市民マラソン大会のブランド化の提言。持ちタイムによる参加資格制限

マラソン・ランニング
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どうもハルトです。みなさん今日も元気に走っていますか?

アスリート系市民ランナーを長く続けていると、何か特別な大会に出場してみたくなります。「このタイムを切らないと出場できない」持ちタイムで制限される出場資格のある大会に出てみたくなるのです。福岡国際マラソンびわ湖毎日マラソンのように出場するだけで名誉であるような大会に、自分も出てみたくなります。

「完走したことがある」だけで勲章になるような大会を走ってみたいのです。頑張ってきたことの証が欲しくなるのです。これはタイムを狙って走るランナーの性(サガ)だと申せましょう。

しかし「福岡」や「びわ湖」は、一般市民ランナーにはあまりにも難易度が高すぎます。ほぼ実業団選手のための大会と言ってもいいでしょう。

しかし「福岡」や「びわ湖」のような「出場資格制限こそが大会をブランド化する」というのが本稿の趣旨です。

「持ちタイムで門戸を狭めてランナーの射幸心を刺激する」「一生懸命に練習しているランナーのプライドをくすぐる」というマラソン大会のブランド化戦略は「あり」ではないかとわたしは考えています。

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ブランド大会は全国にどれだけあるのか?

ピラミッド状にいるたくさんの選手たちの頂点にいるのがプロのエリート選手です。

選手層が頂点と底辺だけということはありえません。頂点が存在するためには、中間層の存在もまた重要なことです。中間層の突き上げがなければ頂点が高く聳え立つことはありえません。

エリート選手はニューイヤー駅伝や、福岡国際マラソンなど、目標とする大会があります。女子ならば「大阪国際女子マラソン」がそれに該当するでしょう。

それでは中間層は? 福岡やびわ湖に続くブランド大会となると、国内に何があるでしょうか。

残念ながら極端に減ってきます。

男子ならば「別府大分毎日マラソン」でしょうか。別大マラソンはまだプチエリート大会と言えるレベルで頑張っています。カテゴリー2(2時間30分1秒~2時間59分59秒)、カテゴリー3(3時間~3時間30分)。カテゴリー2ならばサブスリーランナーです。

私もかつて別大マラソンを走ったことがあります。関東の人間ですが、わざわざ別府まで泊まりで走りに行きました。テレビで見たあの別大を一度は走ってみたかったからです。そのために多少の宿泊費、交通費がかかろうともまったく気になりません。これまでトレーニングに費やしてきた時間や汗の量を思えば、多少の出費なんて惜しまないのがランナー種族というものです。

一度でも自分が完走していると、別大マラソンのテレビ中継を見るのが断然楽しくなります。テレビ中継のたびに「ああ、あの時は辛かったなあ」とか「〇〇走友会のTシャツを着た兄ちゃんと競い合って走ったっけなあ」とか当時の思い出が蘇ってきます。

つくばマラソンではそういうわけにはいきません。誰でも出場できますし、そもそもテレビ中継がありません。

別大マラソンの次はどうでしょうか? 別大に続くようなブランド大会があるでしょうか。かつてはあったと聞いていますが、もうほとんど壊滅状態なのではないでしょうか?

防府読売マラソン」がかつてはサブスリーランナーじゃないと出場できないプチエリート大会だったのですが、今は大衆に迎合してほとんど誰でも出場できる大会になってしまいました。マラソン4時間の出場資格制限ではとてもブランド化しているとは言えません。「泉州国際市民マラソン」も似たようなコースを辿って、ブランド大会から転落してしまいました。

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門戸開放に向かう主催者側の気持ちはわかる。わかるが……

ランナーに門戸を開放したくなる主催者側の気持ちはよくわかります。道路封鎖して走らせるんですから、多くの人を走らせた方が単純に実入りが多いわけですよね。どうせやることは同じなんですから、エントリー代金がたくさん懐に入ってくるように出走者を増やした方が資本主義的には理にかなっています。

しかしランニング業界でライターのような仕事をしていると、市民ランナー側の要望によって門戸が開かれたような話しも耳に入ってきます。4時間をやっと切れるぐらいの人が「私にも走らせてください。私だって頑張っているんです。3時間30分の人はよくて、どうして私じゃダメなんですか?」とごり押しに要望することで門戸が開かれたような話しも聞きました。

大会主催者「持ちタイムで出場資格制限をしていますので」

ごり押し市民ランナー「そんなの資格制限を緩めればいいじゃないですか。多くの市民が走れることの有意義をあなた方は正確に理解していませんよ。大きな経済効果があるんですよ。

私だって同じ税金を払っている市民なんですよ。公道を利用しておいて、わずかの走力の差で走れないなんて不公平です!

「どうしてサブフォーの私じゃダメなんですか?」と聞かれたら、主催者側としては返答に困ることでしょう。道路封鎖する大会という性質上、地方公共団体が主催者に名を連ねていますから、断れないというよりも、できるだけ公平に受け入れる方向になるのが当然です。

ごねられたら面倒くさいし、収入が増えて実際にメリットもあるし、門戸は開放に向かうのは必然だと思います。

しかし、シリアス市民ランナーの心情を理解して、制限タイムありのままで踏みとどまってくれる大会はないものでしょうか。

わたしの知るランナーたちは「走れれば、どこへだって行く」という人が非常に多かったです。遠方から来て宿泊して、走って、飲食して観光して帰る、という人は驚くほど多いのです。北海道マラソンの出走ランナーよく調べればわかることです。

わたしもその一人です。走れればどこへだって行きます。もっとも遠いところで、アメリカのニューヨークシティマラソン。スイスのユングフラウマラソンまで走りに行っています。南半球のロトルアニュージーランドマラソンも走りに行きました。

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ランナーのプライド。ボストン・クオリファイ

ボストンマラソンは第1回近代オリンピックの翌年1896年に始まった世界で最も歴史のあるマラソン大会です。ワールドマラソンメジャーズのひとつであり、有名な「持ちタイムのエントリー制限」があります。ボストンを走れるほどの走力(ランナーとしての質)をもったことの証としてこの制限のことをボストン・クオリファイと呼んでいます。

ボストン・クオリファイは、本気で練習しないとクリアできない厳しいレベルの制限タイムであり、このタイムをクリアできないためにボストンを走れない選手はいくらでもいます。逆にボストンマラソンの正式選手ということはこの出場資格タイムをクリアしたという意味であり、それゆえボストンを走ることはランナーの憧れとなるのです。

そのため、ボストンを走るために、世界中からランナーが集まるのです。わたしもその中のひとりです。福岡国際マラソンは正式選手のタイムが切れず、歩道を勝手に完走したわたしですが、ボストンマラソンは正式選手として、正規の位置からスタートしています。世界一有名なマラソンコース『ハートブレイクヒル(心臓破りの丘)』を走っている選手のひとりですよわたしは。

正式選手になるためのボストン・クオリファイは年齢・性別で変わってきます。それが「頑張らなければ達成できないけれど、頑張れば何とかできるかもしれない」という絶妙なタイム設定となっているのです。ボストンマラソンはそそる大会なのです。わたしには確実に「ボストンに出るために」練習していた時期があります。日本にはこういう「目標となる」大会がありません。福岡はレベルが高すぎるし、今の防府はレベルが低すぎます。

どうせみんなサブスリーを目指して走っているんだから、いっそ3時間に資格を切ったサブスリー大会をつくればいいじゃないですか。

ユングフラウマラソンはAIMS(国際マラソン・ロードレース協会)公認42.195kmの中で、標高差1810mの「世界で最も過酷な42.195km」と呼ばれています。完走タイムはサブスリーランナーでも5時間6時間はあたりまえの山岳レースであり、それゆえに面白いのです。歩くのがあたりまえの大会です。ハイジの世界を歩いてゴールを目指す大会です。やはり世界中からランナーがスタート地点のインターラーケンに集まります。世界自然遺産の真っ白なユングフラウを目指してランナーたちが一斉に走るのです。本当に素晴らしい大会でした。

これをレースのブランド化と呼びます。日本のマラソン大会にはこういう「そそる」大会が残念ながらありません。

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持ちタイムで門戸を狭めてランナーのプライドをくすぐれ

「エリート大会をつくれ」「持ちタイムで門戸を狭めてランナーの射幸心を刺激せよ」

あまりこういう主張をする人を聞いたことがありませんので、私がここに主張させていただきます。

山田敬蔵

山田敬蔵さん。ボストンマラソンエキスポにて

地元民だけが日帰りで参加するようなノンブランドの大会では単純にエントリー代だけしか入ってきませんが、大会をブランド化すれば、大勢のランナーが飛行機や新幹線でやってきて、ホテルに泊まり、カーボローディングでドカ食いし、完走パーティーで大酒を飲み食らい、家族にお土産を、自分にはマラソングッズを山ほど買って帰るのです。こうして「経済効果」というものが発生するのです。成功すれば世界中からランナーが飛んできますよ。

一時期、東京マラソンの黎明期に、ゴールタイムによってエントリー代金を変えたらどうか、という笑い話がありました。道路占用しているのだから、遅い人は道路占用時間が長時間なのだから、その分たくさん道路占用料を払えという冗談です。

ランナーに対してそういう差別をすべきではないと思いますが、「持ちタイムで門戸を狭めてランナーの射幸心を刺激する」「一生懸命に練習しているランナーのプライドをくすぐる」という大会ブランド化戦略は「あり」ではないかと思います。こういう大会ならばエントリー費用がかなり高くても文句が言われません。

ボストンマラソンのような走れるだけで名誉であるような市民大会が日本にも誕生してくれることを願っています。

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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
片翼の翼: なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?
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【この記事を書いている人】

アリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。 市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。 また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。 そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。 その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。 登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。
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