金を出して払わなくてもよくなったのです。書物もキンドルアンリミテッドなどの電子書籍サービスで毎月定額でいくらでも読み放題という時代になっています。電子書籍なら書架スペースが必要ありません。
またゲームや、プライムビデオやネットフリックス、YouTubeなど動画サービスの充実など、本を読むこと以外にも、今の世には楽しいことがたくさん溢れています。
どう考えても返本率は上がっていくはずです。このことは今では常識ですが、問題は「いつそれに気づいたか」です。スマホが売れて世界を席巻するのは今では常識ですが、問題は「いつそれに気づいたか」です。人に先んじてそれに気づいていれば、出版社を辞めるとか、アップルに投資するなど、人と違う生き方ができたはずです。橘玲さんはそれができた人なのです。
マニュアル作家が小説家になる道程
出版社という会社に頼ることを辞め、フリーになった橘玲さんはFIREのFIファイナンシャル・インディペンダンス「財政的な独立」を志向します。そういった中で「ファイナンス系」の指南書をいくつかものにしました。多くの人が知らない節税(脱税ギリギリ)の方法を知ることになりました。
しかしその節税(脱税ギリギリ)の方法を指南書として出版することはできませんでした。出版というのは著者だけでなく編集者、出版社、取次、書店などの共同作業なので、彼らの迷惑になる行為はできません。公序良俗に反する書物は出版できないのです。
そこで橘玲さんは考えました。
殺人のマニュアル本は出版できませんが、探偵小説なら微に入り細を穿ったリアルな描写で殺人を描いても何の問題にもならず、それどころかかえって高評価されることもあります。それと同様に脱税の指南書は書けませんが、小説なら書けるし、むしろ褒められもするはずだ、と。
人の知らない情報をもっていれば、小説家になれるということですね。
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※雑誌『ランナーズ』の元ライターである本ブログの筆者の書籍『市民ランナーという走り方』(サブスリー・グランドスラム養成講座)。Amazon電子書籍版、ペーパーバック版(紙書籍)発売中。
「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか?
いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状を打破し、自己ベスト更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」
●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム?
●ピッチ走法よりもストライド走法! ハサミは両方に開かれる走法。
●スピードで遊ぶ。スピードを楽しむ。オオカミランニングのすすめ。
●腹圧をかける走法。呼吸の限界がスピードの限界。背の低い、太った人のように走る。
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」
本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く走ることができるようになります。
※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
星月夜を舞台に、宇宙を翔けるように、街灯に輝く夜の街を駆け抜けましょう。あなたが走れば、夜の街はイルミネーションを灯したように輝くのです。そして生きるよろこびに満ち溢れたあなたの走りを見て、自分もそんな風に生きたいと、あなたから勇気をもらって、どこかの誰かがあなたの足跡を追いかけて走り出すのです。歓喜を魔法のようにまき散らしながら、この世界を走りましょう。それが市民ランナーという走り方です。
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そういう発想から、節税・脱税テクニックを取り込んだファイナンス業界小説をものにしたそうです。
なるほど~。そういうルートで小説家になる人もいるのですか。
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このブログの著者が執筆した純文学小説です。
「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」
「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。
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円のパワー(円高差益)を利用した海外移住という暮らし方
かつて円のパワー(円高差益)を利用した海外移住という暮らし方がありました。90年代のことです。
たとえば年金をもらって、東南アジア移住で生活コストを下げることで、貯金をすることができたのでした。
しかし2020年代、この手法は過去のものとなってしまいました。
日本の長引く経済不況とデフレ。アジアの経済成長+インフレによって生活コストが逆転してきたのです。
昔は東南アジアに旅行すると物価がバカみたいに安くて笑っちゃったものでした。しかし今ではむしろ日本の方が物価が安かったりして苦笑いしてしまいます。
日本人は河童民族。海外移住。暮らせる国と、暮らせない国がある。
本書『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015』には、日本人が現地の食事を食べ続けるのは不可能だ、と書いてあります。
放浪の旅人としての私の経験からいうと、不可能ってことはないと思います。ひとえに国によります。モロッコ、アメリカ、は無理です。でもタイや台湾なら大丈夫です。
写真はモロッコの白米です。まずそうでしょ? 実際まずいです。日本人が食えるお米の味じゃありません。とてもこんな国では一生過ごすのは無理だと思います。日本は湿気のある国です。日本人は河童民族です。砂漠地帯(乾燥地帯)では暮らせないと思います。
でも台湾とかタイなら私なら平気で暮らせます。
しかし橘玲さんの結論「総合的に考えて、海外移住するよりも、日本の郊外に住む方がいい。すべて日本語で足りるし」には、同意せざるをえないかな、と思います。
円高のパワーが発揮できた昔がなつかしいですね。
不動産をローン購入したら、資産運用はそこで終了
そして持ち家ではなく賃貸暮らしをすすめています。なぜなら不動産を買ったら過剰な負債を負って資産運用はそこで終わり。投資ゲームは終了だからです。
持ち家は不動産投資であり、リスク商品です。ローンは積立貯金ではなく借金です。
それに対して賃貸アパートはリース料を払っているのと同じです。
住宅ローンを組んで家を買うのは、地価が右肩上がりのときにのみ有効な戦略だということです。
今の日本の都市部でローンを組んで不動産を購入するのは、よほど注意してください。
株式トレードはギャンブル
そしてファイナンスの本として「投資」をすすめています。そして株式トレードはギャンブルだということです。短期で見れば株価が上がるか下がるかの確率は一対一。丁半博打と同じです。
いわゆる「ギャンブル」とくらべて株式投資は勝ち目があるギャンブルだそうです。
IR(統合型リゾート施設)とは? カジノは必ず勝てる。必勝法を教えます!
公営ギャンブルは、国や地方自治体がてら銭(胴元が抜く金)を取って賭博をしています。競馬、競輪、競艇も胴元の取り分が25%という悪質なゲームだと橘玲さんはいいます。
最悪なのは宝くじ。購入代金の半分は買ったとたんにもっていかれます。だから「国家が愚か者に課した税金」と言われるそうです。宝くじ、私も買ったことがありますが、つぎ込んだお金が煙のように消えてしまいました。
八百長でもないかぎり法外にてら銭の高いゲームに継続的に勝てる人間などいません。
それに対してパチンコの参加コストは3%前後だそうです。公営ギャンブルよりはるかに良心的で勝てる可能性はずっと高くなります。競馬で食べていける人はいないが、パチンコで生活している人がけっこういるのはそのためだそうです。
そのパチンコよりもはるかに勝率の高いギャンブルが株投資です。証券会社などに手数料を払う必要がありますが、3%もの手数料を払うのはボッタクリ投資にほかなりません。今どきネット証券なら1%でも払い過ぎです。投資はこの世で最も勝てる可能性の高いギャンブルなのです。
そもそも「高くなった時に売ればいい」のですから、むしろ負ける方が例外ではないでしょうか。
投資の儲けが本業を超えた場合、「ご職業は?」と聞かれたら「投資家」だと答えるべきか
万事ギャンブルと心得ると、考えるヒントになる。
アクティブ運用がいいか、パッシブ運用がいいか。ファンダメンタルズ分析が有効か、テクニカル分析か、いろいろなノウハウがあります。しかし基本的には読み切れない博打です。
ポジティブ・フィードバック「今日がよければ明日はもっといい。今日が悪ければ明日はもっと悪い」という判断の傾向がありますが、たとえばウクライナ戦争のような不測の事態で株価は変わってきます。
ちなみに保険は「不幸の宝くじ」で、当たりは死亡や重度障害です。当たらない方がいいのですが、それはつまり掛金を捨てることを意味します。胴元は保険会社で、てら銭は40%ぐらい取られています。宝くじほどではないが、競馬、競輪などよりはよほど分の悪いギャンブルです。
このように万事ギャンブルとして考えると、コストを支払うべきか、控えるべきか、考えるヒントになるのではないでしょうか?
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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。
「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」
「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」
※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。
アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。
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