日本の駅伝では無敵でも、アフリカ系相手にスピード勝負をするのは危険(アジア大会ジャカルタ「男子マラソン」)

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どうもハルトです。みなさん今日も元気に走っていますか?

アジア大会2018ジャカルタが始まっています。

マラソンというのは冬のスポーツですが、他の陸上競技にあわせて、オリンピックもアジア大会も夏に開催されますね。

よく「夏のマラソン」と言います。マラソンとウルトラマラソンでは順位が変わるように、同じ競技に見えても冬のマラソンと夏のマラソンでは順位が変わります。

冬だと目立たないのに、夏だと強さを発揮する選手がいるということです。もちろんその逆の選手もいます。強さというのは相対的なものです。勝つも負けるも相手次第です。

夏のマラソンには、彗星のようにスターが現れることがあります。さて、注目の男子マラソンはどうだったでしょうか。

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南十字星(サザンクロス)

ジャカルタというのは南緯6度12分だそうです。赤道がシンガポールあたりに走っていますから、明らかに南半球ですね。日本が夏なら、南半球は冬です。

選手たちは、南十字星が見えたのかな?

オーストラリアやニュージーランドに行くと国旗に南十字星が入っているので、サザンクロスを見ないと旅をした意味がないといわんばかりに南十字星を探すものです。

しかし、そうでない国だと南半球でもサザンクロスをわざわざ眺めることは忘れてしまいますよね?

バスケットの代表選手がいかがわしい行為(売春)に及び選手団を追放されたとか。しかも日本代表のユニフォームで「夜の蝶の巣」に行ったらしい。ただでさえデカくて目立つのに、話題になるに決まってるでしょうが。南十字星でも探していればよかったのに。

まあ私もバリ島ではサザンクロスを見たことはありません。ジャカルタの気温は、緯度がさほど変わらないバリ島をイメージしていいのだと思います。常夏です。那覇で北緯26度12分ですから、南緯6度12分というのはかなり赤道寄りです。日本が夏ならジャカルタは冬というわけにはいかないようです。

陸上競技のはじまりに男子マラソンをもってきたそうです。やはりマラソンこそが花形なのですね。オリンピックも締めの競技が男子マラソンだったりします。

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モンゴルの英雄セルオド・バトオチル

レースは早朝からスタートしました。26℃の気温で日本の夏よりは過ごしやすかったようです。井上大仁25歳と園田隼29歳の二選手が挑戦しました。設楽啓太は「出場を回避した」とされていますが、理由がよくわかりません。

しかし私が最も注目していた選手は日本人選手ではなく、モンゴルのセルオド・バトオチル選手です。バトオチルはオリンピックに4大会連続でマラソンで出場しているモンゴルの英雄です。

私は「防府読売マラソン」で何度もバトオチルと直接対決していますが、すれ違いざまの彼のフォームはとても力強く美しいものでした。彼のフォームからインスピレーションを受けたのです。それ以来のファンです。

また揺さぶりをかけるアグレッシブな彼のレーススタイルも大好きで、同じく大好きな川内優輝と直接対決だった前回のアジア大会は、防府読売マラソンの再現試合のようで大興奮でした。

まるで視聴者を楽しませるかのように揺さぶりをかけるバトオチルの攻撃的スタイルは、よほど自分の力に自信がないとできることではありません。

「ええい。ホワイトベースはいい。ガンダムを映せ。ガンダムの戦いぶりを。そうだ。えーいアムロめ、何をやっておるか!」(『機動戦士ガンダム』)テレビ画面に向かってそう叫んだアムロの父親のように、

ええい。園田はいい。バトオチルを映せ。バトオチルの戦いぶりを

とテレビに向かって叫んだことは一度や二度ではありません。

4年前とは違い、川内優輝は出ていないし、バトオチルも優勝争いには絡めませんでした。

二人ともまだまだ現役です。ぜひ復活してください。私は期待しています。

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実力伯仲のレース展開

バトオチル脱落後、バーレーンのアフリカ勢(元エチオピア、元モロッコ)と日本勢の勝負となりました。バーレーン代表は元ケニア人とか普通に出場させてきます。帰化選手です。ところで帰化選手といえばカンボジアの猫ひろし選手はどうしたのでしょうか? どうやら脱腸の手術を行ったらしく、マラソン代表どころではないそうです。東京オリンピックは諦めていないでしょうから、はやく体を治して二年後、故郷に錦を飾ってくださいね。

マラソンは、周回コースで、テレビ観戦的には変化の乏しいコースでした。

ランナーの背後に映るジャカルタはきちんと都市計画のされた大都会でした。だから放浪のバックパッカーとしてはあまり惹かれないのですよ。求めているのは都会じゃないのです。JALさん、バリ島ですよ。バリ島。

モナス(モニュメント・ナショナル)というところを何度も通ります。オランダから独立したことを記念した場所だそうです。オランダが相手とは、マラッカと同じですね。キリスト教化されなかった不思議もマラッカと同じです。オランダは、植民地をキリスト教化しないわ、日本では長崎の出島だけで満足するわ、謎の多い国です。

最後はベストタイムではるかに劣る中国選手が銅メダルに食い込んできましたが、これは最初に述べた「夏だと強さを発揮する彗星選手」というやつでしょう。中国ではスターになったんだろうな。

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井上大仁は瀬古利彦の再来か

井上大仁選手のフォームは腰椎が直立し、無駄な動きの少ないフォームでした。無駄な動きをなくすために、静止のために限られた筋力を使うことはありませんが、結果として無駄な動きが少ないのはいいフォームです。

マラソンを走るとき、大腿骨は腹の筋肉で持ち上げます。その瞬間は逆に太股に腰椎が引っ張られていると表現することも可能です。腰の筋肉でしっかり腰椎を直立状態に支えているから脚が上がるのです。万有引力の法則のようなものです。地球が不動だからリンゴが落ちてくるのです。

フォアフット着地で、アキレス腱のバネを使った弾むような走りでした。

園田選手の方がピッチは速かったのに、スピードが変わらないのは、井上のほうがストライドが大きいからです。空中で移動しているため、そういうことが起こるのです。

後に折りたたんだ足裏が上を向くほどあがっていましたね。足裏が上を向くのが「いい走り」なのではなく、勢い余って「結果として足裏が上を向いているだけ」です。足裏が上を向くように意識して走っているわけではありません。

解説の尾形剛さんが「レースのどこかで相手の気持ちを折らないといけない」と言っていたのがとても印象的でした。世界のトップアスリートでも「気持ちは折られる」ものなのですね。私たち市民ランナーだけでなく。もしあなたがレースの途中で気持ちが折れたときは、トップアスリートだって気持ちは折れるのだと知っていれば、勝負を捨てずに完走することができるでしょう。

久しぶりのトラック勝負となりました。もりあがりましたね。42km走って、最後は短距離スピード勝負というレース展開、私は大好物です。

井上本人はスピード勝負に自信満々だったようですが、実際には危なかったです。バーレーンのエルアバシ選手が足をもつれさせたから結果として勝てましたが、抜かされていてもおかしくないような展開でした。

もちろん、見ている視聴者としては「わくわく、ドキドキ、ハラハラ、おいしいレースをありがとう」と心から言いたいところです。

しかし、日本の駅伝では無敵のスピードスターであっても、アフリカ系相手に短距離スピード勝負をするのは危険すぎます。危なげなく勝つのだったらやはりトラックのスピード勝負に持ち込む前に「相手の気持ちを折っておく」レースをすべきだったと思います。

井上選手は実際にはそこまで余力がなかったのかもしれません。しかし私はそうではないような気がするのです。

井上選手は「日本のマラソンは昔も今もずっと強い」と言い続けています。過去のマラソンと凄くつながっている選手だなあ、と感じます。

彼の脳裏には伝説の福岡国際マラソンがあったのではないか。そんな気がするのです。

こんなにかっこいいマラソンの勝ち方を私はこれまで見たことがありません。タンザニアのイカンガーを瀬古利彦がゴール前の短距離走で圧勝した伝説の福岡国際マラソンです

瀬古がマラソン界のスーパースターなのは「このレースがあったから」なのだと思っています。もちろん井上もビデオでこの試合は見ていることでしょう。知っているでしょう。

ゴール後の勝利者インタビューで井上は「偉大な先輩たちの後を追いかけてここまで来られた」と言っていました。井上は心のどこかで「伝説の福岡」を再現してやろうと思っていたのではないか。私はそんな気がするのです。

瀬古がとうとう獲れなかったオリンピックの金メダルを目指して、力の限り走ってください。ずっと見て、応援しています。

厚さは速さだ。厚底ランニング・シューズ「ヴェイパーフライ」のメリット・デメリット
このページでは裸足感覚の着地を推奨するランニングのバイブルクリストファー・マクドゥーガル著『BORN TO RUN』ですっかり悪役にされてしまったナイキが、厚底シューズで薄底シューズに逆襲していく企業の大逆襲劇を描いています。
雨の日にも走る。シャワーランニングのすすめ
オフィスワークしている濡れない日々からすると、雨に濡れて走るだけでも非日常になります。考え方はふたつです。濡れないように雨を防御するか。はじめから濡れてもいいような格好で走るか? 真冬以外、はじめから濡れてもいいような格好で走っています。

※市民ランナーのグランドスラム達成者・アリクラハルトの『脳ミソで脚力自慢に走り勝つ方法』については、プロフィールページをご確認ください。

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
片翼の翼: なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?
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小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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アリクラハルト。走る哲学者。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。千葉県在住。

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アリクラハルト。走る哲学者。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。千葉県在住。
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